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「補助金漬け」はウソ、関税頼みが大問題 なぜ農業が貿易の障害物になるのか
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/133.html
投稿者 tea 日時 2011 年 2 月 17 日 02:42:51: 1W1IXELjjF6i2
 

できれば関税だけでなく補助金もなしで自立してもらいたいものだが
この分だとよほど空洞化が進んで円高になってもダメで
超高齢化ピークの2050年や、日本の財政破綻の方が先になるかな

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「補助金漬け」はウソ、関税頼みが大問題 なぜ農業が貿易の障害物になるのか

* 2011年2月16日 水曜日
* 樫原 弘志

TPP  政治  OECD  グローバル  グリーンボックス  農業  PSE 

 なぜ日本の農業はあらゆる貿易交渉で障害物になってしまうのか。生産コストや競争力の問題ではない。政府が関税に代わる新しい保護制度の設計を怠っているからだ。

 欧米諸国は過去20年前後で、農業保護を財政による直接支払いに切り換えてきたが、日本は安上がりな関税頼みを続けている。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加をにらみ、政府は「関税」から「財政措置」への置き換えも検討する方針を打ち出しているが、まだその輪郭を示せない。世界貿易機関(WTO)ドーハラウンドも今夏の大筋妥結を目指して交渉を再開した。関税の大幅削減、撤廃に備えて対策を急ぐべきだ。
内外価格差を縮小する努力をほとんどしなかった

 経済協力開発機構(OECD)が毎年公表している農業保護指標の1つに生産者支持推定量(PSE)がある。内外価格差に生産数量をかけ、それに農家への補助金を加えた額である。内外価格差をもたらすのは割高な行政価格や関税である。政府買い入れ価格など行政価格は最近姿を消しつつあるので、関税と考えておけばいい。

 日本のPSEは2009年に約4兆3500億円で、販売収入の48%を占めていた。つまり農家の収入の半分は保護に由来するもので、保護がなくなれば生産額もぐんと落ち込んでしまう危険がある。最も古いデータである1986年の7兆7600億円、65%に比べればかなりダイエットに成功したようにみえる。しかし、EU (欧州連合)の比率は86年39%、2009年24%で、日本農業は相対的にみても脆弱、過保護状態が続いている。

 問題はPSEの中身である。

 PSEのうち内外価格差に相当する市場価格支持のウエートを計算してみると、EUが同じ期間に86%から24%へと激減させたのに対し、日本は 90%から84%へとわずかに低下しただけである。EUは行政価格の引き下げや関税削減で農産物価格を下げる政策をとり、その代償として農家の所得を補償する直接支払いを拡大した。

 対照的に日本は内外価格差を縮小させる政策面での努力をほとんどせず、関税依存の農業保護政策を続けた。市場価格支持の実額は約3兆6600億円。1兆円以上のコメに続いて、豚肉、酪農が3000億円台で続いている。財政に負担がかからない代わり、農産物を購入する消費者がその費用を負担し続けた。農業予算をカットすれば農業改革が進むと考えるのは甘い。消費者の見えざる負担のもと、農業の構造改革をずるずると先延ばしし続けたツケが今になってまとまって精算を迫られているのである。
WTOもルールに採用した「デカップリング」

 「日本農業は補助金漬け」という一般的なイメージが間違いであることがここで分かる。農家の所得の源を分析する限り、内外価格差を負担している消費者が支えているのである。関税依存型農業保護を続けた日本は関税撤廃で膨大な財政負担を覚悟するか、生産者への保護水準を大幅にカットするかの選択を迫られる。

 OECDがPSEの公表を開始したのは87年からだ。当時、先進国では農業保護の行きすぎで酪農製品などの過剰や財政負担の膨張が大問題になっていた。そこでOECDが農業政策の仕分けをして、政府による価格保証や高関税など増産刺激的な政策を協調して削減しおうと呼びかけていた。

 自由な貿易の流れを妨げるような保護政策は、例えそれが国内政策であっても減らす。逆に推奨したのが補助金を作物生産量に連動させないデカップリングである。直接支払いには環境保全など多様なメニューがある。この考え方は、世界貿易機関(WTO)が一部簡略化する形で農業交渉のルールに採用し、価格支持など増産刺激効果のある政策を助成合計量(AMS)と呼んで削減対象にしている。デカップリングによる所得支持はWTOも削減しなくていいグリーンボックス(緑の政策)に分類している。

 関税で守られる度合いが大きければ、政策変更も小出しになりがち。守ろうとする制度自体の運営もややこしくなる。

 コメの場合、ウルグアイウンドで輸入割当制度の関税化を先送りするため、ミニマムアクセス(MA)枠を消費量の8%まで増やす代償を約束した。

 しかし、MA米の保有・処理コストの膨張に悲鳴を上げて99年、MA枠7.2%(77万トン)で打ち止めできるよう関税化する結果になった。MA 米は本来、流通市場に供給されてこそ内外価格差を縮小する効果がある。だが、農水省は主食用のコメ市場からの隔離を決定。いま1トン当たり4万円前後とされる損失を出しながら養豚など飼料用に売却して在庫増を抑えようと懸命だ。

 そうまでして守ってきた国内の主食用米市場で何が起きているのか。

 過剰作付けによるほぼ慢性的な供給過剰で、米価は市場開放当時の半値近くに下がっている。兼業や年金所得が大きい小規模、自給的な農家は値段や需給にお構いなしにコメを作り続け、コメ作りを主業とする大規模農家ほど米価の底上げを期待し、減反に協力せざるを得ないという皮肉な現象が生まれている。

 本当にコメの関税撤廃は不可能なのか。
コメの関税撤廃でもコメ生産は4割残る

 昨年11月に発表された日本総合研究所の提言「わが国農業の再生に向けて」が面白い試算を掲げている。

 日本総研はコメの関税を撤廃しても10年後、280万〜380万トン、現状の4割前後のコメ生産は残ると予測する。戸別所得補償を耕作面積1ヘクタール以上の農家に限定して現行10アール当たり1万5000円の約4倍、6万1000円交付するなら8割前後に相当する670万〜770万トンが維持できるという。

 その場合、年間5500億円の財源が必要だが、全農家を対象にする現行の戸別所得補償財源(11年度予算案)が、10アール当たり1万5000円の固定支払いに1929億円、米価下落が著しいときに交付する変動補てんに1391億円を計上していることを考えれば、決して実現不可能な額ではないだろう。

 10年度にモデル事業としてスタートしたコメ農家向け戸別所得補償制度の固定支払いのように、農地の広さに着目して生産量や収入にかかわりなく交付する固定支払いなら、OECDの考え方をほぼ踏襲したWTOのルールでも削減を求められない緑の政策に該当すると農水省は考えている。

 過去のWTO提出資料を見ても、コメなど主要穀物の国家備蓄や学校給食補助、さらには水田でコメ以外を栽培する転作のための奨励金まで「環境保全」名目の直接支払いとして緑の政策に分類して農水省は通報している。財源さえ確保できるなら農業保護の再設計は相当程度、柔軟に考えることができる。
各論を細かくフォローすることも必要

 コメだけが重要な農産物というわけではない。養豚、酪農など関税が低くなれば経営的に大きな影響を受ける分野はほかにもある。ウルグアイラウンドでは平均の関税削減率が36%だったが、これから大詰めの交渉が進むであろうドーハラウンドは同54%削減を目標にしている。原則として関税撤廃という TPPもハードルが高いが、WTO交渉でも相当な市場開放を想定しておかなければならない。

 内閣官房の国家戦略室や農水省、経済産業省のTPP、農業再生担当部門は連日のように著名な農業関係者、自治体首長らにヒアリングをして農業を活性化するアイデアを集めている。農地情報を仲介する農地バンク構想など具体的なプロジェクトがいくつも実る気配を見せ始めているようだ。そうした各論を細かくフォローすることも必要だろう。

しかし、関税撤廃というTPPにストレートに対応する問題として、どんな財政措置を関税の代わりに持ってこようとしているのか、国民の判断材料として示していく必要があるのではないか。
このコラムについて
変革の時をつかめ 新・ニッポン農業論

自由貿易は脅威か好機か。農業は大きな変革のときを迎えている。逃げるも挑むも生産者の自由だ。だが、環境の変化にあわせて大胆に舵を切り替える勇気があれば、日本の農業にも未来はある。日本の、そして世界の消費者のこころをわしづかみにするニッポン農業の再生に期待する。

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著者プロフィール

樫原 弘志(かしはら・ひろし)

樫原 弘志 日本経済新聞編集委員。
1981年の入社後、財政、金融、経済協力などを担当。99年、FASID(国際開発高等教育機構)リーダーシップアカデミー修了。シンガポール、大分、千葉の各支局長を経て、最近はもっぱら農業、漁業の生産現場の変化を追う。農業とのかかわりは86年のコメ市場開放問題以来。「がんばれマグロ漁業」(日経夕刊連載)で2007年度水産ジャーナリストの会年度賞受賞。
 

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コメント
 
01. 2011年2月17日 02:45:44: XNvcPAMjVI
>空洞化が進んで円高になってもダメで

円安だな


02. のんぽり 2011年2月18日 07:12:59: 7p9CCripgLT3w : LrXK6I50Qk
 おいら以前から日本国民の社会的負担は見た目より大きいと主張してきた。その一つに農産品の国際価格差を揚げてきた。
 ただ、残念ながら素人の悲しさで具体的な数値を上げることができなかった。

 日経記事からこのような貴重なデータが得られるとは思ってもいなかったが感謝・感謝である。
 尤も日経ではTPP推進のための農業分野のシステム改善を促すための記事だったのだろうが、おいらは消費税引き上げ論議の基礎的なデータとして利用していきたい。

 阿修羅の読者もぜひ消費税の観点からこの記事を読み直して欲しい。
 農産品の国際価格差はそのまま逆進的な負担として低所得者にのしかかってくるのだから。
 下記記事も参考になるかもしれない。
 それにしても、連合の消費税増税の提言は、組織率低迷の原因を理解できない証左であろう・・・。


食糧自給率39%の日本が、なぜ輸入食糧に多額の関税を掛けるのか?関税によって農業を守るのではなく、政府の財源となっている
http://www.asyura2.com/08/hasan57/msg/618.html
投稿者 TORA 日時 2008 年 7 月 27 日 10:58:12: CP1Vgnax47n1s


03. 2011年2月18日 13:42:44: FagTZnraQk
貿易自由化反対論者はJAの手数料が減るから価格支持政策を維持しろ、と主張しているんだよ。試しに彼らに「消費税2%上げを受け入れるから、その財源を農家所得補償に回す。その代わり関税も最終的にはなくすし、減反も止めるよ」と提案してみな。いろんな理由付けて絶対反対するから。
恐らく1haもない小規模の田んぼやってる兼業農家は壊滅だろうけど、土地は専業に貸せばいい。JAは組合員減少の上手数料は減るし、農業事業の存続が難しいから必死なわけ。でも金融では儲かっているんだよ。専業農家にのみ戸別補償を行い、関税も減反も止めて農産物価格を下げるしかない。だっていままで高率関税かけ減反さんざんやっても価格下落は止められなかったんだよ。これから人口も減るわけでコメの消費量も更に減り価格は下がり続ける。JAの組織維持のために日本全体に多大な損失を与える行為は許されない。しかし政治家はJA票が欲しいからなかなか話は進まないんだな。そろそろJAがらみの不祥事が発覚し逮捕者でも出れば方向性は決まるんだろうけどね。

04. 2011年2月19日 00:33:03: OjtYZlwcyM
貿易自由化をすれば日本全体に多大な利益が得られるような印象操作だな。JAの手数料がどうこう言ってるが農協と仲の悪い百姓も反対している。汚染米や遺伝子組み換えの農産物は安く買えるようになって物価は下がるかもしれないが、その分労働者の賃金を引き下げるからメリットなんかない。ロシアが旱魃で小麦の輸出停止するくらいだから他の国もいざとなったらどうなるかわからない。穀物が投機に使われているのも問題だ。小麦も値上がり傾向だし日本の米粉を代用できるようにしないと駄目だな。日本の人口が減るので全農も丸紅と組んで中国や東南アジアの富裕層向けに輸出拡大を目指すらしいが。まずTPPなんぞ日本では経団連関係者くらいしか得しないだろう。だいたい大規模専業農家でも赤字で撤退しているところもあるのに。まぁ、竹中平蔵・渡辺美樹・大前研一あたりが派遣や外国人研修生をヤマギシ会以上に死ぬほど酷使すれば儲かるだろうけど。そもそも少子高齢化で国の借金が1000兆近くあって財政破綻寸前で発展途上国に技術流出しまくりの日本で円高なんだろうね。アメリカがドル刷りまくって日銀が何もしないからと言う理由だけでもないだろう。

05. 2011年2月19日 16:21:36: Pj82T22SRI
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食料価格の高騰
2011/02/19 (土) 09:56

 食料価格が高騰しています。で、今アラブ諸国では、ご承知のとおり民主化運動が高まっているわけですが、そうしたことの背景には食料価格の高騰があるとも言われています。

 つまり、食料価格が上昇し、毎日の暮らし向きが大変になるので、国民の不満は益々募るばかりだ、と。

 最近は余り使われなくなりましたが、私が若い頃にはエンゲル係数という表現がよく使われた訳です。エンゲル係数とは生活費全体に占める食費の割合のことですが、貧しい家庭ほどエンゲル係数が高くなる傾向があるのだ、と。

 言われてみたら大変に説得力があるわけです。

 つまり、貧しい人々ほど収入のうちのより大きな割合を食費に回さなければならない、と。そして、その食費が高騰するので、貧しければ貧しいほど食料価格高騰の痛手を受ける、と。

 それに、アメリカの公共放送を聞いていたら、こんな理由もあるのだ、とか。

 それは、先進国の人々は、パッケージに入った食品を買うことも多いが、貧しい国の人々は、脱穀していない穀物をそのまま買うことが多いために、より穀物価格高騰の影響を受けやすいのだというのです。

 ただ、いずれにしても最近の穀物価格高騰の最大の原因はといえば‥、何と言っても異常気象が引き起こした供給不足だというのです。ロシア、パキスタン、米国、カナダ、北ヨーロッパ、オーストラリア。世界各地で生産高が減少しているのだ、と。

 そして、その一方で、世界的な需要は増加の一途を辿る訳です。

 で、ここでいつも引き合いに出されるのが中国。何といっても13億の人口を抱える国ですから‥

 「でも、中国は一人っ子政策で、人口の増加は止まっているのでは?」

 人口の増加が止まっていても、生活水準が上がるにともない食生活にも変化が合われていることが大きいといのうです。それに世界的には人口は増加し続けているのです。ということは、少子高齢化が進む日本は、食料不足を緩和するのに一役買っている?

 その他の理由としては、以前から言われていますが、とうもろこしを原料にエタノールなんかを作るから余計に食料不足に拍車をかけるではないか、と。しかも、そうしたことを減税措置で奨励したりして‥

  で、こうした状態に至ると必ず偉い方が言うのですよね。食料を増産する必要がある、なんて‥

 日本の外交官を相手にしなかったことで有名な世界銀行のゼーリック総裁が言っています。

 「世界の食料価格は危険なレベルにある」

 ただ、食料不足の問題は、そんな単純な話ではないのですよね。確かに、食料価格の高騰は、食料不足が大きな原因であるのはそのとおりでしょう。従って、食料を増産すれば、価格は低下し、そうすると貧しい人々も買いやすくなる、と。

 それはそのとおり!

 しかし、では誰が食料を生産するのか? そして、その人たちは何のために食料を生産しているのか?

 世界中にはいろんな農家が存在するでしょう。だから一言でいうのは危険であるのですが、大規模な農業生産者というのは、何も慈善事業のために農作物を作っているのではありません。そうではなく、儲けるためにビジネスとして食料生産に携わっているのです。ですから、そもそもあまり食料を作りすぎて価格が安くなることなどは、悪夢みたいなものなのです。

 何を言いたいかといえば、政治家などが何かを言って解決するような問題ではない、と。それが国内の問題であればいざ知らず、世界的な食料不足の問題に対し、政治家が口を出したからと言って流れが変わるものではない、ということなのです。

 それにそもそも、欧米の人間は、肉食文化が食料不足をより加速化している事実をどう考えるのでしょう?

 つまり、コメや麦や大豆やトウモロコシをそのまま人間が摂取すれば、今の人口を養うのに十分過ぎるほどの量が確保できているのに、それらを家畜に食べさせて、肉を生産するので、食料の確保が難しくなることが起きるわけです。

 まあ、だからと言って、牛肉を食べるのを止めようなどという欧米人はいないわけです。止めるとすれば、それは健康のためとか、他の理由からなのです。

 ついでに言えば、そんなに食料不足が心配であれば、何故、米国は日本にもっと米国の農産物を買えなどと強要するのでしょうか?

 食料不足なのに、日本が海外のコメを輸入していいのでしょうか?

以上


06. 2011年2月21日 13:28:42: lz3D3jMjBE
日経の記事ごときに簡単に騙される人がまだかなりいるようだ。

食料自給を捨て、ほとんど輸入品に頼ろうとする先進国の国名をあげてみよ。
世界のどこにも存在しない。


07. 2011年2月22日 00:32:40: 3nnRytPTLw
食料自給率の算出の怪。
カロリーベースで算出する自給率。世界中の国でそんな自給率の計算をしている国あるのか?
データの取り方もデータの算出方法もデタラメじゃないか。
そもそも日本の農業をどうしたいと考えてるのか?
国際競争力を持たせたいのか?
国内市場を守りたいのか?
農家の生活を守りたいのか?
どのような農業をモデルと考えてるのか?
アメリカ型の大規模農業?オランダ型の大規模施設園芸?
意味不明の農業問題。
補助金だの関税だのと言った議論以前の問題だろう。

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