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(回答先: 会社は辞めない。でも頑張るつもりがない―職場を蝕む「新・ぶら下がり社員」が増殖 投稿者 tea 日時 2011 年 2 月 14 日 17:36:36)
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学生はなぜ就職できないのか 超・国内志向の若者を待ち受ける「就活の悲劇」
就活に追い詰められ、苦悶する学生たちの姿を追ったテレビ報道をしばしば目にする。だがそのたびに私は、学生たちの異様な言葉に驚きを禁じ得ない。
「70社受けました」「100社受けました」でも「ダメでした」といった具合のコメントがこれみよがしにテレビ画面に映し出される。内定をもらえなかった会社数の多さこそが、「超氷河期」と呼ばれる過酷な就活事情をストレートに物語っていると視聴者に訴えかけたいのだろう。だが、これほど無責任な報道はない。
70社も100社も受験することが物理的にできるだろうか。おそらく希望した企業のHPにアクセスし、エントリーシートを送信した数ではないのか。そのなかで実際に説明会に参加し、さらに面接にまで進むことができた企業はいったい何社くらいあったのだろうか。そうしたディテールをすべてが切り捨てられ「70社」「100社」という数字だけが独り歩きしている。
就活が過酷であればあるほど、その全体像を正確に伝えるのが、メディアの責務だろう。だが就活報道の実態は、野次馬以下だ。問題のありかをさまざまな切り口から掘り下げる努力も試みもない。まるで談合をしているかのうように、ただただ「非常事態だ」と大騒ぎをして、社会不安を煽りたてるだけの報道が目立つ。
たしかに昨年の就職内定率は68.8%。「就職氷河期」と呼ばれた1996年当時を下回る厳しさだが、おなじ「氷河期」でも当時と今とでは状況が全く違う。
今は本当の“就職氷河期”ではない
採用が「量より質」にシフトしたのみ
「“就職氷河期”という言葉はリクルートが創った言葉ですが、それが(現状に)当てはまるとは思っていません。大手企業が新卒を一括、大量採用することが前提だった時代にあって、(バブル崩壊後に)あの大手もこの大手も採用を凍結するという事象が起こり、それを就職氷河期と表現しましたが、今は違います。苦しくても新卒を採用したいという企業は多い」
リクナビの岡崎仁美編集長のコメントだ。
私が出演しているBS日テレの情報番組『財部ビジネス研究所(TBL)』で就活問題を特集、そのインタビューに岡崎編集長が応えてくれた。
「(採用時に)量より質という方向性が厳格に貫かれている中で、需給バランスだけでいうと、学生はどこでも就職できる数字になっている。しかし実際は、(人事部は採用枠を)採り切らないまま採用をやめたり、中途採用と新卒採用にこだわらずに採用したりというような中で(新卒の)就職難という事態が続いている」
それは数字の上にもはっきりと現れている。
次のページ>> 大企業の採用は“量”より“質”へ
「求人数は前年比2割減が2年続いたため、求人の絶対数を09年卒と11年卒で比較すれば4割近く減っている状況です。しかし大学院生も含めた求人倍率は、厳しい厳しいと言われながらも1.28倍。数的なバランスで言えば、就職したい学生より、企業の求人数が上回っている」
大企業の人事部は、当初予定していた採用枠にこだわらなくなったという。採用計画に多少の狂いが生じても、求めるレベルに到達しない学生を採用することはせず、そのまま採用活動を打ち切ってしまうというのだ。
量より質へ。
大企業は本気で人材の“質”にこだわり始めた。一般的には学生たちの知名度優先傾向が強すぎるあまり、企業と学生との間にミスマッチが起きていると説明されるが、ミスマッチだけで片付けられる問題ではない。
日本の大企業はいま活気づいている。リーマンショック直後は文字通りのショック状態に陥ったものの、世界経済の成長エンジンが先進国から新興国へ移るという劇的な構造変化が、自社にとって飛躍的なジャンプアップのきっかけになるという思いを強めている。人口大国、資源大国といった新興国の特性が最も集積する地域はアジアだ。アジアこそが地球最大の成長ゾーンになった。そのアジアの一角を占める日本経済に強烈な追い風が吹き始めたのである。
さらに、日本の大企業は手元資金がジャブジャブに余っている。日銀によれば企業の「現金・預金」は10年9月時点で205兆9722億円(前年比5%増)と、過去最高。
アジアへの投資意欲は満々で、手元資金も潤沢。私の取材実感でも、企業の新卒採用意欲は相当に高まってきている。だが「量より質」へと、大企業は採用方針を大転換させた。それが学生たちにもメディアにも理解されていない。
「就活の悲劇」はなぜ起こる?
学生自身が持つ4つの問題点
リクルート勤務時代に1000社の採用と人材育成を支援、同社退社後も一部上場企業の人事採用責任者として年間500名を採用し育成してきた採用のプロ、廣瀬泰幸氏(株式会社オールウェイズ代表)が興味深い指摘をしてくれた。現在も「就活コーチ」として多くの学生たちと向き合っている廣瀬氏は学生自身に多くの問題があるという。整理すると、4つのポイントに集約される。
次のページ>> 「やりたいことしか考えない」学生たちの幼児性
「一番の問題は学生たちが社会のトレンドに対してあまりにも無知なことです。人口が30億人を超えるアジア・アセアン・インドに対して、日本企業がどのようなアプローチをしようとしているのか。この最重要のテーマに対してほとんどの学生が無関心なのです。因みにアセアンの人口とユーロ圏の人口をまともに言える学生は今まで1人もいませんでした」
成長するアジアに自社の将来を全面的に託そうとする企業のグローバル感覚に対して、超ドメスティックな学生たちの意識。じつはこのギャップを海外からの留学生が埋めている。ハングリー精神溢れる留学生たちは、勉強への熱意もグローバル感覚もそして語学力においても、日本人学生の上をいくケースが圧倒的に多い。パナソニックやユニクロがグローバル採用を全面的に押し出しているのは象徴的だ。いまや就活の競争相手は同じ日本人の学生だけではなく、海外からの留学生とも競わなければならないのだ。
第2のポイントは企業選びにおける極端な「知名度依存」、それが就活の悲劇をさらに大きくしているという。
「学生たちの企業選びは知名度に依存しすぎている。知名度のない、優良企業へのエントリーがいまの学生たちはできないんです。たとえばメーカーならば大手電機メーカーと食品メーカーしか視野に入らない。一部上場のある優良メーカーではエントリーが理系の学生800人に対して、文系の学生はたったの 10人だったという話もありました」
リクナビの岡崎編集も「人気企業ベスト100社のいずれかの企業に、就活生の半数がエントリーをしている」と話していた。ベスト100社は企業総数のわずか1%だ。その1%に半数の就活生が殺到する異常さ。ネット経由のため、エントリーが気軽になったとはいえ、その安直さこそ「量より質」を求める企業との間に決定的なミスマッチを引き起こす元凶ではないか。
廣瀬氏が指摘した第3のポイントは「やりたいことしか考えない」、学生たちの幼児性だ。
「自分の“やりたいこと”“やれること”“やるべきこと”の三つの輪で就活を整理すべきなのですが、単に“やりたいこと”のみで活動している。従って、自分の実力に合わない会社ばかり受けようとしている学生が圧倒的に多い。結果的に、SPIなどのテスト対策、ES対策、面接対策といった小手先の『対策』に終始しています」
次のページ>> すべて企業や社会のせいにしてよいのか?
しかしさらなる悲劇は、学生たちが自ら“やりたいこと”だと主張する中身が貧相なことだという。
「そもそもの自分の“やりたいこと”も、企業の仕事の実態に即して考えていないので、 とても抽象的かつ近視眼的なため、説得力がない」
第4のポイントは生身の人間とのコミュニケーション能力の劣化だ。それが著しく劣っているために人事担当者を説得できないのだと廣瀬氏は語っている。
「生身の人間に対して、自分を的確に表現できない学生が本当に多いのです。肉声でうまく相手に自分の意思や気持ちを伝えられない。だから、話が面白くない。人事担当者に『採用したい』という気持ちを惹起させられない」
この4ポイントが揃ってしまえば、景気の良し悪しに関わらず、内定獲得などできるわけがない。従って「望ましい就職活動は、4つの問題点の裏返しになる」と廣瀬氏は結んだ。
すべて企業や社会のせいなのか?
学生自身の意識変革が求められる
大学を卒業しても働けず、捲土重来を期して留年したり、就活のハウツーを取得するための専門学校に通う学生が急増している。それが日本社会全体の歪みであることくらい百も承知だ。就活に向き合う学生たちの姿勢だけに問題があるわけではなく、採用する企業側にも、教育機関としての大学にも、問題は山積している。
だが、卒業後の人生の選択を目前に迫られている学生たちには猶予がない。企業が悪い、社会が悪いといったところで、道はなにも開けない。学生自身が意識を変えることが、一番の早道であり、最良のリスクコントロールだと承知してもらいたいものだ。その際、もっとも重視すべきことは、先進国から新興国へ、先進国からアジアへというグローバル経済の構造変化だ。経営者の意識は大転換した。日本企業は大企業も中小企業もなく、アジアの成長を自社の成長に取り込むことに大きな希望を見出し、劇的な方向転換をしている。
その中で、自分はいったい何ができるのか。
それを一生懸命に考えて欲しい。
質問1 過去最低とも報道されている就職内定率。こうした状況になった一番大きな原因とは?
54.5%
学生の質の低下
18.8%
グローバル化
12.1%
景気後退
10%
その他
4.6%
企業の学生を見る目のなさ
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