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郡山市、独自に校庭の表土除去 市内28施設で実施へ
http://www.asahi.com/national/update/0427/TKY201104270234.html
2011年4月27日15時1分 :朝日新聞
東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質を取り除くことを目的に、福島県郡山市は27日、市立の小中学校と保育所計28施設の校庭の表土を削る作業を始めた。市は「保護者らの要望」を理由として独自に実施を決めた。
表土の除去について文部科学省は、校庭の放射線量が屋外活動を制限する基準値の毎時3.8マイクロシーベルト以上であっても、活動を1日1時間以内に抑えれば安全は保てると判断。高木義明文科相は「ずっと放射線量が下がらないとなれば何らかの検討をしないといけない」としつつ、「いまのところは必要ない」との見解を示している。
市はこの日、午前9時前後から薫(かおる)小学校と近くの鶴見坦(つるみだん)保育所で除去作業をした。薫小学校では、委託された業者の作業員約30人が参加。散水車で水をまいた後、重機で土の表面をなでるように5センチほど削り、トラックの荷台に積み込んだ。鶴見坦保育所では約20人がスコップなどを使って手作業で深さ2センチまでの土を取り除き、袋に詰めた。
作業を始めた後に市の職員が薫小学校の校庭で放射線量を計測したところ、地表付近で除去前に毎時3.3マイクロシーベルトだった値が、除去後は毎時0.5マイクロシーベルトにまで下がったという。
作業員は、市と災害協定を結ぶ地元建設協会に呼びかけて確保した。除去された土は市の埋め立て処分場に運ぶ予定。市は「激しく汚染されている土壌ではないので問題はない」としている。
市は、今月20日に市内で試験をした結果を踏まえて除去作業の実施を決めた。表土を1センチ削ると放射線量の値が当初の毎時4.1マイクロシーベルトから半分になり、5センチ削ると4分の1になったことから、効果があると判断したという。
除去の対象とする施設は、県の調査結果を利用して選定。文科省は地上50センチから1メートルで測定して毎時3.8マイクロシーベルト以上だった場合には屋外活動を制限する基準を示しているが、市は、より高い値が出る地上1センチの測定値が小中学校で毎時3.8マイクロシーベルト以上、保育所では毎時3.0マイクロシーベルト以上だった計28施設を対象にした。
この日、小学校と保育所で作業の様子を視察した原正夫市長は「賛否はあるだろうが、原発事故の収束はいつかもわからない状況で、不安なまま学校に通わせるわけにはいかない。5千万〜1億円ほどかかると試算している。安全には代えられない」と説明。「郡山市の取り組みをきっかけとして、国や県には除去の基準を示してほしい」と話した。
朝日新聞の取材では、県内では他に、伊達市が実施する方針。放射線量の比較的高い2小学校と1幼稚園で連休中にも作業するといい、担当者は「東京の文科省と現場では意識が違う」と話した。本宮市と相馬市も「検討中」とした。
福島市は「保護者の不安はもっともだが、運び先や安全管理なしに除去作業はできない。専門家の意見も求めながら、状況を見極めたい」としている。
福島県教委は「今の放射線量は児童・生徒の健康状態に影響を与えるものではなく、表土を削る必要はない」とし、県立学校での実施は考えていない。担当者は「市町村教委で安全性を担保したうえで実施するのであれば、見守るしかない」と話す。(斎藤健一郎、青池学、清水優)
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