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日経ビジネス オンライントップ>アジア・国際>日本と韓国の交差点
日本政府の「安全」という言葉を信じていいのか?韓国メディアが伝える放射能汚染の深刻さ
2011年4月27日 水曜日
3月11日に発生した東日本大震災から1カ月半が過ぎようとしている。韓国でも連日トップニュースとして取り上げられてきた震災は、福島原発事故による放射能汚染問題へと焦点が替わった。
韓国メディアは、東京電力が福島原発の汚染水を海に流したことや、韓国の大気中からも放射性物質が検出されたことが報道している。このため韓国ではパ ニック状態が続いている。小さい子供は、雨の日は学校を休ませる。放射性物質が濃縮されやすいと理由で牛乳も飲まないほど恐怖に怯えている。
韓国でも全国の放射線数値を確認できるアプリケーションが人気を集めている
震災直後はセンセーショナルな報道が相次いだ
震災直後は、日本の被災状況を実際以上に、センセーショナルに報道する新聞記事やテレビ番組が相次いだ。ある新聞は震災直後、「日本沈没」という見出し の記事をて1面トップに掲載したも。津波によって壊滅した村の写真も載せた、このタイトルを、多くの読者が猛烈に非難した。
テレビでも、日本列島阿鼻叫喚と銘打ち、日本全土が地震で壊滅しているかのように伝える報道が相次いだ。
テレビをつけると、どのチャンネルも繰り返し津波の映像を流していた。国内ニュースよりも、日本の震災関連ニュースの放映時間の方が長かっただろう。韓国にいながら災害ストレスを訴える人も多かった。
韓国民から「どこで何があったのか正確に報道していない。恐怖心をあおる見出しをつけてばかり」との非難を浴びるようになって、メディアはやっと正常な報道体制を整えた。
原発事故の影響を“甘く”見る報道に不信感
福島原発が水素爆発を起こし、放射能汚染が大問題になると、メディアは口をそろえて「原発は安全」という報道をし始めた。テレビは、白い煙を絶えず吐き 出す福島原発の映像を映し続けていた。「東京の水道水が汚染され、多くの人が必死になってミネラルウォーターを買っている」とのニュースも伝えた。それで も、「日本政府が安全と言っているから福島原発は安全なはず」と口を濁す内容の報道が続いた。
韓国への影響について、「韓国は安全」という納得しがたいニュースがメディアを埋めていた。韓国の気象庁は「日本と韓国の間では、常に韓国から日本と風 が吹く。だから韓国に放射性物質が流れてくることはない」と発表した。韓国内にある原発に関しても、「日本と違う設計方式を採用しているので安全」という 報道ばかりだった。
ネットに寄せられるコメント欄には、日韓両国の政府を非難する声が殺到した。「気象庁は雨の予報すら当てることができない。放射性物質についても『安 全』という発表は信用できない」「日本の政府が安全と言えば韓国の政府も安全と言う。私たちは日本人なのか?」「日本人は他人に迷惑かけないと聞くが、原 発の汚染水を近隣国家に知らせることなく海に捨てた。迷惑の意味は震災の後変わってしまったのか?」「韓国政府はなぜ日本政府に抗議しないのか」。
政府とメディアは「安心」との発言を変え始めた
チェルノブイリの原発事故では、1000キロ以上離れた西ヨーロッパまで放射能で汚染された。福島から1000キロほど離れた韓国に放射線の影響がないはずはない。そう思うのが当然だろう。
Twitterや主婦向けコミュニティサイトに、ドイツの気象庁やノルウェイ大気研究所が発表したという放射性物質拡散シミュレーション図が出回った。
Department of Atmospheric and Climate Research, The Norwegian Institute for Air Research (NILU) による4月25日時点での放射性物質拡散のシミュレーション図。韓国も東京と同じ汚染程度になっているとされている
そのシミュレーションは「雨が降る4月6〜7日、18〜19日、24〜25日には、韓国から中国にかけて、東京と同じぐらい放射性物質が拡散する」とし ていた。「あくまでも最悪な場合を想定したシミュレーションなので参考までに」という前提で公開されたシミュレーションではあるが、このシミュレーション がネットに出回り始めてから、「絶対安全」を唱えていた韓国政府と気象庁も「実は風の向きが変わって少しは影響があるかも」「西風に乗って地球を一周して 放射性物質が流入した可能性もある」と発表内容をコロコロ変え始めた。
メディアは「政府の発表を信じろ」と報じる。原子力専門家の「放射性物質は極微量なので過剰反応する必要はない」との言葉を引用して読者・視聴者の不安を鎮静化しようとしている。
だからこそ、信頼できないのだ。「安全だ」と言っておきながら、外国機関の発表がネットに出回ると発言内容を変える。原子力に関する知識がないから分析 できないのか? それとも真実を隠しているのか? 国民の安全より日本政府の代弁者になっているとしか思えない韓国政府とメディアの態度にいら立ちを覚え る。
福島原発事故から1カ月以上たっても全く収束せず、放射性物質による汚染は広がるばかり。韓国民の一部は「隣国の原発事故によって原発の真実を知ること ができた」「日韓ともに政府は無能すぎる」「自分の身は自分で守るしかない」として、様々な行動を起こし始めた。翻訳サイトを利用して、海外気象庁のウェ ブサイトにある情報をかき集める。広島原爆被害者でありながら長寿を全うした人たちの食生活情報などをTwitterで共有する…
韓国に及ぶ放射能汚染被害に注目が移った
韓国内における放射能汚染の被害状況が報道され始めた。「雨、大気、野菜からヨウ素が検出された」「日本からだいぶ離れた米国の牛乳からもヨウ素131が通常の3倍以上検出された」「日本から輸入した貝類にセシウムが見つかった。それが既に市場に出回ってしまった」。
「福島原発の影響で韓国はもう終った」と絶望する人も少なくない。主婦向けコミュニティサイトでは「(奇形児を産む可能性があるから)もう子供は産まない」といった書き込みまで頻繁に目にするようになった。
大手食品メーカーCJプレシアンは、物流倉庫でも度放射線数値をチェックし、安全性確保を最優先にしていることをアピールしている
2010年の秋は白菜価格が前年比で20倍以上暴騰して「キムチ」が「金チ」になった。これからは、キムチ漬けに欠かせない塩と塩辛が問題になりそう だ。キムチ作りでは、唐辛子と同じくらい、魚介類の塩辛が味の決め手となる。日本が原発の汚染水を海に流したというニュースが流れてから、主婦たちが「海 が汚染される前に作られた塩、塩辛を最大限確保しておくべき」と産地まで買いに出かけるほどの騒ぎになった。2011年3月以前に作られた塩の値段は 3〜4倍ほどに急騰した。それでも完売する店が相次いだ。一方、3月以降に作られた塩は、ほとんど買い手がつかない。今年のキムチもまた「金チ」になりそ うだ。
ロシアの劇団とオーストリアのオーケストラが、「韓国も放射能汚染から安全でない」という理由で公演をキャンセルした。韓国で実施されるセミナーに参加 する予定だったヨーロッパ企業が日程の延期を要求したり、ドタキャンするケースも増えている。韓国貿易振興院によると、福島原発から近いという理由で、 ヨーロッパのバイヤーが韓国訪問を断るケースもあるという。韓国製品の輸入中断を検討する企業も現れたそうだ。韓国と日本だけが「我が国は安全」と主張し ている状況になってしまった。
高まる日本政府・韓国政府への不満
ここまで放射線への恐怖が高まると、国民の不満は募るばかりである。「日本政府はどうして原発処理をずるずる引きずっているのか」「周辺国にまで汚染が 広がっているのに日本政府はどうして明確な情報を公開しないのか」「韓国政府はどうして放射性物質の流入を防ぐための検査をしっかりしないのか? 国民の 役に立つデータを公表しないのか」。ネットにはこんなコメントが増え始めている。
ついに、オンライン専用新聞を中心に「極微量であっても放射性物質は健康に悪影響を与える」「日本政府が言う『安全』を信用してはならない」という報道 が次々に出始めた。「原子力発電所から資金をもらっている専門家は安全と言うしかない」「安全な原発なんかこの世に存在しない」。
4月23日には、地上波テレビのソウル放送(SBS)が「フランケンシュタインの呪い」という番組を放映した。チェルノブイリ事故と福島原発の事故を比 較し、放射性物質の恐ろしさを暴く内容だ。この番組は、チェルノブイリの土壌汚染と奇形動物を見せながら「人間が生み出した原子力が、人間の敵である放射 性物質を生み出した」「放射能が人間と生態にどんな影響を与えかはいまだに解明されていない部分が多い」と説明した。
加えて、どんな原発事故も人間の判断ミスが引き起こす、人間の欲望が生み出す災害であるとした。福島原発の事故は、津波がきっかけではあったが、「東京 電力と日本政府の初期対応が適切でなかったために、取り返しのつかないことになってしまった」と解説した。この番組は「極微量であっても放射性物質は健康 に悪影響を与える。放射性物質は0でなければならない」という言葉で締めくくられている。
またインターネット新聞の『プレシアン』は、ある医大教授の寄稿文を掲載し、波紋を巻き起こした。同教授は「放射性物質安全基準値は、医学的意味で人体 に無害な値を意味するのではない。原子力業者が作り出した嘘にすぎない」「韓国政府は東京電力を擁護している」と主張している。
ただし、メディアによってスタンスの違いも見られる。地上波テレビ局、文化放送(MBC)の系列地方局である浦項MBCは「政府機関である韓国原子力安 全技術院が発表したヨウ素131の数値より、民間機関であるウルジン原電民間環境監視センターの測定値の方が6倍高かった」と報道した。一方、中央放送で ある首都圏MBCは、この情報を報道しなかった。「政府が問題を小さく見せようとしている」とも思える重要なニュースであるにもかかわらず、MBCは首都 圏ではニュースして扱わなかったのだ。
「給料50万円」という福島でのバイト募集広告
こんな最中、「福島仮設住宅技術者募集」という求人広告がネットのアルバイト募集サイトに登場した。韓国の仮設住宅建築業者が出したものだ。4月22日 から24日にかけて、年齢・学歴関係なく同種作業経験のある男性100人を募集した。給料は650万ウォン(約50万円)で、航空・宿泊・食事の費用は会 社が支払うという破格な条件であった。給料650万ウォンといえば大手企業の管理職の月収並みの水準である。
ネット上では、この求人広告を中断させるための署名運動まで起こった。「外国人ならば、後で健康に障害が起こっても補償しなくて済む、と思って募集した のではないか」と疑う書き込みが多数あった。実際にどれぐらいの人数が応募したのか、本当に福島に人を送るのかといったことに関して、募集広告を掲載した 求人サイト側は「答えられない」とした。
福島原発事故は韓国内の事故と変わらないほど、韓国人の生活に大きな影響を与えた。雨の日には学校を休み、牛乳や魚は怖くて食べられなくなる日が来ると は想像もできなかった。料理レシピや育児話を書き込む主婦コミュニティが、いつの間にか放射性物質専門掲示板になってしまった。子供を持つ主婦の不安は計 り知れない。
韓国では、「これから梅雨の時期になれば、放射性物質による環境汚染被害がさらに広がるだろう」と心配している。今までの汚染はもうどうしようもないとして、どうか梅雨になる前に放射性物質がこれ以上漏れない状態になってくれるのを祈るばかりである。
日本と韓国の交差点
韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?
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趙 章恩(チョウ・チャンウン)
研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだ かきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいて も、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。
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