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2011年4月26日(火) 日経ビジネス特集取材班
東京電力の罪と罰 巨大“原発共同体”の過ちと電力改革
未曾有の大震災とともに、原子力発電の安全神話は脆くも崩れ去った。
福島第一原発の空撮写真。青の部分が津波が押し寄せたエリア。1〜6号機まで周囲は水で埋め尽くされた(写真:東京電力)
東京電力・福島第1原子力発電所の事故は原子炉の爆発という最悪の事態を完全に回避するまでに半年から9カ月、原子炉の廃炉という事態の最終収束には20年以上もかかりそうだ。
だが、この事故は東電の言う「想定外の津波」が引き起こしたものではない。「想定外」としてきたものは実際には、「想定内」だったものがいくつもあった。 例えばその1つは「大津波」。東北全域を大津波が襲う可能性は既に2009年6月の原子力安全・保安部会で地質専門家から指摘されていたのだ。さらに、津 波で原子炉の冷却機器が動かなくなった「電源喪失」も、約50年前から米原子力規制委員会(NRC)で指摘され、昨年10月には原子力安全基盤機構からも 指摘されていた。
しかし、こうした指摘に東電や原子力安全委員会は明確な対応をしてこなかった。そもそも原発推進の主要な根拠となってきた発電コストの低さ自体も、18兆8000億円に上る核燃料の最終処理費用が含まれておらず、ごまかされている可能性がある。
「福島第1原発の事故は人災の面がある」。知事時代の2002年に、使用済み核燃料を再処理・再利用するプルサーマルの受け入れを拒否した佐藤栄佐久・前福島県知事は、原発を巡るこうしたごまかしの歴史を振り返ってこう指摘する。
それにしても、なぜ東電はここに至ったのか。そこには、東電が政治家、官僚、原発立地自治体、学識経験者と一体になって作り上げた政・官・学・地元の巨大な原発共同体があった。この巨大な力が反対派をねじ伏せ、原発を遮二無二進めてきたのである。
2002年には原発のトラブル隠しが発覚し、2007年には今回の福島第1原発3号機などで臨界事故が起きていながら隠蔽(いんぺい)していたことが明るみに出たが、当時の自民党政権は甘い処分に終わらせた。
こうした不祥事には最も敏感に反応するはずの原発立地自治体には、巨額の原発交付金が投じられ、東電の納める固定資産税とともに過疎の自治体の懐を潤す。 2007年7月の新潟県中越沖地震で大きな被害を受けた東電・柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市を例に取れば、1978年から2009年までに計1133 億円もの交付金が市に入った。固定資産税を合わせると1995年度には市の歳入総額の34.5%にも達している。
地元自治体が原発推進派に取り込まれるのはこのためだ。だが、このカネは、一定の期間が過ぎると交付の減少などで落ちていく。減れば、また原発を誘致して資金の導入を図りたくなる。地元には原発は「麻薬」なのである。
隠蔽だけではない。1995年に始まった電力自由化も、電力小売りの完全自由化に至らず、発送電分離もならないまま終わったのは、政官との結びつきが強く影響したと言われる。巨大共同体は、原発を推進し、低コストにする強い力となったのである。
しかし、東電問題がヤマ場を迎えるのはむしろこれからだろう。膨大な額に上ると推定される損害賠償。その対応を巡って、日本航空(JAL)のように東電を 破綻させて処理する破綻処理型、りそなホールディングのように国が優先株出資と債務保証などを行うことで事業を継続しながら東電が賠償を行う国有化型な ど、賠償負担と国の関与を巡って様々な処理策が取りざたされる。
だが、いずれの方法も国民の納得を得るのは容易ではないだろう。それはどの方法も、現状の地域独占、発送電一貫運営体制を温存し、「想定外のウソ」を生んだ現行基準とそれを守るだけで事足れりとする政官東電への不満を残す可能性があるからだ。
実を言えば、東電は既に財務的に“限界”が見えていた。電力自由化が始まって以降の10数年、東電の利益は設備投資と修繕費を抑え、借金を返して利払いを 減らすコスト削減で捻出されてきた。設備は古くなり、本来、再度投資拡大に転じなければならなくなっていたはずだが、相次ぐ不祥事と地震などで原発の運転 が止まり、利益を出すのが一段と難しくなっていたのだ。
福島第1原発の大事故は、電力会社の「地域独占体制」と原発への傾斜が国の電力供給の大きなリスクであることを見せつけた。東電自身も行き詰まっていると すれば、電力自由化推進を含めた電力改革は待ったなしである。(1)地域独占など電力会社の既得権を徹底的に見直す規制改革、(2)発送電分離の議論再 開、(3)スマートメーターの導入、(4)電力市場活性化など取り組むべき課題は多い。だが、電力市場の改革はもはや日本を救う改革でもある。
詳しくは、日経ビジネス4月25日号をお確かめください。
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