02. 2011年4月25日 10:18:55: Ujg8Qsz9J6
2011年04月20日(水) 週刊現代 福島第一原発の現場はもはや限界に近い 再び迫る危機 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2459 以下抜粋 同位体塩素38が意味すること
福島第一原発の現状について新聞、テレビなどの報道量は一時に比べかなり減ったが、状況が改善しているわけではない。元東芝の原子炉技術者・後藤政志氏はこう危惧している。
「いまは小康状態を保っているように見えますが、この状態を本当に維持できるのかどうか、心配する声が専門家の間で出ています。いまのように外から水を入れるだけで、圧力容器、格納容器の温度を維持できるのか。水素爆発の可能性も、まだあります。燃料の露出があれば、水素は出てきますし、それが酸素と反応すれば爆発する。すべての水素が出きったとは考えていません」 アメリカの原発関連会社副社長を務めたアーノルド・ガンダーセン氏は公表された資料・写真から1号機、4号機について重要な指摘をしている。
「東京電力が発表したデータによると、1号機からはヨウ素131と、テルル129が検出されています。これは、1号機の炉内で核分裂の連鎖反応が起きている明白な証拠です。 その理由として考えられるのは、当初、炉を冷やすために入れた海水中に含まれた成分が、壊れた核燃料と反応し、小さな連鎖反応を起こしているということです。原発は地震の直後、制御棒が入って自動停止したのに、またひとりでに反応が起きているんです。 半減期が8日間と短いヨウ素が、1号機だけほかの10倍も検出されているのは1号機内で反応が起きているためでしょう。また、テルル129は連鎖反応が起きているときにしか、検出されない物質です」 ガンダーセン氏はもう一点、「同位体塩素38」が検出されていることにも注目する。これは自然界に存在しないが、海水に含まれる通常の塩素37が中性子を吸収することによって発生するという。つまり、はじめに原子炉内に注入した海水が核燃料と反応し、塩素38を発生させた可能性が極めて高い。 4号機の燃料も露出 これまでもっとも恐れられていたのは、連鎖的な核分裂反応が始まり、制御できなくなる「再臨界」状態に突入することだった。外部から水を入れ、冷却することで再臨界は避けられたと思われていたが、ガンダーセン氏によると、微弱な連鎖反応は1号機内ですでに起きている。
その結果、放射性ヨウ素が次々に生成され、外部に放出されている状態だという。 「牛乳も、海水も、ヨウ素が放出される限り長期間にわたって汚染され続ける。 それだけではありません。原子炉がひとりでに連鎖反応を起こし、熱を生み出すと、今後また爆発することもありえます」(ガンダーセン氏) 後藤氏同様ガンダーセン氏も、1号機が再度、水素爆発を起こす可能性に言及した。 ガンダーセン氏がいま、もうひとつ心配しているのは4号機である。 「東京電力が発表したデータを見ても、4号機に関する数字がありません。そのこと自体、とても怖い事実です。私が注目しているのは、東京電力が3月24日に撮影し、31日に公表した写真です。上から見ると、4号機の燃料プールがあるはずの部分には、使用済み燃料を納めたラックの上部が見える。つまり、4号機の使用済み燃料は一部、水中から出て露出しているんです。 さらに気になるのは、4号機は水素爆発で建物が大きく損壊し、建屋の上部だけでなく壁も破壊されていることです。おそらく、燃料プールの壁の一部が壊れ、上からいくら水を入れても溜まらずにこぼれてしまう状態になっているのだと思います。最悪の場合、4号機のプールから出火し、大量の放射線を撒き散らす可能性がある。アメリカのブルックヘブン国立研究所の警告のように、13万8000人ががんで亡くなる可能性があるという事態が、本当に起こるかもしれない。また、中性子は非常に計測が難しいので、作業に当たる職員が知らぬ間に被曝してしまっている可能性がある」 格納容器の損傷 大阪大学名誉教授・宮崎慶次氏は、圧力容器内にある制御棒管が損傷し、燃料が漏出することを危惧する。
「1号機は燃料の約7割が損傷していることが明らかになりました。炉内の上のほうにある燃料棒が溶けると、それがどさっと下に落ちて圧力容器の底に穴が開くんじゃないかと皆さん心配されていますが、構造上、そういうことにはならないと思います。 福島第一の場合、制御棒駆動機構と呼ばれる装置がある。落ちた燃料は、その装置に引っかかってしまうと思う。そうすると下側に水がある格好になるので、燃料が下部に溜まって圧力容器の下部が溶融して貫通するという『最悪の事態』には至らない。しかし、燃料棒を通す管がそれによって損傷を受けることはありうると思います」 後藤氏、ガンダーセン氏が指摘するように水素爆発が起きれば、今度は建屋ではなく、格納容器を大きく破損し、放射線の漏出が甚大なものになる可能性がある。
「東京電力が毎日、放射線の漏出量や、炉内の温度などのデータを公表していますが、それがどのような計器を使って、どのような手法でとられたものかわからないので、評価するのは難しい。計器が壊れている可能性もあるが、東京電力はなにも見解を言わないですから。 私が気にしているのは、圧力容器の外側にある格納容器の温度です。いまは圧力容器のほうばかり気にしているようですが、格納容器のほうも圧力、温度が上がって限界に達してしまう可能性があります。そこで水素爆発が起こると、格納容器が損傷し、非常に高濃度の放射能が漏れる。それがもっとも憂慮すべき事態だと思います」(前出・後藤氏) |