30. 2011年4月26日 20:02:33: P9GBzNi2fU
*現在のチェルノブイリ原発事故と福島原発事故との比較@チェルノブイリ原発事故は臨界爆発が起こって、放射線の中の中性子線までもが飛び交った。福島原発事故はあくまでも中性子線以外の放射線(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)が漏洩しているのをどう封じ込めるか、という問題である。 福島原発事故では、自衛隊員が22kgの鉛を装備して作業をしていた。鉛で防御できるのは、あくまで中性子線以外の放射線(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)までであり、中性子線を防御することはできない。 中性子線を防御するには30cm以上のコンクリートや水などが必要である。 つまり、福島原発事故では、臨界爆発には至っておらず、作業できないほどの中性子線が飛散するまでの状況にはなっていない、ということである。 チェルノブイリ原発事故と福島原発事故は規模・内容とも違うのである。 にもかかわらず、チェルノブイリ原発事故と福島原発事故は、国際原子力事象評価尺度では同じ「レベル7」である。 それは国際原子力事象評価尺度が、「基準1事業所外への影響:放射性物質の重大な外部放出:ヨウ素131等価で数万テラベクレル以上の放射性物質の外部放出」という尺度で捉えているからにすぎない。 西村肇(にしむらはじめ)東大名誉教授が、「福島原発事故の原因の究明」という論文を書き、4月8日に、記者会見した。 西村先生は、4月8日に、はっきりと、「チェルノブイリ原発事故で放出された放射能物質の総量の10万分の1の放射能物質が、福島原発事故では放出された。100日間の合計でも、千分の1の量である」ということを、厳密な計算式を使って証明しました。 日本政府(原理力安全委員会、保安院もそれぞれ独自に数値を4月12日に発表した)は、嘘八百の発表を、西村論文のあとに、慌てて行った。 その内容は、 「チェルノブイリ事故で放出された放射線量の10分の1が、福島原発事故で放出された。だから、事故レベルは7だ」というものだった。 その理由は、「レベル5で、低濃度放射性物質の海洋投棄をやれば、日本は、太平洋周辺国から袋叩きされる。海洋汚染に対する、膨大な賠償請求を避けるために、役人も東電も、何が何でもレベル7にする必要があった」からである。 つまり嘘の過大評価である。 仏アレバ社の高濃度汚染水を処理できるシステムがもっと早く稼働できれば「低濃度放射性物質の海洋投棄」は、やる必要がなかった措置である。 Ahttp://www.snsi.jp/tops http://www.snsi.jp/bbs/page/1/ まず、原子力安全委員会は、もう、「大気中に放出された放射性物質の量はチェルノブイリの1/10」で走りだしたようです。先週もこんなニュースがありました。 <引用開始> 放射能の大気放出続く…1日154兆ベクレル 読売新聞 4月23日(土)21時15分配信 内閣府原子力安全委員会は23日、東京電力福島第一原子力発電所から大気中に放出された放射性物質の量が、放出量が落ち着いた今月5日の時点でも、1日あたり154テラ・ベクレル(1テラは1兆)に達していたことを明らかにした。 5日に福島第一原発から大気に放出された放射性物質の推定値は、ヨウ素131が毎時0・69テラ・ベクレル、セシウム137が同0・14テラ・ベクレル。国際的な事故評価尺度(INES)で使われるヨウ素換算値で、ヨウ素とセシウムの合計量を計算し直すと、放出量は同6・4テラ・ベクレル(24時間で154テラ・ベクレル)となることがわかった。同委員会はこれまで、5日ごろの放出量について、セシウムとヨウ素の量を単純に合計し、「毎時約1テラ・ベクレル以下」と低く見積もっていた。 <引用終了> ポイントは「毎時約1テラ・ベクレル「以下」」(テラベクレルと兆ベクレルは同じ単位になる、なぜ同じ文で2つの単位系を使っているのかさっぱりわからない)を「1日154兆ベクレル」としたところです。1テラ・ベクレル「以下」ですから、0.5テラとすれば、大まかな数字で言えば「10倍程度多くした」ということになります。西村肇先生は一日1テラベクレルと見積もっていますから約100倍になります。 実は、以前の西村肇先生(100日でてもチェルノブイリの1/1000)と原子力安全委員会(チェルノブイリの1/10)の値も、100倍以上の差があって、ここから、原子力安全委員会は10−100倍大きな値に見積もることに決めたことを意味します。 どちらの値が正しいのか?というのは皆さん自身がどちらを信じるかということですが、前回述べたことを図で示します。まず、放射線レベルですが、アメリカ軍が調べた福島第一原発付近の放射線量の結果が下の図のようになります。南の方と北の沿岸部では20キロ圏内でも、かなり放射線量が低く、一律に20キロ圏内立ち入り禁止にしている意味が全然ないことがわかります。 アメリカ軍が調べた放射線レベルマップ:赤の部分が年間被爆限度20 mSv以上に対応する。 さて、上の図の赤い部分の内側はどうなっているのでしょうか?原子力安全委員会がつくった図が、もう少し詳しいです。ただ、注意していただきたいのは、20 km圏内のデータがないことです。20 km圏内のモニタリングポストがないのでそこが空白になっているわけです。一番たかいところが年間200mSV以上という非常に高い値です。 原子力安全委員会が示した放射線レベルマップ。20 km圏内はモニタリングポストがないので測定できていないのがよくわかる。 上の図は精度がちょっと粗いので、福島大が調べた結果が他にあります。すると、きちんと「プルーム効果」と呼ばれる盛り上がりの場所が浪江町のところにあるのがわかります。 福島大学が調べた放射線レベルマップ この「プルーム効果」と呼ばれる盛り上がりの場所を、西村先生は計算できちんと考慮しました。つまり、この効果を入れれば、発生源の放射線放出量は少なくなるわけです。 ところが、下のSPEEDIはそういう効果は取り入れることが出来ません。だから、なめらかに福島第一原発を釣り鐘の中心として、ゆがめてつなぐだけです。すると、以前にも書いたように、中心部分がものすごく高い放射線量になります。下の図をじっくりよく見て下さい。 SPEEDIの結果。上と比べると、20 km圏内はモニタリングポストがないのでなめらかに福島第一原発に向けて値を上げて計算しているのがわかる。プルーム効果は存在しない。 さて、下は、一番上のアメリカ軍のデータを年間の放射線量に変換したフランスのデータです。3月30日のデータですが、空から測定しているのでプルーム効果がありません。すると浪江町付近で年間20−30msV。上の2つの図の約1/10です。 フランスの原子力安全研究所によって公開された、福島原発周辺の1年間の推定積算被ばく量。3月30日ー4月3日のアメリカ軍のデータをもとにつくった。 いまだにこのSPEEDIで放射線物質大気放出量を見積もっているのか定かではありませんが、SPEEDIで見積もれば1桁以上大きい量になるのは明らかです。 最後にチェルノブイリで放出された放射線量も示しましょう。図の強いところが約55万MベクレルBq/m^2(MBq/km^2とBq/m^2は結局同じ単位になる)です。私のわかる範囲では茨城県(ひたちなか市、100km程度)で現在3万MBq/km^2(セシウム137、なぜか3月18日以降で3月15,16日がぬけている))ですから、チェルノブイリでは恐ろしい放射性物質が広大な地域に降ったのがわかります。ドイツのバイエルンは1000 km離れていますが、一部の地域では数万Bq/m^2降ったそうです。 外国人が3月12日から日本から退避して逃げたのですが、確かにこの図をみれば、逃げた理由がわかります。しかし、これを見れば逆に、「大気中に放出された放射性物質の量はチェルノブイリの1/10」は無理があることがよくわかります。 もし「チェルノブイリの1/10」が正しいとすれば、放出された放射線物質の99%が海のほうに流されたということですが、SPEEDIの結果は、どう見てもこれを否定しているようにしか見えません。 B福島原発事故は水素爆発です。 臨界というのは、ウラン235(以下、ウラン)などの核分裂性物質が、連続して核分裂する現象の事をいいます。 原子爆弾も、この臨界を起こしてエネルギーを作りますが、原子力発電も、原子炉の中で臨界を起こして、電気を作っています。 その違いは何かと言いますと、ウランの濃度の違いです。 原子爆弾のウランの濃度はほぼ100%であるのに対して、原子力発電所で使われる燃料は2〜5%です。 ウランが核分裂すると、中性子という粒子が放出され、その中性子がウランに当たるとそのウランが核分裂を起こす・・・の繰り返しになるわけですが、ウランの濃度がほぼ100%ということは、中性子の行く先に全てにウランがあり、あっという間に核分裂が進み、膨大なエネルギーを放出、つまり核爆発するということです。 反対に、ウランの濃度が少なければ、中性子の行く先にはここでのウランとは別のウラン(核分裂しないウラン=ウラン238)が多く、ウラン235(ここからもとのウランの意味に戻ります)は少ないわけですから、核分裂は非常にゆっくり進みます。 東海村の臨界事故の際は、事故を引き起こしたウランの濃度は十数%でしたが、まだ爆発的な臨界に達するほどの濃度ではありません。 チェルノブイリ原発の爆発の原因は、臨界の爆発的反応ではなく、原子炉出力の急上昇によって起こった水蒸気爆発によるものです。 ガスタンクの炎上のほうがよぽど黒鉛が大きいです。 臨界は核分裂が連続して起こることで爆発とは関係ありません。 また、爆発的に臨界を起こすと、その温度は数億度にも達しますのでほとんどの物質は何も残りません。 *今後福島原発事故がチェルノブイリ原発事故異常になる可能性 チェルノブイリ原発事故は 原子炉が止まった場合を想定した実験を行っていて、この実験中に制御不能に陥り、炉心が融解、爆発したとされます。爆発により、原子炉内の放射性物質が大気中に大量に(推定10t前後)放出されました。 チェルノブイリ原発事故が大事故になった要因についてですが、 •鋼鉄製の格納容器がないタイプだった。 •不安定な黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉という福島原発とは違う仕組みの原子炉だった。 •耐熱材質である黒鉛減速材が黒鉛火災を発生させ、事後の飛散を拡大させた。 •制御棒が完全に挿入される前に爆発。即発臨界(一種の核爆発)による膨大なエネルギー放出による爆発の可能性がある。(実際には水蒸気爆発と言われているが、即発臨界という説があります。) などがあります。 チェルノブイリの場合は、事故が発生直後に炉心の圧力が上がりすぎて水蒸気爆発または核爆発とされております。 さらに可燃性の黒鉛減速材が事後の飛散を拡大。 福島原発はチェルノブイリを超えないと考えていた主な要因は、圧力が上がりすぎたことと即発臨界(一種の核爆発)による爆発のチェルノブイリに対して福島原発は海水が挿入でき、制御棒が挿入され時間がそれなりに経過され、内部で臨界(核反応)が起こる可能性を脱したとみていたのでそこまで大規模な爆発は起こらないであろうことと火災の原因である黒鉛は使用されていないのでそこまで飛散させることはないだろう。
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