http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/689.html
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予告タイトル「『原発は安全』から『放射能は安全』へ、さらに倒錯度を深める政府と大手メディア」は風呂敷が広すぎるので、一つ一つブレイクダウンしたかたちで順次書き込ませていただく。
※ 『事故を「レベル7」まで深刻化させた政府・東電の大罪:2号機圧力抑制室損壊は事故対策チームの極めて深刻な失態』はのちほど残りをアップするつもりです。
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あらかじめ、
原発事故の放射能の影響が高いと思われている農家・畜産家・漁師をはじめとする生産者のみなさんの悔しさ・憤り・痛み・不安などを、爪の垢程度かもしれませんが理解しているつもりです。
また、民主党もその責を逃れることはできないが、今回の原発事故にかかわる政治的責任のほとんどは、原発を政権与党として国策化しその端緒から長年にわたって権力と税金を使って推進してきた自民党にあると考えている。厚労省をはじめとする官僚の体質も自民党政治のなかで培われてきたものと思っている。
(共産党の吉井議員が国会で福島第一の津波に対するぜい弱性を指摘し改善を求めた06年当時も政権与党は自民党と公明党だ。ああ、それなのに...という政治情況だ。自民党やそこ出身の古参政治家で謝罪した人はいるの?謝罪しないのなら学者以下だね)
まずは、自分自身の放射線被曝問題についての考え方を簡単に述べておいたほうがいいだろう。
たとえ話で説明する。
ヨウ素131の濃度が1,900ベクレル/Kgのホウレンソウでつくったお浸しを食べた人が、「大丈夫ですかね?」と訊ねてきたら、「心配ないよ。急性の放射線障害を引き起こすわけはないし、それが原因でガンなどの病気を起こすこともまずないから、心配するだけ損。でも、これからは食べないほうがいいよ」と答える。
また、別のある人が、「政府やテレビは売られている野菜は安全だと言っているから、このホウレンソウ(産地的にそれなりの放射能汚染が考えられるもの)を食べても問題ないよね?」と質問したら、「原発事故の影響を受けていないものが手に入るのならそっちにしたほうがいいよ。それがダメなら他の野菜にしたほうがいいかも。まあとにかく子供には食べさせないほうがいいね」と答える。
この二つのやり取りは矛盾をはらんでいておかしなもののようにも聞こえるかもしれない。
最初の話は、現状の汚染濃度と流通管理を前提にすると、汚染野菜を食べて(内部被曝して)も、すぐに身体が変調をきたすわけではないし、体内を除染する薬剤をのむリスクのほうが高いからほっとくしかないので、食べてしまったのなら病気になる大きな要因の一つでもある不安感の増大を避けたほうがいいという考えに基づく。
二番目は、放射線が遺伝子や染色体の損傷を通じて晩発性の障害(ガンや白血病など)を引き起こすリスクは、浴びた線量にほぼ比例して高まっていくのだから、避けられるのならできるだけ避けたほうがいい。とりわけ、体内に取り込む食品は、内部被曝という違った様相をみせることになるから、極めて慎重になったほうがいいという考え方に基づく。
急性放射線障害を起こす線量にはそれなりの“しきい値”(医学では“いき値”)があるとされる(確定的障害)が、ガンなど晩発性の障害は確率的であり、ある線量を超えたら引き起こすという“しきい値”はないとされる。
放射線だらけのうえに大気や食品などまでが化学物質でいろいろ汚染されている現実を考えるとありえない思考実験だが、極端な話、ワンショット(1秒間1ベクレル)でごく低い線量を被曝したことで数年ないし十数年後にガン(白血病も含む)になる可能性は、ゼロに限りなく近いけれども決してゼロではないということだ。
細胞をどのように傷つけるかは確定的なものではないので、一発で修復不能な傷を受け異常のまま細胞死さえしなくなったり、その人の身体が遺伝子の傷を修復する能力を発揮できないかもしれない。
放射線医学では低レベル(急性障害を起こさない程度)の線量を受けた影響はきちんとはわからないというのが定説である。ガンに関しても、その発生メカニズムやその自然史はきちんとわかっていないのである。
それは当り前の話で、理学や工学の実験とは違い、統計学的処理に見合う数の人間を放射線以外の影響から遮断して生活させながら長期に観察するような疫学調査はできないし、隔離して低レベルの放射線を浴びせ続けるような人体実験も許されないだろう。
嫌な言い方になるが、「チェルノブイリ」や今回の原発事故は、放射線医学にとって格好の「人体実験」機会でもあるのだ。
食べ物絡みで言えば、外部被曝は線源(放射物質)から離れればその影響から逃れられることができるが、摂取することで起きる内部被曝の場合、その放射性物質が完全に崩壊してしまうまで続く。
そして、あまり指摘されていないようだが、飛ぶ距離が短く外部被曝では皮膚や目など体表部以外でそれほど問題にならないアルファ線やベータ線(話題のヨウ素131はベータ崩壊:半減期(消滅ではなく半分になること)は8日)も、飛程が短いがゆえに、逆に体内組織のごく狭い範囲に集中的にイオン化エネルギーをぶつけることになり、局所にある細胞の遺伝子や染色体に強い損傷を与える。
※ これは劣化ウラン弾の後遺症問題(イラクの人たちやイラク戦争従軍米兵)に関しても言える論理なのだが、米国政府やWHO(子どもは口に入れないほうがいいとは言っている(笑))は認めようとしない。ウランはアルファ崩壊する。劣化ウラン弾は戦車など硬い物質に激突してエアゾール化もしているため、内部被曝をしやすいかたちで漂ったり地表に散らばったりしている。さらに、ウランは重金属中毒をも引き起こす物質だ。劣化ウラン弾は、「安全」なものではなく、ある種の核兵器と言えるものなのである。
この他、
・原発作業者の労災認定(白血病やガン)の問題
・NHKが放映したJCO事故後の被災者への保安院の対応や裁判の結果
・英国セラフィールド再処理施設周辺での児童のガン増加に関する疫学調査のデタラメ
・スリーマイル原発事故の疫学的調査の立場による大きな違い
・チェルノブイリ事故での晩発性障害の死亡数をめぐる幅の大きさ(4千人から百万人までの差)
などなどの問題を考えたら、政府や大手メディアが叫ぶ「安全」を信じて行動するのは、“振り込め詐欺”に引っ掛かってしまうようなものだ。
(“振り込め詐欺”が5年も6年も数百億円のビジネスとして継続できるような国は日本だけだろう(笑))
政府や大手メディアは、医学的被曝や自然放射線などネタに持ち出して、国民に対して今回の放射能汚染レベルの“安全性”を刷り込もうとしている。
そのような手間は惜しまないのに、より重要だと考えられる、ヨウ素をはじめ遠くまで飛散した放射性物質を南関東の子どもたちまでが呼吸を通じて内部被曝する重大な危険性を説明することはしない。また、外部被曝であっても、線量にほぼ比例して確率的障害を招くリスクがあるということもほとんど説明しない。
※ 大手メディアのなかでもテレビ局は、この間の原発事故にまつわる一連の報道内容はそうとうの割合で放送法に違反すると考えている。
放送法の第3条の2に、放送事業者は、「4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と規定されているからだ。
さらに言えば、レントゲン撮影やCTスキャンなどの医学的被曝はけっして“安全”なものではなく、リスク見合い(これが放射線を利用する基本原則)でリスクを承知して受ける性質のものである。
検査のためにCTスキャンを受けたことで、ガンではなかったひとがガンになったり、ある部位のガンを患っている人が別の部位にガンを発生させてしまうこともありえるのだ。
※ 日本ほどCTスキャン装置が高密度で普及している国はないと聞く。数億円もする装置だから、設置した病院は積極的に使わなければ経営が成り立たないのかもしれないが。
※ CTスキャンや空港の全身X線投影などについて警告を発する学者が、今回の日本政府の対応に対する評価をニューヨークタイムスの3月26日号に掲載している。翻訳する気力がないので各自でお読みいただくか、どなたかが翻訳して...
「DAVID J. BRENNER「Countering Radiation Fears With Just the Facts」(http://www.nytimes.com/2011/03/29/science/earth/29brenner.html?_r=1)
よく言われる自然放射線も、あるレベル以上のものは人工放射線源と言っていいものからきている。
1945年から80年まで行われていた大気圏核実験と称する「核兵器の使用」でまき散らされた放射性物質が、緩やかに低下しているだけで今なお放射線を出し続けている。
※ 参考:表1:http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010105/01.gif
表2:http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010105/02.gif
それがガン患者が増加してきた一因でもあると考えている。ひょっとしたら、非喫煙者で他者の喫煙の影響を受けていない人の肺がんが増加しているのはそのプルトニウムを吸い込んだせいかもしれない(大気汚染など他の要因もあるからなんとも言えないが)。
高度飛行に伴う被曝も、そのリスクと得られる楽しみとを秤にかけて判断する問題であり、個々人の自由な選択である。
結論として言えば、「だから安全」の例として取り上げられているものが避けにくいものだからこそ、そこからさらにリスクを増大させるような“余分”の被曝は避けたほうがいいのだ。
原発事故に由来する放射能汚染は、「だから安全」の被曝例にプラスされるものであって、原発由来のものに被曝したからといって「だから安全」の被曝がなくなるわけではない。
他にも、大気汚染・食品添加物・農薬・電磁波・ストレスなど、否応なしに細胞レベルで損傷を受ける世界で生きているのだから、病気治療や楽しみなど代償がない限り、避けることができる放射線はできるだけ避けて浴びないほうがいいのである。
前置きが長くなってしまったが、本題に移ることとする。
福島第一原発の事故で漏えい拡散される放射性物質の量がぐんぐん増加し農作物の放射能濃度が暫定規制値を超えてしまった3月18日あたりから、政府と大手メディアは、「現在の放射能濃度や放射線線量なら問題ない。健康に害を与えるものではなく食べても安全だ」という許し難い“風評”をまき散らすようになった。
※ 原発事故の初期NHKで出ずっぱりだったNHK科学文化部の山崎氏は、女川原発で10条通報事象となるような放射線量が測定されそれが福島第一事故の影響だとわかった時点(3月13日から14日にかけて)からしばらくは、「外に置いてある食品は口にしないように」と正しい注意を呼び掛けていた。あのころが懐かしいね(笑)
官房長官やコメンテーターは、日本の安全基準は安全側に保守的で国際基準よりずっと厳格だと言っていたが、水道水に関してなら、WHOでさえ、放射性ヨウ素については子どもも大人も分け隔てなく10ベクレル/kg以下が基準になっている。
政府や大手メディア(知る限りだが産経新聞は除く)はそれを知っていながら口をつぐんでいる。東京都も、4月15日から改めたが、水道水について20ベクレル/kg以下を不検出としていた。
「放射能に汚染された野菜の安全」については、国会議員からさらには節電大臣や官房長官あげく総理大臣までもが“安全パフォーマンス”をみせてその後押しをした。
他の人がリスクを承知で汚染した食品を食べることについては、お勧めしないがことさら否定もしない。お好きにどうぞ、である。
しかし、きちんと説明をしないまま、国会議員や大臣が、他の人たちに「安全性」を信じ込ませるような行為としてそれをすることは容認できない。
※ チェルノブイリ事故の影響で食品の輸入制限は今でも続いているが、輸入禁止の対象は放射性セシウムが370ベクレル/kgを超えるものである。現在の日本国内の規制値は500ベクレル/kgだが、370ベクレル/kgの輸入規制について「安全なんだからそんな規制やめろ」という声が上がったとは記憶していない。
“風評効果”のせいか、近くの食品スーパーでも、一時期店頭から姿が消えていた茨城産や栃木産・群馬産の野菜が目につくようになっていった。
3月末から4月初めにかけては、出荷制限されていない野菜の販売が被災地救済キャンペーンの一環として行われるようになり、そのような野菜を買い求めて食べないのは申し訳ないことだと人々に錯覚させるようなコメント付きでTVでも多く紹介された。
※ 放射能を測定した検体はともかく、実際に売られている個々の野菜について規制値未満であるという保証はない。もちろん、逆に、規制値を超え出荷制限された地域のその種類のすべての野菜が規制値を超えているわけでもない。
埼玉のある地域の検体ホウレンソウは1999ベクレル/Kgだということで出荷制限から外れたが(洗浄後だろう)、5000ベクレル/Kgのホウレンソウを100g食べるのと1999ベクレル/Kgのホウレンソウを300g食べるのとでは、どちらがよりリスクが高いかは自明であろう。
4月15日あたりからぽつぽつと出荷停止措置が解除される野菜が出てきたが、不信感を生じさせるのは、規制値未満の場合、結論だけで測定値そのものがほとんど報じられないことだ。
そして、このような“安全神話”創造という動きの陰に、農産物の放射能汚染の実態をできるだけ小さく見せようとする厚生労働省=菅内閣のずる賢い所業があることを見逃すわけにはいかない。
テレビでもある時期喧伝されたせいか、放射能に汚染された野菜は水で洗えば半分程度落ちるから問題ないといった一見もっともらしい“風評効果”が世間に漂っている。
産経新聞は『規制値超えた食べ物続々 安心して食べるには 水で洗えば放射性物質が半減』(2011.3.22 01:23)で、
「 Q 野菜を食べるときに注意することは
A 日本分析センター(千葉)は「検出された数値は人体に影響を与えることはない」とした上で、「野菜を水で洗えば付着している放射性物質が半減し、煮れば3分の1まで取り除くことができる。ただ、煮汁は放射性物質が含まれるので飲むのはなるべくなら避けたほうがいい」と説明している」(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110322/dst11032201250003-n2.htm)
次に、まあ、新潮社らしいと言えばらしいのだが、週刊新潮が4月21日号で『「放射能」という集団ヒストリー』という特集を組んでいて、そのなかに、「福島県の魚と野菜は100キロ食べてもガンになれない」というなかなか気のきいた(笑)タイトルでの食品汚染絡みの記事を掲載しているので紹介させてもらう。
P.120
『東京女子医大放射線腫瘍科の三橋紀夫教授が言う。「3月20日に茨城県のホウレンソウから、基準値の約27倍となる5万4100ベクレル/キロの放射性ヨウ素が検出されましたが、固形物に付着した放射性物質は表面汚染で、食物の内部に取り込まれているわけではなく、洗えば落ちるもの。しかも基準値というのは最大限のリスクを見越してある。1キロのホウレンソウを一年中食べ続ける人がいたとしても大丈夫なように設定されているのです」
《中略》
「日本はちゃんと基準を守っています、というアピールのため、出荷制限は致し方なかったと思います」そう話すのは、大阪大学の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)である。「風評被害が蔓延するのは、放射線に対する恐怖心が強いからでしょう。これを機に、日頃からどの程度なら大丈夫か、という正しい知識を持つ必要があります」教育こそが重要だというのだ。』
しかし、新聞や週刊誌がせっかく政府に代わって“啓蒙”記事を流布しているのに、厚労省はその陰でそれらをことごとく台無しにしてしまったり、コメントした識者のみなさんを無知な輩に貶めてしまうような所業をやらかしている。
では、厚労省は何をやらかしたのだろうか?
厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課は、急きょ、3月18日付で次のような連絡を全国各地の自治体に行った。
「野菜等の試料の前処理に際しては、付着している土、埃等に由来する検出を防ぐため、これらを洗浄除去し、検査に供すること。」
※『「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づく検査における留意事項について』
(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015is5.pdf)
この文書は、探すのにけっこう苦労した。どうしてなの?(笑)
ところが、当該文章は、あっさり書けるような内容ではなく、実のところ、これまでの国民の健康のための放射能測定のあり方を根幹からすなわち検査の信頼性を揺るがしてしまうほどのとんでもない大変更なのである。
連絡文書で対象になっている「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」は、厚労省のサイトにある『放射能汚染された食品の取り扱いについて(福島原子力発電所事故関連)』(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html)で紹介されている。
この「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」は次のURLで直接見ることができる。(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf)
※ このマニュアルの24ページ以降は、原発事故などを想定した内容になっているので一読されることをお勧めする。
マニュアルのP.7の表題は、「1 NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータによる放射性
ヨウ素の測定法」になっている。
牛乳の検査法を説明した次のページで、
「2 野菜類(葉菜等)
試料はあらかじめハサミ、カッター、包丁等で細切りし*3、機器校正で用いたものと同
様の0.5〜1L 程度のタッパー容器又は2L マリネリ容器に入れて検出器を容器に密着させ
て測定する。
機器・器具は牛乳の測定と同一のものとする。
(1)測定操作
@ 採取又は購入地点名、採取時刻等を記録する。
A 予め0.5〜1L 程度のタッパー容器又は2L マリネリ容器の風袋重量を量る。
B 採取または購入した葉菜等はその大きさに応じ、必要ならハサミ、カッター、包丁
等で細切りにする。
C 容器にできるだけ空隙を作らないように詰め(1L の容器に約0.5kg が入る)、
蓋をし、外側の汚れ等をペーパータオルでふき取る。
D 容器重量を量り、先の風袋重量を差し引き、測定試料重量を求め、記録する。こ
れらの情報を容器に記入する。
E ビニールテープ等で蓋を固定し、ポリエチレン袋に入れて測定試料とする。
F 時定数を30 秒に設定し、検出器を試料に密着させる。90 秒後から読み取りを開始
する。時計を見ながら、30 秒間隔で指示値を3 回読み取り、その値を記録し、平均
値を計算する。放射能汚染のない葉菜等を入れた試料容器を用い、試料と同じ条件で
測定したバックグラウンド値を差し引き、正味の値を計算し、記録する。正味の値
(cps)と換算係数(Bq/kg/cps)からI-131 濃度を求める*4。」
そして、重要な注意点として、
「*3:野菜類の測定前の処理方法は測定結果の評価に非常に重要である。このため、前処理は主として食品衛生法における『食品、添加物等の規格基準』(平成11 年11 月26 日厚生省告示第239 号)の表4 の第1 欄の各食品については、各々第2 欄の試料の調製に従う。ただし、キャベツ(芽キャベツを除く)及び「はくさい」については、外側変質葉及びしんを除去したものに、また、「ごぼう及びサルシフィー」については、葉部を除去し、泥を水で軽く洗い落とし細切りにする。」
という内容が脚注にある。
要は、キャベツや白菜の外側の変質した(育ちすぎたり傷ついたりした)葉や芯を取り除いたり、ゴボウなどの葉部を取って泥を水で軽く洗い落すことは許されているが、ホウレンソウの葉を洗浄したり泥や埃を洗い落とすことは認められていないのである。
この厚労省の連絡文書が現実で“効果的に活かされている例”があるので紹介する。
茨城県が公表した『3月17日・18日採取の茨城産の放射能測定結果シート』(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015m5f-att/2r98520000015ma3.pdf)をご覧いただきたい。
下の表の下部に「※3月17日採取分は、未洗浄のサンプル」という注意書きが読める。
逆に言えば、上の表の暫定規制値を超えている3月18日に採取したホウレンソウはもちろんキャベツやネギは、洗浄されたのちに測定されたということである。
そして、これまで実施してきた食品の放射能測定は、未洗浄の試料(検体)で行ってきたこともわかる注意書きである。
ここで前述の産経新聞や週刊新潮の記事内容を思い起こしていただきたい。
産経新聞の日本分析センター(千葉)は、「野菜を水で洗えば付着している放射性物質が半減し、煮れば3分の1まで取り除くことができる」と説明している。
週刊新潮では、東京女子医大放射線腫瘍科の三橋紀夫教授が「固形物に付着した放射性物質は表面汚染で、食物の内部に取り込まれているわけではなく、洗えば落ちるもの」と語っている。
そう、北茨城市のホウレンソウは、本来の正しい検査法で測定していれば、50,000ベクレル/kgをはるかに超える値だったかもしれないし、キャベツも、当該測定での検出限界がどれくらいかわからないが、本来のマニュアルに沿った“正しい”検査法であればそれなりの値が検出されていたかもしれないことになる。
このような仕打ちで恥をかかされた東京女子医大の三橋先生には是非とも厚労省に抗議を申し入れていただきたい。
実は、産経新聞と同じループのフジTVが、4月3日日曜日夜10時の「Mr.サンデー」(宮根氏メインキャスター)でこの問題を取り上げた。
その番組の内容は、原発事故以降で見た関連ものとしてはベストスリーに入ると評価したいもので(見ていて驚き心配したほどだ)、ホウレンソウでの実験を交えながら“現在の放射能測定の実態”をきちんと説明するものだった。
● 検体はすでに洗ってあるものだから、手元で洗って測り直しても放射能濃度は10%も下がらない。
● 産経新聞で「煮れば3分の1まで取り除くことができる」とあるが煮てもほとんど変わらない。
● ホウレンソウは葉の裏の葉脈に絡まるように付着している。
などといった内容を説明していた。
そして、厚労省のふざけた「裏マニュアル」を探すきっかけとなったのも、その番組で当該文書の話をしていたからである。おかげさまで、ディレクターさんありがとう、再放送してほしいとお礼を言わせていただく。
(それにしても、4月21日号なら週刊新潮の取材や編集は「Mr.サンデー」が放映されたあとなんだろうに..)
政府や大手メディアは、国民や視聴者・読者に『食べても安全』と言っているにもかかわらず、霞が関などの官庁にある食堂が福島や茨城・群馬の野菜を大量に使っているとか職員(国家公務員)にあっせん販売しているといった話を寡聞にして知らないし、立派な食堂もあり多くの従業員もいる大手メディアについても同じく知らない。(総務省が場所を貸して販売の協力をしたことや日本経団連が加盟社に社員食堂で利用するよう呼びかけたことは知っている)
メディアはともかく、なぜ中央官庁は食堂で放射能汚染が想定される野菜等を積極的に使わないのだろうか?
それは、人事院規則一〇―五(職員の放射線障害の防止)に縛られている(職員は守られている)からである。
その第二条(基本原則)に「各省各庁の長は、職員が放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。」という決まりがある。
各省庁の大臣や管理職は、施設内の職員向け食堂の運営者が「じゃあ福島産の野菜を仕入れて使うことにしましょう」と持ちかけてきたら、「いや待て、人事院規則に抵触するからダメだ」と答えるしかないのだ。
あらまあ、国民にはそれなりの放射線レベルでも問題ないから食べてくださいと説明している政府が、内(職員)に向けては受ける放射線をできるだけ少なくするため使えないという仕組みになっているって、これを何と言っていいのやら...。
※ 別に公務員の方々やメディアの従業員に汚染された野菜等を食べてくれと言っているわけではないので誤解なきようお願いする。
かつて厚生大臣としてエイズ問題で官僚のごまかしにメスを入れた菅直人内閣総理大臣、そして、国民の命と健康を守ることが何より大切と言って政権を奪取した民主党の国会議員の方々、過ちを直すに遅いことはない。
そのようななかで、3月17日日曜日昼のテレビ朝日番組「サンデースクランブル」に出演した大塚耕平厚労相副大臣は、低レベルの被曝リスクについてそれなりにきちんと説明していた。(茨城県のコウナゴ汚染問題で「想定外」といったときにはおいおい大丈夫かいと思ったのでそのような説明に驚いた)
大塚副大臣の説明には佐々木アナのほうが対応に窮し「食べても大丈夫なんですよね」と引き取って終わらせていた。
大塚副大臣は、「裏マニュアル」のことを御存じなのかなあー?
文部科学省は、恐ろしいことに、福島県内で学校施設の放射線量が想定で年間20mmシーベルト以内であれば、屋外活動を制限しながら学校施設を利用できるという指針を出してきた。
上述の内部被曝の説明をお読みいただいた方はわかるように、ヨウ素のみならずセシウムのような微粒子の放射性物質は、歩くだけでも舞い上がり園児・児童や生徒の体内に取り込まれかねないものだ。
そうなれば、屋内にいれば放射線の影響から逃れられるといった説明は通用せず、ずっと放射線を浴び続けることになる。学校に福島第一原発を線源とする放射線が届いているわけではないのだ。
民主党の国会議員の方々が命と健康を守る重要性を訴えたのは、けっして票目当てや口先だけの巧言というわけではなく本気で考えての言動だというのなら、早急に対策を実行すべきであろう。
食品も学校も、対策にかかる費用は東電と政府が負担しなければならないし、それを惜しんで、国民に費用(野菜を買うなど)やより高いリスク(食品を食べたり子どもを危険な学校に通わせたり)を負わせようとするのは犯罪行為だといえる。
最後に、これまで書いてきたような“風説効果”に励んできた大手メディアはいたとしても取り上げないのだろうが、「たとえ規制値未満であっても平常よりも10倍も100倍も高い放射能に汚染された野菜をみなさんに食べてもらうわけにはいかない。私たちも生活しなければならないから東電と政府はきちんと補償してほしい」という農家がいっぱいおられることを期待したい。
※ 放射能汚染水を意図的に海洋に放出した次の日に、全漁連の幹部が東電を訪れ、東電会長に今後の立地不協力とともに「原発の即時停止」を申し入れたのに、NHK以外(視聴したり読んだ範囲だが)はその部分を省略した報道しかしていない。
※ 表:半減期が短い放射性ヨウ素はないがセシウム137が対象となっている“平常”の各食品の放射能濃度:http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010403/04.gif
グラフ:日本の日常食中のセシウム137の濃度の推移:http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010403/07.gif
ようやく低下してきたのに、今回の事故で...
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