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http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201104/Gilinsky
フォーリン・アフェアーズ・アップデート
次なる核のメルトダウンを防ぐには
―― 福島原発事故の教訓
(部分公開)
Preventing the Next Nuclear Meltdown
ビクター・ジリンスキー 元米原子力規制委員会委員長(物理学者)
フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年4月号
核燃料を入れるジルコニウム管が高熱の蒸気に触れると水素が放出され、これが空気に触れて爆発が起き、その結果、原子炉を取り巻く格納施設が破壊された。(福島原発では)放熱が進むにつれて、少なくとも、原子炉内の核燃料の一部が溶融し、メルトダウンを起こした可能性が高い。これによって放射性物質が拡散し、その一部は格納施設の損壊部分から大気へと拡散した。どの程度のメルトダウンが起きているかは、原子炉内の放射線量が原子炉を開けても問題がない程度まで放射性崩壊が進んだ数年後に、実際に原子炉を開けてみるまではわからない。福島第一原発の原子炉がどのような状態にあるかは、状況がさらに悪化しないと仮定しても、今後、数年間はわからないままだろう。
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小見出し
旧式原子炉の安全基準強化を
スリーマイル、チェルノブイリ、福島部分公開
使用済み核燃料の問題
アメリカの原子力産業の課題
<スリーマイル、チェルノブイリ、福島>
3月11日の地震直後に、福島原発の原子炉はセンサーによって緊急停止した。だが、原子炉内のウラン燃料の放射性核分裂生成物は、原子炉が停止した後も放熱する。したがって、原子炉停止後も冷却する必要があった。しかし、バックアップ用のディーゼル発電装置を含む、すべての電力が途絶えたために、福島では冷却装置を使えなかった。
適切な冷却システムがなければ、原子炉内の核燃料の温度は非常に危険なレベルにまで上昇していく。核燃料を入れるジルコニウム管が高熱の蒸気に触れて水素が放出され、これが空気と触れて爆発が起き、その結果、原子炉を取り囲む建造物である格納施設が破壊された。
放熱が進むにつれて、少なくとも、原子炉内の核燃料の一部が溶融し、メルトダウンを起こした可能性が高い。これによって放射性物質が拡散し、その一部は原子炉格納施設の損壊部分から大気へと放出された。
四つの原子炉の重層的な安全システムが次々に機能しなくなるという、東京電力が想定していた以上の危機に陥った。このため、海水を消火用ポンプで送り込むやり方を含む、一連の対策を即応的に考案しなければならなくなった。
1979年のスリーマイル島の原発事故は、冷却機能が失われれば、いかに短時間で燃料棒がメルトダウンを起こすかをわれわれに教えている。スリーマイル原発では、炉心のほぼ半分が事故から二時間後にはメルトダウンしていた。あろうことか、(人為的ミスで)緊急冷却システムのスイッチが入っていなかったからだ。だが、スイッチを入れると、メルトダウンは停止した。
ワシントンの規制当局に事故が報告されるまでには、すでに危機は山場を超えていた(スリーマイル原発事故が起きた当時、私は原子力規制委員会の委員長だった)。当時は非常に深刻な事態に思えたが、スルーマイル島の原発事故は、福島の事故に比べれば、かなり軽微なダメージで済んだ。
スリーマイル原発でどの程度のメルトダウンが起きていたかは、原子炉内の放射線量が原子炉を開けても問題がない程度まで放射性崩壊が進んだ数年後に、実際に原子炉を開けてみるまで、われわれにもわからなかった。同様に、福島第一原発の原子炉がどのような状態にあるかは、状況がこれ以上悪化しないとしても、今後、数年間はわからないままだろう。
>>全文は2011年4月号に掲載
Victor Gilinsky アメリカの物理学者でエネルギー問題コンサルタント。1975年から1979年まで米原子力規制委員会の委員を務めた。1979年のスリーマイル島原発事故当時の委員長。
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