http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/624.html
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≪広瀬 隆 著『私物国家』 第6章 日本最大の官僚組織・電力会社と軍需工場・三菱重工 より抜粋≫
≪広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』 第6章 より抜粋()≫
≪広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』 第6章 日本最大の官僚組織・電力会社と軍需工場・三菱重工 より抜粋≫
Roentgenium:“プルトニウム原爆を製造する為の秘密中枢が、こうして「電力会社と三菱重工と動燃」の内部に組織され、今日まで「政界中枢」と連動して、その秘密官僚組織を維持してきたという壮大な隠された史実が判明する”(第6章338頁)――。今回は、広瀬 隆さんの著作を元に、日本の原子力政策において三菱重工がどのような役割を担ってきたのか、また、その思惑はどういったものなのか、などについて、関連資料を挿みながら一度著めておきたいと思います。尚、文末に添えた付録にも、関連する資料を配していますので、そちらも本文と併せて少しでも役立てて頂けたら幸いです。
◆ ◆ ◆
〔広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』 第6章 日本最大の官僚組織・電力会社と軍需工場・三菱重工 より P.312−P.352〕
■知られざるプルトニウムの軍事利用計画
原子力が持つ放射能の危険性については、他書で充分に説明してきたので、ここでは、原子力の軍事的利権を支配する構造と、高い電気料金の謎の裏に潜む経済利権を中心に述べよう。
97年3月11日に発生した東海村の再処理工場爆発事故と、8月26日に発覚した東海村の廃棄物ドラム缶大量腐蝕放置事件は、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)と科学技術庁、自治体の茨城県の腐敗メカニズムを浮かび上がらせたが、ドラム缶以上に技術官僚と役人をここまで腐らせたのは、東京電力であった。
東海村の事故では、動燃がマスメディアの批判に晒されたが、実際に、東海村再処理工場を運転してきた黒幕は、最大の電力会社・東京電力である。97年現在、日本の全ての電力会社の連合体である「電時連(電気事業連合会)」の会長は、「東京電力」社長の荒木 浩であり、彼が、高レベル放射性廃棄物処分懇談会のメンバーとして、組織全体を統括してきた。
〔資料〕電気事業連合会の組織概要 - 電気事業連合会
http://www.fepc.or.jp/about_us/outline/soshiki/index.html
〔資料〕原子力委員会部会の構成員 - 内閣府原子力委員会
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/housyasen/siryo/housya01/siryo2_2.htm
再処理工場は、高速増殖炉“もんじゅ”の為にプルトニウムを取り出すことを目的としている。その東海村の再処理工場と、高速増殖炉の運転責任者が、やはり「東京電力」の取締役・電時連副会長から「動燃」理事長となった近藤俊幸であった。97年には、この人物が頭を下げて陳謝する光景が、何度となくテレビに映し出された。
更に、3月の爆発事故の1週間後に、青森県・六ヶ所村にフランスから第2回目の高レベル放射性廃棄物が強行搬入されたが、六ヶ所村に日本全土の放射性廃棄物を集積し、プルトニウムを取り出す巨大な再処理工場を建設してきた「日本原燃」の社長が、やはり「東京電力」副社長から転じた竹内哲夫であった。この会社は、電事連が出資して設立したものであり、電力会社の子会社である。
そして国民にとって最も気掛かりな、科学技術庁傘下の特殊法人“動燃の改革”について、東海村の事故直後、「第三者による動燃改革検討委員会」が発足して、検討がなされた。秘密裡に進められたその委員会の結論は、驚くべきことに、現状を全て維持する、だったのである。
既に可能性ゼロと分かっている高速増殖炉“もんじゅ”の開発に国税が大量浪費されることまで、この委員会によって改めて承認される、という手順が踏まれた。野村證券VIP口座に名前のあった科学技術庁長官・浜岡理一郎が、それを受けて、公式にプルトニウム利用計画をぶち上げた。しかしこの委員会には、那須 翔(なす しょう)が最も大きな声の委員として参加していた。この時点で、経団連を動かす東京電力会長である。
そのような委員会が、第三者による動燃改革であったと信ずるほど、国民は愚かではない。
このように、何れのプルトニウム組織にも、東京電力の影がある。それを纏めると、次のようになる。名前の次にある役職が、東京電力時代のポストだが、その下にあるのが、彼らの様々な履歴である。
――東京電力のプルトニウム支配体制――
【東電の役職と重要な履歴】
●平岩外四(ひらいわ がいし) 会長:
経団連会長
1987年の国鉄資産処分審議会委員長として、旧国鉄債務28兆円をつくった責任者
プルトニウム抽出の為の六ヶ所村核燃料サイクル計画推進リーダー。六ヶ所村に日本原燃を設立した時の電気事業連合会会長、即ち最高責任者
泉井事件の石油公団顧問・日中石油開発監査役・アラビア石油監査役。
東京二信用組合破綻事件で右翼・四元良隆と懇談の噂
〔資料〕平岩外四 - Wikipedia ※東京帝国大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%A4%96%E5%9B%9B
●那須 翔(なす しょう) 会長:
動燃改革検討委員会委員として、95年のプルトニウム高速増殖炉“もんじゅ”の事故と、97年の東海村再処理工場爆発事故処理の責任者―何も改革しない改革案を纏めた直後、動燃のドラム缶腐食放置事件が発覚し、委員としての当事者能力ゼロを証明
経団連副会長
国家公安委員会委員
電気事業連合会会長
平沼外四の後を継いで、プルトニウム抽出の為の六ヶ所村核燃料サイクル計画推進リーダー
〔資料〕那須 翔 - Wikipedia ※東大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%A3%E9%A0%88%E7%BF%94
●荒木 浩(あらき ひろし) 社長:
電気事業連合会会長
プルトニウム抽出の為の六ヶ所村燃料サイクル計画推進責任者
福島・柏崎におけるプルトニウム利用計画推進リーダー
高レベル廃棄物処分懇談会最重要メンバー
96年12月24日に自民党本部を訪れ、東北新幹線の為の圧力をかけ、97年度補正予算に、税金浪費の建設費を計上させた責任者
〔資料〕荒木 浩 - Wikipedia ※東大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%92%E6%9C%A8%E6%B5%A9_(%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%9B%BB%E5%8A%9B)
●近藤俊幸(こんどう としゆき) 取締役:
電気事業連合会副会長
97年3月11日の東海村・プルトニウム抽出用再処理工場爆発事故及び、8月26日に発覚したドラム缶汚染事故時の動燃理事長として、国家予算の流用・虚偽報告をした最高責任者
〔資料〕理事長の交代のお知らせ - 動力炉・核燃料開発事業団 平成8年5月24日 ※東大法出身
http://www.jaea.go.jp/jnc/pnc-news/npuresm/P96/P96052402.html
●竹内哲夫(たけうち てつお) 副社長:
プルトニウム抽出の為の六ヶ所村燃料サイクル基地を経営する日本原燃社長、即ち最高責任者
〔資料〕竹内哲夫(たけうち てつお) 東京電力顧問 - 東奥日報 2004年5月10日 ※東大工出身
http://www.toonippo.co.jp/kikaku/kakunen/new2004/0510.html
東京電力は、何故このようにプルトニウムに固執するのか。また、どのようにして、このプルトニウム製造体制を、前述の三菱軍事財閥と連動させてきたのであろうか。
「日本の原子力産業は、軍事用のプルトニウムを確保するべきである」という考えが、日本の政界と財界に根強く残っている。その命題は、97年5月22日に、ロッキード事件の若狭得治(わかさ とくじ)が全日空から退任するなり、会長に迎えられた「日本航空協会」という財団法人の人脈を抱き込んで進められてきた事業であり、かつてこの会長のポストを占めていたのが、前章の【系図12〔省略〕】に三菱財閥創始者・岩崎弥太郎に近い一族として登場した荘田泰蔵(しょうだ たいぞう)であった。
前章の系図の301頁に示されるように、岩崎弥太郎の姪が、三菱財閥の番頭を務めた荘田泰蔵の母である。その息子の荘田泰哉(しょうだ やすや)が、現代に、我々の見ている前で、動燃の理事となって、福井県敦賀市の高速増殖炉“もんじゅ”の開発に旗ふり役を務めてきた。いま示した東京電力のプルトニウム支配体制の背後にいる、日本の中枢一族である。
荘田泰蔵は、戦後に新三菱重工の副社長となり、53年11月5日、経団連の防衛生産委員会に「誘導弾懇談会」という奇妙な名前の組織が設置された時、副会長に就任した。当時は、敗戦後である為、国民の間に再軍備反対の声が強く、誘導弾という言葉を使うことさえタブーだった。その為、彼らはそれを英語で表記し、誘導ミサイル(guided missile)の頭文字を取って、密かにGM懇談会と称していた。
〔資料〕若狭得治 - Wikipedia ※東京帝国大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%A5%E7%8B%AD%E5%BE%97%E6%B2%BB
〔資料〕荘田平五郎(荘田泰蔵の父) - Wikipedia ※慶應で福沢諭吉の薫陶を受ける
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%98%E7%94%B0%E5%B9%B3%E4%BA%94%E9%83%8E
〔資料〕誘導弾導入を巡る日米の攻防 著:岡田志津枝
http://www.nids.go.jp/publication/senshi/pdf/200903/03.pdf
後、千葉県の農民の土地を強制的に取り上げて成田空港を建設し、成田闘争を引き起こした最高責任者「新東京国際空港計画」委員長が、やはり荘田泰蔵であった。この空港建設にも、全日空の若狭得治と、荘田の結び付きがあったのである。
三菱重工は戦時中、長崎の工場を主体に、造船と兵器の製造で日本の軍需産業をリードし、その為、米軍が原爆を長崎に投下する悲劇を招いた。長崎にプルトニウム原爆が投下されたのは、三菱重工長崎造船所を破壊することが、アメリカ最大の軍事目的だったからである。
また、三菱重工の名古屋航空機製作所は、1937年(昭和12年)にロンドンへ国産機“神風”を飛ばした工場であり、それが原型となって、戦時中に海軍の戦闘機“零戦”が製作されたのであった。
戦後、三菱重工の社長となった岡野保次郎(おかの やすじろう)は、このような歴史を持つ長崎の造船所の副所長と、名古屋航空機製作所の所長を歴任した問題の人物だったが、荘田を副会長に従えるGM懇談会の会長が、その岡野であった。岡野もまた、前章の【系図12〔省略〕】に三菱重工支配者として描かれている(305項)。従って、戦後の誘導ミサイル研究は、三菱重工を中心に行われてきた。
戦後このように、朝鮮戦争終結後の間隙を縫って、日本の国防政策が大きく前に動き出していた。
GHQ支配下の日本で、これ程の再軍備計画が許されたのは、50年6月に朝鮮戦争が勃発して、アメリカが日本の工業力を利用しようと考えた為であった。そして開戦からほぼ半年後、51年1月25日に国務長官のジョン・フォスター・ダレスが来日し、経団連内部に日米経済提携懇談会を発足させたのである。この会議は、名称に経済を掲げていたが、実質的には軍事提携の為の懇談会であった。
そこに出席した岡野保次郎は、戦時中の三菱での兵器製造能力を買われて、「朝鮮特需の受入れ」を策定する第2委員会で委員長に選ばれた。しかし岡野は、同時に、いまだに三菱重工の最高幹部でもあった。
そして53年の「誘導弾(GM)懇談会」の発足、翌54年7月1日の防衛庁と自衛隊の発足を経て、57年5月7日には、岸 信介首相が、「日本は核兵器保有が可能である」と発言するまでになった。
続いて60年に、児玉誉土夫らが右翼と暴力団を大量動員する中で、国民の猛烈な反対を押し切って日米安保新条約(軍事協定)が調印されると、岡野と荘田は、直ちに三菱重工の為の軍事計画に踏み込んでいった。
岡野が名古屋航空機製作所の所長時代、右腕として立ち働いたのは、“神風”を設計し、“零戦”の生みの親となった技術者の河野文彦(こうの ふみひこ)であった(【系図12〔省略〕】の302頁)。
〔資料〕三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場資料室 その1〜その7 - underZero
http://underzero.net/html/tz/tz_385_1.htm
〔資料〕ロックフェラー財団とダレス(John G. Roberts、Glenn Davis共著『軍隊なき占領―戦後日本を操った謎の男』より抜粋) - 日本人が知らない 恐るべき真実
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20060809
〔資料〕九七式司令部偵察機 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E4%B8%83%E5%BC%8F%E5%8F%B8%E4%BB%A4%E9%83%A8%E5%81%B5%E5%AF%9F%E6%A9%9F
〔資料〕零式艦上戦闘機 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%B6%E5%BC%8F%E8%89%A6%E4%B8%8A%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F
〔資料〕科学技術史コレクション
http://homepage2.nifty.com/nakagen29/index.htm
〔資料〕日本防衛装備工業会 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%98%B2%E8%A1%9B%E8%A3%85%E5%82%99%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E4%BC%9A
安保騒動の翌年には、その河野文彦が、解体された三菱重工の1社(三菱日本重工)の社長に就任し、続く62年には日本兵器工業会の会長に就任したのである。翌六三年には、彼の上司だった岡野保次郎自身が、ロケット開発協議会の会長に就任した。このロケットは、勿論、ジュール・ヴェルヌの月世界旅行のロケットではなく、GM懇談会の彼が開発計画を練ってきた兵器用の誘導ミサイルのことであった。
そして翌64年、河野文彦が主導する中、戦後1950年に解体されていた三菱重工の3社「三菱日本重工(東日本重工)」、「新三菱重工(中日本重工)」、「三菱造船(西日本重工)」が合併を成し遂げ、ついに戦前の軍需財閥と同じ三菱重工が復活したのである。
その時、彼らが誘導ミサイルの先端、弾頭部分に取り付ける破壊兵器として選んだのが、皮肉にも長崎で彼らの工場を破壊した核兵器材料のプルトニウムであった。或いは皮肉でなく、彼らにとって、“長崎の報復”という意志が込められていた危険性も充分考えられる。
合併した三菱重工三社の代表者は、プルトニウム・ミサイルの製造支配力を確保する為、それぞれが次のような分野を担当した。
三菱日本重工の社長だった河野文彦(こうの ふみひこ)は、日本兵器工業会の会長。
新三菱重工の副社長だった荘田泰蔵(しょうだ たいぞう)は、誘導ミサイル懇談会の副会長。
その息子の荘田泰哉(しょうだ やすや)は、動燃の理事(プルトニウムを利用する高速増殖炉の建設推進を担当)。
三菱造船社長だった丹羽周夫(にわ かねお)は、日本原子力研究所の理事長に就任した(【系図12〔省略〕】の301頁)。
〔資料〕三菱重工業 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E9%87%8D%E5%B7%A5%E6%A5%AD
〔資料〕誘導機器 - 三菱重工
http://www.mhi.co.jp/products/category/guided_weapon_systems.html
〔資料〕丹羽周夫新理事長略歴 - 原子力委員会月報 1964年(昭和39年)6月 VOL.9 NO.6
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V09/N06/196411V09N06.HTML
〔資料〕原子力委員会月報 巻号一覧(1956年 VOL.1〜1975年 VOL.11)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/geppou.html
また、3社が解体される迄の三菱重工社長で、解体時に代表清算人を務めた岡野保次郎は、誘導ミサイル懇談会とロケット開発協議会の会長の他、日本原子力産業会議の理事、原子力委員会参与、日本原子力普及センター理事長、経団連防衛生産委員会の委員長、日本原子力船開発事業団顧問、となった。
彼ら4人の役職業務は、国防とミサイルとプルトニウムであった。この肩書と業務内容を突き合わせ、彼らが重工3社の重鎮として、合併後の相談役として共に会社を育てた経緯を考えてみれば分かる。現在の青森県・六ヶ所村で、この三菱重工が主幹事会社となって建設してきた核燃料サイクル基地(再処理工場)が、プルトニウム兵器の製造の為であることを疑わない人間は、何処にもいないであろう。しかもそのプルトニウム「平和」利用の口実として必要不可欠な敦賀の高速増殖炉“もんじゅ”もまた、同じ三菱重工が主幹製造会社であった。
この4人の進めた極秘軍事ビジネスを引き継ぐ後継者が、97年の行政改革委員長・飯田庸太郎(三菱重工社長・会長)の仕事だったのである。
この歴史の流れ全体を取り仕切った岡野保次郎の生まれが、他ならぬ茨城県であった。その為、茨城県に原研と動燃が誕生し、97年3月11日、東海村で再処理工場が爆発事故を起こすという悲惨な結果を招いたのであった。彼がもし、戦争末期の昭和17年(1942年)に、長崎から名古屋航空機製作所に異動していなければ、長崎造船所で原爆投下の災禍に遭遇していたはずであった。しかし運良く災厄を免れた岡野が、原爆で破壊された長崎造船所の最高責任者だったのである。岡野1人の運命に、日本人全体がひき回されたと言ってよい。
こうして、彼ら三菱グループが56年に生み出した「原子燃料会社」が、11年後の67年に「動燃」に改組され、設立者として初代の理事長に井上五郎(いのうえ ごろう)就任した。井上ほど、この役職に相応しい人物はいなかった。三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の近親者だったからである。
〔資料〕井上五郎氏略歴 - 原子力委員会月報 1967年(昭和42年)10月 VOL.12 NO.10 ※東京帝国大工出身
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V12/N10/196716V12N10.html
〔資料〕井川ダム(別名:井上五郎ダム。中部電力) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E5%B7%9D%E3%83%80%E3%83%A0
そして今では、動燃・電事連・日本原燃の何れの最高責任者も、東京電力の人間によって占められるようになった。
動燃とは、電力会社や原子炉メーカーの隠れ蓑として存在する原子力機関であり、実際には、それぞれの出向社員で構成されている。前述の荘田泰哉(しょうだ やすや)は、動燃の理事になり、“もんじゅ”の開発を推進する仕事に熱中してきたが、三菱重工の出身であった。従って、動燃の相次ぐ不祥事の正体をするには、それを構成している細胞を利用しておく必要がある。
≪≪動燃が担当する廃棄物問題を考えれば、最終的に廃棄物処分を行わなければならない責任者は、実際に原子力発電所を運転し、廃棄物を生産している電力会社である。ところがその廃棄物の処理は、科学技術庁と動燃と日本原燃に押し付けられてきた。それは、動燃にとって廃棄物の処理が目的ではなく、「プルトニウムの抽出が目的で」廃棄物を扱うことになったからである。
動燃が、廃棄物問題でこれ程いい加減な作業を続けてきたのは、彼らが、廃棄物のことに全く関心がないからである。作業の目的は、核兵器にしかない。その為、国も無制限に予算を与えてきた。アメリカ・ヨーロッパ・ロシアの核兵器産業が、想像を絶する放射能汚染を引き起こしてきた性格と同じものが、日本に存在している。
その結果として電力会社は、平岩外四(ひらいわ がいし)が電事連の会長を務めた時代に、電気料金の甘い利益だけを吸い上げようとする無責任な企業方針を推進することになった。≫≫
〔資料〕平岩外四 - Wikipedia ※東京帝国大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%A4%96%E5%9B%9B
〔資料〕泉井事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%89%E4%BA%95%E4%BA%8B%E4%BB%B6
〔資料〕衆議院会議録情報 第141回国会 予算委員会 第7号 (平成9年)11月28日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/141/0380/14111280380007a.html
〔資料〕二信組事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E4%BF%A1%E7%B5%84%E4%BA%8B%E4%BB%B6
〔資料〕四元義隆 - Wikipedia ※東京帝国大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%85%83%E7%BE%A9%E9%9A%86
http://yabusaka.moo.jp/ishii.htm
平岩外四は、泉井事件では石油公団の顧問やアラビア石油の監査役として暗躍している。また東京二信組破綻事件では、右翼の政商・四元義隆(よつもと よしたか)と密談してイ・アイ・イ高橋治則(たかはし はるのり)の救済に暗躍したと噂された通り、表の顔とは別に、明らかに今述べた三菱軍事財閥の小番頭役を務め、院政を執りながら日本の裏の世界で動いてきた。
ところが彼らにとって順調に進むかに見えたプルトニウム生産計画は、95年12月8日、“もんじゅ”のナトリウム火災事故から破綻が始まった。この事故の為、高速増殖炉の見通しが立たなくなり、プルトニウムを生産する口実を失ったのである。
そこで東京電力は、急いで方針を切り換え、苦し紛れに、自社の柏崎原発〔故・田中角栄氏が誘致〕と福島原発〔故・木村守江氏が誘致、プルサーマル受け入れは、渡部恒三の甥で元秘書の現職知事・佐藤雄平による〕でプルトニウムにウランを混ぜて使う通称“プルサーマル計画”があると言い出し、何とかそこに逃げ込んで、これ迄の計画通り六ヶ所村のプルトニウム生産計画を進め、同時に高レベル廃棄物処分場を完成させようとした。
これは、全世界でウランが暴落している現在、経済的に通用しない説明であった。プルトニウム利用の目的さえ全く無い、牽強付会(けんきょうふかい、屁理屈)そのもののこじつけであり、日本全土から失笑を買うに至った。岡野が熱中した原子力船むつの末路と同じ状況にある。
〔資料〕もんじゅ - Wikipedia ※脚注に資料及び動画の紹介あり
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%82%E3%82%93%E3%81%98%E3%82%85
〔資料〕核大国 フランス、そして日本 - 細野豪志ブログ 2007年5月6日 ※細野氏曰く“MOX for Peace”なのだそうだ
http://blog.goo.ne.jp/mhrgh2005/e/5145286532dbd6f02b42cd1885d4cb59
〔資料〕原子力船むつ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%80%E3%81%A4_(%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E8%88%B9)
〔資料〕原子力潜水艦 - Wikipedia ※本来の目的
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6
〔動画〕YouTube - 原子力船むつの解役(前編) [8分36秒]
http://www.youtube.com/watch?v=wqPHqUyfuV0
〔動画〕YouTube - 原子力船むつの解役(後編) [7分26秒]
http://www.youtube.com/watch?v=8A8NTmG7pEI
ところが日本は、無理を通して道理が引っ込む国である。
東京電力から依頼を受けた自民党は、地域を独占する利権と選挙支援で電力会社の奴隷となってきた為、プルトニウムの意味さえ理解出来ない橋本首相が、東京電力の代理人となり、福井・新潟・福島の3県知事を呼びつけ、恫喝紛いの計画強行を要請した。しかしその直後に、またしても天命の如く、東海村で爆発事故が発生し、プルトニウム利用に必要な国民の合意が完全崩壊すると、六ヶ所村の目的が自然消滅してしまったのである。
4月に入ると、動燃(東京電力)の幹部が猿芝居を演じた組織ぐるみの嘘の皮が曝露され、もはや動燃という三百代言(さんびゃくだいげん、詭弁を用いる者)は、この危険極まりない組織を解体するしかない状況を、国民の誰もが認識するに至っている。
既にチェルノブイリ原発事故の後、若者が原子力に近付かなくなり、将来の後継者がいなくなっている。東大の原子力学科が廃止され、原子炉メーカーでの配置転換が始まっている。実際には、誰の目にも明らかなように、原子力産業は完全崩壊への道を1歩ずつ、着実に進んでいる。恐れられているのは、人材の質の低下による大事故と、最後に社員がいなくなった時、原子力産業が投げ出すに違いない高レベル放射性廃棄物の廃墟である。
このプルトニウム計画が破綻することは、13年前、84年に計画が発表された当初から分かっていたが、その関連事業に、国民の金が10兆円も投じられてきた。回収不能の、取り返しのつかない無駄金であった。しかも六ヶ所村には、現在も、国民の誰1人予算の細目をチェックしないまま、2兆円の再処理工場建設事業が進められ、今以て大手ゼネコンが群がり、行革会議4天王の諸井 虔(もろい けん)達が、コンクリートを深い地底に流し込んでいる。この金があれば、日本全土の新幹線網などは簡単に出来てしまう、という莫大な金額である。
これが、愚かを極める日本の電力事業であり、世界一高い電気料金の正体であった。彼らには、経済や実業を口にする資格も無いが、驚くまいことか、経済をあずかる経団連〔戦前の貴族院、薩長閥中心〕の会長を務めたのが、“三菱軍事財閥の小番頭”東京電力会長の平岩外四であった。
〔資料〕諸井 虔(澁澤榮一に繋がる諸井一族の家系) - Wikipedia ※東大経出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AB%B8%E4%BA%95%E8%99%94
〔資料〕諸井 虔氏の真実 -西部・コクドグループを解体する男? - 日本の問題点を考える 2005年6月4日
http://blog.livedoor.jp/dignyte/archives/24137631.html
〔資料〕電力のコスト計算方式 - よくわかる原子力
http://www.nuketext.org/mondaiten_cost.html
■電力浪費を加速するメカニズム
そうした電力会社の発注する大工事として、一方に、ダム建設がある。
かつては日本人に大きな希望を与えたダムだが、現在は事情が違う。日本全国のダムで大きな問題を生み出しているのが、揚水(ようすい)発電所である。最近では、ダムと言えば揚水ダムと言われるほど、この奇怪な人造貯水湖が全国に続々と造られてきた。これは、水を下流に流すだけの従来のダムと違って、2つの貯水湖の間を水が上下する方式のダムである。
揚水ダムでは、水が下に落ちる時にはエネルギーが発生するので、一般の水力発電と同じように電気を生み出す。しかし落ちた水は、自分で上に戻ることが出来ないので、今度はその下流側の貯水湖の水を、“電気を使って”上に汲み上げるのである。それで、揚水ダム或いは揚水発電所と呼ばれている。
ところがこのダムの背後には、とんでもない電力会社のトリックが隠され、詐欺のような技術となっている。
何故このようなダムを建設するかと言えば、原子力発電が夜間に運転を停止出来ない為である。夜間にあり余る原発の電力を使って、水を夜のうちに汲み上げておき、日中に大量の電気が消費される時に、その水を落として発電するのである。いや、そのように説明されている。
何も知らずにこの説明を聞くと、如何にも合理的なダムであるかのように感じられる。ところが実際には、水を汲み上げるのに必要な電力が100万キロワットとすれば、汲み上げた水を落として生まれる電力は、ほぼ75万キロワットである。4分の1の電気が何にも使われずに消えるのである。
原発の発電した電力から差し引き25万キロワットという巨大な電力が、ダムによって消費され、文字通りこの世から消えてしまう。この巨大な電力ロスを生み出す為に考案されたのが、揚水発電所であった。
〔資料〕電力を捨てる「発電所」 揚水式発電 - よくわかる原子力
http://www.nuketext.org/mondaiten_yousui.html
〔資料〕日本の揚水発電所一覧 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8F%9A%E6%B0%B4%E7%99%BA%E9%9B%BB
〔資料〕ダム便覧 2011 ※下の方にスクロールすると様々な一覧があり便利
http://damnet.or.jp/Dambinran/binran/TopIndex.html
〔資料〕中野行男、佐藤正典、橋爪野健郎 著『九電と原発@温排水と海の環境破壊』(南方新社) 送料無料・南方新社ネット直販コーナー
http://www.nanpou.com/book/bok_276.html
〔資料〕書評:『九電と原発@温排水と海の環境破壊』の感想−JANJAN NEWS 2010年1月10日
http://www.janjannews.jp/archives/2161845.html
〔資料〕鹿島建設という非常識な会社(16) - 七ブログ八起き 2008年9月12日
http://blogs.yahoo.co.jp/harvest_minoru/43729442.html
〔資料〕躍進の時代「スーパーゼネコン」への道 鹿島の歴史 - 鹿島建設株式会社
http://www.kajima.co.jp/prof/overview/160-6.html
〔資料〕原発推進組織の資金源としての電気料金、及び電気料金の仕組み(消費者に転嫁するシステム)について - 自然の摂理から環境を考える 2010年7月23、29日
http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2010/07/000754.html
http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2010/07/000755.html
≪≪長野県の高瀬川水系に建設された新高瀬川発電所は128万キロワット、群馬県の利根川水系に建設された玉原(たんばら)発電所は120万キロワットと、何れも日本最大の原発クラスの発電能力を持っているように聞えるが、実際には、これらの揚水発電所は、1ワットも発電せず、運転すればするほど電力を大量に消費する。
原発では、原子炉で発生した熱量の僅か3分の1しか電気に変換出来ない為、残り3分の2の熱を海に捨てている。このようにしてようやく取り出した電力のうち、夜間には、またその4分の1を山間のダムで捨てているわけである。
このようにしないと、電力の消費を加速出来ないので、原発と抱き合わせの必需品として次々と揚水ダムが建設されてきた。そこに群がるのが、鹿島や清水、ハザマなど大手ゼネコンであり、それらの関連組織に天下る通産官僚達である。
彼らは原発で稼ぎ、同時に揚水ダムの建設でも稼ぐ。これが、通産省・資源エネルギー庁・建設省・科学技術庁の官僚と電力会社が、我々の電気料金と税金を、文字通り湯水の如く捨てている科学立国の実態である。以上の謎を、いよいよ人脈によって解き明かしてみよう。
(2頁へ続く)
(1頁からの続き)
■電力会社が官僚組織に育った歴史
これまで原子力問題に関心を持たれなかった経済界と産業界の人に、冷静な目でこのような事実を知って貰うことが肝要である。これは、前章までに述べてきた金融界とゼネコンの不良債権に続く、もう1つの日本経済の根幹に係わる問題だからである。
既に欧米の原子力産業は完全崩壊し、ドイツでは、最大の電力会社の社長がコール首相に、「原子力からの撤退」を提言している。核兵器産業が消えつつある現在、冷戦時代の莫大な国防予算を流用して辛うじて成り立っていた原子力が、裸で放り出されてみれば、経済的に合わないことが明らかとなったからであった。
ところが日本だけは、いまだに技術官僚が自分の職場を確保する為に、原子力に執拗にぶら下がって、振り落とされまいと必死である。これから何年もかからずに息を引き取る原子力産業の末路を考えれば、若い人間が失業の未来も読めないとは、滑稽なキャリア官僚の姿である。また一方で、地域独占企業である電力会社が、政界腐敗の原因を次々に作り出し、酷く高慢な集団として振る舞っている。
その実情を知らずに、日本経済の破綻の真相に迫ることは出来ない。
電力は、鉄鋼、鉄道、エネルギー原料、通信と並んで、如何なる国においても、基幹産業である。しかし第2次大戦後の日本では、産業全体が或るところまで発展すると、先ず鉄鋼が、斜陽産業として没落し始めた。同時にエネルギー部門は、石炭から水力へ、更に水力から石油と天然ガスへと大きな変化を遂げてきた。
交通手段は、鉄道から自動車の時代に主力が移った。最も変化の激しい通信の世界では、それ迄の電話と放送から、今ではありとあらゆるメディアを総合的にネットワークで結ぶエレクトロニクス万能を謳う20世紀末を迎えるに至っている〔本書は1997年10月30日初版発行〕。
つまりあらゆる産業分野で主力がめまぐるしく変貌し、新世界へと脱皮してきたが、その中で、エネルギーを作り出す電力会社だけが、古い官僚組織を維持して、社会の変化に全く順応出来ない枯れ木の姿を晒している。その原因は、電力会社の地域独占体制と、軍事用プルトニウムの計画を隠さなければならない原子力産業の秘密主義にあった。
独占企業が、傲慢な態度になるのは、世の習いである。何百回の批判を受けても、独占事業には進歩が生まれない。
プラントで重大事故が発生し、人間の生命に危害を与えても、その事実経過さえ発表しない産業は、原子力だけである。それを官僚が擁護し、“危険性”を口実に部外者をシャットアウトする。更に、“安全性の向上”を口実に、好き放題の予算分捕り合戦を行い、他の産業では考えられない高額の見積りと請求書を突き付けても、競争相手がいない。独占事業という電力体制の泥沼から、悪臭が立ち込めるほど腐り切った因習に、自分達が気付かない。
北は北海道電力から、南は九州電力まで、電力9社による地域独占機構がある。この機構が作られたのは、戦後間もない1949年から51年にかけて実施された、国策会社「日本発送電」(通称:日、 にっぱつ)の解体に出発点があった。
この時点では、沖縄は米軍占領下にあって日本ではなく、その後、沖縄が日本に返還された後も、沖縄には原子力発電所は1つも無い。その為本書では、実質的な意味での地域独占の電力会社から、沖縄電力を除外して論じることにする。
この沖縄を除く9電力体制を作り上げたのが、“電力の鬼”の異名を取った松永安左衛門(のち安左エ門)であった。戦前の松永は、北九州の石炭を握って大きな勢力を形成すると、「官吏(かんり)は人間のクズ」とまで言い切って、国家の電力管理に反対した男であった。
〔資料〕日本発送電 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%99%BA%E9%80%81%E9%9B%BB
〔資料〕松永安左衛門 - Wikipedia ※慶應出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%B0%B8%E5%AE%89%E5%B7%A6%E3%82%A8%E9%96%80
〔資料〕松永安左衛門物語 by Arnold J. Toynbee
http://www.sesshuukai.com/HTML/Senpai.html
〔資料〕松永安左エ門―官に抗し9電力体制を築いた男(1〜4) - 明治・大正・昭和のベンチャーたち
http://j-net21.smrj.go.jp/establish/column/index.html
〔資料〕日中戦争の序章:盧溝橋事件・上海事変・南京攻略 - 鳥飼行博研究室
http://www.geocities.jp/torikai007/japanchina/1937.html
〔動画〕Google.video - NHKスペシャル「日中戦争〜兵士達は何を見たのか〜 [109分49秒] ※2011年4月29日迄、視聴可
http://video.google.com/videoplay?docid=57662481377725235#
その当時の電力事業は、1937年(昭和12年)7月7日の盧溝橋事件(ろこうきょうじけん)を契機とする日中戦争(支那事変)の勃発から、その年末の南京大虐殺へ、更に大戦争へと雪崩れ込む時代にあった。翌38年には、4月1日に国家総動員法が制定され、完全な軍国主義に突入したのを受けて、直ちに4月6日、電力の国家管理が実施され、新しく発足した日本発送電株式会社のもとに、全土の電力会社が統合されることになった。
しかし、兵器の製造を効率的に進める為に、軍需工場に電気を供給する配電統制をする必要に迫られ、42年(昭和17年)には、日本全土を9つのブロックに分割して配電する体制が誕生した。北海道、東北、北陸、東京(関東)、中部、関西、中国、四国、九州の9ブロックである。
それから3年後、敗戦によって、日発(にっぱつ)が解体されることになった。
すると、松永安左衛門が「電力事業再編成審議会」の会長に就任し、GHQと渡り合いながら、彼が音頭をとって、戦争中に形成された9つの配電会社をそのまま受け継いで、ブロック毎に電力会社が組織されることになった。その時松永は、自ら公益事業委員会の委員長代理として、これら“電力9社の首脳人事”を決定するという独裁的な権力を揮ったのである。
その当時、最後の日発総裁だったのが、長野県を地盤とする大物実業家の小坂順造(こさか じゅんぞう)であった。小坂は日本アルプスを抱く長野にあって、長野電灯を創立しながら、ダムによる水力発電への勢力を大きくしてきた男である〔創業者は、信濃毎日新聞の基礎を築いたことで知られる父・小坂善之助〕。当然の宿命として、松永と小坂は烈しく対決したが、結局は松永が押し切って、電力9社による地域独占の礎が築かれたのである。
ここで注目すべき人脈は、戦前に松永が設立した東邦電力という電力会社にあった。その東邦電力が、地盤としては小坂の縄張りであるはずの中部地方で、今日の中部電力になったのである。その為、後に、松永安左衛門の甥に当たる松永亀三郎(まつなが かめさぶろう)が中部電力の社長に就任し、安左衛門の養女はなの夫(即ち娘婿)の田中精一もまた、中部電力の社長に就任した。しかも田中精一は、東海村に日本最初の原子力発電所を運転する日本原子力発電の取締役となって、原子力開発に大きな力を注いでいった。
松永安左衛門の義兄に当たる竹岡陽一もまた、戦後は四国電力の会長に就任した。こうして、電力首脳の人事を決定した本人の閨閥が、実は後に全国の電力9社を支配し、高圧送電線と共に、この血脈が日本全土に張り巡らされることになった。
東京電力と関西電力の両横綱を始めとする9つの電力会社のトップが作り上げた松永閨閥を、1枚の系図に示しておく【系図13―松永安左衛門と電力9社の首脳が作り上げた閨閥〔省略〕】。
この一族として、系図最後の335頁に描かれている九州電力会長・日本原子力発電社長の安川第五郎は、既に【系図2〔省略〕】の泉井事件を巡る“通産事務次官の支配者”として登場し、【系図7】のゼネコン閨閥、【系図8〔省略〕】の厚生省腐敗でも、肩書きなしで登場した人物であった。
一方、これに対抗した小坂順造の閨閥にも特筆すべきものがあり、妻の一族に、日立の創業者・小平浪平(おだいら なみへい)があり、自分の孫娘が東芝社長・岩下文雄の一族に入っていった。その日立と東芝が、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)から技術を導入して、福島や敦賀(つるが)で、沸騰水型の原子炉を製造し始めたのである。
〔資料〕小坂順造 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%9D%82%E9%A0%86%E9%80%A0
〔資料〕東邦電力 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E9%82%A6%E9%9B%BB%E5%8A%9B
〔資料〕安川第五郎(安川財閥創始者・安川敬一郎の五男) - Wikipedia ※東京帝国大工出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%B7%9D%E7%AC%AC%E4%BA%94%E9%83%8E
【系図7―ゼネコン業界トップと建設族ドンの姻戚関係 01】
http://www5e.biglobe.ne.jp/~conspire/jp_blood_01.html
【系図7―ゼネコン業界トップと建設族ドンの姻戚関係 02】
http://www5e.biglobe.ne.jp/~conspire/jp_blood_02.html
【系図7―ゼネコン業界トップと建設族ドンの姻戚関係 03】
http://www5e.biglobe.ne.jp/~conspire/jp_blood_03.html
〔資料〕小平浪平 - Wikipedia ※東京帝国大工出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%B9%B3%E6%B5%AA%E5%B9%B3
〔資料〕小平浪平―国産自主技術に拘り続けた男(1〜4) - 明治・大正・昭和のベンチャーたち
http://j-net21.smrj.go.jp/establish/column/index.html
〔資料〕ゼネラル・エレクトリック(GE) - Wikipedia ※マンハッタン計画に参加
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF
この系図によって、先程述べた三菱重工のプルトニウム集団と、松永安左衛門の生み出した電力集団の結び付きが、絵に描いたように明らかになる。前述のように、動燃を設立して初代理事長に就任した井上五郎が、三菱の岩崎弥太郎一族であると同時に、松永の一族でもあり、中部電力の社長として松永の右腕だったからである(332頁)。
この動燃が、現在のプルトニウム製造の一切を引き受けている。その動燃の前身として1956年に設立された原子燃料公社の初代理事長に就任したのは、戦争中に三菱鉱業(戦後の三菱金属鉱業)フィリピン鉱業所所長として海外鉱山事業に没頭した高橋幸三郎(たかはし こうざぶろう)であった。
御存知のように、フィリピンの鉱山と言えば、戦時中に金などを大量に集めた司令官・山下奉文(やました ともゆき)があり、その「山下の財宝」の行方は多くの人間の追跡にあってきたが、それが児玉誉士夫(こだま よしお)の資金源となり、戦後は、独裁者マルクス夫妻の隠し財産になったと見られている。山下奉文は、終戦翌年の46年にマニラで処刑されたが、三菱鉱業フィリピン現地最高幹部の高橋幸三郎が、山下の財宝の調達業者であった。つまり、原子燃料公社の初代理事長に就任した高橋が、児玉誉士夫に通じていたのである。この事実は、何を意味しているだろう。
〔資料〕山下奉文 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E5%A5%89%E6%96%87
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E8%B2%A1%E5%AE%9D
〔資料〕児玉誉士夫 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%8E%89%E8%AA%89%E5%A3%AB%E5%A4%AB
〔資料〕M資金は本当にあったのか(1) - ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 2007年3月26日
http://amesei.exblog.jp/5032631/
〔資料〕M資金は本当にあったのか(3) - ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 2007年4月3日
http://amesei.exblog.jp/5085389/
原子燃料公社が設立された翌年、前述のように、57年5月7日に、岸 信介首相が、「日本は核兵器保有が可能である」と発言したのである。プルトニウム原爆を考えれば、見事に符合する言葉であった。
これに対して、東京電力の役割は、次のようなものであった。
松永安左衛門が選んだ東京電力首脳は、【系図13〔省略〕】333頁にいる新井章治(あらい しょうじ)が会長を務めた時代には、まだこの集団の間に、プルトニウム原爆の具体的な構想は描かれていなかった。しかし53年にGM懇談会が発足して原爆の構想が誕生すると、翌54年には、東京電力会長に菅 禮之助(すが れいのすけ)が抜擢されたのである。菅は、今の系図で、プルトニウムを独占する動燃の初代理事長・井上五郎と、三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の間から出てきた血族である(332頁)。
しかも菅は、戦時中に、満州の鉱山利権を支配した日満鉱業の会長だった大物であり、彼もまた児玉機関と取引した実業家であった。それが、岩崎ファミリーから登場し、東京電力の会長に就任した。
こうして、【系図13〔省略〕】の332頁から333頁にかけて、右側の太い縦線で結ばれる4人―電力支配者・松永安左衛門、後年の動燃設立者・井上五郎、東京電力の菅 禮之助、岩崎ファミリーが一体となって、「原子力発電時代の到来」を一斉に声高に語り始めた。この岩崎ファミリーの血筋とは、岩崎弥太郎のことではなく、前章の【系図12〔省略〕】に示した「三菱重工」軍事財閥のことであり、誘導ミサイル懇談会会長の岡野保次郎や、岩崎弥太郎の姪の腹から生まれた三菱財閥の番頭・荘田泰蔵(しょうだ たいぞう)、その息子の動燃理事・荘田泰哉(しょうだ やすや)達、現代人のことである。
そして彼らは、56年3月1日に、最も重要な組織を誕生させた。それが、東京電力会長・菅 禮之助を会長として設立された「日本原子力産業会議」であった。続いて彼らは、5カ月後に原子燃料公社を設立して、児玉誉士夫の流れを汲む高橋幸三郎を理事長に迎え、それがのち動力炉・核燃料開発事業団(動燃)と改組されて井上五郎が理事長となったのである。全て血族によって誕生した組織であった。その彼らにとって、この他に必要だったものは何であろう。
これを国策として推進する政治家である。
日満鉱業の会長だった菅が闇の世界で知っていた児玉誉士夫が動くと、54年12月に、その児玉資金を得て、鳩山一郎が第1次内閣を組閣し、今述べたような三菱・東京電力の原子力政策を全て強引に推進したのである。
〔資料〕菅 禮之助 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E7%A4%BC%E4%B9%8B%E5%8A%A9
〔資料〕学閥 - Wikipedia ※例えば、如水閥(一橋大)として菅 禮之助、澁澤榮一、小坂順造、奥田 碩、他
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E9%96%A5
〔資料〕日本の鉱山の一覧 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%89%B1%E5%B1%B1%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
〔資料〕児玉誉士夫。 - 日本人は知ってはいけない。 2009年6月24日
http://cosmo-world.seesaa.net/article/122104354.html
〔動画〕YouTube - ドイツ国営放送ドキュメンタリー戦後の日本・欧州の視点 No.3「児玉機関と笹川良一」(1-2) [5分29秒]
http://www.youtube.com/watch?v=vSSwdGV9UHg
〔動画〕YouTube - ドイツ国営放送ドキュメンタリー戦後の日本・欧州の視点 No.3「児玉機関と笹川良一」(2-2) [6分01秒]
http://www.youtube.com/watch?v=2rF2SKbetWo
我々は、本書の冒頭に戻らなければならない。野村證券・第一勧銀・総会屋事件の背後にあった歴史である。そこには、児玉誉士夫の流れを汲む総会屋の小池隆一がいた。そして第一勧銀を誕生させた2人の大蔵事務官が、澄田 智と鳩山威一郎であった。
〔第1章より、関連箇所を抜粋。「霞ヶ関の天下り支配者は、日銀総裁の澄田 智だ」と言われてきた。澄田は、父親の代からフランス財閥と不思議な関係を深めてきた。満州事変の黒幕だったその父・澄田睞四郎(陸軍軍人、フランス陸軍大学で学ぶ)の後継者として、大蔵事務次官から84年の日銀総裁を経て、金融解放とバブル経済へと、我が国を疾走させた最大の黒幕であった。右翼の政商・児玉誉士夫らと組んで第一銀行と勧業銀行を合併させた立役者が澄田 智であり、彼が後任に選んだ事務次官が鳩山威一郎であった。
しかも澄田 智は89年12月に日銀総裁を退任すると、フランス・ロスチャイルド財閥の総本山ラザール・フレールの顧問に迎えられ、それと軌を一にして、その外国人投資家の売り浴びせによって、日本のバブル経済が一挙に崩壊したのである。この澄田 智が、金融界での天下り人事の支配者であり、和田敏信が産業界での天下り人事の支配者であった。そして驚くまいことか、大蔵省・澄田 智の長女と、通産省・和田敏信の長男(三井物産)が結婚していたのであった。(中略)
通産省や大蔵省の人事は、天下りを支配する僅か2人の人間から、波紋のように霞ヶ関に浸透してきた。大蔵省と日銀に隠然たる力を持つ澄田 智と、通産省と石油公団に威光をかざす和田敏信の両人が、一族の息が掛かった事務次官を選んで、何事にも横車を押し、その伝統が代々受け継がれてきた。詳細の続きは、[付録 1] を参照〕
総理大臣・鳩山一郎の息子が威一郎なので、鳩山家については説明するまでもない。
澄田 智は、その父親の澄田睞四郎(すみた らいしろう)が、満州事変の黒幕であり、東京電力の菅 禮之助(すが れいのすけ)とは、満州時代に利権を分かち合った仲であった。しかもその時代の満州の産業を支配していた満州国商工次官が、他ならぬ岸 信介(きし のぶすけ)であった。
〔資料〕小川 薫 - Wikipedia ※小池隆一、仙谷由人
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%B7%9D%E8%96%AB
〔資料〕やがて世界統一政府の首都となるイスラエルの闇 - オルタナティブ通信 2006年10月29日
http://alternativereport1.seesaa.net/article/49425852.html
〔資料〕バブル経済の戦犯 澄田 智ようやく死ぬ - 反米嫌日戦線「狼」(反共有理) 2008年9月1日
http://anarchist.seesaa.net/article/106384537.html
〔資料〕日本ユニセフ協会の謎 - 野良里蔵狸 -norakura- 2005年9月5日
http://tanukur.blog8.fc2.com/blog-entry-281.html
〔資料〕山下正男氏:日本軍の山西残留事件の全貌を語る(全19頁) - OralHistoryProject ※主に澄田睞四郎に関する資料
http://www.ohproject.com/ivlist/03/01.html
〔資料〕インタビューリスト - OralHistoryProject
http://www.ohproject.com/ivlist/index.html
〔資料〕安倍晋三と日本の闇 - 日本人が知らない 恐るべき真実
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20060814
〔資料〕旧731部隊関係者のその後及び厚労省との関係
http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/iryou/731butai/kitikunoshokugyou.htm
≪≪プルトニウム原爆を製造する為の秘密中枢が、こうして「電力会社と三菱重工と動燃」の内部に組織され、今日まで「政界中枢」と連動して、その秘密官僚組織を維持してきたという壮大な隠された史実が判明する。
勿論、このようにしてスタートした日本の原子力政策について、現場の技術者や、電力会社の一般社員は、何も知らなかった。これらの事情を知らされていたのは、同じ家族に連なる極僅かの人間に限られていた。今日でも、それは同じである。ここに発見される「私物国家」は、これまで述べてきた経済問題の私物化より、遥かに深刻で、危険である。この人脈が全ての伏線となってロッキード事件が起こり、今年全貌が明るみに出た総会屋事件が起こったのである。
【系図10―諸悪を生んだロッキード事件の系譜】
http://www.asyura2.com/bigdata/up1/source/4405.jpg
本書完了直前の97年9月20日、重大事が毎日新聞で報じられた。「三菱重工」の転換社債発行を巡って、総会屋の木島力也と小池隆一が暗躍し、それが発端となって総会屋と証券会社の関係が生まれたと言う。まさしく、本書が追ってきた事実関係の証明である。
従って、彼らの政策には、原子力の安全についての認識は全く無い。≫≫
ここに動員される現在の学者達はどうであろう。
97年に東海村の爆発事故が発生した後、原子力安全委員会の都甲泰正(とごう やすまさ)委員長が現地を訪れ、事故現場を視察した。都甲委員長とは、その15年前(82年)の時点で、科学技術庁の“もんじゅ”審査委員を務めた男であり、93年の“もんじゅ”火災事故を起こした主要責任者であった。このように当事者能力の無い学者が、東海村の事故調査を行い、日本の原発の“安全性”を保証しているのである。
都甲と共に“もんじゅ”の審査に当たった住田健二(すみた けんじ)は、93年から都甲委員長のもとで原子力安全委員に就任した。更に住田は、“もんじゅ”が95年に事故を起こすと、“もんじゅワーキンググループ”のメンバーとなった。自分が安全性を承認し、ナトリウム火災を発生した欠陥原子炉の調査を、自分が行ってきた〔今回の事故でもご意見番?として登場しているので、検索すると色々出て来る〕。
更にもう1人、83年に“もんじゅ”安全審査委員だった自己責任者の佐藤一男も、東海村の再処理工場爆発事故の調査に当たってきた。佐藤も93年から原子力安全委員に就任して、住田と共に、“もんじゅ”の事故調査を行ってきた。
結局、97年3月11日に東海村で爆発が起こった後、安全を点検する原子力安全委員会とは、5人のうち3人が、このように大事故の責任者であり、ほぼ無能力の原子力専門家で構成されていたのである。これを組織したのが、第三者を装って動燃の改革を阻止した東京電力会長の那須 翔(なす しょう)であった。何れも、犯罪者が刑事を務めたのである。その利権が、科学技術庁の内部に存在している。
〔資料〕1997年3月11日 茨城県東海村 動燃再処理工場事故 - 環境と原子力の話
http://homepage3.nifty.com/ksueda/dounen.html
〔資料〕東海村JCO臨界事故 - Wikipedia ※死者2名、被曝者667名
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E6%9D%91JCO%E8%87%A8%E7%95%8C%E4%BA%8B%E6%95%85
〔資料〕国内外の原子力事故 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E4%BA%8B%E6%95%85
〔資料〕原子力安全委員会 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AE%89%E5%85%A8%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A
〔資料〕もんじゅ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%82%E3%82%93%E3%81%98%E3%82%85
〔資料〕福島原発以上に危険性のある高速増殖炉『もんじゅ』で今起きていること - Dive into the Tech World! 2011年4月6日
http://getnews.jp/archives/109213
〔資料〕那須 翔 - Wikipedia ※東大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%A3%E9%A0%88%E7%BF%94
極微量でも肺癌を誘発し、数キログラムという極僅かな量があれば、核兵器に転用出来るほど核暴走事故の危険性を秘めているのがプルトニウムである。これを燃料に使う“もんじゅ”は、新幹線の名古屋〜京都間にある米原から、ほんの40キロメートル余りの敦賀市(つるがし)に存在している。従って、この欠陥原子炉が再び運転されることになれば、北陸だけでなく、名古屋・京都・大阪の大都市圏の全生命を巻き込む危険性が高い。しかし当面、最も重大な危険に晒されているのは、福井県民82万人の生命である。
事故の後、96年1月23日に、福井県の栗田幸雄(くりた ゆきお)知事がリーダーシップをとって、新潟県の平山征夫(ひらやま いくお)知事、福島県の佐藤栄佐久知事と3人で、発足直後の橋本龍太郎政権に対して、「今後の原子力政策の進め方についての提言」と題する3県知事の文書を提出した。
〔資料〕「今後の原子力政策の進め方についての提言」(全19頁)
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/energy_020805data20-02.pdf
その文書は、「高速増殖炉を中核とする核燃料サイクル(プルトニウム利用政策)の今後のあり方など、原子力政策の基本的な方向について、改めて国の明確な責任において国民の合意形成を図ることが重要であると考える」と、強い言葉を記したものであった。
この批判こそ、電力会社と科学技術庁官僚の行ってきた原子力政策の破綻を示す出来事だが、別の行動を見れば、東京電力が日本経済を如何に破綻させようとしているか、更に明確になる。
日本人にとってこれから深刻なのは、国鉄清算事業団が旧国鉄から引き継いだ借金の負担である。96年4月1日時点で、既に27兆5800億円に達したこの負債が、新幹線によって生み出されたことは国民周知の通りである。ところが96年末に決定された97年度予算に、大赤字となることが分かっている整備新幹線が組み込まれ、それが誘因となって日本に対する信頼が無くなり、年初の兜町で株の大暴落が起こった。
とりわけ問題となった東北新幹線は、これから最低でも4600億円を必要とする。その為スーパー特急方式で節約する予定だったが、自民党の青森県議団が、「他と同じフル規格の新幹線でなければ、県内に建設中の核燃料サイクルを拒否する」と言い始めた。
これを聞いた東京電力社長の荒木 浩(あらき ひろし)は、クリスマス直前に自民党本部を訪ねると、直ちにスーパー特急方式を撤回させ、フル規格の新幹線を建設するよう、橋本政権に国家予算を組み替えさせたのである。民間企業が、公共の金である国家予算に口を挟み、政府に圧力を掛けて国民の借金を増大させたことは、民主主義の根幹にかかわり、国政を揺るがす大問題である。
現在、動燃の連続事故によって表面化した問題は全て、このように電力会社と原子力産業によって行われてきた民主主義破壊行為の流れの中にある。
〔資料〕栗田幸雄 - Wikipedia ※東大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%97%E7%94%B0%E5%B9%B8%E9%9B%84
〔資料〕平山征夫 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B1%B1%E5%BE%81%E5%A4%AB
〔資料〕斉藤貴男「二極化・格差社会の真相」:石原都知事が原発立地県の知事に吐いた大暴言 - 日刊ゲンダイ 2011年3月15日
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-2584.html
〔資料〕お買いもの上手な人々 - アジアの平和を願う 2011年4月10日
http://blog.livedoor.jp/peaceasia/archives/51957832.html
〔資料〕佐藤栄佐久 - Wikipedia ※東大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4%E6%A0%84%E4%BD%90%E4%B9%85
〔資料〕特捜検察は、知事と福島県民を「抹殺」した - 佐藤栄佐久 公式ブログ 2011年1月6日
http://eisaku-sato.jp/blg/2011/01/000047.html
〔動画〕YouTube - 佐藤栄佐久元福島県知事インタビュー Web Iwakami 2011年3月20日[90分40秒] ※これを見れば検察に正義など微塵も無いことがよく分かる
http://iwakamiyasumi.com/archives/7682
〔資料〕荒木 浩 - Wikipedia ※東大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%92%E6%9C%A8%E6%B5%A9_(%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%9B%BB%E5%8A%9B)
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■原発現地の住民が置かれた危機的状況
いくつかの代表的な実例だけを記録しておこう。
96年には、新潟県の巻町で、東北電力によって言語道断とも言える行動が展開されてきた。巻町では、8月4日の住民投票によって“原発拒否”の答が明確に出たにもかかわらず、その後も、ありとあらゆる手段が講じられ、巻町の財政に圧力を掛ける政治屋ぐるみの悪質な弾圧が繰り返されてきた。しかもその原発建設予定地では、民有地の買収を巡って、右翼と総会屋が暗躍する凄まじい土地取引が行われ、田中真紀子が暗躍してきたのである〔柏崎刈羽原発を誘致したのも、故・田中角栄氏〕。
〔資料〕夫の死の真相を明らかにしたい!「動燃虚偽発表強制死損害賠償請求控訴事件」傍聴報告 - JanJanニュース 2008年8月3日 ※科学技術庁長官時代
http://janjan.voicejapan.org/living/0808/0808023551/1.php
静岡県の浜岡原発では、昨年、5号炉の増設を巡って、地元住民の激しい反対運動が展開され、町民の8割が反対するという状況になった。
ところが浜岡町長の本間義明(ほんま よしあき)は、中部電力の差し金による秘密の町議会を開くと、地元住民との協定を破って原発建設を決定してしまい、12月には通産省の第1次ヒアリングを強行しながら、あろうことか、東海村の事故が発生してまだ2週間後という3月25日に、石川嘉延(いしかわ よしのぶ)知事が経済企画庁に意見書を提出した。5号炉の建設にゴーサインを出したのである。
この背後にも、明かに広域暴力団が介在し、浜岡の原発利権者として有名な原田昇左右(はらだ しょうぞう)が、共同作業を進めてきた。原田も運輸官僚の出身者である。
石川知事がゴーサインを出した3日後には、関西電力の秋山喜久(あきやま よしひさ)社長と、日本原子力発電の阿比留 雄(あびる たけし)が、“もんじゅ”事故の恐怖が癒えない福井県民の感情を逆なでするように、福井県にプルトニウム利用計画を申し入れた。
中国電力は、東海村の爆発2日後に、島根原発3号炉の増設を、島根県に申し入れた。
その3月13日付けの“原子力産業新聞”は、彼らがどれ程人間離れのした密室集団であるかを示した。既にあらゆる新聞が1面トップで東海村の爆発を報じている中、責任者である“原子力産業新聞”は、極小さな記事で「低レベル固化施設で爆発 動燃東海」と、余程注意しなければ気付かないニュースを掲載した。しかもその記事の内容は、「東海村で異常なし」「異常なし」「異常なし」と繰り返すばかりのものであった。その紙面のトップで大きく取り上げたのは、「中国電力 島根3号増設を申し入れ」である。
この新聞を目にした日本人は殆どいないだろうが、報道界の誰が見ても、かつて敗北を重ねながら、「わが軍勇躍 太平洋海上にて敵艦撃沈」と報じ続けた、戦時中の大本営発表と同じ異様な精神状態にある。
97年時点で、この怪奇な原子力産業集団を率いるのが、「日本原子力産業会議」の会長・向坊 隆(むかいぼう たかし)であった。向坊は、東大教授・東大学長・原子力委員と歴任しながら、今日の状態さえ理解する能力のない学者集団の象徴である。彼の名前が、【系図13〔省略〕】の電力9社の首脳と共に描かれているのは何故であろうか。彼もまた、能力があるから東大学長になったのではない。石油連合会会長を務め、戦後“公職追放”となった水田政吉(みずた まさきち)の娘婿として、今日の地位を得たに過ぎない人間であり、エネルギー産業の利権を私物化する代表者だったのである。
その彼らが、今や危機感を抱いている。巻町と沖縄県と御嵩町で実施された住民投票が日本全国に波及すれば、日本の国政を揺るがす大問題になる。原発だけではない。ダム問題もあれば、産業廃棄物処分場の建設もある。長良川の河口堰(かこうせき)もあれば、基地公害もある。これ迄は、霞が関官僚と国会議員に、自治体と業者が手を組んで4者連合を形成し、日本を隅々までコントロール出来た。彼らにとって、その支配力を奪う住民投票の制度化だけは、何としても避けたい。
その為、全国で悪質な行動を取り、テレビ放送界では経営権の掌握、スポンサー権力の乱用、更に自治体の行政には補助金によって介入し、日本の民主主義を根底から腐らせているのが、“日本最大の官僚組織”として9地域を分割統治する9つの電力会社である。
石川県珠洲市(すずし)で、珠洲原発の建設を巡って行われた市長選では、集計された票が投票者の総数よりずっと多くなり、投票数が合わないという事件が起こった。投票していない人の票が続々と発見される不正が発覚して選挙が無効になると、それに続く96年の市長選では、またしても市の助役が逮捕されている。
これは、関西電力が黒幕となった不祥事である。【系図13〔省略〕】(335頁)に描かれている関西電力社長の芦原義重(あしはら よししげ)は、87年に退社したが、その時の退職金が19億円と報じられ、大問題となりながら、その後も「退職金の分割払いで殆ど税金を払わなかったらしい」との噂が流れるばかりである。退職後も、関西電力の会長室を使い、社の車を使って自分の仕事をする傍若無人ぶりは、一般企業では考えられない会社の私物化である。その関西電力から原子力発電所の建設を受注し、北陸一の長者になったゼネコン熊谷組の熊谷太三郎(くまがい たさぶろう)も、電力一族として同じ系図に再登場する(335頁)。
中国電力は、上関(かみのせき)原発の建設を強引に進めようとしてきたが、中国電力の社員などが町長選の前に不正転入して、票を水増ししたことが発覚し、118人もの人間が起訴され、町長の息子まで起訴されてきた。
東京電力トップの木川田一隆(きがわだ かずたか)が、「電力業界の政治献金を廃止する」と宣言し、「木川田は偉かった」という神話も残っているが、その電力業界から自民党が密かに闇献金が行われていた事実が先年発覚した。木川田発言は、国民を欺く虚言だったのである。電事連を動かしていた平岩外四(ひらいわ がいし)の犯罪だが、これも検察の捜査が素通りして、誰も逮捕されなかった。
〔資料〕石川嘉延 - Wikipedia ※東大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%B7%9D%E5%98%89%E5%BB%B6
〔資料〕原田昇左右 - Wikipedia ※東京帝国大工出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E7%94%B0%E6%98%87%E5%B7%A6%E5%8F%B3
〔資料〕秋山喜久 - Wikipedia ※東大経出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E5%96%9C%E4%B9%85
〔資料〕経団連自然保護協議会:役員名簿(2010年5月25日現在) ※要するに二酸化炭素温暖化詐欺で潤う面々。副会長の1人に阿比留 雄
http://www.keidanren.or.jp/kncf/comm_official.html
〔資料〕JAIF発行『原子力産業新聞』 購読者分布図 ※地域では関東が全体の40%、購読者層では、企業・団体が全体の80%を占める
http://www.jaif.or.jp/ja/joho/joho_newspaper.html
〔資料〕日本原子力産業協会 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%8D%94%E4%BC%9A
〔資料〕向坊 隆 - Wikipedia ※東京帝国大応用化学出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%91%E5%9D%8A%E9%9A%86
〔資料〕新日本石油株式会社 初代社長 内藤久寛 - 先駆者たちの大地 ※水田政吉(諸井恒平を始めとする諸井一族に繋がる)と三菱の接点
http://manabow.com/pioneer/eneos/3.html
〔資料〕芦原義重 - Wikipedia ※京都帝国大工出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%A6%E5%8E%9F%E7%BE%A9%E9%87%8D
〔資料〕熊谷太三郎(自民党参議院議員) - Wikipedia ※京都帝国大経出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%8A%E8%B0%B7%E5%A4%AA%E4%B8%89%E9%83%8E
〔資料〕木川田一隆 - Wikipedia ※東京帝国大経出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E5%B7%9D%E7%94%B0%E4%B8%80%E9%9A%86
これ程までに電力会社が不正と民主主義の破壊に没頭しなければならないのは、何故であろうか。
客観的な目でこの状況を見れば、ババ抜きの時代の突入したのが、原子力産業である。彼らに最後に残る最大の問題は、電事連が作った子会社「日本原燃」によって運営されている青森県六ヶ所村の核燃料サイクル基地にある。ほぼ半永久的と言ってもよい1万年単位の歳月にわたって放射能を放ち続ける高レベル放射性廃棄物、それが誰も掴みたくないババである。
現在のところ、全国の原発自治体が、
「この厄介なものを引き取ってくれるお人好しが東北にいたとは、ありがたいことだ。早いところ、出せるものを全部外に出してしまえ」と、使用済み燃料をフランス・イギリスに送り、そこから青森県に運ばせてきた。
六ヶ所村では、96年末に使用済み燃料を受け入れる巨大なプールが完成し、その実態を青森県民に知られないよう、急いで事を進めてきた。しかしここまで来れば、県民にも、危ないぞという勘が働く。いつまでも電力会社の甘い言葉に乗っていれば、或るところで身を引いて切り捨てる電力会社の事である。そうでなくとも、社会の大状況として、既に全国が拒否している廃棄物について、無能な霞が関官僚と無関心な国会が、きちんと保管場所を完成するとは、誰も考えていない。如何に強い言葉で国に要望を出しても、それが実行出来なくなっている。
青森県民にとって具合の悪いことに、既に自分に配られたカードの中にババが入っている。前知事・北村正哉が進めた計画の為、とんでもないカードを掴んだ。このカードが何処にあるか、全国の原発立地自治体が知っているので、誰も抜いてくれない。この“むつ小川原開発”という計画に青森県民を巻き込み、最後に高レベル放射性廃棄物を持ち込むよう、土地の買い占めをした男がいた。核燃料サイクル基地の全ての段取りをしたのが、三井不動産の社長・江戸英雄(えど ひでお)だったのである。
【系図8〔省略〕】(226頁)では、逮捕された茨城県知事・竹内藤男(たけうち ふじお)に莫大な闇資金を送り続けた人物として紹介したが、この章の【系図13〔省略〕】では、電力9社の首脳に繋がる一族として、最後の335頁に描いてある。
〔資料〕むつ小川原開発 年表 - デーリー東北新聞社
http://www.daily-tohoku.co.jp/tiiki_tokuho/mo/nenpyo/mo_nenpyo.htm
〔資料〕何故青森県に原発関連の施設が多いのか? - クマのプーさん 2010年8月3日
http://blog.livedoor.jp/amaki_fan/archives/51878809.html
〔資料〕江戸英雄 - Wikipedia ※東京帝国大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E8%8B%B1%E9%9B%84
〔資料〕竹内藤男 - Wikipedia ※東京帝国大法出身
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E5%86%85%E8%97%A4%E7%94%B7
≪≪電力会社の独占体制に対する産業界からの強い批判が表面化している。これ迄のように国庫補助でようやく成り立つ原子力産業に依存していると、産業界が世界一高い電気料金を取られ、バブル経済崩壊後に国際貿易に立ち向かおうとしても、深刻なエネルギー・コストを覚悟しなければならないからである。97年9月13日の朝日新聞によれば、「日本の電気料金はアメリカの2割高」という電事連のこれ迄の説明は真っ赤な嘘で、実に「全米平均の2.4倍」だと言う。電事連会長で経団連副会長の那須 翔(なす しょう)は、何故国民に大嘘をつくのか。
こうした状況で特に注目されているのが、90年にイギリスで導入された電力事業の分割制度である。
この制度では、電気を作り出す「発電会社」と、この電気を買って各地に送る「送電会社」と、更にその電気を消費者に売る「配電会社」が3つに分割された為、消費者は出来るだけ安い配電会社を選ぶことが出来る。配電会社もまた、安い送電コストになるよう、近くの効率の良い送電会社を選ぶ。その送電会社は、原発のように高いコストの電力を買わずに、値段の安い発電会社を選ぶ。最後に、これらの激しい自由競争の荒波を一手に引き受けるのが、民営化された発電会社である。
〔資料〕海外生活奮闘記:イギリスの電気とガス - 毎日新聞 2010年7月13日
http://mainichi.jp/life/weekly/column/archive/news/2010/07/20100713wek00m040006000c.html
丁度その逆が、日本である。独占体制である為、何処にもコストを下げる市場原理が働かない。松永安左衛門の唱えた電力の民営化が、実際には電力9社による巨大な国家管理機構という化け物に育ってしまったのである。
電力会社は、企業努力による料金値下げを一度も実行したことがない。“石油価格の変動による”と称する料金の値上げと値下げを、自分の帳簿に合わせて勝手に実行しているだけである。経営者が実業家としての感覚を殆ど失い、政治家と自治体の選挙に対する最大の圧力団体となる迄、堕落の一途を辿ってきた。
結果は、高い電気料金を国民に押し付け、平然と居直ることになる。取り分け業界で最大の権力を誇示する東京電力は、一昨年(95年5月)に、遂に有利子負債が10兆円という天文学的な借金財政を記録し、その借金の利子まで電気料金として我々消費者に払わせながら、一方では同年3月決算で、経常利益2000億円という日本一の儲けを記録したのである。
普通の会社であれば、経常利益どころか、とうに倒産している企業である。10兆円の借金とは、東電の年間売り上げ高の2倍にも達する金額である。金融・証券・保険を除けば、上場企業2072社の有利子負債の合計が、その時点で181兆円であったから、2072分の1に当たる東電1社で、5.5%を占めていた。この会社が本当の意味でイギリスのように民営化され、電力小売り会社が3500もあるアメリカのような自由競争に晒されれば、どれほど能力のない官僚経営によって日本経済が苦しめられてきたかという実態が明らかになる。ソ連崩壊直前の官僚制度と同じ程度迄、9電力体制の腐敗が内部で進行している。≫≫
〔資料〕原発推進組織の資金源としての電気料金、及び電気料金の仕組み(消費者に転嫁するシステム)について - 自然の摂理から環境を考える 2010年7月23日
http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2010/07/000754.html
≪≪96年には、日本でも電力卸売りの自由化が実施され、各企業が電力会社に電気を売り込むようになった。その結果、入札が行われ、驚くべき量の電力が売り込まれた。
東北電力では、僅か15.5万キロワットの募集に対して、80万キロワットの申込みがあり、これだけで巻原発の建設は不要の計画であることが判明した。両横綱の東京電力と関西電力では、それぞれ386万と358万キロワットの入札があり、これらの数字から、関西電力がなぜ久美浜(くみはま、京都府)や珠洲(すず)で原発の建設を必要とするのか、エネルギー問題という点から、全く説明が付かなくなった。しかも電力会社は、それらの大部分の入札を切り捨ててしまった。
これは、通産官僚〔インサイダー岡田克也も元通産官僚[付録 3]〕が、国民より電力会社の利益を優先させる政策によって、中途半端な電力卸売りの自由化を進めている為である。
これらの入札価格は、電力会社の発電コストよりずっと安く、九州電力の場合は、九州石油などが電力会社のコストより3割半ばも安い値段で落札した。電力会社の経営努力が足りないことは、この数字で証明されている。97年には、9月迄の東京電力への入札で、更に多い586万キロワットの応募があった。電力会社は、何故この電気を買って消費者に売らないのか。
このまま彼らの官僚体質を放置しておけば、原発建設に投入した巨大な資金が生み出す“借金の利息支払い”と、未知の高レベル放射性廃棄物の天文学的な処分費用が、不良債権に苦しむ金融機関と同じように、国民にとってこれから膨大な金を要求する運命にある。≫≫
結論を述べたい。
日本の原子力産業は、東海村で始まって花開くかに見えたが、東海村の爆発事故によって、桜の花散る季節に、その終わりを告げた。
これから残る問題は、この大きな潮流を読み取ることが出来ずに、47都道府県のうち、どの自治体が最後までこのゲームに残るかである。プルトニウム・セシウム・ストロンチウムなどの発癌物質を大量に含んだ使用済み燃料、低レベル放射性廃棄物、高レベル放射性廃棄物、そして巨大なコンクリート汚染物として発生する廃炉を引き取る、という深刻さである。
〔資料〕原発廃材のフライパンで料理しますか? - 環境と原子力の話
http://homepage3.nifty.com/ksueda/lowlevel.html
それを発生させた人間集団の責任問題を考えれば、議論は、最大の電力消費地である東京や大阪・名古屋に戻されるべきである。しかし現実には、96年、原子力委員会委員長代理の伊原義徳が本心を暴露したように、大都会に放射能は危険なので持ち込まないという認識が、我が国の国策として確立されている。この発言が、全土で怒りを呼び起こした。
そうした意味で、能登の志賀(しが)原発と、浜岡原発の増設に同意した石川県と静岡県の両知事は、後に住民から重大な責任を問われることになるであろう。何れも自治省の官僚だった両人である。これ程明確になった“降りるべきゲーム”に両人が最後に参加した原因は、霞が関体質にある。
しかし両県の住民には、まだそれを拒否するだけの充分な時間が残されている。三重県の芦浜原発計画では、三重県民81万人という空前の反対署名を受けて、それまで原発を推進してきた自民・新進を始めとする全会派が、賢明にも建設凍結を正式に県議会で決議した。
悪いカードを握っているのは、青森県知事である。しかし木村守男知事は、県民を守る為にいつでもテーブルにカードを投げ捨てることが出来る。そのカードは、東京電力が拾って、最後の支払いを済ませなければならない。それがルールである。環境破壊に没頭する電力会社が、地球温暖化を原発推進の口実に利用する現状は、笑い話にもならない。
これまで本書で、事件毎に明らかにしてきた系譜を、最後に、【系図14―国家を私物化した一族の全系図】に、纏めて一家族として示しておきたい。これが、【系図1】から【系図13】迄の集大成である。本書の書名が意味する問題の所在が、ここにある。
【系図14―国家を私物化した一族の全系図】
http://www.asyura2.com/bigdata/up1/source/4406.jpg
この系図では、【系図7〔2頁に収録〕】の建設業界、【系図12〔省略〕】の台湾総督と原子炉メーカー、【系図13〔省略〕】の電力業界は、全員を描くと余りに多人数となる為、極少数の代表者だけを選んで描いてある。実際には、その全員がここに入る。これ迄の各章とは別の目で、読者御自身の慧眼(けいがん)を以って、この系譜の頭から終わりまで、1人ずつの名前と履歴を追って頂きたい。
ここにいる全員が、一族である。【系図1】〜【系図13】に描かれた暗黒事件の全員が。
〔後略〕
〔資料〕「原爆ホロコースト」の実態 - HEXAGON
http://hexagon.inri.client.jp/floorA4F_ha/a4fhc700.html
〔資料〕広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』(光文社 1997年10月刊行)
http://www.amazon.co.jp/%E7%A7%81%E7%89%A9%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E2%80%95%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%BB%92%E5%B9%95%E3%81%AE%E7%B3%BB%E5%9B%B3-%E5%BA%83%E7%80%AC-%E9%9A%86/dp/4334971539
◆ ◆ ◆
(4頁へ続く)
(3頁からの続き)
[付録 1]
〔広瀬 隆 著『地球のゆくえ』(集英社 1994年7月刊行)より、本文2頁中段の内容に関連する箇所を抜粋〕
■チェエルノブイリ事件と冷戦終結
世紀末の不況の波は、1989年から90年にかけて始まった。その最大の原因は、ソ連の崩壊と冷戦の終結だった。東西冷戦は、真の対立であったのか、それとも第2次世界大戦で膨大なものに膨れ上がったアメリカやヨーロッパ、ソ連の軍需産業を維持する為、絶対不可欠な条件ではなかったのか。冷戦構造が無くなることにより、世界最大を誇ってきた3つの産業が同時に崩壊し始めた。ここに本質がある。原子力産業、各兵器産業、軍需産業の3つである。これが、今日ある世界同時不況の根本的な原因となった。
この狂気の作業に没頭して国家の経済を建て直そうとした代表的人物が、アメリカのレーガン大統領とイギリスのサッチャー首相であった。そして、冷戦の終結とチェルノブイリの事故で、とてつもない軍需産業の崩壊が不況を生み出した。軍需産業の本質は、戦乱や紛争を引き起こすことになる。はっきり言えば、人殺しが商売である。しかし、冷静なジェントルマン達が経営している会社である。「紛争が起こらなければ、自分の会社が潰れる。何としても、紛争か緊張状態を維持していかなければならない」。それが彼らの実業である。
また、軍需産業の元締めは、実は世界の金融財閥に動かされてきた。全て、東西の産業同士が貿易の世界で繋がり合って成り立っていることが分かる。金融の世界を大きく分けると、ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸とアジアである。ヨーロッパの隠し金庫は、中心地がスイスにあり、アメリカではキューバ周辺のカリブ海が中継地、アジアの場合は香港とシンガポールが拠点となっている。この3つの場所を繋ぐのが、タックス・ヘイブンと呼ばれるネットワークだ。このネットワークの中で、世に言うアンダーグラウンドの巨大な金が、平然と流れていく。これは誰もが知っているが、誰も摘発出来ない制度となっている。
■国際金融ロスチャイルド
世界の金融の総本山はロスチャイルド財閥である。東インド会社を根城にして全世界を侵略したキリスト教金融財閥は、ロスチャイルド家が台頭する以前に、先ず最初に地球上にあった。この重大な事実を故意に無視する人間が「ユダヤ人陰謀論」を振りかざすのである。しかし、こうしたキリスト財閥の系図のど真ん中に、19世紀初めから姿を現したのが、他ならぬロスチャイルド家であった。
ロスチャイルドはキリスト教徒の財閥と結婚を重ねるうち、金融界の大部分を動かすようになってしまったのである。ウォール街の著名なユダヤ系マーチャント・バンクは、全てロスチャイルド・ファミリーが創業したものである。ユダヤ人の金融力とキリスト教の資産・文化が手を結んだ時が最も強い。世界経済と金融の世界は、両者の頂上部分の和合で成り立っている。何れも支配層のユダヤ教徒とキリスト教徒が結婚し合って、金融界を牛耳っているのである。
陸軍軍人・澄田睞四郎(すみた らいしろう)の息子がベルギー大使館、フランス大使館の一党書記からキャリアをスタートさせ、やがて日銀総裁のポストに就くや、金融自由化が行われて今日の経済危機を迎えたことになる。ロスチャイルド一族のマーチャント・バンカーに登場するラザール・フレールは、クリントン大統領の黒幕だけでなく、日銀総裁だった澄田 智(すみた さとし)を顧問として迎え入れた。ここに、日本経済がどのように動かされているかを知る重要な手掛かりがある。日本の中央銀行のトップだった澄田が、ベルリンの壁崩壊後に辞職すると、経済紛争の相手側と言ってもよいラザールの門に潜っていったのである。ラザール・フレールは、フランスに発し、ウォール街に拠点を築いたマーチャント・バンカーである。そして現在の日本経済は、戦後、ウォール街によって育てられた「敗戦の所産」であった。
■日本とロスチャイルド
終戦直後のマッカーサーによる財閥解体を無力にしてしまった中心人物は『ニューズウィーク』誌の編集長ハリー・カーンであったと言う。そしてその目的は、戦前に日本に投資をしたアメリカ財閥が、資金を回収しながら戦後の日本経済を再支配することにあったと言う。『ニューズウィーク』の創刊者ジェームズ・サックスは、ユダヤ金融の1つ「ゴールドマン・サックス」の一族である。そして、財閥解体阻止に動いた黒幕が、ジョゼフ・グリューだった。
中国の石油利権に最も深い関係を持つモルガン家とロスチャイルド家の代表者が、ジョゼフ・グリューだった。このグリューが、日本の財閥解体阻止に動いた黒幕の1人だ。グリューは一族の代表者としてアメリカから大使として日本に派遣され、1932年に着任した。彼の妻がペリーの一族だった。ロスチャイルド代理人の直々の上陸である。グリューは満州でのアメリカ石油資本が日本に排除される状況に、激しく抗議した。そして真珠湾攻撃の情報をアメリカに逸早く報告していた。
欧米の財閥は、戦犯の恥部を握り、日本の上層階級を好きなように動かすブラック・リストを持っている。その財閥がロスチャイルドである。
■ユダヤ人
ヨーロッパの極右と呼ばれる人間が危険なのは、むしろユダヤ人にとって危険なのではなく、アジア系やアラブ系、黒人などに対して攻撃を仕掛けている現状である。ユーゴ内戦のような紛争を除けば、ヨーロッパや第3世界で迫害の為に殺されている人間の99%は、実は有色人種である。肌に色があると、本当に危ないのである。
その原因は、最大の要因が難民問題と失業問題にあった。兎も角誰もが静かに生活したいと思っている時に大量の難民が押し寄せ、ヨーロッパの普通の市民が困り果てているのだ。その心の隙を、極右が刺激し、煽動しているのが現状である。
この難民の殆どはソ連崩壊と並行して、ロシア・ポーランドなど東ヨーロッパ諸国、更には南下してトルコ、中近東の紛争地域から爆発的に発生した。その難民が押し寄せたのはドイツだった。難民が低賃金で働く為にドイツ人の職場が無くなった失業問題の為、極めて強い忍耐力を必要としているところに問題がある。
現実には、アメリカ・ヨーロッパのユダヤ人が、ここ数年に犯した重大な金融犯罪や不祥事の方が、遥かに数多い。第3世界や中国の人権問題が話題に上りながら、パレスチナのアラブ人難民問題が取り上げられないのはどのような意図があってのことなのだろうか。全世界で、ユダヤ人に対する修復不能な嫌悪感が生まれ始めていることに、ユダヤ人自身が気が付かなければならないだろう。極めて危険な兆候が、ヨーロッパ人の心理的変化に見られる。イスラエルという国家が、ユダヤ入植者達に補助金を与えて送り込み、パレスチナ人を殺す先兵として育ててきたことは、現地を訪れた人がみな周知の事実である。
現在認識されていないユダヤ人問題は、南アフリカやアメリカ黒人の深刻な戦後の問題、そして延々と続くアジア・アフリカ・中南米でのユダヤ系商人の経済植民地化問題である。南アのアパルトヘイト問題ではオッペンハイマー〜ロスチャイルド財閥を支配者とする加害者なのである。南アの黒人を奴隷として扱ってきたのが、彼らである。南アの白人極右組織を育てた資金提供者が、ユダヤ人のタバコ王アントン・ルパートであることは、黒人であれば誰でも知っていることだ。核兵器と原子力問題では、全政界の原水爆開発の主な指導者が、全てユダヤ人の一族であった。
ユダヤ人は二重構造になっている。1つはイスラエルのキブツに代表される、牧歌的だが、かつて貧しかった階層である。もう1つの層が、ロスチャイルドに代表される、ヨーロッパとアメリカの金融界に巣食う富裕クラスである。しかも大多数のユダヤ人は、かつて貧しく、今はロスチャイルドの力で富の分配を受けるようになった階層に属している。これに対して、力を持っているのは、キリスト教の支配者とも組んで欧米を中心に活動する、富裕なクラスである。そのロスチャイルド一族が、ヨーロッパにおいてユダヤ人に対する憎悪と迫害の原因を作りながら、実際には、ユダヤ人の中で最も小さな被害しか受けなかったのである。利権を握る上流社会は、逃げ出すのも早ければ、様々な取り引きが出来る為に、生き残ることも出来る。
■香港経済とロスチャイルド
中国経済を動かしているのは、香港である。香港から中国に行けば、上海や福健省など、色々な経済特区の名前は出てくるが、元は全て香港にあり、そこから毎日「金」が行き来する。こうしてアジアの「金」の価格は、日本の兜町ではなく、香港が決めている。
香港経済は、実は昔も今も、ロスチャイルドの手の中にある。麻薬で中国を支配したアヘン戦争時代からアヘン王のサッスーン家、つまりロスチャイルド家のサッスーン家が支配してきた。サッスーン家は、中国だけでなく、日本の神戸でも長者番付に名前を連ねてきた。サッスーン家は、関西貿易の黒幕である。そのサッスーン一族のローレンス・カドーリーが、これまで香港経済を握ってきたのである。
この一族が香港の電力財閥を形成し、核と原子力を握っていた為、中国が泰山原発と大亜湾原発の建設・稼動という危険な道に踏み込んでしまったのである。金融相場の「金」と、原子力の「ウラン」は、南アやオーストらリア、カナダ、アメリカに見られるように、殆ど同じ鉱山業者によって独占されているからである。
アメリカやヨーロッパの経済がどれ程没落しようとも、この一族は図抜けた収益を記録し続け、それをスイス、香港、カリブ海という3大拠点の帳簿操作によって、帳簿から消してしまうのである。ロスチャイルド一家が金価格上昇ゲームをスタートさせた動機は、アメリカ・ヨーロッパ全体の経済不況や失業率上昇の他、ロシアの利権を独占する為のロシア救済問題など、多くの危機を乗り切らねばならないという事情があったからである。
■穀物業者
国民の大部分は既にガットの合意が成される前の時点で、米の輸入には強く反対していた。ところがガットの合意を後押ししてきたのは、何故か大新聞だった。その為「合意は仕方ない」という少数の「町の声」が新聞紙上で頻繁に書かれ、農家は、まるで日本全体が敵であるかのような錯覚を持たされたが、事実は違っていた。消費者は始めから農家の味方だったのである。
アメリカ・ヨーロッパの財閥が日本の米市場を狙った目的は、米の自由化そのものでなく、これを突破口とした、農作物と飼料・肥料の大攻勢の可能性がある。そこには、穀物商社という巨大な国際組織がある。ヨーロッパ最大の穀物商社のフェルッツィ社はロスチャイルド財閥が育てた会社であり、穀物を動かしている世界は、地球上で最も大きな産業部分であり、金融財閥の手の中にある。
穀物貿易は、一世紀前のウクライナ、ルーマニアを中心とする帝政ロシア南部の大穀倉地帯から大商人が続々と誕生し、そこにアジアのインドシナ半島の米と、南米アルゼンチンや北米大陸の小麦へと事業が広がってゆき、ついには、主に5つの商社が世界の大半を動かす迄に集約されてきた。
ガットと米輸入自由化の議論で、大半の日本人が忘れるのは、自由化で儲ける「大物」がいるということである。世界の5大穀物商社は、何れもアメリカの国籍を持ち、そのうちカーギル社が最大の存在である。カーギルなどの巨大穀物業者がガットの利益に手を伸ばしてきたのである。そしてアメリカが考えてきたのは、地球全体の食糧支配である。
ところが、アメリカの巨大穀物産業が進出することによって、これ迄多くの国で農家の生活が立ち行かなくなり、最終的にはあらゆる工業分野まで支配を受け、巨大な借金を抱えて各地に内乱と難民を生み出してきた。自由化して流動性が高くなれば、貧しい国の食糧はインフレ化して飢餓と内乱が発生する。世界中で最悪の食糧難が相次いでいる。
これこそ穀物商の願っていたことである。穀物商の力は、先ず収穫物を買い上げてくれる金融力にあり、次に運搬して貯蔵する鉄道、船、倉庫の支配力にある。穀物商社のカーギル家、バドワイザーのブッシュ家、クアーズのADMを支配するロックフェラー家は、相互に関係し合っている。穀物業者がロックフェラーに感謝してきた歴史の重みは大きい。その動機は、ファミリー・ビジネスの利益が目的だった。同じ仕事に従事しながら表向きはライバルを演じて、市場の価格を自分達の思いのままに動かしながら巨大な利益を手にしていった。その方法は、利権者同士の結婚だった。
ガットの合意事項とは、それを全世界に広げた一家族の為の米市場開放要求だったのである。穀物商社としてカーギル社が有名だが、ヨーロッパや南米からアフリカにかけては、ルイ=ドレフェス、コンティネンタル・グレイン、ブンゲというユダヤ系の3大穀物商社の総合力がこれを上回り、全世界の植民地に進出して、貧困世界の独裁者を育ててきた。その本質的な支配状況は、現在でも変わらない。その元締めはロスチャイルドだった。
事情を知らない評論家が、やはり安易に米輸入自由化を唱えてきたが、農民の怒りを「あれは圧力団体だ」という安易な見方をする者が知識人に多いのは、我が国で農業を足場に利権屋となる人間がいることにも原因があるだろう。アメリカの輸出品目のうち、最高額を記録しているのが農産物であり、それを日本が一手に引き受ければ、日本人の生活は、バブル崩壊どころではない。
1億人の国家が、年間1300万台も自動車を生産し、輸出してきたこと自体、如何に異常であったことかと思う。自動車の増加は、木を切り倒してコンクリートを敷き詰めることに繋がるが、このまま永遠に、その作業を続けられるはずがないことは誰にでも分かるはずだ。現在は、不況脱出ではなく、地球の変革や工業中心主義から脱却する機会だと見て、人生観を洗い直してゆく好機である。
〔資料〕広瀬 隆 著『地球のゆくえ』(集英社 1994年7月刊行)
http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E3%82%86%E3%81%8F%E3%81%88-%E5%BA%83%E7%80%AC-%E9%9A%86/dp/4087751759/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1303319329
◆ ◆ ◆
[付録 2]
〔資料〕三菱重工 原子力事業本部|vol.72 「世界の国に原子力エネルギーを」−海外向け原子力事業のご紹介−井上 裕氏
http://www.mhi.co.jp/atom/human/interview072.html
〔資料〕旧岩崎邸庭園 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E5%B2%A9%E5%B4%8E%E9%82%B8%E5%BA%AD%E5%9C%92
〔資料〕旧岩崎邸庭園を訪ねる(全4頁) - 台東区文化ガイドブック
http://taito-culture.jp/history/iwasaki/japanese/page_01.html
〔資料〕旧岩崎邸庭園 - マリみてモデル地探訪・小笠原邸篇
http://artemis.jpn.org/iwasakitei.htm
◆ ◆ ◆
[付録 3]
〔資料〕【原発大増設】地球温暖化対策:原発さらに20基必要(エネ庁試算)―市民社会フォーラムML - 薔薇、または陽だまりの猫 2010年3月7日
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/482371891f2de1d269c331d69f77464a
〔資料〕岡田、前原民主党両議員「拉致は諦めても核は諦めない」 - 朝鮮歴史館 2009年5月5日
http://ameblo.jp/campanera/entry-10255350161.html
〔資料〕イオン(企業) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3_(%E4%BC%81%E6%A5%AD)
財閥系・金融系の企業グループとの繋がりを見ると、三菱グループとの繋がりが深い。岡田卓也が岡田屋時代に視察した米国のショッピングモールに感化したのを機に、共同仕入れ会社のジャスコ設立の際に合わせて「ダイヤモンドシティ」(2007年にイオンモールに合併)を三菱商事との共同出資で設立し、共同でショッピングセンターの開発に関わっている。また、それらの多くを三菱グループの日本リテールファンド投資法人が所有している。更に、コンビニエンスストア業界参入により設立した「ミニストップ」では資材調達で三菱商事と協力関係にある。2008年(平成20年)末には、三菱商事が筆頭株主になった。2007年(平成19年)以後はダイエーの再建事業の推進に当たり、丸紅とも近い関係にある。また、奇しくも同じ主力行であり、かつて同業においてダイエーに次ぐ“西の雄”とも言われた「マイカル」の支援企業として名乗りを上げ、系列下に収めたのもやはり同社であった。
近年のサブプライムショックに端を発する不況による売上不振と信用収縮に伴う財務不安の払拭を狙い、先述の通り元々旧ダイヤモンドシティの合弁相手であった三菱商事が筆頭株主になり、信用補完を行っているが、社債の格付けでは今もセブン&アイ・ホールディングスやユニーより低い為、三菱グループの日本リテールファンド投資法人による不動産投資信託等の別の資金調達手段を多用している。
〔2002年12月10日の代表選で厚生族出身の菅 直人が代表に就任してから、前原が代表辞任した2006年迄、民主党は、三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字―731部隊と繋がりを持つ)から献金を受け続けていた。ちなみに菅 直人が薬害エイズ事件で名を馳せた(問題を有耶無耶にすることで恩を着せた以外、実際は大したことはしていないにも関わらず)のは1996年。大規模小売店舗法の撤廃(対日年次改革要望書に基づく小泉改革の1つ、岡田もまたレント・シーカーの1人と目される)によって巨富を得た岡田一族は、小泉や米国と繋がっている可能性がある〕
※イオン“インサイダー”“レントシーカー”岡田克也(東大法出身)について
〔資料〕コメント欄13.岡田が良いと言ってる奴はアホか - 痛ニュー速報! 2009年8月31日
http://itainewssokuhou.seesaa.net/article/126878319.html
近年、イオン・ジャスコが大型店舗を次々と開店し利益を上げているのは、岡田克也が一族の私利私欲の為に法律を捻じ曲げた為。元通産官僚・岡田克也。岡田克也は当時、通産官僚として大店法改正案の内容を知る立場にあり、同時にイオングループの不動産売買を担当する小会社の取締役を違法に兼務していた。イオンと通産省が、岡田克也を媒介として「大店立地法」という情報で繋がってても不思議じゃない構図がある。イオン(旧ジャスコ)は、改正前から郊外地をターゲットに、出遅れた大規模な店舗展開を出来る準備をし、その結果、それまで業界での双頭の1つダイエーを押しやる程の力を得た。
〔資料〕対日年次改革要望書 - Wikipedia ※小泉改革、TPP
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E6%AC%A1%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8
※郵政選挙の背景にあるもの。BBDOとFleishman-Hillardは共にオムニコム・グループ=デヴィッド・ロックフェラー傘下企業。これぞ双頭政治による分断統治の典型。
〔資料〕広告代理店というのは、「国民洗脳産業」である - ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 2006年3月26日】】
http://amesei.exblog.jp/2879210/
〔資料〕村上ファンド投資家リストにも岡田克也の名前あり。代表選党員サポーター票不正集計疑惑の核心 - 植草一秀の『知られざる真実』 2010年9月11日
http://www.paradigm2020.jp/blogw/1284195481
※小泉純一郎と同じく厚生族出身の菅 直人、総会屋と繋がっている仙谷由人について
〔資料〕武藤春光・弘中淳一郎 編著『安部 英医師「薬害エイズ」事件の真実―誤った責任追及の構図』 - 木の実町より発信 2010年9月13日
http://tsiparehtonpyh.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-f299.html
〔資料〕武藤春光・弘中淳一郎 編著『安部 英医師「薬害エイズ」事件の真実―誤った責任追及の構図』 - 魚の目:魚住 昭 2010年9月28日
http://uonome.jp/read/983
〔資料〕Cervarix(サーバリックス)は、官政製薬の絡む利権 - GABRIEL's Blog 2010年8月17日 ※子宮頸がんワクチン利権と仙谷由人(東大法出身)
http://ameblo.jp/dominionsdevotion/entry-10622352166.html
〔資料〕民主党が推奨する子宮頸がんワクチン「サーバリックス」の副作用について - だって日本人だもの 2010年9月30日
http://justice6.blog24.fc2.com/blog-entry-340.html
〔資料〕子宮頸がんワクチン・薬害エイズ・菅首相を結ぶ線 - THINKER blog 2010年12月14日
http://thinker365.blog130.fc2.com/blog-entry-51.html
〔資料〕著名科学者が警告するHPVワクチンの危険性 - Beyond 5 Senses 2010年2月23日
http://tamekiyo.com/documents/mercola/hpv.html
※原発担当相就任が囁かれる細野氏だが、彼自身、核軍縮の為にMOX化を促進し普及させたいという危険な原発推進論者であることも忘れてはいけない。
〔資料〕フランス訪問 - 細野豪志ブログ 2007年4月30日 ※前原誠司は同じ京大法出身の先輩に当たる。共に京都生まれ。
http://blog.goo.ne.jp/mhrgh2005/e/5306e9a4ec079106d2ca7c6a5ee5adc7
〔資料〕核大国 フランス、そして日本 - 細野豪志ブログ 2007年5月6日 ※細野氏曰く“MOX for Peace”なのだそうだ
http://blog.goo.ne.jp/mhrgh2005/e/5145286532dbd6f02b42cd1885d4cb59
〔資料〕私の通ってきた道 - 与謝野 馨 ホームページ
http://www.yosano.gr.jp/myload/04.html
〔資料〕財団法人ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター 役員名簿(平成23年4月現在) ※理事に勝俣恒久・東京電力取締役会長、他
http://www.manjiro.or.jp/jpn/foundation/index02.html#directors
◆ ◆ ◆
(全4頁完)
≪広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』 第6章 より抜粋(1)≫|MelancholiaT
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-10867736936.html
≪広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』 第6章 より抜粋(2)≫|MelancholiaT
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-10867745478.html
≪広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』 第6章 より抜粋(3)≫|MelancholiaT
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-10867750906.html
≪広瀬 隆 著『私物国家―日本の黒幕の系図』 第6章 より抜粋(4)≫|MelancholiaT
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-10867756026.html
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