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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110419ddm005020004000c.html
東京電力:石田顧問、辞任へ 天下り、なれ合い半世紀 「原発安全規制に緩み」
福島第1原発事故を契機に去就が注目されていた経済産業省OBの石田徹氏が、東京電力顧問を辞任する。「官民の癒着が事故を悪化させた」との批判を受け、枝野幸男官房長官が経産省幹部の電力大手などへの再就職自粛を指示したためだ。政府は、旧通商産業省時代から半世紀近く続いてきた東電への天下りを厳しく監視し、安全規制体制への不信感を払拭(ふっしょく)する考えだ。
東電による経産省OBの天下り受け入れは、旧通産省時代の62年、石原武夫・元次官が取締役に就任し、副社長などを歴任したのが始まりだ。その後も、増田実・元資源エネルギー庁長官、川崎弘・元エネ庁次長、白川進・元エネ庁次長とほとんど切れ目なく天下り組が就任し、現在は6人の副社長ポストのうち1人は経産省OBの指定席とされている。
経産省OBの受け入れは他の電力会社も同様だ。塩川鉄也衆院議員(共産党)が衆院内閣委員会に提出した資料によると、電力大手10社に取締役として天下った同省OBは累計で45人に上る。
電力会社が天下りを受け入れるのは、エネルギー政策への影響力を期待するためだ。電力会社は官庁の規制を強く受け、原発の安全規制や電気料金改定まで、エネ庁や原子力安全・保安院の政策に経営が左右される。90年代後半以降は電力自由化の制度設計が焦点となり、電力会社は政府の審議会などを通じて政策への関与を強めた。今回の事故でも「官民のなれ合いが安全規制の緩みにつながった」(野党幹部)との見方が強い。
ただ、電力会社への天下り規制を強化するだけでは、なれ合いの構図は消えない。
同省は09年12月現在、計785の公益法人(財団、社団法人)を所管するが、原子力安全・保安院とエネ庁の所管法人の中には、経産省OBや東電出身者らが理事や監事などで在籍し、業界から会費などの名目で資金を集めて天下りの受け皿になっているケースも少なくない。
政府内には「公益法人が癒着の温床となっている実態にも切り込む必要がある」との指摘もある。【三沢耕平】
◇民主政権、無策浮き彫り
民主党政権が踏み切った経産省幹部による電力会社各社への再就職自粛は、自公政権下での「退職前5年間の職務と関係の深い業界への再就職は2年間禁止する」措置の復活といえる。「天下り根絶」をうたった民主党政権は、実効性のある対策を全くとれていないのが現状。批判を受けて対策を急ぐ泥縄的対応に追われている。
枝野氏は官僚の再就職に関し「省庁のあっせんがなければ天下りに該当しない」との立場だった。しかし、18日の記者会見では「原子力という関心の深い問題で強い疑義が持たれた。(再就職が)法律上問題ないとしても、法に反しない範囲でやれる対応をする」と方針転換した。
官僚OBの天下りは野放し状態となっている。自公政権の再就職禁止措置は、07年成立の改正国家公務員法で「再就職等監視委員会」の設置に伴い廃止。しかし、民主党が委員人事に同意せず、監視委が休眠し、機能していないからだ。
枝野氏は「法改正が良かったかを含め、抜本的な検証が必要だ」と述べ、所管業界への再就職自体を規制する考えを示唆。一方、他業界への天下りに関しては「国民とともにある企業や業界なら独自で判断するだろう」と述べ、当面は各業界の自主性に委ねる考えを示した。【吉永康朗】
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毎日新聞 2011年4月19日 東京朝刊
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