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(平成23年4月18日 午後2時)
東電がこれからの「工程表」を出したことによって、これからどのように進むか、さらに具体的なことが言えるようになりました。
4月16日に発表された東電の工程表はかなり踏み込んでいて、その中でも「熱量など肝心なことが理論計算できる段階」という事が判りました。
たとえば、原子炉の中で崩壊熱が出ていて、それを冷やすために水を投入していますが、副社長の説明では投入した水がどのぐらい温度が上がっているかは、理論計算で合っていると言いました。
このことは原発全体は、
1) 思うように行動できないが、
2) 理論計算は合っている、
と言うことになります。
実は、被災された方がおられるので、あまりに科学的で冷たい解説がしにくかったので、控えていました。でも、ここで地震以来のことを「純粋に科学的に」振り返ってみます。
少し内容的には難しいものもありますが、おおよその筋が「当然、進むように進んでいる」ということを解説しました。
1. 震度6の地震に襲われ、耐震設計通り原発はかなり破壊された
(これは重要なことで、「津波」が強調されたが、配管などが地震で破壊されていることが判らないと、今後の回復も判らない)、
2. 制御棒は原子炉に挿入できたので、核爆発は避けられた
(軽水炉なので、核爆発は安全側にある)、
3. 10メートルを超える津波に襲われ、設計通り原発が水没した
(これで電気系統、制御系が破壊された。同じ場所に通常電気系、予備電気系、非常電気系、水素除去系などが置かれていたので、「非常用」の役割を果たせなかった)、
4. この時点で「水素爆発による放射性物質の大量放出」が起こることがハッキリしたので、直ちに政府は退避命令をだすべきだった(3月11日午後6時には退避命令が必要だった)、
5. 冷却水が循環しないので、直ちに蒸発を始め、燃料棒が露出、温度が急上昇して、ジルコニウムと水が反応して水素が発生した、
6. 水素が発生したので、圧力容器の圧力が上がり、格納容器に水素が移って圧力が上がり、さらに建屋に水素が移って、1号機と3号機が水素爆発した、
7. ここで気象庁が、風向きなどを計算して、近隣の放射性物質の分布を推定し避難地域を「同心円」から、「帯状」に変えるべきだった(3月12日 午後6時頃には可能)、
8. 気象庁が動かなければ、気象学会か気象学者が直ちに応じるべきだった
(気象学会は後に「研究結果を発表するな」と反国民的行動(国民を余計に被ばくさせた)にでた)
9. 2号機は格納容器の下部が破損、4号機は使用中核燃料の冷却ができずに水素爆発し、4機とも破壊した、
10. この時点で、放射性物質の飛散状況は計算でき、数万テラベクレル規模であることが判明、
(この時点(3月16日午前)で“レベル7”の事故であることが判明した)
11. 福島原発事故の「第一段階」は3月16日に終わっている(その後は何も起こっていない)。
このブログでは3月16日に「原発事故は第二段階に入った」と書きましたが、その後には大きな変化はなく、少し言いにくい用語なのですが、「順調に」放射性物質が少しずつ減りながら今日に至っています。
すべてが科学的に見れば「必然的に進んでいる」ということに注意してください。
もともと震度5ぐらいで設計されているのですから、震度6で破壊しても不思議ではないし、津波の想定も甘く、さらに電源を一箇所においたのですから、電気が止まったのも必然的です。
原子炉の構造からいってその後の水素爆発も当然です。このように進んだことは、放射性物質は大量にでたのですが、一方では、私たちに安心感を与えます。
1. 異常なことは起こっていない(過去)、
2. 東電の工程表でも異常なことは起こらないとされている(将来)、
3. それなら予測ができる。
東電もここまでの事態になって、腹が据わったのでしょう。批判する人は多いのですが、私は4月17日(日曜日)の東電会見は良かったと思います。
でも、その後の日本政府の対応は 酷いものでした。
「東電という会社があることが判ったが、日本には国と言うものがなかった」
と私は感じたのです。
日本政府はあれ程、細かい東電の工程表がでたのに、「9ヶ月後ぐらいに検討する」と呆けたことを言いました。
どうせ政府は当てになりませんから、
「原発は壊れたけれど、科学的には異常なことは起こっていない」
ということを前提にして、次の記事では、
「近々、どうなるか」
を東電の工程表を受けて書こうと思います。その時に、これまで(3月16日まで)の状態は一応、頭に入れておいていただくと助かります。
(平成23年4月18日 午後2時 執筆)
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