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関係者も愕然!東電“嘘っぱち”工程表「あくまで希望的観測」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110418/dms1104181607018-n1.htm
2011.04.18 :夕刊フジ
放射性物質の漏出が続く福島第1原発について、東京電力は17日、事態収束に向けた「工程表」を発表した。放射線量の着実な減少(ステップ1)に3カ月、放出を管理し、線量を大幅に抑制する段階(ステップ2)までは最長9カ月かかる見込みという。しかし、深刻な事態が続く1−4号機周辺は、依然高い放射線濃度を記録しており、作業員が近づくことさえ不可能。放射性物質を含む水や蒸気の漏出箇所も特定できておらず、関係者は「(工程表は)あくまで希望的観測」と自嘲している。
「少しほっとしたが(6−9カ月は)大変長い期間だと思う。ようやく少し先が見えたという感じだ。収束後から村が再建されることになる」
政府と東電の“泥縄”で示された計画避難に揺れる福島県飯館村の菅野典雄村長は、東電が発表した工程表を受け、複雑な表情を見せた。しかし、実際に現場で復旧作業に従事する原発関係者の多くは、「こんなに早期に冷温停止状態に持っていけるとは思えない」と語る。工程表は、関係者の多くが愕然とするほどの“楽観的観測”というのだ。
そもそも、こうした工程表を作成するうえでは、各原子炉の損傷状況の詳細な把握が不可欠。しかし、建屋近辺や内部はいまだ高い放射線量が示され、とても人間が作業できる状態ではない。原子炉や燃料プールの現状は未確認のままで、汚染水の漏水が完全に止まったかどうかも判然としていない。タービン建屋の地下だけで6万トンに及ぶ汚染水の保管場所すら定まっていないのが実情だ。
「一連の爆発で1、3号機は格納容器、2号機は格納容器につながる圧力抑制室の一部が損傷している可能性が高い。だが、注水作業が続く中、総延長数十キロに及ぶケーブルや配管をかきわけて損傷箇所を特定するだけでも至難の業。さらに、燃料プールに漏水があった場合、格納容器と異なり外側からの補修は困難なことから、数カ月ですべての穴を塞ぐというのは希望的観測に過ぎない」(原発作業員)
こうした声を裏付けるように、工程表の確度を追求された勝俣恒久・東電会長は、会見の席上、「(事故の)収束は成功するのではないか。自信がないが…」と、しどろもどろに。一方、菅直人首相は、「これで一歩前進かな」とまるで他人事のようなコメント。最長9カ月の事態収束は完全に絵に描いた餅だ。
ほかにも、リスクを数え挙げればキリがない。東電関係者はこう語る。 「燃料ペレットの損傷状況は未知数で、今後も断続的に小規模な再臨界が生じて急激に放射線量が増加する可能性も否定できない。だが、工程表はこうした際の作業員の退避方法や抑制手法に一切踏み込んでいない。格納容器の損傷を補修する前に燃料域上部まで水を満たせるかどうかも分からない。当然、作業員の安全はまったく担保されていない」
史上最悪といわれるチェルノブイリ原発事故(レベル7)で、米共同調査チームの代表を務めたジョージア大のチャム・ダラス教授は、放射性物質の漏出を止めるまでに「1年は必要」と工程表よりも厳しい見方を示しているが、これはあくまで巨大余震のリスクを度外視したもの。福島第1原発が建つ福島県浜通りは、約1週間前にも最大震度6弱の余震が2回、5弱が3回発生。先月23−24日にも5強を3回観測するなど、強い余震に見舞われている。
東電は工程表の中で、今後の作業の障害となり得る9つのリスクを示した。すでに存在するリスクとして、水素爆発が再度発生することと、原子炉格納容器の損傷箇所の密閉作業が長期化することを挙げたほか、原子炉の冷却に必要な電源が余震や夏場の雷で一部喪失することも挙げている。 また、放射線レベルが高い場所での作業の長期化や、高濃度の汚染水を保管する施設の設置遅れなども懸念している。
その後に続く第2段階でも、放射性物質の放出を抑えるために原子炉建屋全体を覆うカバーが巨大台風で破損する恐れを想定。つまりはリスクだらけ、ということだ。
日本戦略研究フォーラム復興支援・国際連携室室長の唐川伸幸氏は、「工程表は、内部の損傷の状況を最小限に見積もっている。原子炉の冷却を最優先にする一方、放射能そのものの抑制は後回し。それだけ、作業員や住民の生命を危機に追いやっていることになる。米国は冷却だけで2〜3年かかるとみており、政府や東電の認識の甘さがうかがえる」と話している。
福島原発収束に向けた当面の取り組み
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20110418/dms1104181607018-p1.htm
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