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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5834
原発事故:原子力から逃れられなくなった日本 グリーン化と同時に世界最先端の核利用国家を目指せ
2011.04.16(Sat) 川嶋 諭
今週のJBpress
1945年8月は米国によって私たちは世界で初めてそして最も過酷な試練を受けた。それから66年後の2011年3月、今度は自らの手で世界最高レベルの災厄を日本にもたらしてしまった。この禍難は簡単に拭えるものではない。
日本が背負った十字架の重さ
いくら放射能汚染はたいしたことない、食品や水は安全だと、口角泡を飛ばしてみたところで世界中で湧き上がっている“風評被害”は収まらないだろう。
残念ながら私たちは、放射能汚染列島ニッポンという十字架を背負って生きていくしかなくなってしまった。
これは受け入れなければならない現実であり、こんな事故を引き起こすに至った東京電力と通商産業省の原子力安全・保安院の罪は極めて重い。
しかし、彼らを責め立てれば一時溜飲は下げられても、背中の重い十字架は消えないどころか、ますます重く感じることになる。
では私たちはこれから原子力に対してどのように向き合うべきなのだろうか。1つの選択肢は原子力からの完全撤退である。原子力フリーを宣言して一気に世界で最高のグリーンエネルギー大国を目指す。
世界最大のグリーンエネルギー大国になれるか
もちろん、原子力を捨てて石油や石炭による発電に戻っているようでは背中に重い十字架を背負ってしまった甲斐は全くないので、原子力を捨てるからにはグリーンで世界一を目指すべきだ。
しかし、果たしてそれだけでよいのだろうか。「今回のことで原子力は怖いことを痛感させられたので手を引く。撤退するのも立派な勇気である」ということで。
格好の良い姿勢に見えるが、日本の将来を本当に考えている方針かと言えば、正しい選択だろうか。たとえて言えば、何の担保もないのに永世中立国を目指すと宣言しているのと同じような危うさを感じる。
理想論だけでは現実の国家運営はできない。今回の福島第一原子力発電所の事故も、現実に直面することを避け、理想論に逃げた結果生じてしまったと言えなくもない。
日本の原子力発電所は十二分な安全設計の上に成り立っているのだから、もしもの時のことを考える必要はない。何があっても全電源を喪失することはないのだと。
世界で唯一の被爆国が生んだ思考停止
しかし、それがただの理想論であり詭弁であることが白日の下にさらされてしまった。完璧な技術など原子力に限らず世界中のどこを探してもあるはずがないのだ。
そんな当たり前のことが日本の原子力発電所ではまかり通ってきた。なぜなのか。唯一の被爆国として、原子力の利用には世界で最も高い安全基準を作っているという驕りと、その反動である万が一の場合の備えに対する手抜きが原因ではなかったのか。
津波によって全電源が失われてから丸1日たって水素爆発を引き起こすまで、ほとんど対応らしい対応ができなかった初動のまずさ。政府や東電のただ慌てふためくだけの姿は、訓練が全くなされていなかったことを如実に示している。
海水の注水後も、海への漏水は素人でも予測がついた。当初、新聞紙で漏水を止めようとした姿は、かつて原子力船「むつ」で、今となっては桁違いに小さな放射能漏れが検出された際、ごはん粒で放射能漏れを防ごうとした記憶と重なるものがある。
何にも変わっていない、進歩がないということではないのか。
自衛隊にはもしもの装備が何もない
JBpressの記事では、今週、この記事「災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声」がとりわけ読まれた。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5869
この記事を読んで、恐らく多くの国民が心配になったのは、原発問題に限らず日本に万が一のことが起きた時、戦略も兵站もない混乱するに任せるだけの日本の姿ではないだろうか。
自衛隊員が私物の携帯電話や懐中電灯を使っている様子は、何ともお恥ずかしいばかりだが、無線連絡に十分な周波数が割り当てられていないことに至っては、外国に攻められるという本当の有事の際に自衛隊が機能できないことを宣言しているようなものだ。
要するにもしもの対応が全く不備であることが、今回の大震災では明らかになったということだ。自衛隊には原爆対応がほとんどできていないことも明らかになった。この点こそ、日本が最も留意しなければならないことだろう。
この記事「これでも被爆国? 幼稚すぎる原発事故対応」もその点を指摘したものだ。
原子炉の設計では世界最高に君臨するが・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5802
東芝は米ウエスティングハウス・エレクトリック(WH)を傘下に収め、もともと米ゼネラル・エレクトリックから沸騰水型の原子炉の技術導入をして、この技術で日立製作所とともに世界最高峰に上り詰めたうえに、WHの持つ加圧水型原子炉の技術も手に入れた。
日立、東芝、そして三菱重工業は世界屈指の原子炉メーカーになった。
しかし、それは設計と建設、運用までで、万が一の対応は世界最高というにはお粗末すぎることが今回の事故で明らかになった。この記事が示しているのは、まさにこの点だ。
日本が頼るのは新聞紙であり、ごはんつぶ。米国は無人のロボットや無人作業車などハイテク装備されている。これで、唯一の被爆国として、万が一の対応ができているというのか、というわけである。
さて、世界を見渡せば、中国は日本の事故にほとんど影響されず原発の建設を進め、原子力潜水艦も次々と建造している。インドもしかり。
次に世界で原子炉の大事故が発生した時、日本は何ができる
今回の福島第一原発の大事故で、日本はありがたいことに米国、ロシアに次いで原子炉の大事故を起こした3番目の国となった。“先進技術大国”を世界に強烈にアピールした格好だ。
このあと世界で4番目が起こらないという保証はどこにもない。再び日本ではあってはならない。
万が一のその時に日本は何ができるのだろうか。原子力はノーと宣言したから、そら見たことかとせせら笑うのだろうか。それとも、ごはんつぶか新聞紙を持って行くのか。唯一の被爆国であり、世界で最も深刻な原子炉の事故を引き起こした国という責任はどうなるのだろう。
そう考えた時、紹介したこの2つの記事に加えて、この記事「少量の放射能は怖くない、百薬の長にもなる」でも指摘しているように、原子力のあらゆる使い方を想定した時のリスク管理を徹底することが大切なのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5846
それは、日本が万が一再び原爆の攻撃にさらされた場合にも極めて重要だ。福島第一原発の事故が投げかけているのは、原子力から逃げることではなく、日本という素晴らしい国の英知を集めて、原子力のリスクに立ち向かうことではないだろうか。
もちろん、グリーンエネルギー化も世界一を目指しつつ。このような事故を起こして地球を汚染してしまった責任から逃げることは許されない。
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