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http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-13048916
2011年4月12日最終更新11:09GMT
福島:チェルノブイリと同じくらい悪いのか?
リチャード・ブラック
BBCニュース、環境担当
チェルノブイリは普通、「世界最悪の原子力事故」と呼ばれている。それには、十分な理由がある。
作動中の原子炉が火災を起こし、爆発した。放射性の破片は3万フィート(9,150m:投稿者)上空まで舞い上がった。旅客機がいつも飛んでいる高度だ。
その破片の一部は数千キロの彼方で落下した。それが濃縮されて、地元で産出された肉を食べたり牛乳を飲むことが禁止されるだけの強さになった。
日本の福島の事故が、国際原子力事象評価尺度(INES)に基づいて、最大級のレベル7に格上げされ、チェルノブイリと同格とされた。
さらに、発電所を運営する東京電力(TEPCO)の広報担当者は、最終的には、福島の事故はむしろチェルノブイリよりも悪くなるかも知れないと示唆した。
しかし、技術者たちの間では、この見解は優勢でないようだ。これは、日常的に原発を支える技術者たちにも、かつて原発に批判の声をあげてきた人たちにも共通している。
「レベル7という分類は、放射線の漏れが広範囲な環境に及んでいるという意味だ。だから『チェルノブイリと同様だ』と解釈されるだろうが、実際は同じじゃない」と、イギリス・サリー大学の物理学教授、パディ・リーガン氏は語った。
「放出された放射線量はずっと少なく、放出のされ方もかなり異なる。」
「チェルノブイリの火災は、大量の放射性物質を大気中に放出し、放射性物質はかなり遠方まで運ばれた。今回も、何度か放出があったが、それは原子炉からガスをベントしたときのもので、その後、放水によって冷却されている。」
引退したオーストラリアの原子力安全専門家、ドン・ヒグソン氏の言葉は、より核心を突いている。
「私の考えでは、[福島をチェルノブイリと同格に扱うのは]ナンセンスだろう」と、同氏は語った。
同氏の話では、チェルノブイリの爆発から1カ月で、134人の作業員が重度の放射線病で入院し、31人が死亡している。
福島では、入院者もいなければ、死亡者もいなかった。(何人かの作業員が被曝による火傷で病院に運ばれたが、これは重度の放射線病ではない。)
2つの単位
ではなぜ、格上げされたのか?
発電所で事態が悪化したという意味ではない。実際、完璧にコントロールできてはいないが、東北で起きた地震・津波の後の数日間に比べれば、事態は著しい安定を見せている。
これはむしろ、日本の原子力安全・保安院(NISA)が事故のデータを再分析し、総合的に、放射能の放出が、レベル7の範疇に区分されるという意味で決められた。
INES尺度を利用する諸機関のために、国際原子力機関(IAEA)が出版したマニュアルは218ページに及ぶ。
事故の規模を評価する基準の一つは、放出された放射性物質の総量だ。
これは、まず、各種の放射性同位体それぞれの放出量を合算し、次に、個々の同位体について、その性質に関連した変換係数をそれぞれ掛け合わせ、さらに、その結果得られた数値を合計することによって、算定される。
放射能は、ベクレル(Bq)という単位で計測される。この百万の百万倍(つまり、1兆倍:投稿者)がテラベクレル(TBq)だ。
レベル7の格付けの定義は、「数万テラベクレル以上のヨウ素131を大気中に放出したときと同量に相当する量の、放射性物質の放射能が環境に放出される結果をもたらした事象」だ。
NISAは福島の数値を、37万テラベクレルのヨウ素131に相当すると算出している。日本のシステムでの上位機関にあたる、原子力安全委員会は、63万テラベクレルだと語る。
チェルノブイリの520万テラベクレルの排出量と比べれば、規模は段違いに小さいが、双方のいずれをとっても、INES尺度でのレベル7に格付けされる閾値を、明らかに超える事象だ。
しかし、人々への危険については、このことから何も分からない。
ベクレルは、放射能が減衰する度合いを示す尺度だ。1個の原子核が1秒ごとに崩壊するとき、それが1ベクレルと定義される。
これと対照的なのが、シーベルトだ。この1カ月間の報道でよく使われてきた別の単位で、個人が浴びる放射線の医学的な影響に重点を置いた尺度だ。
さらに、大量のベクレルは、大量のシーベルトに自動的に変換されるわけではない。
「スリーマイル島・チェルノブイリ・福島を比較するのは難しい。なぜなら、放射性物質の放出が異なるし、人口分布も異なるからだ」と、イギリスに拠点を置く、独立の原子力技術者、ジョン・ラージ氏は語る。
「ウクライナや白ロシア(現在のベラルーシ)では、もともと人口が希薄だが、日本では、非常に密集した地域に、知的水準の高い一般市民が生活している。」
「国の対応も異なる。チェルノブイリでは、大量の作業員が健康への配慮がないまま投入された。しかし、日本は民主主義の国だ。」
別の分野では、避難地域を設定し、人体と食料への被曝量測定を当初から実施し、ヨード剤を配布した、日本の迅速な決定は賞賛を受けている。さらに、一般市民に発表された勧告や警告の量も、チェルノブイリの後に続いた沈黙とはかなり異なる。もっとも、別の分野では、日本の勧告の一部の質とタイミングについて、批判はあった。
使用済みとはならなかった
それでも、原子力専門家たちは、福島の状況は未だ非常に流動的だと警告している。
原子炉1・2・3号機に大部分の注目が集まっているが、4号機建屋内の使用済み燃料プールについても不安がある。
津波発生後の1週間で、プールが空になっていったことが明らかになった。つまり、燃料棒が発熱を続けていたのだ。
これは、おそらくジルコニウム合金が破損し、水素が発生した可能性があり、そして、東京電力が認めたのだが、核の連鎖反応が始まる危険性があったという意味だ。
「プールには250トンの物質が存在しており、大気中に放出される可能性は非常に高い」と、ラージ博士は語った。
「エネルギーについての事象が発生していたなら、膨大な量の放出物が実際に発生していただろう。」
優先すべきことは、現在続けられているように、燃料プールや原子炉本体に適量の冷却水を供給し続けることだ。余震となる地震や悪天候が、これ以上、作業を妨げることがないよう望みながら。
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(投稿者から)
イギリスBBCサイトに掲載された記事です。「レベル7」の意味を解説しています。誤訳があるかも知れません。御容赦下さい。
記事によれば、レベル分けは、あくまでも技術的な問題として考えた方がいいでしょう。数字に惑わされず、事態を見守るのが賢明なようです。
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