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福島原発事故でよく当事者により説明される「多重防御で万全だったはずなのに」、「5つの壁があったが万全ではなかった」などという言い訳は、「防御は多重にすれば確率論的に事故は避けられる」という幻想を木っ端みじんに砕いてしまった。
「多重防御なら事故を防げる」がなぜ幻想なのかは、身近で使っているPCやサーバーのバックアップを考えればよくわかる。PC・サーバーのハードディスク(HD)にはデータが保存されているので、ほとんどの人はあらゆる手段でバックアップをとっているはずだ。このデータのバックアップで悩ましいのは、レイドシステムで1台のHDに入れられたデータのコピーを常にもう1台のHDに保存しておく(ミラーリング)だけでは問題が解決しないことだ。
レイドシステムとは全く別に定期的に別の記録媒体にデータを保存しておかないと安心できない。それでも、このバックアップが同じ部屋で行われているとしたら、火事や地震になったらどうしようもない。そのためには、かなり離れた別の場所にデータを保存するか、データセンターでの保存サービスを使うことになる。
これは、レイドシステムがアドホックな物理的な障害や個別HDの寿命等にしか対応せず、ソフトウェア上のトラブルでは同じようにトラブルが記述されてしまうため防御にならないためだ。したがって、一定時間ごとに別にバックアップをとらざるを得ない。しかし、同一場所でバックアップをとっていると火事になれば一緒にデータを喪失してしまう。したがって、別の場所でバックアップをとるべきということになる。ところが、別の場所といっても同じ地方・国なら停電や地震ではデータを喪失してしまうことがある。したがって、違う地方、あるいは他国にあるデータセンターに常にバックアップデータを保存しておくということになる。
原発と言う人の命にかかわるシステムの防御に関して、単に多重防御をしても安全が保障されるわけではないことは、このようにより身近なPC・サーバーのことを考えてみれば明らかだ。多重防御といっても、ソフトウェア上のトラブルでレイドシステム上のHDが同時にだめになるのと同じように同時に全電源が喪失することはあるし、決して巨大すい星の衝突の確率の話ではなく、みなさんが日ごろPC・サーバーで経験しているようにいくらでも起こりえるのだ。
多重防御の幻想に惑わされて思考停止してはならない。
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