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http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-April/008860.html
[CML 008984] 福島原発で再臨界? ダルノキ-べレス論文の概略
TERAO Terumi teraoter at mint.ocn.ne.jp
2011年 4月 13日 (水) 04:46:55 JST
寺尾です。
福島事故評価レベル7と原子力安全・保安院がついに認めました。
その福島第一原発1号機の、損傷を受けた炉心で再臨界が
起こっている可能性をダルノキ-べレス博士が論文で示唆
しましたが、その再臨界があったかなかったか、これから
起きるか起きないか、が大きな話題になっています。
もし再臨界によって連鎖反応が起こっていたとすれば、再び
臨界となって中性子が出てくる可能性があり、事態の収束のために
身の危険を省みず現場で懸命に努力している作業員の皆さんに
大変な危険を及ぼします。1999年に東海村で起こったJCO
臨界事故の二の舞にならないとも限りません。
ダルノキ-べレスさんはそのことを心配し、東電にはそのような
再臨界に対しても作業員を防護する責任があると訴えています。
炉心の状況を推し量るために、中電は中性子を含めた放射線の
計測結果、海水の同位体組成の測定値などなど、正確な結果を
すべて、包み隠さず迅速に公開するべきです。
ダルノキ-べレスさんの論文とその日本語訳は「Japan Focus」の
ウェブサイト(URIは下に)に掲載されています。専門家には
英文論文を読んで頂ければよいのですが、専門家でない方の
ために、日本語への翻訳者として、何が書かれているのかを
かいつまんで以下に纏めてみました。
この論文のアージュン・マキジャーニさんによる解説文の
乗松聡子さんによる翻訳も出ていますので、お時間がありましたら
是非、以下のサイトをご覧ください。
英文論文: http://www.japanfocus.org/-Arjun-Makhijani/3509
その英語日本語対訳:
http://www.japanfocus.org/data/3509WhatCausedTheHighCL38JapaneseEnglish.pdf
====== ダルノキ-べレス論文の概略 ======
次の二つの事実が大事です。
事実1:中性子が観測されたこと。
中性子が3月13〜15日に、1、2号機南西1.5km地点で、13回観測された。
事実2:冷却海水中に放射性塩素-38が存在したこと。
1号機の冷却に用いた海水中に、塩素-38からの放射能が1ccあたり
160万ベクレル測定された。これは塩素-38の濃度にすると
1ccあたり51億6千万個に相当する。
この放射性塩素-38は、海水が含有する塩素-37が中性子を
取り込み、ガンマ線を放出する核反応を起こした結果
生成したものと考えられる。
生成する塩素-38の濃度は、中性子が1平方センチあたり、
1秒間に何個流れるかが分かれば計算できる。
核燃料から発生する中性子線の流れの個数を評価するために、
1号機の核燃料(連鎖反応は止まっているとして)が
1.溶融して底に溜まりその上を冷却海水が通る場合、
2.燃料は完全には溶融せず核燃料の間に空隙があり
そこを海水が通る場合、
という、二つの場合を考え、それぞれ得られた個数の
中性子によって生成する塩素-38の濃度を計算した。
その結果、濃度は1ccあたり最大に見積もっても、
1.の場合で1万7100個、2.の場合は659個、何れの
場合も、実測の51億6千万個よりはるかに少ない放射性
塩素-38しか生成しないことがわかった。
したがって、核燃料中でもっと沢山の中性子を放出する局所的な
臨界状態が生じたのではないか、と考えられる。
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