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福島原発震災 チェルノブイリの教訓(3)ソ連政府はどのように収束させたのか
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/144.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 12 日 08:10:55: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://diamond.jp/articles/-/11484
http://diamond.jp/articles/-/11752
http://diamond.jp/articles/-/11838
第159回】 2011年4月12日坪井賢一 [ダイヤモンド社取締役]
福島原発震災 チェルノブイリの教訓(3)ソ連政府はどのように収束させたのか
 1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故は、人為的ミスによる暴走事故だとされている。あれから25年、前回述べたように、死者数の推計にすら諸説あり、まだ事故の影響は色濃く残っていることがわかる。
 当時はソビエト社会主義共和国連邦時代の末期だったが、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ各共和国政府は機能していない。すべてモスクワの連邦政府(共産党政府)が指示していた。
 情報は錯綜し、事故発生時も近隣諸国に通告していないので、翌日以降に北欧諸国が異常な放射性物質を検出して発覚した。その後、ソ連政府は国際社会に事故を報告し、事故の収束活動を開始する。
 チェルノブイリ事故の場合、2度の爆発で一挙に放射性物質が吹き上げられた。福島は基本的にじわじわと漏れているわけだが、4基の原子炉が同時に 損傷(4号機は使用済み核燃料プールの冷却不能)しているので、内部に存在する放射性物質の全体量は圧倒的に福島のほうが多い。チェルノブイリの数倍とい われている。
 当時、ソ連政府の対応を西欧各国は罵倒し、悲鳴と怨嗟の声に満ちた。とくに北欧や西ドイツ国内はほとんどパニックだった。筆者の記憶では、もたもたしたソ連政府は作業員の健康管理もできず、長期間にわたって世界中に放射性物質をばら撒いた、という印象が残っている。
 しかし、多大な犠牲者を出しながら、じつはソ連政府は10日間でほぼ事態を収束方向にもっていったのである。私たちが学べる点はあるだろうか。
 チェルノブイリ4号炉は核分裂反応の暴走によって瞬間的に2度、爆発した。その経緯をIAEA(国際原子力機関)が1986年8月に開催した国際 会議でソ連政府が報告している。また、この報告を元にして日本の原子力安全委員会が1987年9月に公表した事故報告書にまとめられている。これらの情報 は現在、「原子力百科事典ATOMICA」(注@)でだれでも解説を読むことができる。ATOMICAは日本の原子力村(産学官の権益集団)が作成しているものだ。
次のページ>>窒素注入後10日目に大量放出は収束したチェルノブイリ
 それによると、爆発から収束までの状況はこうなっている。本稿では事故の原因には触れない。
1日目(1986年4月26日)・原子炉の暴走後、爆発が2回起きた・建屋の上部が吹き飛ぶ・外部に高温の核燃料、黒鉛(ソ連型原子炉の冷却材)が飛散・発電所施設内の30か所以上で火災発生・1時30分、近隣の消防隊が施設内の火災を鎮火したが、原子炉の黒鉛火災はじまる。放射性物質の大規模な飛散続く
2日目(4月27日)・軍のヘリコプターで中性子を抑えるホウ酸40トン、燃焼抑制用の石灰岩800トン、放出抑制用の鉛2400トン、粘土と砂など、合計5000トンを原子炉へ投下する作業がはじまる・2日目に放射性物質の放出量は3分の1に減少
3日目−6日目(4月28日−5月1日)・投下作業が続き、放出量は抑制、5日目と6日目には初日の6分の1程度まで減少
7日目(5月2日)・放出量が再び増加。原子炉を5000トンの鉛などで埋めたため、内部の核分裂生成物の崩壊熱と黒鉛燃焼で核燃料の温度が再び上昇し、放出が増大する
8日目(5月3日)・溶融した核燃料と水の接触による水蒸気爆発を避けるため、サプレッションプールの水抜きをはじめる。
9日目(5月4日)・放射性物質の放出増加が続く。初日の2分の1まで増加
10日目(5月5日)・溶融した核燃料の冷却のため、原子炉下部へ窒素を注入・急激に放出量が低下
 このように、窒素注入後の10日目に大量放出は収束している。もちろん、この後も放射性物質は漏出しており、ほぼ密封できたのは約40万立方メートルの強化コンクリートによる石棺が完成した11月のことだった。
 西欧諸国まで汚染した放射性物質の大量放出は第1日から3日間だった。そのあとは必死の作業でなんとか10日目におさえこんだことがわかる。
次のページ>>3月16日と21〜23日はなぜ各地で放射線濃度が上がった?
 放射線急性障害による死者28人、急性症状から回復後の死者19人は、10日間の消火活動従事者、核燃料冷却作業要員の犠牲者だ。線量計も持た ず、まともな防護服も着ないで作業している様子は、その後の記録映画などで見ることができる。事故の原因はともかく、地球市民は犠牲者にあらためて心から 感謝しなければなるまい。
 5000トンの材料は空軍のヘリコプターで投下された。指揮は空軍のアントキシン大将がとったという。軍の最高級幹部が指揮官だったわけだ。初日に消防隊、2日目には軍が出動している。
 福島事故発生以降、各地の放射線濃度を見ると(★注A)、3月16日に非常に高くなり、徐々に減衰していることがわかる。
 3月21日から23日にかけて、再び急上昇して3月16日レベルの半分まで濃度が上がり、その後はまた減衰している。4月11日現在、福島県と水戸市を除いて、放射線濃度は通常のレベルまで下がっている。
 3月16日と3月21日−23日はなぜ各地で放射線濃度が上がっているのだろう。
 まず現象だけを原子力安全・保安院の資料で見ると、
・1号機で3月12日15時36分に爆発音・2号機で3月15日6時10分に爆発音、3月14日11時01分爆発音・4号機で3月15日火災発生、と原子力安全・保安院の資料に記載されている
 1号機と3号機の爆発音は水素爆発で建屋が吹き飛んだもの、2号機の爆発音はサプレッションプールで起きたとされている。つまり、3月16日の放 射線濃度上昇は、これらの爆発によるものだったことがわかる。その後、東京でも雨で濃縮されて水道水に入り、千葉県の野菜に付着することになった。
次のページ>>コンクリート劣化による放射性物質漏洩が懸念されるチェルノブイリ
 次のピークである3月21日−23日の現象を記録から拾うと、
・2号機で21日18時22分白煙発生・3号機で21日15時55分灰色の煙発生、23日16時20分白煙発生
 とある。それぞれ火災が発生していたと思われる。これらの火災で放射性物質が吹き上げられ、風に乗って飛散したのではないか。
 2度の放射線量上昇は爆発と火災による飛散によるものだといえよう。
 チェルノブイリの2度の爆発はどのようなものだったのか。前掲の記録(★注@)によると、ジルコニウム(燃料棒の被覆管)と水の反応により生じた可燃性ガスと空気の混合による熱爆発、と推測されている。
 つまり、福島の水素爆発や火災とメカニズムは同じことになる。格納容器のないチェルノブイリと格納容器のある福島との違いだ。飛散した放射性物質の量は桁違いにチェルノブイリのほうが多いが、福島でまた爆発が起きると、三たび各地の放射線量が上がることになるだろう。
 チェルノブイリ事故では大量放出を10日間で収束させたわけだが、その後の密封作業の経過は次のとおりである(★注B)。
・ 4号機の周囲では、遠隔操作によって土の表層を剥ぎ取り、廃棄物処分場へ運んだ。クレーンの運転席は鉛で遮蔽・ 剥ぎ取った跡地はコンクリートで固めた・ 周囲のビルの屋根と壁を除染・ 原子炉敷地を除染、コンクリートで舗装し、防護壁の金属骨組みを構築し、コンクリートで覆った・ 防護壁とともに、原子炉を埋没密閉する構造体(石棺)を建設・ 防護壁は深さ30−35メートル、幅60センチの堀のようなもので、発電所の全周をめぐらせ、地下水が浸透しない深さまで打ち込んだ
 完成は1986年11月だと思われる。現在、25年経過し、コンクリートの劣化による放射性物質の漏洩が懸念されているそうだ。
<※注@〜Bはこちら>
注@「原子力百科事典ATOMICA」による。財団法人・高度情報科学技術研究機構が運営しているウエブ事典で、世界の研究機関の成果なども紹介している。注A東京大学・原子核理論チームが毎日、各都市の放射線量をグラフ化して公開している。このURLの日付を変えて検索すればよい。注B1986年8月のソ連政府の報告をもとに、リチャード・F・モールドがまとめた(モールド『目で見るチェルノブイリの真実』小林定喜訳、西村書店、1992)
 

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