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50代なら経験豊富だし任せても(被曝しても)安心?
建設会社ベテラン技師が道開く、全員50代─福島原発
準大手ゼネコンのハザマは福島第1原発の危機対応で協力を要請されたことを受け、ベテラン土木技師から成るチームを発足させた。チームに選ばれたのは7人。非常に経験が豊富で全員が50代。
Tokyo Electric Power Co./Reuters
福島第1原発の3号機(左)と4号機(3月15日)
チームのリーダーは東京の本社で行われたインタビューで「若手は行かないような方向だった」と語った。このリーダーによると、現場にいる技師や作業員は緊急時対策室の担当者との連絡手段がなく、その指示をいちいち仰ぐことが出来ないことが判明した。それで「現場に出たら判断できる」技師が選ばれたという。
また、チームの別のベテラン技師は、事故の重大さから「原子力のベテランは、これはもう最初から行かなければならない、と思っていた。選んだ人間もだいぶ苦労したみたいです」とその時の状況を説明した。ハザマが派遣を決めた7人のうち、3人はそれまで原発事故での作業を経験したことがなかった。
今回の危機発生から4日目の3月15日。その日から始まったハザマ・チームの作業は原発敷地内の道路の整備だった。津波と爆発により敷地内にはがれきが散乱していたため、自衛隊、東京消防庁、警視庁機動隊からの緊急部隊の作業が難航。ハザマのチームが道路のがれき除去と修復を行えば、重機や車両を使った緊急部隊の作業が進捗するということだった。
ハザマのチームが行った作業の歩みは次の通り:
3月15日:ハザマがチームの編成に着手する。仙台のハザマ東北支店は原発事故での現場経験のあるチーム・リーダーを含む4人の派遣を決定。また東京本社からは3人とショベルカー2台が派遣される。さらにハザマの子会社がショベルカーとトレーラーのオペレーター7人を送り込んだ。これらオペレーターは原発事故での作業経験がない。チームは同日午後10時30分ごろ、福島第一原発から約20キロ離れた中継基地に到着した。
3月16日:中継基地から福島第1原発に向かう道路がひどく損傷していたため、同チームは午前零時過ぎ、まず小規模の調査隊を派遣。その後の午前3時ごろ、チームが福島第1原発に向けて出発する。主に国道6号線を使ったが、一部で迂回しなければならない区間もあった。チームは午前4時過ぎ、同原発に到着したが、放射線量のレベルが高かったこともあり、待機を余儀なくされた。3月16日は結局、終日待機状態となった。チームが待機していたのは原子炉近くの建物内にある緊急時対策室。同建物内には東電の事故対策チームやその他関係者が駐在していた。建物内にいる300人から400人の作業員は全て防護服を着用し、廊下で睡眠を取っている者もいた。
3月17日:技師と運転手は午前2時30分ごろ、現場に向かい、原子炉5号機および6号機周辺の道路のがれき除去と修復作業を一時間行う。しかしその後は、自衛隊ヘリコプターによる燃料プールへの放水作業が行われるため、一旦、緊急時対策室のある建物に戻る。午前10時ごろ、原子炉5号機および6号機周辺での作業を再開。さらに、夜間には原子炉1号機周辺の道路で作業を行った。
3月18日:当日朝、再び原子炉5号機および6号機周辺で、連絡道路のがれき除去と修復の作業を行う。そして午前8時ごろ、ハザマ・チームの第2陣が現地に到着。第1陣は正午ごろ、東京に向けて帰路につく。
ハザマの責任者らは装備のオペレーターに対し、安全第一であることを確約して作業に当たってもらった。ハザマは東電に対し、同社のチームが作業に向かう時は毎回、土木技師と放射線量を測定する専門員を派遣するよう要請したという。責任者らは「うちとしては職員および作業員の安全が第一です。もし何かあった時には、すぐに逃げるような形も理解してください」と東電側に伝えたという。
ハザマ・チーム第1陣のリーダーの1人は、原発事故の現場を初めて経験するメンバーは最初、少し不安そうだったと語った上で、「東電さんの職員の方々は一生懸命。特に地元出身の方が多く、我々の故郷が無くなることはなんとしても避けたい、と。自分たちが生まれ育った土地を守りたいと、本当に一生懸命やっておられました。最後は我々も意気を感じて、『また来るから』と言って(東電の職員と)握手して分かれた」と当時の様子を振り返った。
ハザマのチームは3月18日の昼下がり、東京に戻ってきた。チームのメンバーはまず、新しい下着と服を買い、東京駅近くの銭湯に向かった。なにしろ4日間1度も風呂に入る機会がなかったからだ。そして一風呂浴びてからは、ビールで乾杯をした。「皆で涙流しながらよかったなぁ」と。
記者: Norihiko Shirouzu
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