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訳注:ジャック・アタリ氏略歴(Wikipedia:「ジャック・アタリ」記事 より)
(仏: Jacques Attali, 1943年11月1日 – )は、フランスの経済学者、思想家、作家。アルジェリアの首都アルジェ出身のユダヤ系フランス人。パリ政治学院卒業。経済学国家博士。初代欧州復興開発銀行(BERD)総裁。フランソワ・ミッテランの側近中の側近で81年から91年まで大統領補佐官。91年から93年まで初代欧州復興開発銀行総裁。指揮者としてオーケストラを指揮したこともある。2011年1月10日、菅直人首相が八重洲ブックセンターに立ち寄り、アタリ著『国家債務危機』を購入したと報道された。
福島原発が放射性物質を大量に撒き散らすのを防ぐために、国際社会はただちに行動を起こすべきである
事態は深刻である。中期的に人類の安泰を脅かしかねないシナリオが現実のものとなる可能性はもはや排除できない。もし福島の原子炉の使用済み核燃料を貯蔵している容器やプールが熱や爆発もしくは余震で損傷を受ければ、大量の放射性物質が液体や気体の形で、大気、海ももしくは地中に放出されることになり、とりわけ三号機の場合、それは大量なプルトニウムの放出となる。そうなれば、日本国土の一部は居住不可能になるほど汚染されることは確実であるが、地球全体に汚染が及ぶ可能性さえもある。
これもすべては日本の原子力行政当局が、純粋に財政的採算性のために、この原発を建ててはいけないところに建て、そのうえ、提案されるあらゆる安全措置の設置を怠ったからである。そして、事故の当初から、この同じ当局は事故の処理にミスに次ぐミスを重ね、原子炉を何日も冷却せずに放置し、まだ正常だった保護システムを修理不可能にまで損傷させた。そして、プライドと秘密主義の混ざった心理からか、国際的援助を長い間拒みつつ、最初から世界規模の動員を要する大災害だとおそらく認識しておきながら、真実を明らかにしようとしないのである。
このようにして日本当局は最小限の情報しか与えないことにより、素晴らしい日本国民、とりわけ低賃金で適切な訓練も受けずに大変危険な作業に投入されている作業員たちを危険にさらしている。自分たちの嘘がばれないために、これらの責任者は外国専門家の協力を受け入れようとせず、地球全体をも危険にさらすのである。
それにしても、少々でも人権侵害があるとすぐに反応したり、憤慨したりしてきた(それ自体は良いことではある)国際社会が、このケースに限って変に遠慮深くなるのはなんとも不思議である。日本の責任者に何をやっているのですかと恭しく尋ねたり、こちらが申し出た援助を断られてもそのまま引き下がったり、自国民を日本から撤収したり、平静を呼びかける声明を出したりするのである。民衆の恐慌を引き起こさないためか、それとも自国の原子力産業を救うためか。はたまた、数日の間だけ枕を高くして安眠するためか。
まったく馬鹿げている。原子力産業を救うには先ずこの事故を出来るだけ早く解決することが先決であろう。そのためにはあらゆる叡智と技能を集めた世界的なコンソーシアムを至急設けることである。われらが日本の友人たちは、事故処理に長けた世界中の最良の専門家たちをただちに受け入れるべきである。この原発の中になにがあったかを把握するにはこれしかないのである。これら専門家の意見を待たずに、いまからでも、ヘリコプター、消防器具、ロボット、セメントミクサーなど、ありとあらゆるものを空輸し、これらの原子炉を封じ込め、この災害を終結させなければならないのである。もう内政干渉の是非をとやかく議論する場合ではない。行動するのみである。
出典記事:http://www.slate.fr/story/36383/sauver-fukushima-japon-humanite
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