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東海道新幹線など巨大インフラに電力を供給する浜岡原子力発電所(御前崎市)
緊急研究 東海大地震「浜岡原発に迫る危機!」
2011.04.04
フライデー
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2354
この瞬間にもプレートは不気味に沈んでいる! 震動域が連動すれば、駿河湾から高知まで1000km沿岸が壊滅。発生までに残された時間はどれぐらいあるのか!
東南海地震('44年)の被害状況(三重県大紀町錦周辺。同町にある『津波避難タワー』の資料写真から)
30年以内に87%の確率で
「いつか来る」と頭では分かっていながら、東北や北関東の惨状を目の当たりにするまで、「まだ大丈夫」と油断していた方も多いだろう。
想定外≠ニいう言葉が繰り返される東日本大震災とは異なり、東海地震は「明日来てもおかしくない」と警鐘が鳴らされ続けていたのに。
「内閣府の『中央防災会議』(会長・菅直人首相)が弾き出した87%という数字があります。これは '06年1月1日時点で、『今後30年以内に東海地震(M8.0)が発生する確率』を示したものです。中央防災会議の被害想定によると、静岡県、山梨県南部、愛知県東部にかけて激震し、7900人~9200人が死亡します(朝5時発生の場合)。
激甚な被害を出した東日本大震災より小さく見積もられていますが、地震の被害はマグニチュードや津波の高さで決まるものではありません。その土地に住む人の防災意識が大きく影響してくるのです。東海地域に住む人は、大震災の危険を指摘されているため、防災意識は高い。しかし、それは今回たくさんの死者が出てしまった宮城県でも同じでした」(東京大学地震研究所・大木聖子氏)
だからこそ、私たちは東海地震と、その背後にある核の脅威≠ノ備えて一層気を引き締める必要がある---。まずは東海地震のメカニズムを理解しておこう。ご存知の通り、日本列島は互いに影響しあう4つのプレートの上に乗っている。
「日本の南海にあるフィリピン海プレートは年間3~6cmのスピードでユーラシアプレート(陸のプレート)に潜り込み、地面を引きずり込んでいます。そして、引きずり込まれたユーラシアプレートはある程度まで沈むと、摩擦に耐えきれなくなってバネのように反発する。これが東海地震のメカニズムです。
過去の東海地震を振り返ると、この反発は大体100年~150年周期で起きることが分かっています。1854年に起きた直近の東海地震(安政東海地震=P4の図参照)から、現時点ですでに150年以上経過しているので、ユーラシアプレートにはかなりのエネルギーが溜まっており、反発のタイミングを窺っていると考えられるのです」(名古屋大学地震火山・防災研究センター、鷺谷威教授)
前述のように、中央防災会議がまとめた東海地震の被害想定では、7900人~9200人が死亡し、断水人口が約550万人、停電人口が約520万人に上ると計算されている。激震で静岡、山梨県南部、愛知県東部などを中心に約17万棟、津波によって静岡、三重などの沿岸部を中心に約7000棟が全壊し、地震発生から1週間後には約190万人が避難生活を余儀なくされる。
約41万kgの米と約5500klの飲料水が不足し、地域内で対応困難な重傷者は約2万7000人を数える恐れがある。この想定書には、予知情報に基づく警戒宣言が発令された場合、「死者は最大2300人に抑えられる」と附記されているが、今回の大地震がまったく予期できなかったことや、過去の実績が乏しいことを考えると望み薄だろう。
1000kmの震源域がドミノ倒しで
また、東海地震は、「東南海地震」「南海地震」と3連動≠オ、M8.5程度の巨大地震になる可能性があるというのが、最近の専門家たちの共通認識だ。
フィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込む、東海地震の震源域「駿河トラフ」は、東南海、南海地震の震源域「南海トラフ」と接し(P3、4の図)、東西約1000kmにわたる地震のベルト≠形成している。それゆえ、駿河トラフで起きた東海地震が引き金になり、ドミノ倒しのように東南海地震→南海地震を発生させかねないのだ。
「駿河トラフや南海トラフは、フィリピン海プレートが陸のプレートに潜り込む角度≠ェほぼ水平から20度程度であり、その低角度ゆえプレート同士の摩擦面積が大きく、(南北方向に)100kmくらいの幅になります。それが莫大な歪みのエネルギーを生み出すのです」(前出・鷺谷氏)
琉球大学名誉教授の木村政昭氏は、「過去にもこの地域で3連動が起きた例がある」と指摘する。
「1707年に起きたM8.6の『宝永の大地震』は、東海、東南海、南海の3連動と考えられており、東海から近畿、四国にかけて壊滅的な被害を出しました」
この地震で伊豆下田には5~7m、紀伊半島東岸で10m、西岸で4~6m、徳島沿岸は5~7m、高知沿岸では5~8mの大津波(すべて推定)が押し寄せ、高知東部では約20kmにわたって最大2mの地盤沈下が起きた。一説には、この大地震で2万人を超える犠牲者が出たとも考えられている。
「宝永の大地震以外でも、同じ地域で3連動地震が起きたことがあります。1854年の『安政東海地震』では、まず東海と東南海が連動し、それから約32時間後に南海地震が起きています。多少の時間のズレ(最長で3年程度)はあるものの、歴史的にみればこの3震源域が連動することは明白です。
当たり前のことですが、震源域が連動するほど、マグニチュードは大きくなる。駿河トラフから南海トラフにかけての、東西1000kmほどにわたる長大な震源域が弾ければ、M8.6~8.7、場合によっては今回の東日本大震災に匹敵する規模の地震が起きる可能性があります」(前出・鷺谷氏)
中央防災会議は東海地震が東南海、南海と連動した場合を想定した被害予想も弾き出している(上の図)。揺れや津波、火災、液状化による全壊棟数は全国で約55万棟、死者数は約2万5000人にも及び、経済的な被害も約53兆~81兆円に上るとみられている。東日本大震災の爪痕が癒えぬ時期に発生すれば、日本沈没≠煬して絵空事ではない---。
しかし、これまで述べてきた中央防災会議による東海地震の想定被害は、楽観的に過ぎると言わざるを得ない。
そこには、現在日本を存亡の危機に陥れている「福島原発事故」のような、中部電力「浜岡原子力発電所」(静岡県・御前崎市)における原発事故の危険性が完全に欠落しているからだ。今回の事故を目の当たりにして、政府や原子力安全・保安院、東京電力は想定外≠繰り返しているが、東海地震は東日本大震災のような想定外≠フ災害ではなく、国家レベルで警鐘が鳴らされてきたはずだ。それなのになぜ、浜岡原発の事故による想定被害は見落とされてきたのか。本誌は中央防災会議の担当者に疑問をぶつけた。
「原発は、別途で・・・」
―政府は東日本大震災に関する記者会見で、想定外≠連発しています。
「この会議は基本、東海地震を想定して作られたものですから」
―しかし、その東海地震に関する想定被害の試算が甘いのではないでしょうか。今回の震災では人口密度の少ない東北でも、死者、行方不明者が2万人を超えています。
「いや、今回は想定外の津波がありましたから。これまで考えられなかった10~20mの津波が襲ったので」
―なぜ東海地震で被害が及ぶとされる「浜岡原子力発電所」の原発事故は試算に入っていないのか?(中央防災会議は東海、東南海、南海地震が連動した場合、浜岡原発周辺は震度6強の揺れに襲われると想定している)
「原発の件は、中電さん(中部電力)で、ちょっと別途で・・・。今回の大地震を元に、実態調査、分析を行い、(想定被害を)厳密に検証し、訂正しなければならないところは訂正しなければなりません」
常に最悪に備えるのが政治の鉄則だが、この国の政治家には、そんなセオリーすら欠落しているのだ。
では、「今起きても不思議ではない」東海地震が発生した時、浜岡原発はどうなってしまうのか。
首都大学東京の都市環境学部教授・中林一樹氏は次のように指摘する。
「3連動地震が来ても、浜岡原発は揺れに耐える耐震性は有しているでしょう。しかし、5~10mの大津波が来た時、どうなるかは分からない。予備のディーゼル電源を従来より高い位置に取りつけるなど、早急に手を打つべきです」
ある科学ジャーナリストは、 '99 年に起きた「東海村JCO臨界事故」(茨城県那珂郡)の時、現場を訪れた欧米の研究者が吐いた言葉が忘れられないと語る。
「IAEAの関係者が、『こんなプレートと活断層だらけの小さな国に、一体幾つの原発があるんだ。それもトーキョーのすぐそばに作るなんて、日本人はクレージーなのか!』と嘆息していました」
195万人が死ぬ可能性
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教のシミュレーションは終末的だ。
「浜岡原発が津波で破局的な事故を起こした場合、御前崎市の住民はほぼ90%が死亡し、首都圏に流れ込む風向きなどで結果は異なりますが、長期にわたるがん死を含めると、最大で195万人に上る人が亡くなる可能性があります。
福島原発と同レベルとされている『スリーマイル島の原発事故』で、彼の島は無人島になり、チェルノブイリはその一帯が廃墟と化し、『石棺』という代名詞で呼ばれています。東海地震による浜岡原発事故で、日本が壊滅的な被害を受ける可能性は十分にあるのです」
繰り返しになるが、東海地震が今後30年以内に起きる可能性は87%だ。そして東海地震、東南海地震、南海地震が3連動する危険性は拭えない---。
年表の人数は死亡者数、1800年代以前は推定。東海~南海だけでなく神奈川県西部や相模トラフでも大地震があった(静岡地震防災センターの資料を基に作成)
前出の科学ジャーナリストが言う。
「中部電力の担当者は東日本大震災後でも、『浜岡原発は中央防災会議が出している想定を上回る耐震性を有している。東海地震やあらゆる事態が起きても、放射能が放出されることはない。100%安心だと確信している』と強弁しました。
これだけの大震災が起きた後でも、それ以前とまったく同じコメントです。しかし一方では、東日本大震災を受けて『防波壁を高さ12m以上にすることを検討する』と発表し、予備電源を高台に設置する策を練るなど、想定される大震災に向けての対策に乗り出しています」
明日起きるかも知れない東海地震。そして、今日も浜岡原発は稼働している。
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