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福島原発、洗浄が次の難題−「作業は数カ月ではなく数年間」
2011年 4月 4日 10:30 JST
ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/Japan/node_215588
日本の政府当局や原発関係者が福島第1原子力発電所の損傷した原子炉を安定させようと四苦八苦している中で、国際チームは既に次の大きな難題、つまり原子炉の洗浄に向けて日本に手を貸そうと集結しつつある。
福島第1原発の原子炉の正確な状況はいまなお不透明だが、東京電力は、1979年に事故を起こしたスリーマイル島原発と86年のチェルノブイリ原発の放射線災害に対応した経験を持つ専門家を関係国から呼び寄せつつある。
放射線の放出と原子炉の過熱への対応に苦慮している東電は、原子炉洗浄戦略策定のため、原子炉建設・エンジニアリング会社のショー・グループを雇った。東芝とバブコック・アンド・ウィルコックス社を含むコンソーシアム(企業連合)の構成企業だ。
米エネルギー省傘下のアイダホ・ナショナル・ラボラトリーの物理学者ダグラス・アッカーズ氏は日本の福島原発の洗浄について、大地震の際に原子炉3基が稼働していた事実を挙げ、「スリーマイル島によく似たものだろうが、福島にはその3倍ある」と述べた。同氏はスリーマイル島の洗浄努力で13年間携わった経験がある。
スリーマイル島原発事故の際には、わずか4カ月前に稼働したばかりの第2原子炉が破壊された。機器の不具合と人為的なミスが重なって、炉心の半分が過熱し、溶融した。
専門家たちは、日本にとってはスリーマイル島の事故のほうがチェルノブイリ事故よりも良い先例になると指摘している。チェルノブイリの場合は原子炉が爆発し、放射性廃棄物が広範囲にわたって飛散した。破壊された原子炉は最終的には、砂、鉛、コンクリート、そして鋼鉄を混合した石棺によって封じ込められた。現在、国際チームが石棺の上にもっと強固な構造物を建設中で、100年続く見通しだ。
ただしオーク・リッジ・ナショナル・ラボラトリー(テネシー州)の原子力科学者ジョージ・フラナガン氏は、スリーマイル島事故の経験は役に立つだろうが、「エンジニアたちは一部の仕事については自ら新規の手段を考案しなければならないだろう」と指摘する。
予想される主な仕事は、水のあふれた地域からの排水と、そこから放射性物質を除去する処理だ。原子炉内部の空間は不純物を除去する必要があり、水も同様の処理が必要だ。最終的に核燃料を除去して安全で長期的な貯蔵庫に格納しなければならない。
ショー社のジェフ・マリフィールド上級副社長は、この原子炉洗浄作業を完了する期間は「数カ月ではなく、数年とみるべきだ」と述べた。同氏は米原子力規制委員会(NRC)の元委員で、この作業のため今週日本に向けて飛び立った。
スリーマイル島の場合、損傷調査のためロボットが原子炉の炉心に送り込まれたのは3年経過したあとだった。最初のロボットが汚染分野である原子炉の圧力容器の下に入ったのは1984年になってからだった。同島原発では圧力容器は依然として元の場所にある。
福島原発の場合、原子炉の圧力容器は、放射能を低下させる期間が必要なため、これが数十年間で除外される公算はないという。
福島原発の作業がとりわけ複雑なのは、損傷した原子炉が少なくとも3基あり、使用済み核燃料プールも損傷しているとみられるからだ。付近の道路と町が地震による損害を受けているため、ロジスティクスも遅れる恐れがある。
30年前にスリーマイル島原発の浄化作業に携わった経験のあるショー社のプロジェクトマネジャー、ジョー・ボゼラ氏は「スリーマイル島にいた時、わたしはホテルから食事を届けさせていたが、日本ではそのようなインフラがすべて失われてしまっている」と述べた。
記者: Rebecca Smith
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