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(平成23年4月3日 午前9時)
NHKは2006年4月16日(日) 午後9時から9時49分に総合テレビで「汚された大地で〜チェルノブイリ 20年後の真実〜」という放送をし、今でもNHK ONLINEで見ることができます。
そこでNHKは、
「史上最悪の原発事故からこの4月で20年、人々の苦しみは続いている。というよりむしろ悪化している。ウクライナにある、放射線を浴びた人々が集まって暮らすアパートでは、がんなどの重病患者が増加、毎週のように死者が出ている。さらに大量の放射性物質がまき散らされたベラルーシでは、ヒロシマ・ナガサキでは否定された「遺伝的影響」が報告された。
(中略)
「いまだわからないことばかり」とも言われる放射線の人体への影響。広島の医師や研究者も加わって、暗中模索の事実解明、因果関係の究明が続けられている。」
(本来は著作権がありますので NHKに断って載せなければなりませんが、日本人の命に関わる事ですから、ご勘弁ください.)
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一方、福島原発の事故が起こった後、 NHK は「このくらいの放射線なら大丈夫だ」という放送を繰り返してきました。
それも政府コメントの紹介に止まらず、アナウンサーが自ら比較的大きな声で「安全です」を繰り返してきたのです。
昔から NHK は受信料を強制的に取る国民的放送ですから、多くの日本人は自分が受信料を払っている NHK のアナウンサーは自分の味方で本当のことをいうというように思っています。それを利用した行動でした。
さらに、福島原発の近くの海から規制値の3355倍の放射性要素が、それたときに、「健康に影響はありません」という保安院のコメントだけを紹介し、このような高濃度の放射性要素が健康に影響を及ぼすという考えの人のコメントは出しませんでした。
つまり NHK は片方では「チェルノブイリの放射性障害が考えていたよりもはるかに大きい」という放送をし、片方で「福島原発の放射性障害はほとんどない」と言ったのです。
しかし、海外の多くの報告が示すように、今回の福島原発の事故はチェルノブイリとほとんど匹敵するような放射性物質を出していることがわかっています。
もう一つ問題なのは、 NHK 自体がチェルノブイリについては「放射線による人体への影響はまだわからないことばかり」と放送したのに、福島原発が起こると「安全です」という確定的なことを言うという違いは極めて大きいこと感じます。
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わたくしは、数年前、風評被害を専門とする社会学者に教えを受けたことがあります。その人は若い人でしたが、非常に専門的で立派な学者でした。彼の話はとても複雑でしたが、簡単に言うと、
「風評被害というのは、正しい情報を伝えないことによって起こる」
ということでした。そしてその理由は、
「人間は自分の身を守ろうと考えるので情報が不完全な時は、余計に不安になって慎重な行動になる」
ということでした。豊富な例を示していただき、わたくしはそのことを強く覚えています。
つまり「風評被害」というのは「悪いことでも異常なこともなく」、情報が不足した時に起こる「正常な人間の社会活動」ということです。
だから、風評被害をなくすには、一にも二にも人間が自分を守りたいという本能に適した「正確な情報を提供する」ということなのです。
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2011年4月3日(日曜日)の朝、わたくしは NHK のニュースを見て、福島県の農家の人が本当にかわいそうになりました。
放送では、福島県の野菜を何とかして売りたいと思っている農家の人が、トラックに新鮮な野菜を積んで東京に運び、そこで2割引で野菜を売っているのです。
農家も NHK も「この野菜は安全です」というの強調していました。それを見て、わたくしは本当に福島県の農家の人がかわいそうになりました。
というのはこのようなNHKの放送こそが、福島県の野菜に対する風評を強くして、野菜が決定的に売れなくなってしまうからです。
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人間はバカではありません。そして現在のようにある程度の情報が提供されていればそれに基づいて自分の身や自分の子供の事を守ろうと考えるのは当然のことです。
福島原発から出た放射性物質が、空中にあたかも花粉や黄砂のように飛び、それが地上に落ちます。
地上に落ちたり、壁についた放射性物質からわたくしたちの体が被爆します。その値はNHKで毎日報告されていて、福島県ではおよそ数マイクロシーベルに及びます。
ということは、会津地方は別かもしれませんが、福島県全体としては放射性物質が常に降っているわけです。このことはほとんどの日本人が知っていると思います。
つまり福島県の農家には大変に申しわけないのですが、野菜には放射性物質が付着していると考えるのが「常識」なのです。そうなると、規制値と比べてどのぐらい低いのかということが大切で、消費者の知りたいことです。
例えば、規制値が300ベクレルの時に、野菜についている放射性物質が200ベクレルなら、多くの消費者は買わないでしょう。20ベクレルなら買うかも知れません。数値がなければ判断できません。
また、普通の時ならば、周りに放射性物質がないので、あるいは規制値以下であれば野菜を購入する人もいるかもしれません。しかし現在では、空間からの放射線、自分が吸い込んだ放射性物質、水・食品等の汚染があるのですから、よけいに慎重になります。
このような時に自分や自分の家族を守ろうとしたら、「放射性物質がついている野菜よりも、放射性物質がついてないものを買いたい」と思うのはごく自然のことです。
もし、福島県の農家の人が福島産の野菜を売ろうとするなら、「この野菜は規制値の何分の1の放射性物質がついています。もしもそれで良いなら買ってください」とお願いするのが良いと思います。
つまり野菜を売るということは、人の口に入るのですから、十分に情報を出して信頼を得て、野菜を売らなければなりません。
そうしないと風評被害はさらに拡大すると思います。
わたくしは息を詰めて放送を見ていました。しかし NHK は最後まで「安全な野菜だ」というのを繰り返し、「福島県の農家を応援したい」という人を紹介していましたが、野菜がどのくらい汚染されているかということは全く触れませんでした。
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それに福島県の農家に打撃を与えたことがあります。
1) 政府が「野菜の放射線を測定するときには、「出荷のまま」ではなく、良く「流水」で洗ってから測定しろ」という通達を出したことです。
これによって消費者は「表示されている放射線量はインチキだ」と確信しました。
消費者は販売されている状態の野菜についている放射性物質の量を知りたいのに、測定する野菜だけを綺麗に洗ったら判らなくなるからです。しかも政府の通達ではご丁寧に、かならず「流水」で洗うように指導しています。
こうなると消費者は「数字は当てにならない」ので、「産地で判断する」ことになります。政府が作り出した風評です。
2) 茨城県知事や福島県知事が「野菜の出荷基準を高くしてくれ。そうしないと農家が困る」と陳情しました。
「高い放射線の野菜を出荷しないと農家が困る」という理由ですが、つまりはこれを消費者から見ると、「茨城県や福島県の野菜を買うと、余計に被曝する」ということを意味します。
もしこれが農家の要望を知事が受けたのだとすると、茨城県と福島県の農家は自分の収入を得るために消費者に、今のように被曝に神経質になっているときに、これまでの基準値以上の放射性物質がついた野菜を食べさせることになりますから、不信感は決定的でしょう。
福島県の農家は被害者です. でも、放射性物質が空から降って来るのは事実で、それを日本人は知っています。だから、方針を転換する必要があります。
政府やNHKの言っている「風評」の宣伝にのったら、農家の人は本当に困ることになるでしょう。
「風評」は情報操作などによって発生する正しい社会の反応なのです。
(平成23年4月3日 午前9時 執筆)
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