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(平成23年3月31日 午後10時)
最近、時間がとれずメールのご返事ができません。ご質問の多いものをブログでお答えします。(Qはご質問、Aは回答です)
Q.
今3か月の妊婦です。上の子は地元に疎開させました。住んでいるところは、計算すると1年間に2.6ミリシーベルト、3か月だと0.6ミリシーベルトになりました。
A.
難しい判断ですが、放射線は1ヶ月で10分の1になりますから生活上可能であれば、5月の連休後まで疎開されるのをおすすめします。4月の13日で1ヶ月程度になりますが、今回の場合、まだ少しずつ放射線が出ているので5月の連休あけぐらいまでは気をつけなければならないと思います。今のところにおられるとからといって必ず障害が出るわけではありませんが、ここ1ヶ月だけが危険だと思います。
Q.
まだ、数週間、危機を脱出するまでにはかかりそうです。埼玉県民は、どうしたらいいでしょうか?都民と埼玉は同じと考えていいのでしょうか?
A.
福島原発が破滅的状態になる可能性は非常に少なくなりました。危険な状態の可能性は20分の1ぐらいしかないと思います。いざという時のために、水を用意しておくとか貯金通帳をまとめておくということはいりますが、現在の埼玉県では注意して生活すれば問題がないと思います。
Q.
会津若松は大丈夫でしょうか。水についても特に情報も入ってこず、来週からは幼稚園も始まりますし、幼稚園が始まればもちろん外での運動もごく普通にあると思います。
A.
ちょうど放射線に感受性の高い年齢のお子さんを持ちでご心配と思いますが、風が東からこないので会津若松はほとんど汚染が進んでいません。ただ放射線の多い福島県内なので全体的に対策が少し遅れがちなっています。そこにお住まいになって大丈夫ですが、食材をお買いなる時に注意されたらいいと思います。
Q.
福島原発が放出する放射線量について、全く問題なく、更には、この放射線量は低線量率放射線であり、むしろ、身体に良く、病状が快方に向かうという研究者がおられます。
A.
日本の自然放射線は年間に1.5ミリシーベルトです(報道されている2.4ミリシーベルトは世界平均で日本ではありません)。赤道に住む人達の肌が黒い(紫外線障害防止)ようにわたくしたちは昔から住んでいる環境に最も適した形に変わっています。
日本人の場合には、放射線が0よりも1.5ミリシーベルトの方が健康であると考えられています。しかし人工的な放射線がプラスされる場合、通常の人の場合には、5ミリシーベルトから10ミリシーベルトまで大丈夫なのですが、赤ちゃんや免疫が少し弱い人等がおられますので、安全を見て世界的な基準が低くなっています. 1ミリシーベルトというのは、自然放射能の1.5を加えた合計で2.5という意味です。
1.5まではその研究者の言われる通りなのですが、それ以上の放射線は一般的には体が悪いとされています(国際的にも国内勧告でも)。私も事故が起こってから急に「放射線は安全だ」という研究者を信じたいのですが、もし間違っていたら取り返しがつかないので、今までの規制で進むのが良いと思っています。
Q.
1年分の内部被爆を1日で受けるのと平均して1年受けるのでは、数値としては1年間で受ける被爆量は同じですが、身体に起こると予想される事も同じなのでしょうか?
A.
放射線による損傷は、おもに遺伝子等の損傷なので、これを修復するのは体の中の免疫反応しかありません。一度被爆すると、しばらくそれを直そうとします。日焼けと同じですが、若い女性が1日、海水浴で日焼けしますとチミンダイマーというのを経て8,000個ぐらいの皮膚がんが残ると言われています。若い内はそれを完全に直せますので皮膚がんにならないわけです。
これと同じようなことですから一概に言えないのですが、休む期間がいるという鉄則があります。連続的に浴びないというのはその点では良いのですが、一度に急激に浴びるとやはり体に損傷が起きます。現代の被曝と健康の考え方は、長寿社会でもあり、確率的に起こるので「できるだけ被爆を避けた」ほうがいいという考え方です。
Q.
4月初旬に家族と東京へ戻り生活の予定ですが、帰国を躊躇しております。
A.
お子さんの年齢健康状態を考えますと東京での生活は大丈夫です。ただ余裕がありましたら大きな爆発があった1ヶ月後ぐらいで放射線が10分の1になりますので、ご無理がなければ連休あけぐらいが適当だと思います。
Q.
体内に取り込んだ場合でも、ヨウ素131の放射線は8日で半減するので、80日経てば放射線量は1000分の1になる。取り込んだからといって、ずっと被曝が続くというものではない。しかし、内部被曝によって遺伝子に傷が残るなどして、後にがんを引き起こすという部分があるのだと思います。
A.
正確に理解されているとおもいます。規制値などは半減期も含まれていて、放射性ヨウ素がなくなっても、摂取したときに被曝していますから、障害の発生は遅くなります。半減期を強調する方もおられますが、規制値を決める人は勿論、それも知って規制値を決めています。
Q.
放射線の二次汚染はないと認識してはいますが、実際のところどうなんでしょうか?
A.
放射線で被曝した人と接しても、接した人が被曝するということは全くありません。従って福島県民を排斥するような活動は私は断じて許すことができません。ただこのようなことが起こるのは、ある時には科学的、ある時には非科学的に行動するとこのようなことが起こると思います。従って正しい行動するためには常に正しい価格的知識に基づいて、行動することが福島の人にも大切ではないかとわたくしは思っています。
具体的には昨日の海水の放射性ヨウ素が基準値の3300倍だったにもかかわらず、「健康に影響がない」というと、非科学的ですから全体がわからなくなって、それが「福島県人は来ないでくれ」という話になるわけです。そこのところ福島の人も絶対に頑張ってもらいたいと思います。
Q.
福島原発付近の海流は通常、北海道東岸から千葉県の鹿島灘付近に向けて流れています。また冬の時期には南からの黒潮が離れると黒潮と本州の間に入り込み千葉県の勝浦市付近までは通常に南下します。
A.
これはご質問ではなく海流について私に教えていただいたものですが、海は日本に人にとってかけがえのない財産です。それがいとも簡単に汚されてしまったことに、わたくしはとても落胆しています。かくなる上は少しでも海を汚染しないことと、汚染の状態を細かく測定して欲しいものです。また今からでも良いので、回収作業やフェンス等有効なものをやってもらいたいと思っています。
Q.
※外出時のマスク着用は16日から※飲料水をペットボトルにしたのは24日から※マンションの換気を止めたのは18日から
A.
仙台の方ですが、現在のところ仙台まで汚染があまり進んでいませんので、早めに対策をとられてよかったと思います。基準値を超えているかどうかは別にして、1ヶ月ぐらいは取れる対策を取っておくというのが正しいと思います。
Q.
「風評被害」
A.
放射線の危険をあおるので「風評被害」が出ると政府が言っていますが、「風評被害」というのは「現実の被害」がない場合の時です. 今回の場合、福島県東部の首都はかなりの被曝です。また、周辺の野菜も残念ながら規制値を超える汚染をしています。
つまり現在は「風評被害」ではなく、「現実の被害」ですから、これを風評被害と言って間違った方向に進まないことが大切と思います。
Q.
今回の福島原発の放射性物質は全然問題なく、福島の野菜や牛乳も大丈夫だし、水も飲んで大丈夫だから、普通の生活をして下さいと言っている動画があります。
A.
このブログで再三、書いていますが、わたくしのスタンスは「これまで長い間議論を重ねて決めてきた放射線の安全基準とか法律を、事故が起こったから議論なしに変える」というのは危険であるということです。わたくしにも自分の意見がありますが全く触れていません。
つまり現在のような危険なときに、これまでの基準値を決める委員会で通らなかったような学説を唱えるのはあまり良くないと思うからです。この先生の主張が法律とかなりかけ離れているならば、その先生が「基準値を決める委員会に出席されてないか」、それとも「委員会でご意見が通らなかったのか」のどちらかだと思います。
いずれにしても、長く使ってきた我々の放射線障害に関する法律の値と異なることを言われる場合には、なぜ法律に自分のご意見が入っていないのかということもお話にならなければいけないと思っています。
Q.
ホームページでは放射性物質は不検出、という公表がありますが、それでもやはり水道水は使用しないほうがいいのですか。
A.
放射線防御の原則はできる限り被ばく量を減らすということです。この場合は現実に水道水が汚染されていませんから、飲むのはさしつかえありません。
Q.
放射能汚染に備えて友人よりヨウ素剤をいただきました。数値は少なく推移してますが蓄積があり迷っています。
A.
わたくしがヨウ素剤にあまり触れないのは副作用もあるからです。またヨウ素剤は10〜30ミリシーベルト程度のタイミングがよいとされていて、タイミングが難しいという意味があります。放射線ヨウ素がご心配ですから、ヨウ素の多い食事が良いと思っています。ただ学問的な証明がないので、素人療法になります。やはり第一は被曝そのものの値を低くしておくことです。
Q.
幼稚園の園庭はグラウンドでとてもひろく戸外遊びが心配なのです。場所はさいたま。室内プールもやめておいたほうが良いのでしょうか?(水の汚染)
A.
現在はまだヨウ素の放射線量が減っていませんから福島原発から継続的に新しい放射性物質が飛散していると考えられます。従ってこういう場合には、空気から吸い込む放射性物質の方が水より危険ですので、もしも選べるならば、屋外の運動ではなくプールに行かせるほうがよいと思います。
Q.
IAEAの避難勧告があっても日本という国は動きません。全国ネットのTVも信用出来ません。乳児がいるのですが、東京はまだ住み続けられますか? 幼い子を何とかしてあげられないでしょうか。
A.
福島原発が継続的に放射性物質を出しているからこそ、政府は福島原発の処理に懸命になっているのです。「安全です」を繰り返していますが、安全なら処理はゆっくりでも良いのです。
でも幸いにも東京は230キロと原発から遠く北風もそれほど強くないので現在では幼いお子さんも大丈夫です。その点はご安心いただいた方がいいと思います。
ただ、食材に気をつけるなど空間から受ける放射線だけは仕方がありませんが、それ以外を極力少なくしてあげると良いと思います。東京だけ触れることが多いのですが、仙台や山形も東京とほぼ同じです.
Q.
高校生の息子が、武田先生の計算方式で私の住んでいる地域について計算してくれます。
A.
お聞きしてわたくしも励まされます。ちょうど新年度を迎えることもあって多くの人がご自分で計算され、たとえ規制値を超えていてもご自分で判断されてお家に戻ったりしておられます。
Q.
小学校では水筒を持っていくことは禁止されています。他のお母さんからは「それは気にしすぎ」と言われました。
A.
学校は文科省の指導のもとにあり、なかなか保守的で難しいのですが、やはりペットボトルを持たせたいと要望を出すのがよいと思います。また他のお母さんのお話ですが、被曝だけは「少なくしておけばこしたことがない」というものですから、気にしすぎということは全くありません。
Q.
100ベクレル/kgの水を1リットル飲んだ時は、100ベクレル/kg=100/100*2=2マイクロシーベルト。1/24=0.083マイクロシーベルト/時ですか?
A.
おおよそ良いのですが、最後が2に24をかけるのが正解です.
Q.
4月初旬から学校が始まるため、今日東京へ戻りました。2週間ほどでも、被曝を避けられたのは良かったと思っています。
A.
全くその通りです。生活の範囲で、少しでも減らすのが大切です。
Q.
まわりは政府とマスコミが言っているから大丈夫と取り合ってくれません。
A.
本当に大丈夫なら、政府はあれ程必死になって福島原発に取り組みません。神経質になる必要はありませんが、冷静に被曝を少なくしておく努力をするのが大切と思います。政府が必死になっている間は、結果が厳しいことを考えている証拠にもなります。
Q.
冷却装置が壊れているとしたら原発の放射能漏れの終息は2ヶ月以上かかりますか?
A.
発電所の中の放射線が強いと作業が予定通りはかどりませんから2ヶ月ぐらいかかると考えてよいと思います。ただ、現実的には放射性ヨウ素の半減期が短いので、各地のヨウ素の変化を見ていると福島原発から出ている放射性物質の動きがわかるという利点があります。
Q.
このメールが武田さんに届くよう望んでおります。私達に何ができますか?
A.
届いております。今のところ頑張ってすべてのメールに目を通させてもらっていますが、ご返事はできなくなりました。今は個別に被曝を減らして状況を見ていく時期だと思います。
Q.
静岡県御前崎にも、空中降下物に放射性物質が検出されていますが、ふつうに生活していたら、体についたり呼吸で体内にはいりますし、家の中にも入ってきますし、セシウムは何十年もそこにとどまって放射線を出し続けるんですよね?
A.
セシウムは土と性質が似ています。ただ、世界的に決まっている「1年に1ミリシーベルト」という値は安全サイドですが、シッカリしています.つまり放射線というのは被曝しなければしない方が良いのですが、そうは言っても人間は生活しなければならないので、この値ならまず大丈夫という値です。計算されてて納得されたら、安心していいと思います。
Q.
来週の出産までは仕方ありませんので東京に残るつもりですが、その後は地方へ避難するべきでしょうか? 5歳の子供もいますので子供をつれてどこかにマンションを数ヶ月借りる方法を考えています。
A.
東京でお生みになるのに問題はありません。来週ならかなり放射線も減っています。
雨の後だけ外に出るようなことを避け、水と食材に気をつければ、4分の1にはなりますから、安心です。
また機会がありましたら。
(平成23年3月31日午後10時 執筆)
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