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原発全体をコンクリートで覆う案も検討
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4688445.html
(31日17:50):TBS
復旧作業になかなか進展が見られない福島第一原発。放射性物質を封じ込めるため、日米両政府は、福島第一原発全体をコンクリートで覆う案についても検討を始めました。
むき出しの骨組みから白い煙が立ち上ります。福島第一原発では、放射能に汚染された水が復旧作業の行く手を阻んでいます。1号機では、タービン建屋につながる「トレンチ」から見つかった水を廃液処理のためのタンクに移す作業が始まりました。
「移送前が(地表から)マイナス0.14メートル。移送後(地表から)マイナス1.14メートル。1メートル下げた」(東京電力の会見)
ゆっくりとした歩みで続けられる水の”玉突き移送作戦”。しかし、すべての水をタンクに収容しきれるかメドは立っていません。こうしたなか、周辺の海で放射性物質の濃度が上昇していることが分かりました。
「本日もまた少し高い値になってしまい、4385倍という値が出ています」(原子力安全・保安院の会見)
法律が定めた基準の4385倍の放射性ヨウ素が検出されたのは、第一原発南側の放水口から330メートルの場所で30日に採取された海水です。29日の3355倍に続き、これまでで最も高い値が検出されました。
「放射性物質は潮流に流され、拡散により薄まる。人が海産物を食するまでに相当低減すると考えられる」(原子力安全・保安院)
さらに、周辺の土壌汚染についても憂慮すべき調査結果が海外からもたらされました。
「初期の調査でIAEAの避難基準値を超える値が飯舘村で検出された」(IAEA国際原子力機関 フローリー事務次長)
調査を行ったのは国際原子力機関=IAEA。各地で土壌に含まれる放射性物質を分析したところ、福島第一原発の北西およそ40キロにある福島県飯舘村で、「IAEAが独自に定める避難基準の2倍にあたる、1平方メートルあたり200万ベクレルの放射性物質を観測したといいます。
飯舘村は一部が屋内待避の対象となっていますが、避難指示は出ていないことから、日本政府に状況を注視するよう促したといいます。
(Q.避難地域の拡大は?)
「ただちにそういったことではない。しっかりとモニタリングを行って、必要があれば対応していきたい」(枝野幸男官房長官)
「避難所に行ってもダメだと言われた」(飯舘村の住民)
(Q.避難地域じゃないから?)
「うん」
「IAEAだかなんだかも言ってたけども、(政府と)どっちを信用したらいいのか分からない」(飯舘村の住民)
世界中の注目を集めている今回の事故。
「依頼を受けて、すでに多くの機材を送っている。さらに多くの人も派遣したい」(アレバ社 ロベルジョンCEO)
政府と東京電力はフランスの原子力大手「アレバ」社に、汚染した水の除去など放射線量が高い環境での作業について技術支援を要請しました。さらに、アメリカからは・・・。
「放射能対応の専門部隊だが、ワシントンDCの周辺地区にある部隊から派遣されると承知している。あくまでも緊急事態対応ということで」(折木良一統合幕僚長)
日本への派遣が決まったのはアメリカ軍の放射能部隊およそ140人。状況がさらに悪化した場合に、除染や放射能の探知などの活動に当たれるように備えるといいます。
事態収拾のためのあの手この手の対応策。原子炉の周辺では放射性物質が空中に舞い上がるのを防ぐため、合成樹脂製の「コーティング剤」を散布することが検討されています。31日は天候不良のため中止となりましたが、1日以降、試験的に実施される予定です。
「あらゆる選択肢を検討しているという状況で、その中のどれかをとるのが有力になっているとか決まっているとかいう段階ではない」(枝野幸男官房長官)
日米両政府のプロジェクトチームは、放射性物質を封じ込めるため、「当面は冷却を続けながら合成樹脂を散布する、第2段階として、巨大なテントで覆うという案を検討しているほか、最終段階として、福島第一原発全体をコンクリートで覆うという案についても検討を始めました。
コンクリートで覆う場合1機につき2000億円近く、1号機から4号機までだと7000億円以上かかるとの専門家の試算が総理官邸に報告されています。事態の沈静化までどのくらいかかるのでしょうか。そのシナリオさえ見えないなかで、復旧に向けた歩みは手さぐりで進んでいます。(31日17:50)
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