http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/144.html
Tweet |
原子炉建屋の水素爆発、放射線物質を含んだ蒸気の放出、原子炉格納容器の損傷、使用済み燃料プールの水温上昇、食品や水の放射能汚染、原発の作業員の被爆、水道水、牛乳や野菜、海水の汚染などが起きた。
一方で、漸く、外部電源と制御室の照明が整備された。だがタービン建屋内の水が放射能汚染し、建屋外のトレンチ(地下坑道)にも流出している。汚染した水は、原子炉内の循環水・外部注水の冷却水・津波に起因するという。
「東電は29日、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能の復旧に向けた作業を続けた。1〜3号機のタービン建屋地下1階にたまった水は深さ約40センチ〜1.5メートルほどあるといい、立て坑内すべてに水が満たされていれば約3000〜6000トンになり、汚染された水は相当な量になる。所内のタンクに水を移す計画だったが、タンクの容量が足りないことが分かり、新たな方法を検討しなければならなくなっている。
1号機ではタービン建屋内にある復水器に入れて排水を続け、3号機ではすでに復水器に水が入っているため、別のタンクに水を移し始めた。だが、2号機は検討段階で作業は進んでいない。」
と報じられている(毎日新聞 3月29日(火)13時18分配信)。
こうして、「注水を増やすと汚染水が拡大し、外部に広がる」というジレンマが表面化した。被災した原発施設の修復工事は、戦略的に頓挫し先が見えない。そして問題は、本来の冷却機能修復まで、原発施設外部注水による冷却が止められず、施設内で水の循環が保てるか否かだ。
外部注水量の調整で、施設内の水循環が保てなけば、他の受け皿が必要だ。水だけではない。本来の冷却機能修復まで、放射物質の拡散が懸念される。加えて水蒸気爆発や再臨界の最悪事態も、完全に回避できる保障はない。
「福島第一原発の最悪のシナリオは、1号機から6号機がメルトダウン(全炉心溶解)を起こし、4277トンの使用済み核燃料の過熱が制御不能となるのだ。これが、人口1400万人の東京から約240キロメートルしか離れていない場所で起こる可能性がある」と言う(福島第一原発の最悪のケースを考える−コトリコフ (ブルームバーグ)http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/594.html)。
そこで政府と東電は、福島第一原発の5・6号機、同第二原発内の使用済み核燃料を、全国の原発に海上輸送で緊急疎開させる。空いた使用済み核燃料の貯蔵プールや復水器は、福島第一原発のたまり水や、放射能汚染物質の受け皿にする。
また福島第一原発の臨海に、石油タンカーを回送し、同じ機能の受け皿設置も考えられる。こうした方策を検討し、想定外の最悪事態に備えて欲しい。
<福島第1原発注水増やせば汚染水拡大、冷却足踏み>2011/3/29(火) 午前 7:56
毎日新聞 3月28日(月)22時57分配信
東京電力福島第1原発の建物外で、極めて高い放射線量を持った汚染水が確認された。原子炉を冷却する海水の注入を、機器への負担が少ない真水に切り替えるなど一部で前進はみられるが、放射性物質による汚染が次々と広がっている。今なお東電幹部や政府は事故収束の見通しを示せない。放射性物質の監視体制は整備されても、外部への放出を防ぐという抜本的な解決にはほど遠く、関係者の間で焦りといらだちが募っている。
「現時点で具体的な目標を定めるに至っておりません」。東京電力の武藤栄副社長は28日夜の会見で、事故収束の見通しがたたないとの見解を示した。
東電は福島第1原発の炉心冷却のために注水量を増やしてきた。また、海水から真水に変更した。海水中の塩素が燃料棒に付着すると腐食するほか、結晶化して弁の働きに悪さをするからだ。だが、ここにきて「注水を増やすと汚染水が拡大し、外部に広がる」というジレンマが表面化した。
◇建屋外でも1000ミリシーベルト
1〜3号機のタービン建屋地下では放射性物質を含んだ汚染水が24日以降、相次いで発見。通常運転時の冷却水に比べて、1、3号機で約1000倍、2号機で約10万倍だった。28日には、2号機のタービン建屋の外側にある立て坑の水表面で1時間当たり1000ミリシーベルト以上の放射線量が検出。作業員は近づくこともできず、冷却機能回復のための作業は中断している。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は28日の会見で、「まずはタービン建屋にたまった水を抜くが、注水は核燃料が危険な状態にならないよう続けなければならない」と苦悩した。
汚染水の漏えいルートについて、東電と保安院は「不明」としているが、放射性物質の特徴から炉内の水と見ている。水蒸気が炉内から外側の格納容器内に広がり、弁やポンプの隙間(すきま)から漏れ出たか、格納容器下部の圧力抑制プールが爆発で破損した2号機では、そこから漏れたとみられている。
圧力容器の容量は1号機が約200トン、2、3号機が約330トンで、1時間当たり10トンの注水でも1〜2日で満水になる。しかし実際には大量の水蒸気が圧力容器外に放出していると見られ、炉内の水位はほとんど変化せず、燃料棒は一部が水面上に露出したままとみられている。
東電は注水強化のためポンプを順次増強した。当初は消防車のポンプによる1時間当たり2トンの注水だったが、1号機は23日以降同11トンに増やした。2、3号機も28日までに仮設ポンプを設置し、同約39トンに増強。1号機でも29日中に仮設ポンプを設置する予定だ。
防衛省・自衛隊も、東電の真水注入作業を支援するため、米軍から提供を受けたバージ船(はしけ)2隻を、福島第1原発から約60キロ南の小名浜港に待機させている。真水計約2200トンを積んでおり、原発近くに接岸し、米軍がオーストラリアから購入した給水ポンプで貯水タンク(容量約3500トン)に真水を送る。訓練やポンプの試運転などが必要で、実現するのは早くても31日となる。バージ船の真水がなくなった場合は、沖合にいる海上自衛隊の補給艦が給水する。
だが、炉内への注水量が増えれば、同時にタービン建屋地下などへの漏水も拡大し、作業がさらに遅れる可能性が高い。冷却機能の回復はさらに不透明になっている。【日野行介、足立旬子、坂口裕彦】
◇海藻類にヨウ素付着しやすく
福島第1原発の建屋外で汚染水が見つかり、海水からも基準の約1850倍のヨウ素131などが検出されている。今後も漏えいが続けば、水産資源や土壌などへの影響が懸念される。
吉田正・東京都市大教授(原子炉工学)は「元々、タービン建屋にある復水器は、海水を引き込んで蒸気を冷却する仕組みで、海との関連が深い施設と言える。海への漏えいもあり得る」と指摘する。
海に漏れている場合の影響はどうか。稲葉次郎・元放射線医学総合研究所研究総務官(放射線防護)は「放射性物質量がどのぐらい漏れたかにもよるが、海に入っても海流などによって希釈される。すぐには海産物や人への影響には結びつかないだろう」と話す。
一方、海や魚と放射性物質の関係に詳しい水口憲哉・東京海洋大名誉教授(資源維持論)は「生物の体内で放射性物質が濃縮されるため、魚介類への影響が懸念される。特に海藻類はヨウ素131が付着しやすい」と危惧する。
◇土壌が吸着 地下水に行かず?
海だけでなく、土壌に汚染水が漏れ出ている可能性も否定できない。村松康行・学習院大教授(放射化学)は「周辺の土壌の状況にもよるが、ヨウ素やセシウムは土壌に吸着しやすいので、一般的には地下水には行きにくい」とみている。
吉田教授は「原子炉を冷やすため注水をやめるわけにいかない。作業をするには建屋にたまった水を早く抜かなければならないが、抜いた水の処理も問題になる。東電はまた一つ荷物を背負った」と話した。【下桐実雅子、西川拓】
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素8掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。