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放射性ヨウ素が引き起こす甲状腺がんの怖さ
http://gendai.net/articles/view/syakai/129654
2011年3月29日 掲載 :日刊ゲンダイ
喉仏に違和感があったら注意
福島第1原発の1〜6号機の放水口付近の海水から検出された放射性物質の値は驚愕(きょうがく)だ。特に甲状腺がんを誘発するとされる放射性ヨウ素は法令基準限度の1150〜1850倍とハンパじゃなかった。海藻を多く食べる日本人は、欧米人に比べて甲状腺がんのリスクは低いといわれるが、安全ラインをこれだけオーバーしたら影響を心配せざるを得ない。
「子どもの甲状腺がんの発症率は5年で約130倍に増えた」――。長野県松本市の菅谷昭市長は25日、内閣府の食品安全委員会でこう声を張り上げた。菅谷市長は元信州大医学部助教授で、チェルノブイリ原発事故の医療支援活動に最前線で関わった人物。その経験を買われ、参考人で招かれた「第一人者」が、警鐘を乱打したのである。
甲状腺は、喉仏の下にある内分泌器官で、主に体の新陳代謝の調節をするホルモンを分泌する。そこに腫瘍ができるのが甲状腺がんだ。
「86年のチェルノブイリ原発事故では、事故の約5年後から、子どもや若者が次々と発病しました。乳幼児期に放射能で汚染された水や食べ物を摂取したためとみられ、およそ5000人の患者が見つかったのです」(医療ジャーナリスト)
チェルノブイリ原発事故の医療活動を支援してきた「NPO法人チェルノブイリ医療支援ネットワーク」の河上雅夫代表はこう言う。
「ヨウ素131は体に入ると甲状腺に集まり、蓄積されます。乳幼児は細胞分裂が活発なため、どんどん吸収されるのです。甲状腺がんは早期発見すれば治る確率は高いが、発見が遅れると他の臓器に転移するおそれがあります」
救いは、喉仏に腫瘍ができるので違和感があることだ。だから、早期発見しやすい。とはいえ、若い人は進行が速いのでやっかいだ。放射線情報に注意するに越したことはない。
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