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退避勧告を一切出さなかったスウェーデン大使館 2011年03月22日18:54
http://blog.setojp.com/archives/65520270.html
スウェーデン大使館は避難勧告を最後まで一切出しませんでした。
対照的に、軍人さえも90キロ圏外へ逃がしたアメリカと比較しながら、今回のこのスウェーデンの動きを考えます。
スウェーデンは200年以上戦争をしていない、世界で最も長く戦争をしていない国の1つです。江戸時代からまったく戦争をしていないわけで、日本も平和な国といわれますが、江戸末期の内戦、明治や大正の戦争や、その後の世界大戦など、戦争を近代繰り返してきました。まだ平和が66年しか続いてない日本は、200年以上続いたスウェーデンから見ると、きっとまだまだといったところでしょう。
その200年のうち、最も平和を継続するのが困難だったのは、なんといってもヨーロッパを中心とした世界大戦。それこそスウェーデンは、命がけで、厳正中立国であることを守りました。もちろん知られているように、「わたしは中立です」と笑顔を振りまいていただけではありません。ドイツ軍に間接的に協力したり、密輸出の黙認など、ギリギリの綱渡りでなんとか中立という立場を、辛くも守りきりました。このときの首相は心労で戦後亡くなったということですが、いかに苦しい中立国家という綱渡りだったか。そのようなスウェーデンを「狐の知恵、獅子の勇気、貝の忍耐」と評する人がいます。そんな困難を含めての、200年です。
アメリカは正反対に、戦争を止めない国です。日本人を大空襲と原爆で何十万人と殺しましたし、フィリピン、ベトナム、アフリカ諸国、中近東諸国、南米諸国など、主に非白人国で、戦争というよりは大量虐殺を止めることなく続けています。いったい何百万人をアメリカ軍が殺したのか、誰も正確に把握できないほどで、有史以来、ここまで人を多く殺した国家は存在しません。次はリビアのようです。
この2つの対照的な国が、今回の日本の震災で、対照的な行動をとりました。世界で最も平和なスウェーデンは、東京にどっしり腰をすえ、在日スウェーデン人への退避勧告を一切出しませんでした。フィンランドでさえ、東京とその以北からの退避勧告を出したのに、スウェーデン政府は一切しなかったのです。世界で最も好戦的なアメリカは、80キロ圏外へ民間人でなく軍人にも退避勧告し、外交官らの家族約600人にも退避許可を出し、大量に東京から逃げました。
普通に考えると、平和な国は危険からさっさと逃げて、好戦的な国は逃げないと思いきや、それとは反対の行動をとった2つの国。興味深く感じ考えてみました。
まずアメリカ。日本以外では、今回の震災で、最も多くの情報を持っていた国だったことは間違いありません。政府パイプ、外務省パイプ、衛星写真、米軍の自衛隊とのパイプなど、外国では最も日本と関係が深く、最も多くの情報を持っていました。推測ですが、エシュロンや在日CIAなど、政府、官庁、東電、原子力施設などの盗聴もしていたと思います。むしろしていなければ、給料ドロボーとアメリカ政府から言われたことでしょう。
一方スウェーデンは、それと比べたら非常に少ない情報だったことは間違いありません。アメリカのように、日本の政府、省庁、自衛隊などと太いパイプを持ちませんし、ましてや衛星や盗聴設備など持てる予算もありません。記事によれば、もっぱら日本政府の公式発表と、本国スウェーデンの原子力・放射能専門家の判断に、東京のスウェーデン大使館は頼っていたといいます。かなり限られた情報の中での判断でした。
普通に考えれば、圧倒的に情報を持つアメリカの80キロ圏外避難が正しいことになります。そして情報が圧倒的に少なく、そのような避難勧告を出さなかったスウェーデンは間違っていることになります。どちらが正しいかは現時点ではわかりませんし、もしこのまま事態が落ち着いても、アメリカが間違っていたとはいえません。不測の事態が起こったかもしれないのですから。だからどっちが間違いとはいえませんが、どうもこのへんに、アメリカとスウェーデンの差を感じてしまうのです。
アメリカはつい最近も、イラクに大量破壊兵器があるといって虐殺をはじめ、さんざん尊い命を葬ったあとで、やっぱりなかったことを認めました。今回もどうも、それと似たにおいがするのです。要するにアメリカは、大量の情報を持ちながら、全体にとって最良の判断をするのでなく、とにかくアメリカだけリスクをとらない判断をするのではないか、ということです。自己愛に満ちた判断ともいえますし、一切他者を考慮しない迷惑な判断ともいえます。今回の震災でも、世界一多くの情報を持ちながら、たぶんそんなに遠くへ避難しなくても大丈夫だとは思いつつも、いかなるリスクもとらないために、世界でもっともはやく、非常に遠くへの避難勧告を出したのだと思います。80キロ避難勧告をアメリカが行うと、国際的ダメージをどれだけ日本が受けるのかは、一切考慮されなかった判断でした。実際、多くの国がそれに追随し、ヨーロッパ各国の船や飛行機の多くが、東京にすら近寄らなくなりました。甚大な経済被害を日本は受け、その後の国際的な日本をおとしめる風評のもととなりました。
一方スウェーデンは、イギリスや韓国がアメリカに追随して80キロ退避勧告を決め、隣国フィンランドも東京からの避難勧告を出したのに関わらず、どっしりとかまえていました。ただし、スカンジナビア航空の特別避難便を手配したり、被災地からのバス脱出をドイツに依頼したり、政府公式でないところで、しっかりスウェーデン人救出作業は行われていました。スウェーデン大使館では混乱するどころか、その時にも、日本進出を考えるスウェーデン企業に、「日本は大丈夫である。今後も東京で行われるスウェーデン企業サポートは変わらず継続する」といったメッセージを送り続けていました。
ファーベリーのスウェーデン本社にもそのようなメールが、原発への放水作業を続け放射線値が上がり続ける中にも、何度かスウェーデン大使館から送られてきました。ファーベリーは本社がスウェーデンにあり、スウェーデン産ビルベリー(ブルーベリー)サプリを、日本へ輸出販売しており、東京のスウェーデン大使館のサポートも受けています。
一部抜粋します。(原文はスウェーデン語です)
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3月14日 送り主:東京スウェーデン大使館
スウェーデンファーベリー社御中
5月9〜13日にスウェーデン大使館で行われる『スウェーデン飲食展示会』へ出展登録いただきありがとうございます。以下のスウェーデン企業が出展することになりました中略
先日の震災で5月のこのイベントが影響を受けるのではと心配されている方もいると思います。しかしわれわれは胸をはって、大使館、STC、スウェーデン投資部など大使館機能はまったく問題ないことをお知らせします。中略
つきましては、添付のファイルに必要事項をご記入の上、ご返信をお願いします。以下略
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添付ファイルは、われわれ出展者が、スウェーデン大使館に対してどんな日本人や日本企業に招待状を送って欲しいか、インテリアはどのようなものが希望かなど、細かい希望を吸い上げるアンケート用紙でした。
14日といえば、東京に放射能が来るのではないかと、多くの日本人でさえ東京を脱出し始めていたときです。
このメールを送ってくれた大使館担当者は日本人女性と結婚したスウェーデン人ですが、細くていまいち頼りにならないなあというのが印象だったのですが、業務とはいえ、何だかスウェーデン人の芯の強さを見た思いがしました。ふだんマッチョなアメリカ人とは対照的に、おだやかで芯が細そうなスウェーデン人ですが、修羅場にその本性が表れるのではと思いました。
そして15日にはすぐに次のメールが来て、日本の状況を知らせ、展示会はちゃんと5月に行われるというPDFレポートが来ました。「日本は現在困難な状況ではあるが、5月にはお会いできることを大変楽しみに待っております」とそのメールはしめくくってありました。15日は東京の放射線値が上がって、ちょっとしたパニック心理に多くの東京の人がなっていた日です。わたしも東京の人から頼まれて、スウェーデンに日本人脱出用の部屋の手配を始めた日です。このような日にも、スウェーデン人は粛々と業務をこなしていました。
「狐の知恵、獅子の勇気、貝の忍耐」のスウェーデン。
「狐の知恵」は、政府の公式な態度としては、日本政府の公式発表を信じて、退避勧告をスウェーデン大使館は一切出さなかったことで、日本政府からの高い信頼を得ることになったと思います。反対に、多くの国は、日本政府からの信頼を失ったはずです。平静時には見えない、修羅場における行動が露見してしまったからです。しかしスウェーデンは平行して、民間やドイツを使って、着々とスウェーデン人救出作業を行っていました。まさに、中立国家という公式立場を守りながら、現実にはさまざまな国と複雑な取引を行っていた、世界大戦中の「狐の知恵」を見た思いです。
「獅子の勇気」は、いったん東京から避難しないと決めたら、どしっと腰をすえ、修羅場の中で粛々と業務をこなす姿でした。東京では日本人でさえスウェーデンに逃げたいとなかばパニック心理にあったあの3月15日にも、5月という先を見据え、スウェーデンに安心させるためのメールを書いている彼らに、わたしの方が逆に彼らの安否を心配したほどです。
「貝の忍耐」は、とにかく最後まで避難勧告を出さなかったことです。アメリカ80キロ退避勧告、イギリス、韓国、ニュージーランド、オーストラリアも同様、フランス東京から南への避難勧告、イタリア日本脱出か東京から南へ退避勧告、スイス東京・横浜から退避勧告、オーストリア日本脱出か東京・横浜からの避難勧告、スペイン120キロ圏外への退避勧告、クロアチア日本脱出か南部へ避難勧告、シンガポール100キロ圏外へ退避勧告、セルビア日本脱出を勧告、イスラエル東京周辺から西日本などへ退避勧告、ドイツ日本脱出か東京・横浜からの避難勧告、そして隣国フィンランドも東京とその以北からの退避勧告。この中でスウェーデンを動揺させたのは、アメリカと、隣国のフィンランド、そして兄貴分であるドイツの避難勧告だったに違いありません。このような中で、よくもまあスウェーデンは沈黙を守ったものだと思います。もし何かあったら、避難勧告を出さなかったスウェーデン政府は、スウェーデン人から轟々たる非難を受けることになります。もし放射線値が急激に上がって、東京と近辺に住む何百というスウェーデン人に被害がおきたら、完全にスウェーデン政府の判断ミスということになっていたところです。イギリスや韓国やオーストラリアのように、とりあえず一番情報を持っているアメリカの勧告を真似しておけば、リスク回避は行えたはずです。しかしそうしなかった。非常に限られた少ない情報で独自の判断を下し、そして他の国がどう動こうと、じっと石のように動きませんでした。
色々な意味で、スウェーデンがなぜ200年という途方もない年月を、戦争なしでこれたのか、少しだけ感じることができた、今回の修羅場でした。
http://blog.setojp.com/archives/65520270.html
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