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急接近:安斎育郎さん 福島第1原発、放射能漏れにどう備えますか?
<KEY PERSON INTERVIEW>
◇発表注視、理性的対応を−−立命館大特命教授(放射線防護学)安斎育郎さん(70)
東京電力福島第1原発の事故で放射能が放出され、住民は避難や屋内退避を強いられている。この事態にどんな心構えでいたらいいのか。原子力工学や放射線防護学が専門の安斎育郎・立命館大特命教授に聞いた。【聞き手・根本毅】
−−原発災害が収束せず、私たちは大きな不安を抱えています。
◆ 原子力や放射線被ばくの専門家の私でも、事態がどの方向に向かっているかつかめず、不安を感じている。放射線は目に見えないし、原発周辺の被災者は特に恐怖や不安を感じているだろう。未曽有の津波と原発事故という二重の災害に苦しんでいると思うと、ものすごく心が痛む。
−−住民の苦しみを少しでも緩和できませんか。
◆ 闇夜のように、何が起きているか分からないことほど恐ろしいことはない。だから、何が起きているか知るのはとても大切だ。原発の状況や放射線量などの情報は政府などの発表に頼らざるをえず、事実と違ったらどうしようもない。発表を注視し、「隠すな、うそをつくな、意図的に過小評価するな」という3原則を守るよう声を上げてほしい。一方で、過大評価もいけない。事実に依拠して、理性的に怖がるしかない。
−−とても難しいことです。
◆ しかし重要だ。旧ソ連でチェルノブイリ原発事故のあった86年、日本でも微量の放射能が検出され、乳児を抱えた母親が恐怖のあまり家に閉じこもるということがあった。放射線測定装置「ガイガーカウンター」で測って安心してもらい、「閉じこもる方が健康に良くない」と説明すると納得した。むやみに怖がらないためには、専門家の意見を聞くことだ。
−−何を判断基準にしたらいいでしょう。
◆ 「被ばくしないにこしたことはない」のが原則。しかし、日本では普通に暮らしていても年1000〜1400マイクロシーベルトの被ばくをするし、世界平均は年2400マイクロシーベルト。胸のCTスキャンは1回6900マイクロシーベルトとされる。ただ、エックス線検査やCTスキャンは病気の診断や早期発見に役立つから行うのであって、原発事故による被ばくとはあまり比較したくない。住民が不要な被ばくをさせられているという事故の本質を覆い隠すことになりかねない。
◇食品分析進め、買い上げも
−−被ばくを最小限に抑えるにはどうしたらいいでしょう。
◆ 放射性物質が高い濃度で飛んできたと知った時は、外出を控え、換気をできるだけしない。外出の際はマスクをし、皮膚の露出も少なくして、自宅に戻ったら体を洗い流す。過剰反応の場合もあるが、不安な人はやるのがいい。
−−ホウレンソウや牛乳からも放射性物質が検出されました。
◆ 消費者が自分の身を守ろうにも、こう洗えばこれだけ放射能が落ちたという実験結果などが示されなければ判断できない。政府は食品の放射性物質の分析を進め、きちんと規制しないといけない。汚染の可能性のある食品はやはり避けることになる。買い控えで影響を受ける農家から政府が買い上げる制度も検討しないといけない。
−−小さなお孫さんがいらっしゃいますね。放射能への感受性が高いとされる子を持つ人たちにどんな助言をしますか。
◆ 放射線量がさらに増えるかもしれない状況では、通常値の100倍程度になったら不要不急の外出を控えるように言う。通常値が0・05マイクロシーベルト毎時だったら、5マイクロシーベルト毎時。それでも将来がんになる確率が大きく上がるという数値ではない。
−−原発で何が起きたのでしょうか。今後の最悪のシナリオは?
◆ 核燃料は使用済みも含め、冷やさないと熱が上がり、ついには被覆管が壊れて中の放射性物質が外に出てしまう。冷却装置すべてで電気が必要なのに、地震や津波で電源を確保できなくなった。既に燃料棒が壊れて放射性物質が外に出ている。最悪なのは、圧力容器の外のプールで大規模な燃料棒の破損が進み、膨大な放射性物質がばらまかれること。あまりに深刻で考えたくないが、想定して対策を取らないといけない。
−−最悪の事態を避けるために、何か手だてはありませんか。
◆ 何より発生源を断つこと。専門家の知恵を総動員するしかない。福島第1原発の現場の技術者は身体的にも精神的にも限界に達しているだろう。彼らを孤立させないため、原子力の専門家を集めて相談できる態勢を作ればいい。
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■ことば
◇被ばくと健康影響
ヨウ素やセシウムなどの放射性物質から出た放射線を体に浴びることを被ばくという。放射線は細胞やDNAを傷つけ、被ばく線量によっては健康にさまざまな影響が出る。短時間に1シーベルト程度被ばくすると頭痛や吐き気などの急性症状が表れ、4シーベルト程度で半数が死ぬとされる。低被ばく量でも将来の発がんに影響し、被ばく量が大きければがんのリスクが高まる。また、不安やストレスなど心理的影響も大きい。
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■人物略歴
◇あんざい・いくろう
1964年東京大工学部原子力工学科(1期生)卒。東大医学部助手を経て、86年立命館大経済学部教授、88年国際関係学部教授。08年から国際平和ミュージアム名誉館長。原発関係の著書多数。
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毎日新聞 2011年3月21日 東京朝刊
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