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東北地方の大地震、大津波災害にともなって、10基ある福島原発の大事故が進行している。テレビに出てくる枝野官房長官をはじめ原子力保安院や東電さらに専門家などが「安心」といった直後に大爆発をしたり、高濃度の放射能漏洩が起きるなど、事態は毎日説明以上の大事故へとエスカレートしている。この連中の態度が、命をかけて奮斗している事故現場の作業員をはじめ、国民全体の心配とは無縁な緊張感のない姿に人人は怒っている。この国の指導的な連中が、国民の心配にどう応えるか、どう責任を負うかという社会的責任感などまるでない態度をさらしている。
かれらは「日本の原発は安全だ」といい「いかなる地震にも耐える」などといって、金力、権力総動員であらゆる反対を押し切って原発の推進をしてきた。そして今度の大事故である。国民にウソをいってきたその体質が、事故がエスカレートしているいまも本当のことをいわず、それが政府不信を強めさせている。
枝野や解説者が、どんな爆発が起きても、高濃度の放射能漏洩の事態になっても、その状態までの解説として「人体への影響はない」などといっているが、人人は「これからどうなるのか」とくに「あり得る最大の事態はどうなるのか」、それにどう対応すればよいのかに強い関心を持っている。台風予報をやり、地震予知をやり、火山予知をやって人人は備える。今進行している原発大災害について、政府はまるで予知情報を出さない。福島の原発事故現場に、放射能の心配があるとは伝えずに作業員や消防署員を送り込んで被曝させているが、国民が死ぬとわかっていてあえて放置するのは殺人行為と同じである。それは、「政府は国民の生命と安全を守るものだ」と見なしていないことを暴露している。
今起きている原発事故について、もっとも心配されているのは、炉心の核燃料棒がとけ落ちて核分裂の再臨界を開始し、核爆発を起こして広島原爆の1万倍もの放射能が大気中に放出されることである。しかも福島第1原発の4基すべてが危機状況にあり、さらに第2原発も危ない。そうなればチェルノブイリ事故をはるかに越える大惨事となる。日本列島全体を廃虚にしかねないだけではなく、アジア近隣諸国、果ては世界中まで汚染しかねない。世界のメディアはそのように対応している。
そこまでいかなければ幸いであるが、そこまですすんだ場合どう対応すればよいか、それについての正しい知識を提供することが、人人を危機のなかで希望を見いだす基本的な条件となる。風下を絶対に離れなければならないとか、原発からできるだけ遠くに離れなければならないとか、日本中の子どもたちにヨウ素をすぐ飲めるように準備するとかの必要がある。家屋内に閉じこもれというがそれを続けるには水や食糧、電気や灯油などはどうするかの対応がいる。
また農漁業などの食糧生産、それらの物流など経済活動をどう継続するのか、医療態勢をどう保障するかなどがなければどうにもならない。東日本が打撃を受けているときに西日本はどういう役割を果たすかなど、そういうことにこそ政府の機能が働かなければ政府の意味がない。
政治家も官僚も大企業もメディアも、市場原理、新自由主義改革などといってきた間に、国益をどう守るかなどまるでなく、万事アメリカのいいなりで国民の生命や安全は「自己責任」、そして自分らの損得ばかりという腐敗した体質が濃厚になってきた。大地震対応、とりわけ原発災害対応をめぐって、それで突っ走られたらたまったものではない。
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