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破局は避けられるか――福島原発事故の真相(ジャーナリスト 広瀬隆 )
http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/261.html
投稿者 判官びいき 日時 2011 年 3 月 16 日 16:56:50: wiJQFJOyM8OJo
 

2011年3月11日、東北地方三陸沖地震が起こって、福島第一原発1号機で格納容器内の圧力が異常に上昇し、そのあと建屋が爆発。続いて3号機も同じく爆発。さらに2号機は、格納容器内にあるサプレッションプール(圧力抑制室)が破損した。破損が進めば絶望的な破局に向かう。これと並行して、日本人の頭の上に大量の放射能放出を始めた。一体、何が起こったのか。

「想定外」の言葉を濫用する電力会社とマスメディアの異常
津波そのものによる天災は、避けることができない。これは日本の宿命である。しかしこの悲惨な原発事故は人災である。それを起こした責任者は、電力会社だけではなく、これまで何もこの事態を警告をしなかったテレビと、テレビに出てデタラメを解説している専門家と呼ばれる大学教授たちである。

2011年3月11日14時46分頃、北緯38.0度、東経142.9度の三陸沖、牡鹿半島東南東130km付近、震源深さ24kmで、マグニチュード9.0の巨大地震が発生した。マグニチュードが当初8.4→次に8.8→最後に9.0に修正されてきたことが疑わしい。原発事故が進んだために、「史上最大の地震」にしなければならない人間たちが数値を引き上げたのだと思う。これは四川大地震の時に中国政府のとった態度と同じである。

地震による揺れは、宮城県栗原市築館(つきだて)で2933ガルを観測し、重力加速度の3倍である。しかし2008年の岩手・宮城内陸地震では、マグニチュード7.2で、岩手県一関市内の観測地点で上下動3866ガルを記録している。今回より大きい。

NHKなどは「1000年に1度の巨大地震」と強調するが、この東北地方三陸沖地震の実害と、原発震災を起こした原因は、津波であった。では、津波の脅威は、誰にも予測できなかったものなのか。日本の沿岸地震では、ほんの100年前ほどの1896年(明治29年)の明治三陸地震津波で、岩手県沿岸の綾里(りょうり)では38.2m、吉浜(よしはま)24.4m、田老(たろう)14.6mの津波高さが記録されている。

「想定外」の言葉を安っぽく濫用するなとマスメディアに言いたい。被害が出たあとに、被害を解析してくれても困る。事故後に、「想定できなかった」ということは、専門家ではないということだ。すべて私のごとき人間に想定でき、昨年8月に発刊した『原子炉時限爆弾』(ダイヤモンド社刊)に書いたことばかりが起こったのである。電力会社が「故意に想定しなかった」だけであり、想定しなかったその責任は、被曝者に対してきわめて重大である。

冷温停止に至っているのは原子炉11基のうち3基だけ
昨年のことから理解しておくべきである。昨年3月25日に、1971年3月26日に運転を開始した福島第一原発1号機について、東京電力は、この原発が40年を迎えるというのに、超老朽化原発の運転続行という暴挙を発表し、60年運転も可能だと暴言を吐いて、原子力安全・保安院がそれを認めた。これは福井県の敦賀原発・美浜原発に続く、きわめて危険な判断であった。

さらに昨年10月26日、営業運転開始から34年が経過した老朽化原発・福島第一原発3号機でプルトニウム燃料を使った危険なプルサーマル営業運転に入った。福島第一原発は設計用限界地震が、日本の原発で最も低い270ガルで建設された、最も耐震性のない原発である。そこで今、炉心熔融が起こったのだ。福島県内には、70キロを超える双葉断層が横たわり、マグニチュード7.9が予測される。

地震発生時の運転状況は、○福島第一1・2・3号機は運転中→スクラム(緊急自動停止)。4・5・6号機は定検停止中○福島第二1・2・3・4号機はすべて運転中→スクラム。制御棒が挿入され、核分裂反応は、全機が停止した。しかし……

地震発生後、原発は「止める」「冷やす」「閉じ込める」機能があるので大丈夫だと宣伝してきたが、ほかの原発も含めて、自動停止した11基の原子炉のうち、原子炉内の温度が100℃以下で、圧力も大気圧に近い状態で安定した「冷温停止」に至っているのは、地震4日目の14日現在、福島第二原発3号機と女川原発1・3号機の3基だけであり、残り8基が迷走運転中である。

炉心溶融(メルトダウン)は2800℃どころか、わずか600℃で起こる
電気出力100万kW原子炉では、熱出力がその3倍の330万kWある。この原子炉では、原子炉自動停止しても、その後に核分裂生成物が出し続ける崩壊熱は、1日後にも、1万5560kWもある。またその発熱量がどれほど小さくなっても、永遠に熱を出し続けるので、燃料棒が原子炉にある限り、それを除去し続けなければならない。なぜなら、原子炉という閉じ込められた容器内では、熱がどんどんたまってゆくからである。

それを除去できなければ、水は100℃で沸騰するから、水がなくなり、燃料棒がむき出しになる。そうなれば、超危険な放射性物質が溶け出し、燃料棒の集合体が溶け落ちる。それが炉心熔融であり、メルトダウンと呼ばれる。燃料棒の集合体が次々に溶け落ちると、炉の底にたまって、ますます高温になり、灼熱状態になる。やがて原子炉圧力容器の鋼鉄を溶かし、お釜の底が抜けると、すべての放射性物質が、外に出て行く。
これが「チャイナ・シンドローム」と呼ばれる現象である。一方、燃料棒被覆管のジルコニウムが水と反応して酸化されるので、水素ガスを発生する。水素ガスの爆発限界は、最小値が4.2%であるから、この濃度になれば爆発する。

原子炉の正常な運転条件は、福島原発のような沸騰水型では、280〜290℃、70気圧である。従来は燃料棒の過熱温度が2800℃で炉心溶融が起こるとされていたが、スリーマイル島原発事故などの解析によって、実際には600℃で起こることが明らかになった(2009年7月6日〜7日にNHK・BS1で放映されたフランス製ドキュメント「核の警鐘〜問われる原発の安全性」)。

NHKなどは、御用学者を動員して「史上空前のマグニチュード9.0」を強調しているが、建物の崩壊状況を見て分る通り、実際の揺れは、兵庫県南部地震(阪神大震災)のほうがはるかに強烈だった。この地震被害の原因は、揺れではなく、ほとんどが津波であった。

地球の動きがもらたす「原発震災」が日本で現実化した
福島第一原発では、地震から1時間後、15時42分に全交流電源が喪失して、外部からの電気がまったく来なくなった。あとは、所内の電源が動かなければ、何もできない状態である。ところがそこに津波が襲って、15時45分にオイルタンクが流失して、さらに配電盤などの配線系統が水びたしになって、内部はどうにもならなくなった。初めは炉心に水を注入するためのECCS(緊急炉心冷却装置)を作動したが、すぐに注水不能となった。非常用ディーゼル発電機はまったく作動しない。電気回路が大量の水を浴びて、配線系統がどうにもならない。コンピューターも何もかも、電気がなければ何もできない。

このような所内電源と非常用ディーゼル発電機による電力のすべてが失われた事態に備えて、原子炉隔離時冷却系と呼ばれるECCSの一種がある。これは、炉心の崩壊熱による蒸気を利用してタービンを起動させ、ポンプを駆動して注水する装置である。しかし、これも制御機能が失われれば、駄目になる。

そもそも、地震発生当初から、非常用ディーゼル発電機がまったく働かないというのだから、電源車が到着したかどうかに鍵があるのに、その最も重要なことについてさえ、報道されなかった。テレビの報道陣が、いかに原発事故について無知であるかをさらけ出した。

そして1号機の原子炉内の水位がぐんぐん下がり始めた。非常用復水器と原子炉隔離時冷却系によって、何とか水位の復帰につとめたが、格納容器(ドライウェル)内の圧力が、設計上の使用最高圧力4気圧をはるかに上回る8気圧に達している可能性が高く、加えて、除熱ができていないので、水位が下がってゆき、4メートルの燃料棒の頭は、1メートル以上が水の上に顔を出した。

格納容器の圧力が高まると破壊されるので、バルブを開いて、高圧になった気体を放射性物質と共に外部に放出する作業に入ったが、事故の経過を見ると、悲観的にならざるを得ない。しかしもうすでに、事故解析の原稿を書いている段階は過ぎたようだ。15日昼頃には、敷地内での放射能が通常の350万倍に達した。

テレビでは、コメンテーターも政府もみな、微量、微量と言い続けた。ここまでくれば、みな、おそるべき犯罪者たちである。さらに2号機では、格納容器の破損が起こり、4号機では建屋内の使用済み核燃料のプールが沸騰を始めたという。ここには、原子炉より多くの放射性物質が入っている。作業者が近づけない場所であるから処理はおそらく不能であろうと、15日の午後5時時点で、私は推測するが、この推測が間違ってくれるよう祈っている。

福島第一原発の6基のうち、1基がメルトダウンすれば、そこには職員がいられなくなる。すべてを放棄して逃げ出すだろう。あとは連鎖的に事故が起こる。この発電所には、全部合わせて、事故を起こしたチェルノブイリ原発の10倍を超える放射能があると思われる。

あとは、この放射能が無害であると、政府と原子力安全・保安院と電力会社とテレビの御用学者たちは言い続けるはずだ。もし日本の国民が愚かであればそれを信じて、汚染野菜を食べることだろう。明日、すぐには死なないからだ。しかしかなりの高い確率で発癌することが分っている。子供たちを守れるのは、事実を知っているあなただけである。

『原子炉時限爆弾』で、私はこう書いた。−−「10年後に、日本という国があるのだろうか」と尋ねられれば、「かなり確率の高い話として、日本はないかも知れない」と、悪い予感を覚える。…(中略)…この先には、まったく報じられない、とてつもなく巨大な暗黒時代が待ち受けているのだ。その正体は、想像したくもないが、人知のおよばない地球の動きがもたらす「原発震災」の恐怖である。−−と。その通りになってしまったのだとすれば、悔やんでも悔やみきれない。
http://diamond.jp/articles/-/11514?page=4
 

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コメント
 
01. 2011年3月16日 17:03:14: 0MIOfWhAFM
二重投稿です。
http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/236.html

02. 2011年3月16日 17:09:27: A4GQ7o9O02
01様
緊急時で、有益な投稿なら、いいんじゃないですか。

03. 2011年3月16日 17:30:41: A4GQ7o9O02
広瀬隆氏 プロフィール
1943年1月24日東京生まれ
早稲田大学理工学部応用化学科卒、メーカーの技術者を経て、技術・医療翻訳、原子力、アグリビジネス、国際金融など、ノンフィクションで異色の作品を著す。

「ジョン・ウエインはなぜ死んだか?」
「東京に原発を』「ハリウッドは億万長者を殺す」
「危険な話」「赤い楯 上・下」

日本の原子力の利権構造を調べていたら、ロスチャイルドのウラン・ダイヤモンド王のオッペンハイマー
に行き着いたという執念のひと。「赤い楯」でロスチャイルド家のことについて調べすぎて、モサちゃんことモサド(イスラエル諜報機関)にマークされたことも。
30年以上、手弁当で原子力発電の危険性を警告する講演会を全国各地で開いている(現在はどうか知らない)昔、大阪の八尾の講演会でお話うかがったことがあります。

財界の重鎮相手にも「原子力発電の危険性について」講演したことも「一発大事故になったら、株価暴落で経済どころじゃないですよ。」財界のみなさん「その通りだ。」と真剣な顔して聞いてくれていたらしいです。

でも、植木等の「わかっちゃいるけどやめられない」
じゃないが、今回のような大災害がおこらないと、わからないのかも。


04. 2011年3月16日 18:18:30: Fn0SJO02P6
原子炉の燃料棒が溶解して一体化することをメルト・ダウンと言うが、そうなっても核爆弾の爆発のような現象が起きるわけでもない。 ただ高温状態のウラニューム235やプルトニュームが地下水と接触すれば水蒸気爆発を引き起こして広範囲に放射能物質をばらまき、甚大な被害をもたらす。 燃料棒が溶け出してしまうと、もはやメルト・ダウンを止める手段は無かろう。 水蒸気爆発や水素爆発が繰り返され、核反応を閉じ込めて置くケーシングも破壊されてしまうだろう。 その段階に至れば、人間は近寄ることは不可能になる。 ウラニューム235やプルトニュームの核分裂を止めるには、ボロン(硼素)によって中性子を吸収するしかないのではないのか。 アメリカが提供を申し出たのがこのボロンだが、菅首相が断わってしまった。 確か東京工大の出身と聞いていたが、原子力についての知識に欠けていたということか。 水で冷やすだけで暴走を止められるものだろうか。 福島以外の原発の現状についても情報が欲しい。 まさに日本の危機だと思う。 N.T

05. 2011年3月16日 18:26:57: ibwFfuuFfU
広瀬隆の主張はここ四半世紀にわたって全くぶれがない。この人をいうことをもっと真面目に取り上げるべきだった。原発は安全だ、というならそういうことをいう人、そういうことをいうことでボロもうけする人の家の前に原発を建設すればよかったのだ。「想定外の事態」がこんな無造作に安っぽく発生することを内心恐れていたからこそ、原発を東北地方に押しつけたのだ。

06. 2011年3月16日 19:14:05: 0MZNp5vGRw
>>水蒸気爆発や水素爆発が繰り返され、核反応を閉じ込めて置くケーシングも
 破壊されてしまうだろう。その段階に至れば、人間は近寄ることは不可能になる。

既に今の時点で東電社員も自衛隊員も「近づくのイヤだ」と言ってますね。
じゃどうしようと言うんだろう? 自分も関東者なんでものすごく不安です。


07. 2011年3月16日 19:44:26: t8UxWgHZd6
できるだけ遠くへ、逃げるんだ。

二階堂ドットコムのサイトでは、
もう自衛隊、アメリカ軍も逃げる準備をしている、らしい。

あとは、決死隊の作業員のみなのだ。


08. 2011年3月16日 20:06:14: A4GQ7o9O02
1日で徒歩で20〜30q
5日間で100q程度は移動できます。
車なら1日で200qは移動できます
あとでそんな必要なかったとしても、そんなに逃げんでもよかったと笑い話でいいじゃないですか。
風向きに注意

09. tk 2011年3月16日 20:59:39: fNs.vR2niMp1. : 0wgoUdYBgQ
犬が吠えております。

http://twitter.com/ikedanob/status/47816589189451777

@ikedanob
池田信夫
これは悪質なデマ。編集部は削除すべきだ。 http://ow.ly/4fjda 【ダイヤモンド・オンライン】破局は避けられるか――福島原発事故の真相 ジャーナリスト 広瀬隆 diamond.jp/articles/-/115… via @dol_editors


10. 2011年3月16日 21:43:45: Fn0SJO02P6
悪質なデマじゃない。 当たり前のことを書いているだけ。 今の段階では何とか水で冷やし続けていて、その間に中性子を吸収させるボロンを山のように積み上げるくらいしか思いつかない。 そんな大量なボロンが調達可能かどうかなんて誰も知るまい。 事故発生の短時間の間に外部からの電源が確保出来ていたらと思うが、今更悔やんでも間に合わない。 現場で苦労している人たちに感謝。 一般の市民は出来るだけ遠くに逃げた方が良い。 風向きによってはかなり遠くまで放射性物質が飛んでくる。 子供達を疎開させてはどうだろう。 N.T

11. 2011年3月16日 22:25:30: A4GQ7o9O02
残念ながら、ダイヤモンドオンラインは削除などしないでしょう。
経済誌でありながら、25年以上も前から、広瀬隆さんと組んで、アグリビジネス、原子力、医療、国際金融などを一緒に仕事をやって来た訳だから、池◯◯夫氏のデマにのせられた読者からのメールには乗らないでしょう!遠吠えしながら犬死にというのがピッタリですね。

12. 2011年3月17日 20:45:10: lqOPOFnyLE
>燃料棒の集合体が次々に溶け落ちると、炉の底にたまって、ますます高温になり
(溜まっただけで、より高温になるとは?当然程度の上昇で、再臨界でなければより高温とはならないのでは。)
>水素ガスの爆発限界は、最小値が4.2%であるから(水素だけでは爆発しないのでは。)

>燃料棒がむき出しになる。そうなれば、超危険な放射性物質が溶け出し、(むき出しになっただけでは、内部の物質がとけださない。被覆が破損や融解をして内部の放射性物質がでるので、時間がややある。)

時間が問題で、すぐにでも物事が進行してしまうようなかき方は、済んでしまったこと(解釈でよい)と違ってこれからの事象については丁寧にしなくてはならない、そしてそれは大変なことで、粗雑なことをいつても役に立たないはずだ。
つまり、こんな表現に、あまり重きをおいてはいけない。


13. 2011年9月20日 13:16:53: gf7OQcxcqA
109の英数の変換は停電の影響で光の
射すのが、遅くなりましたが
3号機のベントの記述が3月21日に
及んだ事は、慌てましたね
ところで、α線の分析は福島で意味を成す
脱原の寄付は有効に

14. 2011年9月20日 13:52:57: gf7OQcxcqA
同タイトルのOrin星人投稿者への
コメントでしたが何故かコメントが記述されず

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