http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/137.html
Tweet |
http://jcj-daily.seesaa.net/article/190603049.html#more
東京電力福島第1原発1号機で12日、炉心溶融や建屋の一部の爆発が起きた。
原発の安全性に対する信頼は、これまでの「大丈夫、大丈夫」一点張りの主張を突き崩し、根元から大きく揺らいでいる。福島県以外の原発稼働地域でも、住民の不安と不信の声が高まっている。日本の<原発依存>行政は、根本からその見直しを迫られている。
報道によると東京電力福島第1原子力発電所の3号機が、午前11時01分に水素爆発を起こした。12日の1号機と同様の水素爆発。1号機が爆発した際と同様の放射能のレベルになる可能性があるという。経済産業省原子力安全・保安院は、同原発から半径20キロ以内の住民ら約600人に、屋内退避を呼び掛けた。東京電力は同社社員4人、下請け(協力会社)2人が怪我をしたことを明らかにしてたが、ほかに自衛隊員など計11人が負傷した。2号機の状態も危機に陥ったことが報じられている。
(JCJふらっしゅ「Y記者のニュースの検証」=小鷲順造)
枝野官房長官は記者会見で、「放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低い」と述べたが、1号機が爆発した際の放射能拡散のレベルや環境に与える影響は、依然、不明。東電・福島第一原発所長や、官房長官、原子力安全・保安院は、同原発敷地内の放射線量を測定するモニタリングポストでは、<毎時20マイクロシーベルト>を計測しており、急上昇はみられないことを強調している。
また敷地内の2カ所で、それぞれ14日午前2時20分、同40分に、通報基準である毎時500マイクロシーベルトを超える751マイクロシーベルト、650マイクロシーベルトを検出したとの報告もある。これはいずれも一般人の年間被ばく線量限度1000マイクロシーベルトに2時間足らずで達する放射線量で、13日には、同じ福島第一原発周辺で1557・5マイクロシーベルトが検知されたとの情報が飛び交っている。
そしてこれらの数値だけが報告されたすべての数値であり、その検出場所、方法も含めた数値の正当性については、まったく検証される状態にない。
原子力資料情報室は、この福島第一原発3号機の水素爆発をうけて、<プルトニウム燃料を装荷している3号炉ですから,燃料の融点が通常燃料より低いことから炉心熔融事故の危険が高い性質があります.周辺の放射線が上昇しています.この爆発でかなりまとまった量の放射能が放出した可能性が高いです.西風にのった放射能運が海側に流れているため,東京電力の測定は放射能の実際の値を反映していません.東京におくられている原子炉のデータが信頼できる根拠はないと思います>と同団体のサイトに記して警鐘を鳴らした。
このうち、<西風にのった放射能運が海側に流れているため,東京電力の測定は放射能の実際の値を反映していません>との指摘は、原発賛成・反対どちらの立場においても頭においておくべきことだろう。次々と前に語ったことが現場でおこる事実によって覆されるなかでも、枝野官房長官、原子力安全・保安院、東電の利害関係三者は「避難した住民は安全性が保たれる」とだけひたすら強調、菅首相もここぞ点数稼ぎの場と心得たか、一度目の爆発をうけて、「しっかり対応をすることで、1人の皆さんも、健康被害に陥らないよう全力を挙げていく」などと、危機に直面した大統領気取りで話してみせた。相変わらず具体性のかけらもなく、訪れている危機や対応のまずさについても、なんら覚知・自覚しているようすもなかった。驚くべき自己満足と無責任を露呈しただけだった。
AFPによると12日、福島第1原力発1号機を冷却するため海水が注入されたことについて、米国の原子力専門家らが報道陣向けに電話会見した。
米シンクタンク「Institute for Policy Studies」の核兵器廃絶・環境・エネルギー政策の専門家、ロバート・アルバレス氏は、「恐らく原子炉を冷却して安定させるための真水を注入する能力を失い、最後の手段として海水の注入に踏み切ったのだろう」(AFP)と述べている。「アメフトで言うとへイルメアリー(劣勢にあるチームがゲーム終了間際に得点を狙って投げるロングパス)だ」(同)という。
つまり1号炉冷却のための海水注入は、<廃炉も覚悟した「最後の手段」>だというのだ。
福島第1原発は、非常用ディーゼル発電機も使用できなくなったため、原発に交流電流を供給できなくなる「ステーション・ブラックアウト」(全交流電源喪失)と呼ばれる状況に陥ったと指摘、原子炉事故のシミュレーションを手掛けている物理学者のケン・バージェロン氏は、「ステーション・ブラックアウトは、実際に発生する可能性は極めて低いと考えられていたものの、何十年も前から非常に懸念されていた事象だ。我々は今、未知の領域にいる」(AFP)と語っている。
ウオール・ストリート・ジャーナル日本版によると、「燃料棒が溶融しない限りは大丈夫だろう」と指摘するフロリダ州立大学の原子物理学者・カービィ・ケンパー博士は、チェルノブイリのと異なり原子炉に炭素ではなく鋼製格納容器で囲まれている日本の原発では、原子炉が完全に破壊すれば、放射性ガスが漏出するものの、大気中で消散する可能性が高いとしている。
ケンパー博士は、原子炉の完全破壊となった場合には、福島原発周辺地域での影響は「後始末には1−2年かかるだろう」と語っている。
ただウオール・ストリート・ジャーナルは、<一方、事態が悪化すれば、空中に放出される放射性物質を含む蒸気は長期的には出生異常やがんなど、さまざまな問題を引き起こしかねないと警告する指摘もある>ことを、ケンパー博士の話の最後に付け加えている。
放出された放射能の影響についての政府の見方も言葉も甘すぎるのである。
福島第1原発は1号炉、3号炉とも水素爆発を起こし、建屋上部が吹き飛んだ。この段階で、<廃炉も覚悟した「最後の手段」>に突っ込んだ状況にあることは、いうまでもないことだろう。しかし、「避難した住民は安全性が保たれる」「しっかり対応をすることで、1人の皆さんも、健康被害に陥らないよう全力を挙げていく」、なのである。
こうした気休めともいえない気休めのお言葉を先行させ、事実関係は、首相も、官房長官も、原子力安全・保安院も、東電も、しどろもどろで、情報の伝達と自分の気休め発言とを混同させるばかり。少し具体的な情報を求めると、「確認しているところ」「情報を収集し、分析し、検討することが大切」「わからない」と目が泳ぐ。枝野氏に至っては「現場の皆さん、努力されているところです」で何でも済むと思っているとしか思えない態度。
深刻な原発事故に直面して、「最後の手段」に頭を突っ込んだ状態にいること。そのことにビビって逃げ出さないでいることだけでもほめてほしいとでもいうのだろうか。炉心露出と炉心溶解の危機に「最後の手段」で挑んでいる状況で、それはこれまでどこの国も経験したことのないチャレンジなのだから、「避難した住民は安全性が保たれる」との具体性のない<気休め>の発言も、正確性を担保しているかどうか不明の放射線量測定方法も許されるというものではないだろう。パニックを誘発しろとはいわないが、「炉心溶融」の可能性を捨てきれない状況で、水素爆発後も「格納容器に損傷なし」の報をもったいぶって伝えていられるような状況ではないはずだ。
現在おきていることや、状況を知らせず、ずるずると状況に応じて後退していく姿は、まさに菅政権の<うろうろおろおろ>、パニック対策と称して情報を<小出し、後出し>して、自身の対応そのものも遅れるという、致命的な欠陥をさらけだしている。パニックは流言蜚語からというより、その流言蜚語を生み出す要因ともなる<情報不足>から起こる。1号炉の爆発事故についての情報は、2時間以上経ってから伝えられた。政府及び関係機関の無責任ぶりは徹底して糾弾されねばならない。
為政者気取り、専門家気取り、主体事業者気取りを捨て、速やかな情報共有を積み上げていくことこそが、被害の最小化に最も資することを、菅内閣は心しなおさねばならない。消費増税、TPP、米国と米軍追従の軽率、独りよがり、恣意的な情報の<小出し、後出し>は、菅内閣が民主主義社会に必要なそうした基本的なことさえまともにできないことを指し示しているのである。こうした<驕り><居直り><居座り>の姿勢こそが、社会不安を招き寄せるのである。
この点は東京新聞が13日の社説「炉心溶融 的確な情報を速やかに」が指摘するとおりである。
<事態は悪くなっていた。原因不明の「爆発的事象」があり、負傷者が出た。離れた場所で強い放射性物質が検出された。避難指示の範囲はじわじわと広くなる−。
このような時、住民、あるいは国民として求めるものは、気休めではなく信頼できる情報だ。そして、的確な安全対策の道筋と避難誘導だ。ところが、情報の一元化すらままならない。官邸、東電、福島県、そして経済産業省の原子力安全・保安院の四者が小出しにする情報が明らかに食い違う。わけのわからないまま「ニュースを聞け」「冷静になれ」といわれても、不安が増幅するだけだ。
「迅速な情報発信」。二〇〇七年、柏崎刈羽原発の直下で起きた新潟県中越沖地震の貴重な教訓だ。夜に入ってようやく、官房長官の具体的な説明が始まった。官邸は、住民の安全と安心のため、情報開示を続けるべきだ>
11日に原子力緊急事態が宣言された。情報収集に当たる原子力関係者からの間からも、「報道以上のことは分からない」「情報がないから何が起こっているのか分からない」と戸惑いの声があがっている。
福井新聞は<衝撃走る「起こりえない」現実に 福島第1原発の炉心溶融>の同日朝の記事で、西川福井県知事が12日、県内3事業者の社長、理事長に対して、安全管理の徹底や県民の不安解消とともに、今回の事故で反映すべき点があれば迅速に対応するよう直接要請したことを伝えた。政府に対しても、前経済産業相の大畠章宏国土交通相を通じて、情報公開と政府を挙げての取り組みを求めている。同知事は報道陣に対して、「重大な事故だ」との認識を示した上で、<津波、地震など多角的に検証し、原因や中身が分かれば、国として対応すべき>だと強調したという。また同記事は、時岡忍おおい町長も「大変な事態となり信じられない気持ち。事態の状況がはっきりと伝わってこないことを大変もどかしく感じている」とのコメントを出したことを付け加えている。
また同紙の同日夕の<原発震災情報遅れに県内疑問の声 「教訓生かさねば」>の記事では、関西電力・原子力事業本部の広報担当者が、政府や現地から正確な情報が伝わってこない状況に、「事業者は得た情報をかみ砕いて住民に伝える義務がある」「住民に説明するためにも正確な情報が必要」と歯がゆさをにじませたという。
また、原子力機構の向和夫敦賀本部長代理は、記者団に対して「万一の事態が起きた場合、速やかに情報を出すことが非常に重要だと感じた。大きな教訓。しっかり胸に刻みたい」と自らに言い聞かせるように語ったという。野瀬豊高浜町長は「政府は住民がパニックになることを過剰に心配したと推察するが、それにしても慎重すぎた」と強調。「県内で事故が起きた場合にどう対処するかが大きなテーマになる」とし、住民の避難誘導と情報の出し方が内容、タイミングともに的確に行われることが重要だと指摘している。
いずれも至極当然の反応、対応といえるだろう。
そして至極当然の反応として、市民の<原発監視>の目は強まるであろうし、日本の<原発依存>行政を根本から見直そうという機運が高まることは、今回の緊急事態が世界に与える影響とその反響がまた日本を覆うことを考え合わせると、これもまた当然のことと思われる。
さて、1号炉に続き3号炉も水素爆発を起こし、さらに2号炉も危うい状況になってきたと報じられている。
共同通信によると総務省消防庁は14日、福島第1原発から放出された放射性物質で被ばくが判明していた病院からの避難患者ら3人から、除染後も汚染の高い数値が検出され、二次被ばく医療機関に搬送されたと発表している。内部被ばくが疑われている。また、入院患者らの搬送にかかわった消防隊員3人から、通常の2倍程度の放射線が検出されている。
毎日新聞は14日付新潟県版で、福島第1、2原発周辺の放射線測定を支援するために12日午後、現地入りした新潟県放射線監視センターに所属する研究員が微量被曝していたことを伝えて、県内の反原発団体も「原発の安全神話は崩れた」「新潟でも人ごとではない」と、国や東電への不信を強めていることを伝えた。
福島民友は14日付で、福島第1原発1号炉の水素爆発前後の放射能漏れからの避難が遅れた双葉厚生病院の入院患者60人と医療スタッフ30人、双葉町の特別養護老人ホームの入所者100人の計190人について、被ばくの恐れがあるとして、福島県が13日までに、自衛隊と協力した除染作業と被ばく医療を展開することを明らかにしたと伝えた。
福島第1原発の現場では、想定外の、想いもよらない事態に直面して、<廃炉も覚悟した「最後の手段」>に身を突っ込んだ状態で、<最悪>の事態の生起を食い止めようとの必死の作業が続いている――そう想像できるが、東電の現場と上層部の乖離、おそらくそれに起因した経済産業省原子力安全・保安院と東電とのコミュニケーション不全、そこへ割って入ったような菅首相の軽い言葉と指導者気取り、枝野官房長官のこれまた事態の軽い読み、態度だけは重そうだが軽すぎる中身。
それらに輪をかけるように、被災地に協力しようとの<節電>の思いが日本列島全体に広がりかけた矢先、東電は突然「計画停電」を持ち出し、政府もそれを追認。だが計画は、計画という言葉が恥じて逃げ出すほどずさんなリストで成り立ち、それも二転三転、四転する始末。14日夕刻、闇が迫り来る中で、一部地域で<計画停電>の強行に及んだ。事前の節電の呼びかけもなく、その成果や到達点の検証もすることなく、まるで<原発なくして電気なし>と東電利用者を暴力で洗脳しようとするかと疑いたくなるようなやり方に、メディアも含めて反発が大きく広がっている。
ライフラインをあずかるということはどういうことなのか。電気があるのはおれたちのおかげ、とか、だれのおかげで電気がついていると思っているんだ、ではなく、重大な公的使命をライフラインをあずかる事業者としてふさわしい一企業市民として、市民とともに、事業体として果たすべき社会的責任を、それこそしっかりと果たさねばならない。まして相互扶助と共生と利他の心を基盤とした具体的な行動が、いまほど求められるときはない。そういう意味で、東京電力は未曾有の、致命的危機に直面しながら、自らさらに信用を失墜する行為を続けているといわざるをえない。
(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素7掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。