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2011年 03月 13日地震と原子力とブラックスワン:大きなリセットが「日本発」で起きた
アルルの男・ヒロシです。
金曜日に起きた「3・11大地震」の正確な被害状況はハッキリしていない。が、東北地方のいくつかの市町村は壊滅状態になっている。(写真:Googleが、被災地をGeoEye社の人工衛星GeoEye-1が撮影した最新の写真を公開。 http://bit.ly/eqnhdP )
しかし、直後からの報道は津波の被害から原子力発電所の安全性、それから被災地の状況と意図的に原発関連の報道が少なくなっているように見える。
私はテレビ画面を2分割して日本のテレビ局とCNNを同時に流している。
日本の報道は被災地の状況をメインにCNNではNuclear Worries」と言う見出しをつけて原子炉の安全についての報道がメインになっている。福島の第1原発は40年前に建設されたもので、地震はマグニチュード7.9まで耐えられると想定されていた。しかし、最新の情報では今回の三陸沖の地震はマグニチュード9.0だった。(WSJ:http://on.wsj.com/idd9Yo)
アメリカで起きた金融危機も「100年に一度の危機」と言われた。要するに「100年に一度しかありえないこと」(黒い白鳥)は想定していなかった。私たちは広瀬隆氏などの原発反対論者の言い分を「Alarmist」(人騒がせ)とか「過剰反応」と考え、あまり真剣に取り合ってこなかった面がある。私もそうで、「原子力発電については中立を保つ」というスタンスだった。
東京電力や経団連などのいう、「原子力発電は二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーだ」というプロパガンダについては馬鹿馬鹿しいとは分かっていても、それ以上のことは考えなかった。
ここで「大きなリセット」が起きたと考えるべきである。
金融面での大きなリセットはまずは日本で「バブル経済崩壊」という形で起こった。その後で、アメリカの2008年の金融崩壊が続いた。今回は原子力エネルギーへのcomplacency(自己満足)の崩壊が日本で起きた。
日本においてのみならず、新興国での原子力発電に対する認識も間違いなくネガティブなものになるだろう。成長戦略としての新興国への原発輸出はまず不可能になる。ドイツなどでは脱原発の動きが再び強まるだろう。
一方で自然、二酸化炭素を吐き出す石炭、原油、天然ガスといったエネルギーに注目が集まるはずだ。原子力発電を手がける、GE、AREVA、東芝、日立、三菱重工の株は大きく売られるだろう。地球温暖化を煽っていた原発ロビーやアル・ゴアは厳しく追求されるべきである。
今やるべきことは、巨大な電力会社への依存性を脱却することであり、家庭用燃料電池の蓄電効率化や化石・原子力エネルギー以外の新しいエネルギーイノベーションである。巨大な何かに支配されるという時代が変わりつつある。今回の地震報道もテレビは全く役に立っていない。テレビにかじりつくよりも歩きながら、携帯電話でNHKのAMラジオを聞いている方が必要情報はしっかり入ってくる。
そのために日本政府は最大100兆円の科学研究予算を数年単位で組まなければならない。
今回、巨大電力会社への依存からのリセットという方向性が示されたと思う。巨大化、一極集中から小型化、多極分散へ。これで巨大地震が都市圏を直撃してもリスクの分散ができる。ともかくも、原子力への依存を今の3割から7割へ拡大するという今の国策は見直し、中止を迫られる。当面、プルサーマルは停止。原発も停止するしかないだろう。別に、火力発電所を新しく建設するように働きかけるべきである。
要するにやるべき事はほんとうの意味での「日本版グリーン・ニューディール」である。東電などの巨大電力会社とは別に、トヨタのような自動車会社やパナソニックといった個人向け移動手段や電化製品の製造会社のR&Dの強化などを、ハイブリッド車というファッション・ステータスのレベルに留まらないかたちで行うということになる。日本の中小企業にしっかり目配せをしなければならない。
個人としての対策は、いざという時に避難できるように貴重品をまとめておくことと、食糧をいかにして確保するかということを考える事。あとは自宅の地震の揺れに対する耐震対策を十分にやっているか確認することだろう。
2009年3月から始まったおかしな政局はこれで終わった。全く驚くべき幕引きである。今の日本は菅直人政権、枝野幸男官房長官のもとで当面は継続される。総選挙も阪神大震災の例でも分かるように一年間は行われないだろう。
緊急予算の国会通過、日銀の資金供給、復興公共事業の拡大・・・・とやるべき事は山積する。震災復興債は、もはやアメリカは買取る能力がないだろうから、その他の新興国にもお願いすることになると思われる。そして、増税は当面5年間は絶対にしてはならない。
重要なのは脱原発に不可欠な化石燃料や新エネルギーのための素材資源の調達だ。ロシアの天然ガスや中国とのガス田開発、中東カタールからの天然ガス、と外交が十分に機能する必要がある。鈴木宗男氏の知恵を借りるのは今だと思う。
米国と中国という2つの超大国も対立しているときではない。「震災外交」を通じて東アジア共同体を実現すべき時である。
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