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原発安全神話?(1) つなみ
http://takedanet.com/2012/01/post_4c7f.html
平成24年1月5日 武田邦彦(中部大学)
「電気が欲しいから危険でも原発をやりたい」というのが政府、自治体、原子力関係者ですが、子供たちの日本、これからの日本の土地を大切にするために、私たちも「事実」をよく知って主導権をとれるようになっておかないと、子供たちを守ることはできません。
私は「安全な原発なら、そこで初めて原発を進めるかどうかを考えることになるけれど、危険な原発なら論外」という立場です。その意味では、私はどちらかというと「反原発」ではなく「反被曝」です。
今回から「誰でも判る原発の安全性」ということを目指して、少しずつ書いていきたいと思っています。まずは事故の起こった福島原発の状態から始めたいと思います。
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福島原発は「つなみで破壊されて爆発した」とされています。政府も専門家もマスコミもそのように言っていて、だから「防潮堤を高くすれば安全」としていますが、それは錯覚です。
http://takedanet.blogzine.jp/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2012/01/05/bandicam_20120105_101440868.jpg
まず、福島原発の事故前の写真を見てください。「説明や言葉」ではなく、「事実」をゆっくりと自分が理解できる早さで納得することが大切だからです。
手前側が海(太平洋)で、陸には2つの長い建物(発電機が入っている)と、その奥に4つの箱形の建物(原子炉が入っている。白い色)があります。4つのうち、一番奥の建物は少し小さいのですが、これがかなり昔に建てた1号機です。そして煙突が3本見えます。
これが事故を起こした福島原発の肝心なところの「全部」ですが、つなみを防ぐ防潮堤はどこにあるのでしょうか? 「防潮堤でつなみを防ぐ」というのですから、原子炉が入っている4つの四角い建物より高い防潮堤があるように思いますが、実は防潮堤というのは海側にある細い堤防のことなのです。
えっ!と驚かれる人がいます。「防潮堤って、こんなに低いの?!」というワケです。でも、それで驚いてはいけません。さらに奇妙なことがあるのです。
http://takedanet.blogzine.jp/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2012/01/05/bandicam_20120105_102000811.jpg
この写真は事故がおこった後のものです。今度は海側の正面から見ていますが、手前が海で、写真の一番上(奥側)がもともと4つの白い箱形のたてものがあったのですが、爆発したので、右から2つめの建物だけが残っていて、残りの3ヶ(1号機、3号機、4号機のたてもの)はすっかり壊れて骨組みのようなものが見えるだけです。
そして中央部に見える2つの長い建物は無事で、元の場所にしっかり立っていますし、このぐらいの大きさで写真を見る限りでは、大きな破壊も受けていません。また長い建物の前にある円筒形の4つのタンクも、ほぼそのまま残っています。
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さて、この2枚の写真(事故前、事故後)をじっくり見て、つなみが襲ってきた瞬間を想像してみましょう。沖の方からやってきた津波はまず防潮堤にぶつかり、そこでいったん高い水しぶきをあげ、防潮堤を乗り越えて手前の長い建物にぶつかりました。その時には津波の勢いはそれほどでもなく、建物は破壊されませんでした。またこの建物は背が高いので津波は建物を超えなかったのです。
2つの長い建物は間にわずかな隙間がありますが、その向こうには原発のたてものはなく、4つの原発の建物には「つなみ」は襲っていないのです?!
写真を見せずに言葉で「津波が建物を襲って、建物が破壊した」というと、誰もが「建物に直接、津波が来て壊れた」と思いますが、この写真を見て判るように実は「つなみ」というものは原子炉の建物には来なかったのです。
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2つの長い建物にぶつかった津波は、そこでいったん止まったのですが、次に建物を迂回してチョロチョロと原子炉のたてものの方に回り込みました。それはすでに「つなみ」というようなものではなく「水位」が上がって建物が「静かに水に浸かった」という状態だったと考えられます。
http://takedanet.blogzine.jp/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2012/01/05/photo.jpg
3番目の写真を見てみましょう。この写真は陸側から福島原発を見たもので、写真の海側にカニの手のように伸びているのが防潮堤で、写真の左が「北防潮堤」、カニの手の右が「南防潮堤」です。だから、もしこの防潮堤を数10メートルにしても、写真の左端の海岸線はなにも防御するものがないので、津波で高くなった海水面はそこから海水が悠々と進入するのは間違いないからです。
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「福島はつなみでやられた。だから「想定外」である。防潮堤は5.7メートルだったが津波は15メートルだった」という「言葉の説明」だけで、多くの人は満足していまいした。
そして、テレビや新聞がさっぱり写真や津波が原発を襲った様子を報道しないし、専門家は写真を見せて解説しないので、「つなみが原因では無く、単なる浸水だった」、「浸水を防ぐ設計がされていなかった」、「多重防御と言っていたが、実は一つも防御が無かったようなものだった」ということの議論が起こらなかったのです。
「防潮堤を高くすれば原発は安全になる」という「解決策」は実にばからしく感じられます。でも、このことが国会でも堂々と説明され、議員はすっかり満足しているようでした。また九州の玄海原発の再開問題でも「津波さえ防ぐことができれば良い」ということで納得している人もおられます。
「事実を確認せず、科学的なつじつまも考えずに、言葉の説明だけですっかり納得してしまう」というのは、今から40年ほど前から日本社会に流行している特殊な精神状態のように思います。それはあるいは「大人としての責任感がない」のかもしれませんし、また日本社会が集団的な精神病的状態にあるのかも知れません。
なぜ、「いい大人」がこんなに単純な矛盾に疑問を持たないのか、それについてはおいおい検討をしていくこととして、原発の再開問題では常にこのことに気を配らないと日本の子供や日本の土地を守ることはできないでしょう。
(なお、原発関係の写真などは被曝する人の健康に関することになるので、創造的作品ではなく事実そのもののものは一部、お断りをせずに使用させていただいています。)
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