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避難ということにどうして僕が躊躇しないのかということです。これは、本当に危険が迫っている場合は、逃げるという選択肢が、ごく普通のことだと、昔から家庭で、なんとなく共通認識があったことが大きいと思います。これは、家庭教育という形で行われたことではなくて、家庭の中でなんとなく伝わっていたこと、ある意味、家族の中で共通理解と考えていることだろうとも思います。話は、戦前に遡ります。大阪での話です。
当時、僕の家は、難波の高島屋の近くにあったらしく、そこの街中で、歯医者を営んでいました。祖父と祖母に、僕の父親が一人息子として、小学生のころはいたそうです。当時の難波や心斎橋周りと言うのは、現在以上に、日本の中心地として発達していて、祖父の歯科医院も羽振りがよかったと聞いています。ある意味、東京よりも活気のあった大阪。経済の中心地として、まわっていて、そのど真ん中で、歯科医師として活動することは、祖父の人生にとって大きな意味があっただろうと思います。
祖父自身は、きわめて勤勉で腕のよい歯科医師でした。深夜まで彼が技工を自分でしているのを見て、とても僕にはまねができないなと、何回か思ったことがあります。仕事は手先の器用さもあって、丁寧で、しかも費用を多額取ることはしない、ある意味、町の歯科医師としてはたぶん最高レベルに近かったと思います。孫の僕も言うのも変ですが、その水準でした。
しかしながら、一方では、遊び人で、かなりハイカラな人で、よく徳島で僕はお出かけにつきあったものですが、何でこの人は、この町に似合わない帽子をかぶり続けるのか不思議に思ったこともありました。難波あたりのおしゃれな歯科医という気分も持ち続けていた人だと思います。よく遊んでいて、その町の文化も遊びも享受していた人間が、それが、祖父でした。気の強い祖母はもっとだっただろうと思います。
この人たちが、戦争で大空襲が都市部にくる一年前に、大阪から早々に逃げ去ってゆきます。これは、彼の師匠にあたる歯医者が「木下君、この戦争はどうもまずい。このままだと大阪にも空襲がある。僕は奈良の田舎に越すが、君も出たほうがよい。」と告げたからでした。師匠は、奈良移住を勧めたそうですが、僕の祖父は、祖母の意向もあって、祖母の田舎だった、徳島に移住することになります。麻植という、忌部ゆかりの地になります。
この決断は、祖父にとっても、祖母にとっても、大阪の派手で、活気のある楽しい生活とその人脈をすべて捨て去る結果になりました。しかも、戦況の情報は当然、正確には伝わっていない時代背景です。大本営発表しかない。メディアも翼賛します。もちろん、ネットもありません。一部の事情通の間で、口伝で伝わるのが限界。ほとんどの人は、難波、心斎橋周りで、うまく営業していた祖父が、なぜ徳島に引き込むのか、理解しかねるという状況でした。もちろん、空襲が本当にくるのかどうか、事態を元々、わかっていた人々の中でも半信半疑です。それさえ、わからない多数の人々には、不可解な移住としか見えていなかったようです。
しかし、一年後には、答えが出ています。全国各地が空襲を受け続け、あっという間に日本を焼け野原に。大阪も含めて、壊滅状態に追い込まれます。
僕は地元の何人もの方から、子供のころから、今に至るまで、何回も祖父母に対しての感謝を聞かされます。「空襲でひどい目にあったときに、着の身着のままで逃げてきたときにたすけてもらった」と。僕から見たら、祖父母がたいした事をした感覚はないのですが、徳島に移住した後、空襲の被害をうけた、大阪の人たちに手を差し伸べて、何人かが移住したり、戻ってきたりしたそうです。この人たちは、祖父母の死後も何かの折に、必ずこの感謝を口にします。
こういう歴史が僕の家にはあって、少なくとも、緊急の状況では、全部を捨てても避難する事は厭う事ではないという思考は、僕の根源にあると思います。今回の事態はまさにそういうことが、僕の中にあったがゆえに、ぐずぐす゛考えるよりも、結論がはっきりと僕にある状態だと思います。今までの、いろんなしがらみや縁故や金銭、社会的な立場も、大きな時代の流れでは、本質的な意味は持ちえません。僕には自明の事です。今回の放射能被害は、目に見えにくいし、認識しないだけで、空襲前の状態となんら変わりありません。もう間に合わない場所もありますし、なんとかなる場所もあるでしょう。それでも切迫している事態にはなんら変わりはありません。
僕はまず大切な貴女に言いますが、この僕の想いをきちんと聞いてください。僕の家の歴史から、この時代の流れを受けた僕が深く深く考えると、君が、意味もなく、躊躇すれば、君が終わるだけです。僕はそれを望んでいません。君の根底に流れているものよりも、僕の根底に流れているものの方が、こういうときには、間違いのない決断をします。僕は、何としてでも君を助けたいとしか想っていません。空襲のような決定的な出来事が起きる前に、きみが何かの決断をしないとなんともならないのです。頼むから少しでも届いて欲しいと想います。
ブログの読者の皆さんにお伝えしたいのは、僕には、逃げない人々の気持ちは、本質的には理解しないし、最終的にそういう判断を僕が肯定することはないということです。逃げることを悪いことのように言い募る者達や、今までのことにしがみつく人々と僕は決定的に異なるということです。その意味では、名前の字義通り、大陸的思考が強いと想います。日本好きの中国人よりも、僕のほうがずっと大陸的な感覚と言えると思います。それが僕なのです。
追記
「僕の名前が偽名」「朝鮮人」などの虚偽情報をツイッターでする愚か者までいます。しかも、どうしようもない誹謗中傷ばかりします。僕は何回も書いていますが、きちんと話すなら、「名前、所属先、連絡先」を明記して、メールせよと話しています。こちらは身をさらしていますから、匿名に逃げ込む輩は相手にできません。しかし、皆無です。また、呆れます。ゲーム感覚の輩も多く、ばかばかしい限りです。ネットは人間のだめな部分をあからさまにします。それを見るのは、本当に空虚な作業です。空虚です。
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/0eb83f00bee5de1bdca2490b4e840d97
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