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小出裕章氏:『敗北の責任のために何ができるか考える』、私たちの『騙された責任』@たね蒔きジャーナル
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3227700.html
2012年01月04日22:56 ぼちぼちいこか。。。
20120104 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
http://www.youtube.com/watch?v=e5upbsqx-l0&context=C38a4688ADOEgsToPDskJl8spdtGeMU6u_DZLeUu3Z
【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】
今年、初めてのコーナーとなりますが、どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
(小出氏)こちらこそよろしくお願いします。
昨年は本当に3月14日以来、連日のようにこうしたコーナーも含めまして、ずーっとこの原発事故、いったい何が起こってるのかを私たち解説していただきました。
(水野氏)小出先生のおかげで、初めてほんとのことがわかったという日々の私は連続でした。
今年もまだまだこれからどうなっていくのかというところですので、いろいろと教えていただきたいと思っております。
小出先生、ほんと、どうぞよろしくお願いいたします。
(小出氏)こちらこそよろしくお願いします。
(水野氏)まずですね、直接的に放射能の被害に遭われた方々にとっては、年があらたまったからといって何も状況が良くなっているということではないですよね。
ずーっと戦い続けなきゃいけないという状況に置かれてはるわけですけども、そんな時にどんな風な気持ちを持って自分を支えながら暮らし続けていただかなきゃいけないのか、小出先生はどんなふうな思いを抱いてらっしゃいますか?
(小出氏)わからないのです。相手が悪すぎるのですね。
こっちが気持ちを強く持てば乗り越えられるのかといえば、そうではない。相手はそんなことでは決してへこたれない相手なわけですから、その相手に対して、どうやって自分の身を守るか、或いは子供を守るかという、それを考えなければいけないのですけれども、私はもともと汚染を起こしてしまえばもう手の打ちようがないから、原子力を辞めてくれと言ってきた人間なんですね。残念ながら、止めさせられないまま汚染が生じてしまったわけですから、正直に言うと、私はどうしたらいいかわからないのです。
戦う相手が悪すぎるので、本当であれば逃げるしかありません。
国がちゃんと人々を逃げさせるということは、一番求められることだと思いますが、残念ながら今の日本の政府というのは、人々を逃がそうという気は全くありませんので、人々は自分たちで汚染に向き合わなければいけないという事態にさせられてしまっているのですね。
ですから、本当に何ができるか私は途方に暮れてしまいますけれども、でも、子供を守ろうと思えば何がしかできることがあるはずだと思いますので、食べ物に気を付けるとかですね、子供が遊ぶ場所だけ、せめてそこだけでも除染をするとかですね、やってほしいと思っています。
(水野氏)あの、直接的に被災していない我々も、今年は54基の全国の原発が4月にはこのままだと全て停止する予定だそうで、本当にこの原発政策をどうするのか、一人一人向きあう年になるとは思うんですね。
その時に、どんなふうに自分が責任を持って物事を考えられるかっていうときに、私は是非、小出さんがこれまで40年以上ずーっと孤独に近い戦いをしてこられたのではないかと思っているのですが、その時、どんなふうな気持ちでご自分を支えてらっしゃったのか、そのあたりを教えていただきたいのですが。
(小出氏)私の場合は、なんていうこともありません。
自分が利益を得ようとして、犠牲を他の人にしわ寄せすると、それが私はおかしいと思ったから、原子力に反対をしてきたのであって、もし日本の人たちが
「自分が電気を使いたいと思って、そのために原子力が必要だ」
というのであれば、必要なところに建ててくださいと、それだけできるならばもういいと私は思います。
(水野氏)必要なところに建てろってことは、具体的に例えば東京や大阪のど真ん中ってことになるわけですよね。
(小出氏)そうですね。東京湾に火力発電所を連立させているわけですから、東京電力が東京湾に原子力発電所を建てられるのであれば、まだ私は認める余地があったと思いますが、東京電力は、福島第一、第二、そして柏崎、そしてさらに青森県の東通というところに原子力発電所を建てるという、そういう会社だったんですね。
私から見れば、正気の沙汰ではないと思うし、こんな会社が日本を代表する会社で、未だに偉そうにものを言っているのが大変不愉快です。
(水野氏)あの、小出先生は、私たちっていうか、私よりもずっとずっと早く、42年も前に原発について疑問を持たれたわけですけど、そのときどんな状態だったんですか?まだ原発って、あんまり無かったんですよね?
(小出氏)はい。私が原子力に反対を始めた時には、日本には東海第一原子力発電所、敦賀、美浜の三つの原子力発電所しかありませんでした。日本中がマスコミも含めて諸手を挙げて『原子力だ、これからの未来は原子力だ』と、そういう時代でした。
(水野氏)はい。ということは、もうあまりに強大な力で原子力が推進されている中で、いったら小出青年はどんな状況だったんですか?
(小出氏)<笑>私はもともと原子力をやりたいと思ったわけですから、初めはどんどんやってくれと思ったのですね。
ところが、私が居た東北大学という大学は仙台にあったのですが、仙台はけっこう大きな町で、電気もたくさん使っている街でした。でも、仙台火力発電所という火力発電所が近くにありましたけれども、原子力発電所は、仙台から直線距離で60qも離れた女川という、本当にちいちゃな漁師の町、電気なんか使わないところに建てようとしたんです。
「なんでなんだ?」
と私は疑問に思いましたし、その疑問の答えを探し求めて苦しんだ時がありました。
でも、まぁ結論は簡単なことでした、『都会では原子力発電所の危険を引き受けることはできない、だから原子力発電所だけは過疎地に建てるしかない』ということで、原子力というものが始まったのでした。
それに気が付いてしまえば、私としては結論は簡単で、『こういうものは認めてはいけない』ということになりました。
(水野氏)近藤さん、小出先生の言葉は非常にシンプルに聞こえますが、実際それを貫くことがどんなに社会の中でしんどいことかと、私は思うんですがね。
(近藤氏)あの、企業のみならず、政治も一体化した中で、尚且つそこに利権に絡んだ人たちがいて、そしてそれが人だけじゃなくてシステムとして構築されている中に、原子力っていうのはあるわけですよね。
ですから、先生が本当になんていうんでしょう、凄まじい敵と向かい合って、もう・・・その中で、僕風に言えばね、小出先生ね、なんていうんでしょう・・・人間って、『悲しみの中に品格』っていうのがあるじゃないですか。僕はその『悲しみの中の品格』といったものが、恐らくこういう言い方はなんですが、先生を支えてきたんだろうなと思いますね。
だから、なんて言うんでしょう。本当にギリギリのところで立ち止まるっていうんですかね、相当それは悲しいことだったと思うんですけども、そこのところ、私いつも直接向かい合ってしゃべったことはないんですが、声からもそういう感じを受けるんですよ。
(小出氏)うーん、でも、近藤さん、確かに『悲しみ』という言葉を使われて、私はずーっと負け続けてきたわけですし、発電所の立地を狙われた地域の人たちが、次々と倒れていくということを見ながら来たわけで、『悲しみ』はもちろんありました。
ただ、私自身のことで言えば、全くぬるま湯というか、温泉のような環境にずっといましたし、いまでもそうです。
誰からも指図を受けていませんし、誰からも迫害を受けていないです。はい。
なんていうこともありません。
(近藤氏)あの・・・ね、その『なんていうこともない』っていうおっしゃり方は、小出先生、一流のいい方だと僕は思うんですけどね、そりゃ『なんていうことはない』ていうことはない…
<一同笑い>
(近藤氏)それなりに感じておられてることっていうのは多々あって、その中でやっぱり自分自身、気持ちを立て直して顔をあげて生きてこられた局面っていうのは、あったんじゃないですか?
(小出氏)<笑>いや、まぁ無いですね。はい。私自身は。はい。私の言葉で言えば、なんてことないという状態で、今日まで生きて来させていただいたという、そういう環境でした。
(近藤氏)これからはどうですかね?
(小出氏)うーん・・・わかりません。これからは、私はもう、最終的な敗北をもう去年したわけですから、これからどうやって立ち直れるかなと自分のことを思いますが、やはりここまで敗北した責任があるとやっぱり思いますので、自分が何ができるかなと、若い人たちにこれだけ汚染した世の中を残すわけですから、私のできることを探そうと思います。
(近藤氏)だから先生は先生のお立場で、僕らは僕らの立場でやるべきことを本当に探さないといけないと思ってるし、僕はやっぱり『言葉』っていうもの、『言葉』っていうものをもう少し厳密にいろいろ気を付けてものを言いたいなっていう気がしてますね。今。
(小出氏)はい。ありがとうございます。私も常に言葉を選びたいと思いながら来ました。
(水野氏)そうですか。小出先生が『敗北の責任のために何ができるかを考える』って言われたら、私も『騙された責任』を考えなきゃいけないんですよね。
・・・はい。考えます。
小出先生、今年もどうぞよろしくお願いします。
(小出氏)こちらこそよろしくお願いします。
(水野氏)ありがとうございました。
【以上】
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