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放射性物質はどのくらい放出された?  ネイチャー
http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/600.html
投稿者 ダイナモ 日時 2011 年 12 月 25 日 11:59:06: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.natureasia.com/japan/nature/specials/earthquake/nature_news_102711.php

Nature 478, 435-436 (2011年10月27日号) | doi:10.1038/478435a


ノルウェーの研究チームにより、新たに福島第一原発事故で大気中に放出された放射性物質の総量が計算され、政府が6月に発表した推定放出量よりもずっと多いという報告があった。

Geoff Brumfiel

世界各地で観測された放射能データを組み合わせて大気中の放射性物質の量とその流れを推定した結果、福島第一原子力発電所の事故では、政府の推定よりもはるかに大量の放射性物質が放出されていたという研究が、Atmospheric Chemistry and Physics に発表された1。さらに、日本政府の主張とは裏腹に、4号機の使用済み核燃料プールから大量のセシウム137(半減期が長く、長期にわたって環境を汚染する物質)が放出されていたとも報告しており、もっと迅速に対応していれば、これほど大量の放射性物質が放出されずにすんだかもしれないと述べている。論文はオンライン掲載され、現在、公開査読を受けている。

研究チームを率いたのは、ノルウェー大気研究所(シェラー)の大気科学者 Andreas Stohlだ。Stohlは、自分たちの分析は、これまで行われてきた福島第一原発から放出された放射性物質の量についての調査研究の中で、最も包括的なものであると自負している。スウェーデン防衛研究所(ストックホルム)の大気モデル作成の専門家 Lars-Erik De Geerは、今回の研究には関与していないが、「非常に価値のある成果です」と評価している。

原発事故による放射性物質の放出過程の再現は、日本国内をはじめ世界各地にある数十か所の放射性核種モニタリングステーションで観測されたデータに基づいて行われた。その多くは、包括的核実験禁止条約機構(オーストリア:ウィーン)が核実験の監視のために運用している世界規模での観測ネットワークに属する。このデータに、カナダ、日本、ヨーロッパの独立観測ステーションのデータも付け加え、これらをヨーロッパと米国が保管している広域気象データと組み合わせた。

ただし、Stohl は、自分たちが作成したモデルは完全にはほど遠いものだとして注意を促している。原発事故発生直後の測定データが非常に少ないうえ、一部のモニタリングポストは放射能汚染がひどく、信頼できるデータが得られなかったからである。より重要なのは、原子炉から何が放出されたのかを知るためには、原子炉内で何が起きたのかを厳密に知らなければならないのだが、いまだ明らかになっておらず、永久に謎のままかもしれないという事実である。「チェルノブイリ事故から25年後もたった今でも、その推定値は不確かな部分が非常に多いのです」と Stohl は言う。

それでも、今回の研究は、福島第一原発事故を全般的に調査したものであり、De Geer は、「Stohl らは真に地球規模の視点から、現在入手できるかぎりのデータを利用して推定しています」と話す。

政府の発表

3月11日の地震後に原発で起こった出来事については、すでに日本の研究者たちが詳細な経緯を推定している。福島第一原発電の6機の原子炉が激しい揺れに見舞われた50分後、巨大津波が襲来し、緊急時に原子炉を冷却するための非常用ディーゼル発電機が破壊された。それから数日の間に、地震発生時に稼働していた3機の原子炉が過熱して水素ガスを発生し、次々に水素爆発を起こした。定期点検のために停止していた4号機では、核燃料は使用済み核燃料プールに貯蔵されていたが、3月14日にこのプールが過熱し、おそらく数日にわたり建屋内で火災が発生した。

一方で、原発から放出された放射性物質の量の解明は、事故の経過の再現に比べてはるかに難しい。政府が6月に発表した『原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書 ―東京電力福島原子力発電所の事故について―』では、今回の事故により放出されたセシウム137は1.5×1016ベクレル(Bq)、キセノン133は1.1×1019Bqと推定している2。セシウム137は半減期30年の放射性核種で、原発事故による長期的汚染のほとんどの原因となっている。一方、キセノン133はウラン235の崩壊によって放出される半減期約5日の放射性核種であり、原発事故や核実験の際、初期に観測される。

ところが、Stohl らが原発事故の再現結果に基づいて推定した放出キセノン133の量は1.7×1019Bq、セシウム137の量は3.5×1016 Bqで、政府の見積もりよりキセノンが約1.5倍、セシウムが約2倍となった。

キセノン133の放出量は、チェルノブイリの総放出量1.4×1019Bqよりも多いことになる。だが、De Geer によれば、チェルノブイリでは爆発した原子炉が1機であったのに対して、福島の事故では3機も水素爆発したことで説明できるという。また、キセノン133は生体や環境に吸収されないため、健康に深刻な影響を及ぼすおそれはない。 問題なのは、数十年にわたり環境に残存するセシウム137だ。Stohl らのモデルの値は、チェルノブイリ事故での放出量の約1/2に相当する。De Geer は、このような高い値が出たことを懸念している。今後、セシウム137が人々の健康に及ぼす影響を明らかにするためには、現在行われている地表での測定を進めていくしかない。

Stohl は、自分たちの推定値が政府の発表と食い違いっているのは、今回の調査ではより多くのデータを使用したことが原因の1つであるという。政府の推定の基礎となったデータは、主として日本国内のモニタリングポストによるものであり3、風に乗って太平洋を越え、北米やヨーロッパに到達した膨大な量の放射性物質は考慮されていないのだ。神戸大学の放射線物理学者で、福島周辺の土壌汚染を測定している山内知也(やまうちともや)は、「事故の本当の規模と特徴を明らかにするためには、太平洋上に出ていった放射性物質も検討する必要があります」と言う。

Stohl は、政府の依頼を受けて公式な推定値を出した研究チームを非難しているのではない。むしろ、「できるだけ早く結果を出す必要があったのでしょう」と慮っている。群馬大学の火山学者で、自らも原発事故のモデルを作成した早川由紀夫(はやかわゆきお)は、「確かにこの数値だけを見れば、両者は大きく違うでしょう。けれども、どちらのモデルにもまだまだ不確実な要素があり、実際には2つの推定は非常に近いのかもしれませんね」と言う。


さらに、Stohl らは、4号機の使用済み核燃料プールに貯蔵されていた核燃料が、莫大な量のセシウム137を放出していた可能性を指摘している。政府はこれまで、プールからは放射性物質はほとんど漏れ出していないと主張してきた。しかし、研究チームのモデルでは、プールへの放水をきっかけに原発からのセシウム137の放出が激減したことが、はっきり示されている(図「原発事故の経過」参照)。つまり、もっと早い段階から4号機プールへの放水を行っていれば、放射性物質の放出をもっと抑制できたかもしれないのだ。

しかし、政府は、使用済み核燃料プール自体に大きな損傷はなく、使用済み核燃料が重大な汚染源になったとは考えられないと主張している。政府による公式推定値の算出にかかわった日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)の茅野政道(ちのまさみち)は、「4号機から放出された放射性物質は多くはなかったと思います」と言う。だが De Geer は、核燃料プールの関与を含めた今回の新しい分析は、「説得力があるように見えます」と語る。

さらに今回の分析は、もう1つ新たなデータを提示している。地震の直後、津波が福島第一原発に襲いかかる前から、キセノン133が漏れ始めていたというのだ。つまり、原発は、津波が襲来する前から、地震によって損傷していたことになる。政府の報告書でも、福島第一原発電を襲った揺れの大きさが、原発設計時に想定されていた揺れを上回っていたことを認めている。反原発の活動家は、以前から、政府が原発を認可する際に地質学的な危険を十分に考慮していないと主張しており(Nature 448, 392-393; 2007)、今回のキセノンの大量放出は、原発の安全性についての評価方法の再考を促すことになるかもしれないと、山内は言う。


この事故で、首都圏はどうだったのか。実は、原発事故により甚大な被害を受けるおそれがあった。事故直後の数日間は、風は海に向かって吹いていたが、3月14日の午後、風向きが変わって陸に向かって吹き始め、セシウム137が東北南部から中部地方にまで広がっていった(図「放射性物質の拡散」参照)。実際、15日夜から16日未明にかけて雨が降った栃木県と群馬県の山間部では、のちに土壌から比較的高濃度の放射性物質が検出された。一方、首都圏では、そうした高濃度の放射性物質が上空を通過したときに、たまたま雨が降らなかったことが幸いした。「この時期に雨が降っていたら、東京も今よりずっと深刻な事態になっていたかもしれません」と Stohl は言う。(編集部註:ただし、(独)国立環境研究所の空間線量測定とシミュレーションによれば、21日から22日にかけても放射性物質が南関東に流れ込んだことが示されている。このときは、雨が降っていたため、南関東でも一部の地域で比較的高い線量が観測されていると思われる。)

(翻訳:三枝小夜子)

References
1. Stohl, A. et al. Atmos. Chem. Phys. Discuss. 11, 28319-28394 (2011).
2. Report of Japanese Government to the IAEA Ministerial Conference on Nuclear Safety, "The Accident at TEPCO's Fukushima Nuclear Power Stations"
3. Chino, M. et al. J. Nucl. Sci. Technol. 48, 1129-1134 (2011).

 

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コメント
 
01. 2011年12月25日 14:24:07 : cneXrK00HY
3月15日に、4号機建屋で火災が発生した。この論文では、4号機の使用済み核燃料プールに貯蔵されていた核燃料が、3月20日に放水が行なわれるまでの間、莫大な量のセシウム137を放出していた可能性を指摘している。

あっしら氏は、4号機建屋は「人為的に爆破された」と主張している。
この論文の指摘が事実であるならば、猛烈な放射線の被爆をうけながら、どうやって4号機建屋を人為的に爆破したのか?
しかも、あっしら氏の主張では、爆破は段階を踏んで何回かに分けて行なわれたという。自殺覚悟の決死隊を数十人編成したのか。それならば納得できるが。


02. 2011年12月25日 18:21:32 : 1O0omzGdpk

NaturalNews.com

http://www.naturalnews.com/034395_Fukushima_cesium_radiation.html


(要約)

福島原発事故の放射能汚染で太平洋の放射能値は通常の5000万倍

http://dataink.iza.ne.jp/blog/entry/2545405/

Mike Adams

the Health Ranger

2011年12月13日

12日にもレポートしたが、福島第一原発の4号機はこの数日でほぼ全壊した。さらに福島原発事故で太平洋に流入した放射能値は通常の5000万倍になっているという。一方、東電の他の原発施設が太平洋に流出するストロンチウム(半減期30年)値も危険値に達しており、以前流出はつづいている。
米メディアでは福島原発事故は歴史上最大の原発事故との報がある。しかし驚くべき事に、4号機全壊の事態については日本や米国の大手メディアはほとんど報じていない。それもそのはず、NBCやMSNBCなどの米国の大手メディアの所有者は福島第一原発の原子炉のメーカーGeneral Electric社。世界の原発の炉のほとんどはGeneral Electric製だ。一方、東電は相変わらずウソの報告を繰り返している。悪いニュースは伝えてくれない。

Ken Buesseler、Michio Aoyama、Masao Fukasawa らによるEnvironmental Science &

Technology誌のレポート「Impacts of the Fukushima Nuclear Power Plants on Marine

Radioactivity」によれば、福島原発事故の放射能汚染で太平洋の放射能値は通常の5000万倍になっているという。以下同誌のレポートより引用。

Environmental Science & Technology誌

「太平洋に7月末から蓄積している放射能値は予想外に高い。しかも放射能の流入は岸から地下から以前続いている。」。

東電の報告によれば、事故で太平洋に流出した放射能の量は累計260億Bqだという。
一方放射能汚染の程度は低いとの報告もある。

我々の結論。

・ 福島原発は以前危険な状態。そしてさらに危険な状態に転じる危険がある。地震や津波が再び襲い、施設の崩壊がすすめば、放射能の汚染はさらに増える。

・ 福島原発事故が歴史上最大の事故となった事には異論の予知はない。

・ 大手メディアは以前福島原発事故の肝心なところを伝えていない。大衆に恐怖の念を作るのを避けようとしているのだろう。

・ 福島原発事故におけるメルトダウン時、および以降の報道において、東電が報ずるデータは誤っている。これらのデータはあてにならない。真相を知りたいのなら大手メディアのデータに頼らない事。

local pc

4号機爆発。しばらくは外出を控えたほうがいいかもしれない。

local pc



03. ポリーテイアー 2011年12月25日 19:03:10 : trv0OrkwFmReI : w6jnLGPqbg
また新しい有益な投稿がなされた。
勉強させていただきたい。
阿修羅においてだけでも市民社会が成立していると嬉しい。

04. 2011年12月25日 20:08:26 : D6jurfohI2
>今回の分析は、もう1つ新たなデータを提示している。
>地震の直後、津波が福島第一原発に襲いかかる前から、キセノン133が漏れ始めていたというのだ。
>つまり、原発は、津波が襲来する前から、地震によって損傷していたことになる。

地震直後(3月11日2時46分)にキセノン133が漏れ、その50分後に津波が襲来した。

133Xeガスは史上最大16.7EBqで地震直後に放出その50分後に津波襲来の強力な証拠がある。

原発は津波ではなく、地震によって損傷した。

Ref.1 Stohl ,A Atmos. chem, phys. Discuss.11,28319-394 (2011)


05. 2011年12月26日 06:23:55 : JrPYjVYQO2

http://www.youtube.com/watch?v=N5RSMv1TWvw

日本在住の外人が千葉県柏市の土壌を計測した結果、福島の警戒区並の高さで
人が生活していることを国に送り知らせると言ってますが、米国政府、WHO、
IAEA,などにもお知らせしてほしいものです。


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