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福島第1原発:「最悪シナリオ」…防災指針、再考が必要
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111224k0000e040163000c.html
毎日新聞 2011年12月24日 15時01分
東京電力福島第1原発事故で明らかになった「最悪シナリオ」は、一カ所に複数の原子炉が立地したり、高所に使用済み核燃料プールを抱える構造上の弱点を改めて浮き彫りにした。チェルノブイリ原発事故の強制移住地域並みの汚染が半径170キロ圏内に広がるという試算は、内閣府原子力安全委員会が打ち出した、原子力防災区域の見直しにも疑問を投げかける内容だ。
今回の事故では、次々に原子炉や燃料プールで問題が起こり、東電は対応に振り回された。政府は国際原子力機関(IAEA)へ提出した事故報告書で「一つの原子炉の事故進展が、隣接する原子炉の緊急時対応に影響を及ぼした」「使用済み核燃料プールは原子炉建屋上部にあり、(注水など)事故対応に困難が生じた」と分析、最も懸念された4号機の燃料プールには耐震補強工事をした。
一方、住民の避難を巡っては、半径20キロ圏内が立ち入り禁止の「警戒区域」、20キロ圏外の線量が高い地域が「計画的避難区域」に指定され、原子力事故に備えておくべき地域として、施設から半径8〜10キロ以内を「防災対策重点地域(EPZ)」と定めた従来の防災指針は事実上、機能しなかった。これを踏まえ、安全委は10月、原発から30キロ圏内を事故時に迅速な避難や屋内退避などを求める「緊急防護措置区域(UPZ)」とする指針改定案を示した。
だが、「最悪シナリオ」に従えば、UPZでも足りないことになる。政府関係者は「こういうことを起こさせない前提で(シナリオを)作った」と強調するが、当時の菅直人首相は退任後のインタビューで「最悪の場合、避難対象は首都圏を含め3000万人。国として機能しなくなるかもしれないと思った」と証言している。
現実的には半径170キロ圏内の防護対策や3000万人の避難などは極めて困難だ。原発事故がさらに深刻な事態に進んだ可能性がある以上、原子炉の集中立地や高所に燃料プールを備えた構造上の弊害、防災指針を考え直す必要がある。
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