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処理先送り 倫理の問題/高レベル放射性廃棄物/日本人“心のメルトダウン”深刻
東京新聞 2011.12.23 「こちら特報部」
フィンランドで、建設が進む世界初の高レベル放射性廃棄物の最終処分場。人類は十万年後まで管理できるのか―。ドキュメンタリー映画「100、000年後の安全」は今年、日本でも上映され、話題になった。二十三日のDVD販売開始を機に来日したこの映画の監督、マイケル・マドセン氏(40)に聞いた。
(出田阿生)
マドセン監督はデンマーク出身。福島原発事故の発生時、メキシコの映画祭に参加していた。一報を間き、テレビをつけると、煙を上げる原子炉建屋が映り、冷却装置が壊れたと報じられていた。使用済み核燃料が爆発したら―と想像し、恐怖に駆られたという。
すぐに、映画に登場したフィンランドの放射能安全機関の分析学者に電話した。「ちょうど彼は政府から緊急招集をかけられて、対応を協議していた。各国は事故後すぐに議論を始めていた」
映画の日本公開は福島原発事故とは関係はなかったが、四月に東京・渋谷の配給元「アップリンク」で公開されると、観客が殺到。全国各地で自主上映が相次いだ。
地下五百bの岩盤に高レベル廃棄物を埋め、十万年の間、人類から隔離するという最終地分場。映画では原発への賛否には踏み込まず、無害化まで十万年かかるということが何を意味するのか、フィンランド政府の関係者らへのインタビューで淡々とつづった。同国の団会議員らも鑑賞。その管理が「十万年単位」であることについて、初めて知ったという人が少なくなかったという。
最終処分場の建設企業は当初、撮影を快諾。しかし、途中で「編集作業の決定権違持たせろ」と要求してきた。「隠しごとをするのかと疑われますよ」と粘り強く説得した。マドセン監督は「企業側は最終的には不満だったと思うが、ウソは全くない。政府からは、この映画は国民への広報に役立つと言われた」と話す。
伝えようとしたのは、人間は十万年という「永遠とほぼ同じ時間」を管理できるのか―というテーマだ。映画に登場する関係者の言葉はSF物語のように現実感がない。「六万年後に氷河期が来たら」「言語も異なってくるであろう未来の人類に危険を伝えるには?」といった問いが続く。
原子カを使い続ける限り、核廃棄物は生み出され続ける。世界には少なくとも二十五万トンの高レベル放射性廃棄物があるといわれるが、フィンランド以外に最終処分場は決まっていない。「利益を享受するのは現在を生きるわれわれで、負の遺産はすぺて未来へ先送りされる。これはモラルや倫理観の問題です」
福島原発事故で、欧米の各メディアは「日本国内の情報公開が不十分だ」と報じた。マドセン監督は「(内部告発で2002年に発覚した)東京電カの原発事故隠しを思い出した。日本には、事実を国民に教えない文化があるのか。あるとすればなぜ、それで日本人は納得してしまうのか」と問う。
同監督は「福島事故で浮き彫りになったのは、日本人の“心のメルトダウン”だ」と感じていると語る。「これだけの大事故なのに、政府も企業も事故対応が間違っていたことを認めない。国民全体でも、原発をどうするのかという議論が盛り上がらない。それが一番深刻な問題です」
この映画のDVDについての問い合わせは、アップリンク=電03(6821)6821。
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