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TBS「報道特集」
原発を退職した18歳の証言・・・過酷作業と暴力・脅しも
(2011年12月17日 放送)
(以下、メモ)
東海第二原発
・日本原子力発電が経営、東京電力・東北電力に電力を提供
・3月11日 緊急停止
・5月〜 定期点検
福島県内に住むAさん(19歳)は今年春、高校を卒業。いったんは地元で就職したものの震災の影響で解雇された。父親はケガのため仕事ができない状態だった。
福島県いわき駅前のビルに一室を構えていたP社。ネット販売を主な業務としていた。一方では、国の奨励金の出る震災特例で震災作業員を募集していた。
Aさん
「親がケガで入院しているので、誰かが支えなければならない。家族を支えたいという思いで働きました」
1ヶ月半、建設現場などで働いた後、会社の社長から東海原発で働いて欲しいと言われた。当初、彼は行きたくないと訴えたという。
Aさん
「放射能の問題もあったので、自分の体を守りたい。そのことを社長に話したら“決まっているから”と言われた」
Aさんの家族も原発には行かせたくないと訴えたが。
Aさんの父親
「(原発に)行かないだけでも損害賠償を取ると言われたので」
Aさんの母親
「知らないうちに手続きされていたみたいで」
Aさんの父親
「“建屋の中に入るような仕事ではない”“防護服を着るような仕事ではない、安心してください”という話だった」
Aさんは7月末、東海原発で働き始めた。
建屋の外での作業と言われていたが、現場に着くと話は違っていた。
Aさん
「上から数えて3番目の水色の線、あの辺りで作業をしていた」
東海第二原発 使用済み燃料プール
・この中には放射性廃棄物を大量に含む使用済み燃料棒が保存されている
これは2002年、専門家が水中カメラをプールに沈めて燃料棒の傷の有無ををチェックしている様子だ。Aさんが任されたのはまさにこの仕事だった。
Aさん
「作業台車から自分の手でこうやって、ねじるように。(カメラを)燃料棒のところに持っていって撮影する仕事をしていました」
誤って物を落としたり、燃料棒に傷を付けてしまえば事故になりかねない。万一プールに落ちれば大量に内部被ばくする可能性がある。緊張を伴う危険な作業だ。
Aさん
「ゴム手袋をして、ゴミが落ちている時は手で取った。自分はこんな仕事をやっているのかと不安が大きくて怖かった」
土日は休みだと会社から聞いていたAさんだが、実際にはお盆以外に休みはなく、毎日10時間の労働を課せられた。さらに夜23:30から翌朝10:30まで夜を徹しての勤務が続くこともあった。
Aさんが18日間の勤務で得た賃金は、基本給12万6000円と残業代。日給にして7000円は建設現場で働いていた頃と同じだった。仕事では先輩たちについていくのが精一杯だったというAさん。ある夜、滞在するホテルで先輩社員から部屋に呼び出され、態度が悪いと殴られた。
Aさん
「自分はこの状態(ベッド上で仰向け)だった。上から目の辺りを殴られた」
こんな状態が何年も続くなら死んだ方がマシではないか。Aさんはそんな思いを抱くようになったという。
Aさんの両親から相談を受けたのは、いわき市議会議員の渡辺博之さんだった。Aさんと連絡を取るとすぐさま滞在するホテルに向かった。
いわき市議(共産党) 渡辺博之
「声の調子とか、自殺したいという言い方をしていて。これはまずいと思ったので、その日のうちに行くことにしました」
ホテルの部屋まで行くとそのままAさんを連れ出した。そして、両親のもとに送り届けた。翌日から会社の社長らが自宅にやって来た。Aさんが持ち帰ったままの入講証と制服を返すせと求めるとともに、こう言ったという。
「ホールボディ(内部被ばく検査)を受けないと指名手配になるとか」
内部被ばくの検査を受けなければ逮捕されると言われたという。その後、Aさんと両親は警察の仲介のもと入講証と制服を返却した。現在、弁護士を通して暴力などに対する慰謝料を求めている。
私たちは、Aさんを殴ったという先輩社員に話を聞くことができた。
先輩社員
「普通の作業現場だったら別にかまわないが、常に緊張感を持っていないといけないし、どれだけ重要な現場に来ているか分からせるために、教育の一環で2,3発たたいてしまった」
そして、この先輩社員自身も使用済み燃料プールで働くことは事前に知らされていなかったという。
先輩社員
「“もしかして燃料プール?”と言ったら“ああ、そうだよ”って。まずいところに来ちゃったなと」
Q.ぶっつけ本番?
先輩社員
「そうですね」
Aさんと先輩社員を東海原発に送り込んだP社の社長はどう考えているのか。会社のあるビルを訪ねたが、先月末に退室していた。その後、P社の代理人弁護士からは、Aさんとは紛争中であるため取材に応じることができないという返答が来た。
Aさんたちが雇われていたのは4次下請けの会社だ。発注元である日本原子力発電に対し、それぞれとの契約関係、雇用関係を尋ねたところ、個々の労働者の雇用契約はここ関係する各会社と労働者とが個々に締結するものであり、当社は関知する立場にない、と回答した。
日本原子力発電
「個々の労働者の雇用契約は、関係する各会社と労働者とが個々に締結するものであり、当社は関知する立場にない」
Aさんを東海原発から連れ帰ったいわき市議の渡辺さん。福島原発事故の以前から原発労働者の相談に乗っている。
いわき市議(共産党) 渡辺博之
「原発の末端の労働者は、社会保障もなければ、そういう無法状態がもともとありますけれども、福島第一原発では事故が起こって、さらに酷くなっていると私は見ています」
今、渡辺市議が特に気にかけているのは、福島第一原発の事故処理をしていた40代の男性だ。その男性からのメール。
「ピンハネされるとは思いもよりませんでした。悔しいし納得できない」
給料をピンハネされたと訴えるのは、九州に暮らすBさん。7月から8月にかけ福島第一原発で働いていた。自営業でつまづき、短期労働でしのいでいる中、原発での仕事を知り合いから紹介された。当初は建屋の外での作業だと聞かされていた。しかし、Bさんが命じられたのは、水素爆発で崩れた1号機の中での作業だった。しかも、上層階の特に放射線量が高い場所で。真っ暗な建屋内。ヘッドランプだけを頼りに駆け上がり、鉛の板を設置するのが仕事だった。専門の技術者が作業に入れるよう放射線量を下げるためだ。
Bさんが命じられた仕事
・1号機建屋内に鉛の板を設置
Bさん
「長くいればいるだけ線量が上がってしまうので、もう上がったり降りたりしている時点でAPDという線量を測る機械が鳴るんですよね。ウィンウィン鳴るので、とにかく早く置いて早く降りて早く逃げる」
取材班が用意した防護服をBさんに来てもらった。防護服2枚に手袋3枚。全面マスクの周りには放射性物質の侵入を防ぐためテープを巻く。この格好で20キロの鉛の板を背負い、ビル6階分の階段を駆け上がり、降りてきた。
Bさん
「心臓が破裂しそうなほど、きついです。手袋を取ると、一緒に水がパンとはじけるぐらいに汗をかく」
一月余りで浴びた放射線量は12.28ミリシーベルト。7月8月に福島第一原発で働いた労働者およそ2000人のうち、10ミリシーベルトを超えたのは1割だ。九州を出る前、給料は日給14000円と言われ、さらに現場では、担当者から危険手当も支払われると聞いたという。しかし、給料明細を見て目を疑った。日給は約束された1万4000円ではなく1万1400円。危険手当も支払われなかった。
Bさん
「これを受け入れていたのでは奴隷になってしまう。そんな卑屈な人間にはなれない。約束したことは守ってほしい」
東京電力とBさんの間には6つの業者が入っている。それぞれの関係はどうなっているのか。もし人材派遣ならば、厚生労働省の許可を得たり、登録したりしなければならない。その中のひとつF社(4次下請け)に電話をしてみると、F者は派遣業者として許可を受けていないことや登録していないことを認めた。Bさんは労働問題に詳しい水口弁護士に相談した。
水口洋介弁護士
「差額賃金や危険手当の支払いを求める通知を出すことになりますね」
水口弁護士は九州からBさんを送り出したY社に対し、約束した賃金の支払いと各社の契約関係を明らかにするよう文書で通知した。Y社はどう答えるのか、直接訪ねた。
長崎県佐世保市。
Y社は派遣業登録していることを強調した。
Q.S社からY社に派遣?
「派遣していただいてる」
当時の社長は法律で禁止している二重派遣の可能性を認めた。
「そうせんと仕事取れんですよ。派遣法違反になると言われれば、そうなるかも分かりませんよ、私派遣のこと勉強してませんからね。」
Q.法に違反した認識は?
「まったくありません。どこでもやられてるじゃないですか」
Bさんは4段階にわたり派遣されていたことになる。このうちF社(4次下請け)とM社(5次下請け)は、派遣業として許可を受けたり登録していたりしない。Y社(2次下請け)が払った給料と手当、合計は2万4000円。各社が応分の利益を得たため、Bさんに渡ったのは1万1400円となったのだ。
水口弁護士
「発注者は東京電力であって、元請けは日本を代表する会社ですよね。その元で、こういう下請けの末端では、こういう違法まがいのことが行われているというのは、現代でもこんなことがまだあるのかなという感じですよね」
原発作業員のこうした複雑な雇用状況についてどう考えているのか、東京電力は電話で見解を述べた。
東京電力
「発注者として元請け会社に対し法令順守するようにお願いしている。元請け会社がどんな下請け会社に発注するかは自主的な判断に任せている。当社として個別の雇用関係などについては分かりかねる」
(VTR終了)
(スタジオ)
竹内香苗
「昨日、政府が福島第一原発の事故収束を宣言して、野田総理は、英雄的とも言うべき献身的な行為に感謝を申し上げると話しましたけれども、賃金を含めて過酷な労働環境で働く現場の方々は、その表現をどんな気持ちで聞いたんでしょうね」
日下部正樹
「英雄と言っているんですけれども、発注元の東京電力は発注した先のことは分からないと言っているわけですね。つまり、最前線で働く作業員の待遇ひとつとっても、作業員がいくらもらっているかも、多分知らないですよね。一方で、同じ論法で言えば、誰がどこの現場で働いているかも把握してないとなると、東京電力はテロ対策とか非常に神経質なのに、じゃあ安全管理面はどうなっているのかと。ここらへんも心配ですし、とにかく現場は今後何十年に渡って人手不足が続くわけですから、現状のままではトラブルが起きることは明らかだと思います」
金子茂紀
「端的に言うと、差別構造というんですかね、原発労働に伴う。これは物理学者の山本義隆さんが出した“福島の原発事故をめぐって”という本で、原発の技術自体が、差別を再生産するような側面を持っているんじゃないか。例えば、1番危ないところが、1番恵まれてない、1番弱い人たちに押し付けられているとか、あるいは、都市で使う電力が過疎地で原発ができてそこから送られているとか、そういう差別構造自体を再生産するような仕組みが原発にはあるんじゃないか。山本さんは原発ファシズムという非常に強い言葉を使っていますけども、今の実態を見て、本来は放置してはいけないようなことがまるで普通なことのようにずっと続いていることを見て、暗澹たる思いがしましたですけどね」
(以上)
発注元である日本原子力発電も東電も現場で働く作業員のことは「当社は関知する立場にない」当社として個別の雇用関係などについては分かりかねる」と無関心で、テロ対策も含め安全管理をどう考えているのか疑問です。実際は現場がどうなっているかは知っているはずですが。原発はもともと人手不足の現場なので、福島第一原発事故前から作業員の確保には苦労してきました。暴力団のお世話になるなど酷いものでした。それが事故が起きたせいでさらに作業員の確保に苦労していますが、やはり作業員の待遇は変わることはありませんでした。これが野田首相の言う「英雄」の実態です。
ところで、私はたまたま20歳の男性から話を聞いたことがあるのですが、彼は社長から福島で仕事をしないかと誘われたそうです。原発内での作業ではないと聞いたそうですが、たしか日給は7万円と言っていたので、おそらく建屋内での危険な作業だったのではないしょうか。ガレキの処理と言っていたでしょうか。結局、社長が断ったそうですが、20歳では放射線の影響も大きいので断って正解でしょう。ピンハネが少ない分AさんやBさんよりマシかもしれませんが、実際に手元に入る給与は分からないですし、命あっての人生です。
東電の社員は半分に減ったボーナス40万をどうやりくりするかで頭を悩まし、その一方で、もらえても数万円の日給のために働く、もしくは騙されて働かされている、東電が言うところの「死んでも問題ない」人たちが多く存在しています。原発はこのような差別構造によって支えられています。末端の作業員は日雇いの素人で、短期間で入れ替わる素人に原発を安全に運用できるはずがありません。被ばく線量には上限があるので同じ作業員がずっと作業できません。あちこちで起きている原発事故も「人災」なんです。いくら技術的に安全だと言っても、運用するのは人間ですからね。
東電や政府によると、福島第一原発事故は収束したそうなので、あとは東電の社員のみなさんで作業してもらえばいいと思います。電力会社の社員としては、せめて受け取った給与・ボーナス以上は働かないとプライドが許しませんよね。収束したからには大きな危険はないでしょうから、志願して作業に従事していただきたいと思います。日本原子力発電や東電、政府内では、多重下請け、違法な二重派遣を改善しろという声は上がっていないのでしょうか。法令順守っていったい何のことでしょうね。
http://nikonikositaine.blog49.fc2.com/blog-entry-2071.html
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