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北海道泊原発がヤバい!
http://nikkan-spa.jp/102630
2011.12.20 日刊SPA!
【泊原発の廃炉を求めて提訴】
2011年8月、北海道泊原発3号機が運転を再開。福島第一原発事故の後に世界で初めて運転を再開した原発となった。同月には’08年のプルサーマル計画シンポジウムでのやらせ問題も発覚し、計画は当面白紙に。疑惑が高まる泊原発の廃炉を求めて、市民団体「泊原発の廃炉をめざす会」が11月11日に札幌地裁へ提訴した。
◆地震がきたらM7.5級 泊が、北海道が危ない!
もしも北海道の原発で、福島と同程度の事故が起きたとしたら……。近隣のニセコ、余市、小樽といった人気の観光地は全滅し、原発から70kmの札幌が行政マヒを起こす。放射能の被害は次第に漁業、農業、酪農業に及び、「北の食糧基地」は壊滅。日本は食の生命線を失うことになるだろう。
北海道の西側、日本海沿いの人口1800人余りの小さな村に原発がある。3号機が福島第一原発の事故後、世界で初めて運転を再開したことで一躍名を知られた「泊原発」だ。
11月11日、福島事故の惨状に衝撃を受け結成された市民団体「泊原発の廃炉をめざす会」(以下、廃炉の会)が、北海道電力を相手取り泊原発1〜3号基の廃炉を求める訴訟を札幌地裁に起こした。
実はこの泊原発、あまりよく知られていないが、非常に危険な原発なのだ。例えば泊のすぐ西、日本海上にユーラシアプレートと北米プレートの境界があり、震度7以上の大地震が相次いでいる。また、泊が位置する積丹半島の西方沖15kmの日本海海底には長さ60〜70kmの活断層が発見され、想定される地震のマグニチュードは7.5級。ところが、いずれの知見も建設当時の安全審査基準には組み入れられていない。
さらに、沸騰水型の福島第一と違い加圧水型原子炉を使用する泊は、特に蒸気発生器の細管破断が問題視され、20年以上運転を続けている古参の1〜2号機は原子炉容器の脆性破壊が危惧されているのだ。
泊原発「廃炉の会」 本格的な法廷闘争へ
◆原告612人、弁護士 60人超の大規模訴訟
原発再稼働を進めた高橋はるみ北海道知事の支持母体である政治資金管理団体「萌春会」の代表は、北海道電力の前会長。また、’08年のプルサーマル計画のシンポジウムでは、電力会社と道職員がやらせ意見を誘導したという事実が判明している。「原子力村」とよく似た利権の構造が、ここにもある。
「これまで裁判でどんなに問題点を指摘しても、五重、七重の壁があって絶対に原子炉は壊れないと電力会社は主張してきた。でも今回は安全神話が崩れた後の本格的な法廷闘争になる。しかも道の過去5年の電力最大需要と供給力の関係を調べると、原発がなくても十分な発電能力があることがわかっている。今回は絶対に勝てるでしょう!」
「廃炉の会」共同代表を務める小野有五・北海道大学名誉教授(環境地理学)は、笑顔でそう語る。
同会が立ち上がったのは’11年7月。またたく間に道内外から支援者が集まり、わずか4か月の準備期間ながら原告団の数は612人を数えた。しかもバックには60人を超える弁護士たちが控えている。事務局長を司る菅澤紀生弁護士は、参加の理由をこう語る。
「3・11のあの状況を見て、弁護士として何ができるのかを考えたんです。それで、もしかしたら自分の経験や知識によって、我が愛する北海道くらいは守れるかもしれない、と。原発を推進している経団連の影響は北海道にはあまり及ばない。それに面積が広いせいか、電力会社と住民との地縁・血縁関係も他県ほど濃くはない。住民は自分の声を出しやすいから反対運動も盛り上がる。その辺もメリットになるでしょう。今回、福島では農業や水産業が大打撃を受けました。北海道の『食糧庫としての力』を国が重視するなら、泊くらいは止めようかと考える向きもあるでしょうね」
今後は弁護団の全国連絡会を通じて、泊だけでなく青森県大間原発や愛媛県伊方原発の反対訴訟とも連携を取り合っていくという。
泊原発周辺の生態系がおかしい!?
◆「昔、原発があった」と早く言えるように
福島の事故が起きるずっと前から地元で反原発の活動を続けてきた草の根運動家、斎藤武一氏。
泊村からわずか5km離れた岩内町に生まれ育った斎藤氏は、原発の温排水の影響を調べるため、30年以上も岩内港の海水温を測ってきた。温排水のせいで海水温は平均0.3度上昇している。0.1度の変化で魚は生息地を変えるので、今では特産品だったスケソウダラが捕れなくなった。’90年に岩内で見つかった突然変異のバラを世間に訴え、北海道の市町村別がん死亡率を自力で調べて死亡率1位が泊で2位が岩内と知り、さらに原発近隣区域の雨と乳がん死の関係を探ると年間降雨量が最も多い小樽市で乳がん死亡率が最も高いことを突き止めた(放射能の影響を知らせる専門の調査はまだない)。まるで草の根の科学者のような人だ。「廃炉の会」では、原告団の代表を務めている。
「原発なんて何もいいことはない。子供たちが心配だし、毎日、海は温められ殺されている。北海道には、原発の前に150年くらい開拓の歴史がありました。次は、原発をなくして真の民主主義を確立していくための“新しい開拓の時代”をつくりたいですね」
新雪のように真っ白で仄かな理想が、そこにあった。
エネルギー技術の日進月歩を思うなら原子力発電はもはや旧式のもの、と呼んでもいいのだろう。発電所の建設に膨大なコストがかかり、万一、事故を起こしたときの損害費用は無限大。熱効率も30%と低いから大量の放射性廃棄物が空へ海へと流れ出る。実は北海道電力は北ガスとの共同事業で’18年より小樽港にて液化天然ガスを用いた火力発電を開始する予定でいる。こちらのほうの熱効率は60%を超える。今年10月に発表されたこの新案を好意的に解釈するなら、もしかしたら北電自身そろそろ原発を卒業したがっていて、代替エネルギーを真剣に考え始めた、と想像することもできるのだが……。いずれにせよ原子力発電は人間の理学の想像力が作り上げた怪物。怪物を早々に退治しなければ、日本の明るい復興は見えない。
札幌地裁への提訴を終えた「廃炉の会」は11月13日に記念講演会を開き、700人の聴衆を札幌市民ホールに集めた。北海道帯広市に生まれ、札幌に暮らす小説家・池澤夏樹氏が講演を行った。
池澤氏は「原子力発電は、スピードはあるがハンドルがない自動車のようなもの。最終的にコントロールできるのは人間の倫理観だろう」と語り、こう締めくくった。
「原子力エネルギーは結局のところ人間の手に負えない。だから『昔、原発があった。怖いもんだったねえ』と早く言いたいものです」
取材・文/長谷川博一
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