http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/474.html
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記事では、新たにわかったことのように書かれているが、2号機のRCIC(隔離時冷却系)や1号機のIC(非常用復水器)の作動についての“認識錯誤”は、5月の時点からいろいろ取りざたされてきたことである。
事故当時の発表資料にもあるように、電源車による優先的な電源復旧対象が2号機になったことからも、3月11日から12日にかけてより危険度が高いと思われていた原発は2号機だったと推測することはできる。
【引用】
「 2号機では地震直後、「原子炉隔離時冷却系」と呼ぶ非常用冷却装置を手動で起動したが1分後に自動停止。その後、手動起動を繰り返したが、外部電源喪失などにより午後4時36分以降、現場も本店も「(冷却装置は)動いておらず注水できなくなった」と判断した」
【コメント】
末尾に添付した関連投稿でも書いたが、「原子炉隔離時冷却系」(RCIC)は外部電源喪失を含む交流電源を喪失しても作動する冷却系である。
地震後津波前であれば、各種ポンプが交流電源で動く緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動したはずである。それらのポンプは、非常用ディーゼル発電機を含む全交流電源が失われたとき停止する。
外部電源を喪失したのは地震直後(14:46)のはずだから、「外部電源喪失などにより午後4時36分以降、現場も本店も「(冷却置は)動いておらず注水できなくなった」と判断:した」という部分はトンチンカンな内容である。
最後に引用する内容では確認方法は示されていないが、RCICが動いているかどうかは放射線量を確認しつつ原子炉建屋に入ればわかるはずである。
【引用】
「1号機の別タイプの冷却装置「非常用復水器」は「動いていると認識していた」(小森常務)。現場も本店も全電源喪失時に自動停止する仕組みを知らなかった。ベントは「(冷却できている1号機より)2号機が先になるという認識を持っていた」。1、2号機のベント作業は同時にできない構造という」
【コメント】
前段で書いたように、ベント対象が1号機より先に2号機とされていたことに異論はない。
しかし、「1号機の別タイプの冷却装置「非常用復水器」は「動いていると認識していた」」というのは、ウソをついているのでなければ、東電・原発メーカー・専門家といった人たちが「非常用復水器」(IC)に貯えられている水が90分ほどで枯渇するという原発の基本構造さえ理解していないことを意味する。
「1、2号機のベント作業は同時にできない構造」というのは、排気筒が共有されていることを指すのだろう。
【引用】
「12日午前2時55分、2号機の非常用冷却装置が動いているのを作業員が確認したため、原子炉内部の圧力が高まっていた1号機優先に方針転換。午後2時半に1号機のベントを実施したが手遅れで、12日午後3時36分に水素爆発した」
【コメント】
事故対応があれこれ取りざたされるようになってからずっと抱いている疑念が、“ベントの遅れ”を重大な問題とする潮流である。
端的に言ってしまえば、1〜3号機のどこかでベントしないために格納容器が損壊しより多くの放射能がまき散らされたというのなら受け入れられる話だが、2号機の圧力抑制室の損壊をのぞき、そのような事態は発生していない。
この記事で指摘したい最重要ポイントは、「午後2時半に1号機のベントを実施したが手遅れで、12日午後3時36分に水素爆発した」という記述である。
まるで、ベントの遅れが水素爆発を引き起こしたかのような説明である。
これは真逆で、ベントを実施したから原子炉頭部に溜まっていた水素が建屋内に流れ込み水素爆発につながったのである。
ベントに関して論議されなければならないテーマは、遅れではなく、ベントが本当に必要だったのかという基本から始まり、ベントを実施しなかったらどうなっていたのか、ウェットベントとドライベントが号機別に何回実施されたのか、原子炉頂部からのベントは実施されたのか、などである。
ベントに関して遅れを問題視しているのは、ただ放射性物質を大気中にまき散らしただけで、事故の抑制に効果がなかったと思われるのを避けるためではないかと邪推したくなる。
ともかく、この間あれこれ新しい情報が漏れ出ているのは、26日に発表されると言われている政府の事故調査・検証委員会の中間報告の妥当性を高めるための“予備工作”の可能性が高い。
※ 1号機のICについての関連投稿
「NHKが資金と時間をかけた制作しためちゃくちゃな1号機メルトダウン検証番組:ICに関する無知と原子炉水位計に問題を矮小化」
http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/466.html
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福島第1の1・2号機、冷却状況誤認 排気作業の遅れ招く?
東日本大震災後、福島第1原子力発電所2号機の非常用冷却装置が実際はしばらく動いていたのに東京電力が「動作していない」と誤認していたことが19日分かった。一方、1号機は動いていないのに「動作している」と認識。判断ミスの連鎖が圧力を抜くベント(排気)作業の遅れにつながり、炉心溶融(メルトダウン)による水素爆発を早めた可能性がある。
事故直後、清水正孝前社長に代わって指揮を執っていた小森明生常務(元福島第1原発所長)が日本経済新聞に明らかにした。政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)もベント作業の遅れの原因を調べており、こうした経緯に関心を寄せているもようだ。
2号機では地震直後、「原子炉隔離時冷却系」と呼ぶ非常用冷却装置を手動で起動したが1分後に自動停止。その後、手動起動を繰り返したが、外部電源喪失などにより午後4時36分以降、現場も本店も「(冷却装置は)動いておらず注水できなくなった」と判断した。
一方、1号機の別タイプの冷却装置「非常用復水器」は「動いていると認識していた」(小森常務)。現場も本店も全電源喪失時に自動停止する仕組みを知らなかった。ベントは「(冷却できている1号機より)2号機が先になるという認識を持っていた」。1、2号機のベント作業は同時にできない構造という。
ところが12日午前2時55分、2号機の非常用冷却装置が動いているのを作業員が確認したため、原子炉内部の圧力が高まっていた1号機優先に方針転換。午後2時半に1号機のベントを実施したが手遅れで、12日午後3時36分に水素爆発した。
[日経新聞12月20日朝刊P.42]
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