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牧野淳一郎(元国立天文台教授)
「ス−パーコンピューティングの将来」ブログの中から。
http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/811/face.html#TOC
計測結果のグラフ図やスペクトラム写真は元ページでご覧ください。
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http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/811/note007.html#rdocsect19
7. TA100 による食品中セシウム検出その4福島林檎篇 (2011/12/9書きかけ )
というわけで、遮蔽もそれなりになったので何かを測ってみよう、 ということで、
千葉県産ホウレンソウ
福島県産林檎
福島県産でない林檎
を測定してみました。バックグラウンドデータは水をいれた容器で16万秒(ほ ぼ2日)測定したもの、測定は8万秒です。積分スペクトルの下限は 0.35MeV に しています。結果を図 65 以降に示します。
Figure 65: 千葉県産ホウレンソウ。測定時間は8万秒、結果は16万秒に正規化。
Figure 66: 福島県産リンゴ。測定時間は8万秒、結果は16万秒に正規化。
Figure 67: 福島県産でないリンゴ。測定時間は8万秒、結果は16万秒に正規化。
みての通り、ホウレンソウと福島県産でないリンゴではバックグラウンドを引 いた残りが 0.8MeV のところでは負になっていて、何かが検出できているわけ ではないことは明らかです。ホウレンソウではカリウムがあるように思われま す。福島県産でないリンゴではカリウムも有意には見えていません。
これに対して、福島県産リンゴでは 0.8 MeV のところでは青い線の誤差分散 の3倍近い値になっていて、そこから 1.5MeV までではあまり増えていません。 つまり、カリウムではない何かでバックグラウンドとの差がでていて、これは 有意である可能性が高いわけです。
有意だとすると、これは「やさしお」の 1/20 程度のカウントですので、 Cs-137, 134 が 1:1 として 30Bq/kg 程度のはず、ということになります。但 し、コンプトンのところのみている割合がセシウムのほうがカリウムより小さ いので、もう2-3倍程度多い可能性はあります。
これが本当なら、その辺のコンビニで買ってきた福島産リンゴはこんな感じで ある可能性があるわけで、本当かどうかは非常に気になります。ということで、 都内某所、と書くこともない、私の旧所属の国立天文台にある Ge 検出器でス ペクトルをみたのが図 68 です。
Figure 68: 福島県リンゴの Ge 検出器によるスペクトル。緑、青、黄色が Cs-134, Cs-137, K-40 の 0.6, 0.662, 1.4MeV のピーク。
これはきちんとした定量ではなくてスペクトルの形をみているだけですが、 Cs-134, 137 が綺麗にでていることはわかります。正確な定量はデータがきた ら追加しますが、Ge 検出器でこれほど明瞭なピークがでているのでかなりの量 のセシウムがあることは確実です。
つまり、TA-100 + 鉛遮蔽で有意にセシウム由来と思われる領域に信号がでた ものを Ge 検出器で測定したら確かに間違いなくセシウムがあった、と結論で きます。
もちろん、TA-100 で偶然3σレベルの数値だったものが実際にセシウムを 含むものであった、という可能性はまだゼロではないですが、実際に検出でき た、というほうがありそうです。
リンゴは比較的セシウムがでやすく、福島市や伊達市のものでは数十 Bq/kg でることは珍しくないようなので、そういうものが市場にでまわっていること も当然ではあります。そのレベルのものなら 20万円程度の機械で検出可能で あるようです。
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9. TA100 による食品中セシウム検出その5福島林檎検証篇 (2011/12/17)
というわけで、数日前にきてたんですが、国立天文台でのリンゴの測定結果 の数字の報告です。
Cs134 137
芯 42 54
果肉 36 58
皮 48 83
数字は Bq/kg、測定は12時間で、カウント値は一番低いものが 400 です。カ ウントがかなり低いのはサンプル重量が 25-55g と少ない測定をしているため です。皮は若干多いのですが、それほど大きな差はなくて 134, 137 ともに 50Bq/kg 前後です。TA100 での測定では1:1 としてそれぞれ30Bq/kg 程度 と推定していたので、倍は違わない結果です。なので、TA100 でこのレベルな ら検出可能と確認できた、いえるでしょう。
このGe 測定のほうの数字の絶対値のキャリブレーションは若干間接的で、
絶対感度は KCl のカウントから
エネルギー依存性は Cs-134 の複数のピーク間の比から
出しています。倍違っていることはないと思いますが、ちょっとこれ多めでは ないかという気もします。とはいえ、倍違うとしても少なくとも Cs-134, 137 で合計 50Bq/kg はあるものがコンビニで普通に販売されている、ということ です。もちろん、暫定規制値の 1/5 ないし 1/10 なので、出荷されるわけで すが、個人的にはこれを買って食べるのは避けます。
福島県は日本のリンゴ生産量の4%程度のシェアをもっているとのことで、 ランダムに食べると平均 2-5Bq/kg 程度です。但し、加工用の材料等 は安価に調達可能である可能性がある福島産が選択的に使われている かもしれない、ということも考慮したほうがよいと個人的には思います。
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