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東電実質国有化 体制の一新が絶対条件だ
2011年12月11日
政府が設立した原子力損害賠償支援機構が東京電力の株式の大部分を保有することで、東電を実質的に国有化する財務基盤強化策が浮上している。公的資金による資本注入と取引金融機関の追加融資により、2013年3月期から4年間で3兆円を調達するという。福島第1原発の廃炉に向けて政府出資で1兆5千億円、社債償還や設備投資に充てるため新規融資で1兆5千億円を確保するものだ。
国策に従った結果だとしても、「原発は絶対安全」などと事実と違う宣伝を繰り返し、重大事故の発生を許した東電の責任は限りなく重い。政府は先月、東電と原子力損害賠償支援機構が共同提出した特別事業計画を認定し、賠償に要する総額1兆109億円の支援を決めたばかりだ。この上、国費を投入するのは違和感を覚える。
東電に反省の色が見られないからだ。2日に公表した社内事故調査委員会の中間報告では「想定を大きく超え、津波被害を防げなかった」などと自己弁護した。
原発事故で拡散した大量の放射性物質によって多くの人々の生活が破壊され、健康が脅かされる中で、保身にきゅうきゅうとする態度は理解に苦しむ。
政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」の試算によると、1〜4号機の廃炉費用は少なく見ても約1兆1500億円かかるという。膨大な出費を強いられるのは全て身から出たさびだ。
合点がいかないのは国内未曽有の放射能汚染を引き起こしたにもかかわらず東電経営陣や所管省庁幹部らが誰一人刑事責任を問われていないことだ。たとえ過失だとしてもこれほど広範囲に放射性物質をまき散らして罪にならないというのは法の不備としか思えない。
国有化するなら、事業内容をガラス張りにすることが不可欠だ。水増しして算出された疑いのある電気料金は、料金設定の前提となる原価の内訳を全て公表してもらう。料金の妥当性を国民・消費者が判断できる仕組みに変えなければならない。
必要最低限の施設を除く資産の売却、人員削減など、徹底したリストラが求められる。
歴代役員の責任の明確化と体制の一新は絶対条件だ。新たな経営陣は「原子力村」にしがらみのない人材を充てたい。発電、送電を一手に担う地域独占の経営形態は抜本的に見直すしかない。
(転写終了)
原発・フッ素19
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