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原発事故の確率がどれほど低かろうが、その“万が一”の事態は決して受け入れられるものではない――
http://diamond.jp/articles/-/15236
2011年12月8日 World Voiceプレミアム :ダイヤモンド・オンライン
アメリカ反原発運動の第一人者ポール・ガンターに聞く
ポール・ガンターがアメリカで反原発運動の急先鋒に立って30年以上になる。彼は初期の反原発グループ、クラムシェル・アライアンスの共同設立者であり、その後20年間Reactor Watchdog Project for Nuclear Information and Resource Serviceで所長を務め、2007年にはBeyond Nuclearという反原発組織に原発の専門家として移った。反原発運動のみならず、メディアにもっとも登場する論客としても名を馳せているポール・ガンターに、今回の福島原発事故について聞く。(聞き手/ジャーナリスト 大野和基)
ポール・ガンター(Paul Gunter)
アメリカにおける原子力発電の危険性、セキュリティ問題の第一人者。2008年にはタイズ財団からジェーン・バグリー・リーマン賞を受賞。ミシシッピ州出身。彼の30年間にわたる反原発活動については、『世界で広がる脱原発』(宝島新書)に詳しい。
Photo by Kazumoto Ohno
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■事故がまだ終息していないことがフクシマの最大の問題点
――福島県のある地域のコメから国の暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検知されたが、こういう状況はこれからも続くと思います。この状況をどう見ますか。
明らかに、大いに懸念されるのは、原発事故が及ぼす影響が、一つの特定の農産物だけでなく、さまざまな国の資源を失わせてしまうことです。コメ資源は日本では大きな資源の一つですが、その汚染は4分の1世紀続く可能性があります。これはまさに、チェルノブイリの事故が起きた結果、我々が見てきたことと同じです。
例えば、スコットランド北部では放射性セシウム137が羊の餌用の草に含まれていました。その結果、放牧地は25年間も使うことができませんでした。チェルノブイリ事故では、いくつかの地域は1000マイル(約1600キロ)も離れたところでも25年間農業が禁止されました。ですから、日本でも同じようなことがそれくらい、いや、もっと長く続いてもおかしくはありません。
フクシマの問題は、まだ事故が収束していないことです。臨界に再度達する可能性があるかもしれません。そうなれば、さらに放射性物質が放出されます。放射性物質は一旦放出されると、どこまで汚染され影響が出るのかを把握するのはかなり難しくなります。また季節も関係してきます。例えば、スコットランド北部では春の草がもっとも汚染されていました。日本では事故以来まだ四季が過ぎていませんが、季節によって汚染度が増すかどうかも調べなければなりません。
――日本はアメリカと違って、非常に小さな国です。国全体が影響を受けるかもしれません。
汚染が広範囲になる可能性は十分あります。広範囲で、地域によってはかなり汚染されるところが出るでしょう。日本国全体に広がり、特定の地域はかなり汚染された状態になるでしょう。
――東電や日本政府は農家に財政援助をすべきだと思いますか。
財政援助はもちろんですが、東電も政府も民事上の罰則があるべきです。過失責任を問われるべきなのです。おそらく刑事上の過失責任も問うべきかもしれません。東電のトップにいる人たちは、起訴されて然るべきだと思います。
■界的に見て今後の原発建設はどうなっていくか
――確かニクソンが大統領のときに、アメリカは原発推進の道を歩もうとしました。もし計画通りに行っていたら、今アメリカには1000基もの原発があることになります。ところが実際は104基しかありません。あなたは反原発の急先鋒として成功しました。一方、日本では東電が手練手管を弄して、町を丸ごと買収してしまい、原発を建設してきました。この東電のやり方をどう思いますか。
今回の事故が起きて、コミュニティを買収する戦略の効果は弱まったと思います。福島第一原発は、長い目で見たときに、原発が恩恵よりも不利益をより多くもたらすことを証明したのです。原発は、恩恵よりも不利益の方がはるかに大きい。この側面は、国際的な原発市場に影響を与えたし、今後も与えるだろうと思います。
世論はすでに、新しい原発建設を支持することから離れ続けていると思います。同じことは国際的に起きています。特にここアメリカではフクシマ以来、その傾向が顕著です。日本でも、世論はアメリカと同じだと理解しています。今日本では、いくつかの原子力発電が止められていますが、運転が再開されるかどうか疑問です。今起きているのは政治的綱引きです。政治家の意見はすでに再稼働に向かっていますが、世論は相変らず反対のままです。
■どんなに事故の確率が低くとも事故の結末自体は決して受け入れられない
――この状況で、日本はベトナムをはじめとして、原子力発電を海外に売ろうとしています。日本政府はフクシマから何も教訓を得ていないのでしょうか。
そう思います。日本は日本経済に大打撃を与えるほどまでに、原子力にかなり大規模な投資をしてきました。拡大するということは、もし技術がうまくいかなければ、不利益も増すということになります。だからよけいに綱引きになるのです。業界と政府は、資金関係でつながっているので、この技術が受け入れられないということを納得していないのです。一方で世論やコミュニティは、できるだけ早い脱原発を望んでいると思います。
――アメリカでは、原発で事故が起きたときに、企業の賠償責任に上限を持たせるというプライス・アンダーソン法がありますが、日本にもし同じような法律があれば、どうなっていたと思いますか。
8ヵ月経った今も事故は収束していないので、最終的なコストを計算するのは難しいです。だからそういう法律があっても、うまく機能するかどうかはわかりません。事故から生じた実際のコストがカバーされるかどうかもわかりません。汚染の範囲と最終的なコストはこれからわかることなので、今見ているのはロケットの飛行機雲を見ているようなものです。国際面でも波及的に悪影響が出てくるでしょう。例えば中国の領海の海産物であるとか。本当に最終的なコストは急速に上がっていきます。
――最後に、諸外国も含めて、フクシマ原発事故から教訓を得るとすればそれは何でしょうか。
事故の確率がどれほど低くても、事故が起きたときの結末は受け入れられない、許されるものではないということです。コストの点でも公衆衛生の点でも、それが意味するものは大きな不確実性であるということです。21世紀のエネルギー政策立案からは、原発の開発と継続的運行を除外するべきです。これがフクシマの最大の教訓だと思います。この教訓はチェルノブイリでも得ることができたはずですが、フクシマでさらに一層明らかになったのです。
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