http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/215.html
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野田首相は、昨日の国会で、02年にロシア政府からあった使用済み核燃料の中間貯蔵及び再処理の受託提案が官僚の手で隠蔽されていた経緯を検証すると答弁したという。
「ロシアの国営原子力企業「ロスアトム」 原発関連で日本に参入 ウラン濃縮受注めざす :福島第一原発事故への対応も」(http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/873.html)の記事を読んでから、原発をめぐるロシアとの関係性が気になっていた。
この間の動きから、政府は、軽水炉原発はともかく、「もんじゅ」と「核燃料サイクル」は断念する方向にあり、それに伴い否応なく急浮上する使用済み核燃料の後始末問題でロシアに頼る気になったのかもしれない。
Ananさんが転載してくれた11月24日毎日新聞の「<核燃>ロシアの再処理提案文書を隠蔽 「六ケ所」の妨げと」(http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/648.html)の記事も、関連官庁関係者からのリークがベースになっているはずであり、タイミングを考えるとその伏線と思われる。
記事にも、経済産業省中堅幹部が「文書隠蔽で海外貯蔵の可能性が葬り去られたのは罪深い」と語ったという話が載っている。
その一方で、ロシア政府文書の宛先である尾身幸次元科学技術政策担当相は、「(文書は)ない」と完全に否定しているという。
「もんじゅ」あっての「核燃料サイクル」であり、「もんじゅ」を断念する意思を固めている政府は、軽水炉原発から出てくる使用済み核燃料の後始末を「核燃料サイクル」以外に求めなければならなくなっている。
これまで再処理を依頼してきたフランスや英国には再処理済み核物質をすでに大量に保管してもらっており、高額の保管料を支払いつつ引き取りの催促も受けている。
そこで浮上してきたのが、02年のロシア政府からのオファーということなのだろう。
ロシア政府からオファーを受けた02年以降、04年1月に再処理費用コストが約19兆円と見積もられ、 その12月には再処理工場で「ウラン試験」開始され、06年3月にはついに、実際の使用済み核燃料を通す「アクティブ試験」が開始された。
その後08年にはガラス固化工程でトラブルが発生し、再処理工場の完成が延期されている。
今さら言ってもということになるが、「アクティブ試験」を実施する前の解体であれば、安全性とコストがまったく違っていた。
福島第一原発の事故処理も含め、ロシア政府とは太いパイプを築くべきだと考えている。
先方から申し入れがあった話であるし、核兵器保有国でもあるロシアに、可能な限りだが、使用済み核燃料の(半永久的な)中間貯蔵を委ねる政策は妥当だと考える。
[01年以降の六ヶ所村再処理工場に関する動き]
01年12月 使用済み核燃料貯蔵施設のプールから漏水するトラブル判明
02年10月 ロシアから再処理などを提案する外交文書が届く
04年1月 経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」が再処理費用などのコストを約19兆円と公表
6月 原子力委員会の新計画策定会議が再処理継続などの議論開始
11月 新計画策定会議が再処理継続の方針を決定
12月 再処理工場で劣化ウランを用いる「ウラン試験」開始
05年3月 建設費を2兆1900億円に変更。完成を07年5月に延期
06年2月 建設費を2兆1930億円に変更。完成を07年8月に延期
3月 実際に使用済み核燃料を通す「アクティブ試験」を開始
08年12月 高レベル廃液をガラスで固める工程でトラブル。試験中断
10年9月 完成を12年10月に延期
11年3月 東日本大震災で一時外部電源喪失
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核燃再処理:露提案隠蔽 野田首相、検証に前向き
02年にロシアが日本の使用済み核燃料の受け入れを提案した外交文書が隠蔽(いんぺい)された問題をめぐり、野田佳彦首相は8日の参院外交防衛委員会で「政権交代の意義は、情報がさらに公開されるところにある。しっかり検証したい」と述べ、隠蔽の経緯などを検証する考えを明らかにした。
新党改革の舛添要一代表が「政府に不利であろうが、必ず公表するということでなければ国民の信頼を得られない。新しい原子力政策を立案する糧にしてもらいたい」と質問したのに答えた。この問題について、これまで枝野幸男経済産業相は毎日新聞の取材に「外国政府との個々のやりとりについては、相手国との関係もあり明らかにすることは差し控える」などとして、明らかにしない考えを示していた。【清水憲司】
毎日新聞 2011年12月9日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111209ddm002010141000c.html
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核燃:ロシアの再処理提案文書を隠蔽 「六ケ所」の妨げと
ロシアが02年、日本の原発の使用済み核燃料をロシアで一時的に貯蔵(中間貯蔵)したり、燃料として再利用するため処理(再処理)するプロジェクトを提案する外交文書を送っていたことが関係者の話で分かった。内閣府の原子力委員会や経済産業省資源エネルギー庁の一部幹部に渡ったが、六ケ所村再処理工場(青森県)稼働の妨げになるとして、核燃サイクル政策の是非を審議していた国の審議会の委員にさえ伝えなかった。当時、漏水事故の続発で再処理工場の安全性を疑問視する声が高まっており、不利な情報を握りつぶして政策を推し進める隠蔽(いんぺい)体質が浮かんだ。
◇02年、国の審議会にも伝えず
東京電力福島第1原発事故を受けて設置した政府のエネルギー・環境会議は核燃サイクルを含むエネルギー政策を抜本的に見直す方針。情報隠しが判明したことで、政策決定の妥当性に厳しい検証が求められそうだ。
文書は02年10月25日付でA4判2ページ。尾身幸次・元科学技術政策担当相宛てで、ロシア語で書かれており、ルミャンツェフ原子力相(当時)の署名がある。受領した在ロシア日本大使館が日本語訳を付け、内閣府原子力政策担当室(原子力委員会の事務局役)幹部らに渡した。大使館はさらに04年初めまでにエネ庁の一部幹部にもファクスで送ったという。
尾身氏は担当相を務めていた02年9月、モスクワなどでルミャンツェフ氏と会談。文書は「会談は原子力部門における露日の共同活動の最も有望な方向性を明確に示すことを可能にした」とし、「一時的技術的保管(中間貯蔵)および(再)処理のために日本の使用済み燃料をロシア領内に搬入すること」を提案する内容だった。
03〜04年、経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」や原子力委の「新計画策定会議」が、使用済み核燃料をすべて国内で再処理する「全量再処理路線」継続の是非を審議していた。約19兆円とされる高コストやトラブルの続発を受け、六ケ所村再処理工場に初めて放射性物質を流す「ウラン試験」開始に異論を唱える委員もいたが、ロシアからの提案は知らされなかった。結局、再処理継続が決まり、04年12月にウラン試験が行われた。
経産省やエネ庁の関係者によると、エネ庁幹部は当時、周辺に「極秘だが使用済み核燃料をロシアに持って行く手がある。しかしそれでは六ケ所が動かなくなる」と語っていた。海外搬出の選択肢が浮上すると、全量再処理路線の維持に疑問が高まる可能性があるため、隠蔽を図ったという。ある関係者は「ロシアの提案は正式に検討せず放置した」、別の関係者も「原子力委とエネ庁の技術系幹部という一部の『原子力ムラ』で握りつぶした」と証言した。
原子力委は委員長と4委員の計5人。他に文部科学省や経産省からの出向者らが事務局役を務め、重要な原子力政策を決定する。【核燃サイクル取材班】
毎日新聞 2011年11月24日 2時30分(最終更新 11月24日 11時45分)
http://mainichi.jp/photo/news/20111124k0000m040128000c.html
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核燃:露文書隠蔽 次官にも報告せず 委員からは怒りの声
誰の手で握りつぶされたのか。使用済み核燃料の受け入れを提案する02年のロシアの外交文書。「経済産業省トップ(事務次官)にも報告していない」と証言する資源エネルギー庁関係者もおり、隠蔽(いんぺい)の徹底ぶりが浮かぶ。当時、国の審議会では六ケ所村再処理工場(青森県)稼働の是非が論議されていた。「判断するために貴重な情報。事実ならとんでもない」。委員から怒りの声が上がった。【核燃サイクル取材班】
「エネ庁には04年初めにファクスが届いた」。関係者が明かす。在ロシア大使館に届いた文書は内閣府の原子力委員会に渡り、その後エネ庁へ。エネ庁では一部幹部への配布にとどまり経産省事務次官に渡らなかったとされる。「六ケ所の邪魔になる。どうせ握りつぶすんだから上に上げる必要はない」。関係者は独自の理論を展開した。エネ庁原子力政策課で課長を務めていた安井正也・経産省審議官(原子力安全規制改革担当)は取材に、文書が存在するかどうか直接答えず「記憶にない」と繰り返した。
「シベリアに国際管理して埋めるというのはどうか」。03年6月の参院外交防衛委員会で舛添要一参院議員(当時自民)が質問した。原子力委員会の藤家洋一元委員長は「自らの責任において処理すべきだ」と海外処理を否定する答弁をした。藤家氏は取材に対し「『ロシア』という話はこの時に初めて聞いた」と説明、01〜04年の在任中、ロシア側から文書による提案は「ない」と語った。原子力委員会には事務局役の職員(官僚)が約20人いる。経産省同様、一部の「官」が握りつぶしたのか。文書の宛先の尾身幸次・元科学技術政策担当相も「(文書は)ない」と完全に否定しており、謎は深まる。
◇ ◇
「隠蔽が事実だとしたらとんでもない」。経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」で委員を務めた大阪大の八田達夫・招聘(しょうへい)教授(公共経済学)は憤る。
六ケ所村再処理工場は当時放射性物質を流しておらず、解体すれば費用は3100億円で済んだ。しかし、使用済み核燃料を処理するアクティブ試験(06年3月)などを経て本格操業した後廃止すれば1兆5500億円かかる。八田氏は04年3月、分科会で「大変な解体コストがかかる。(再処理せず直接地中に捨てる)直接処分という選択肢も考慮すべきだ」と主張。八田氏は「工場を放射性物質で汚すか汚さないかを判断する上でロシアの提案は非常に貴重な情報だった」と語った。
■六ケ所村再処理工場を巡る動き■
80年3月 電力各社が「日本原燃サービス」(現日本原燃)を設立
84年7月 電気事業連合会が青森県と六ケ所村に再処理工場など核燃サイクル3施設の立地申し入れ
85年4月 青森県と六ケ所村が「受け入れる」と回答
89年3月 日本原燃が事業申請。建設費7600億円、97年完成と計画
93年4月 着工
96年4月 建設費1兆8800億円に変更。完成を03年に延期
99年4月 建設費を2兆1400億円に変更。完成を05年に延期
12月 使用済み核燃料貯蔵施設が操業開始
01年12月 使用済み核燃料貯蔵施設のプールから漏水するトラブル判明
02年10月 ロシアから再処理などを提案する外交文書が届く
04年1月 経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」が再処理費用などのコストを約19兆円と公表
6月 原子力委員会の新計画策定会議が再処理継続などの議論開始
11月 新計画策定会議が再処理継続の方針を決定
12月 再処理工場で劣化ウランを用いる「ウラン試験」開始
05年3月 建設費を2兆1900億円に変更。完成を07年5月に延期
06年2月 建設費を2兆1930億円に変更。完成を07年8月に延期
3月 実際に使用済み核燃料を通す「アクティブ試験」を開始
08年12月 高レベル廃液をガラスで固める工程でトラブル。試験中断
10年9月 完成を12年10月に延期
11年3月 東日本大震災で一時外部電源喪失
毎日新聞 2011年11月24日 2時30分(最終更新 11月24日 10時57分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111124k0000m040129000c.html
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核燃:露外交文書隠蔽 海外貯蔵の可能性葬る
使用済み核燃料を巡るロシアの外交文書の中で注目されるのは中間貯蔵の提案だ。国内の原子力発電所では1年間で約900〜1000トンの使用済み核燃料が生まれる。これを国内で全量再処理する計画だったが、六ケ所村再処理工場(青森県)が稼働せず保管先に頭を悩ませてきた。事故を起こした東京電力福島第1原発4号機のプールに計1535本もの燃料集合体(燃料棒の束)が置かれていたのもこのためだ。経済産業省中堅幹部は「文書隠蔽(いんぺい)で海外貯蔵の可能性が葬り去られたのは罪深い」と語る。
政府の原子力委員会関係者は隠蔽時期について「非常に微妙なころだった」と振り返る。六ケ所村再処理工場では01年12月、燃料貯蔵プールからの漏水が発覚。その後、配管ミスや漏水再発などトラブルが次々と判明した。エネルギー政策全般を審議する経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」は04年1月、再処理費用に約19兆円ものコストがかかると試算し、原子力委員会の「新計画策定会議」は同6月から再処理路線継続の是非を検討していた。
経産省資源エネルギー庁関係者は「内部では外交文書が発覚し『再処理をやめロシアの提案を検討しよう』という流れになるのを一番恐れていた」と証言した。
ロシア側の狙いは外貨獲得。プーチン大統領(当時)は01年、燃料輸入を認める関連法案に署名し売り込みを図っていた。「ロシアでは安全保障の観点から問題だ」「国内で生まれたごみを海外に持ちだすのは不適切」との意見はあり得るが、外交方針を「原子力ムラ」だけで決める道理はない。当時、フランスはロシアに再処理を委託しており、日本も正面から検討すべきだった。
原子力基本法は「民主、自主、公開」の3原則を掲げるが、モンゴルでの極秘の処分場建設計画が5月に毎日新聞の報道で発覚するなど実態はかけ離れている。原子力部門に勤務経験のある元エネ庁職員は「上司から『原子力のことは墓場まで持っていけ』と言われた」と証言する。ムラによる情報の独占を許さない制度の確立が不可欠だ。【小林直、清水憲司、太田誠一】
◇ロシア側外交文書の概要
ロシアのルミャンツェフ原子力相が尾身幸次・元科学技術政策担当相に宛てた02年10月25日付の外交文書(原文ロシア語。在ロシア大使館訳)の概要は次の通り。
尊敬する尾身代議士
02年9月にモスクワ及びウィーンで行われた貴殿との会談は私に深い印象を残しました。相互理解のための誠実な努力により、原子力部門における露日の共同活動の最も有望な方向性を明確に示すことを可能にしたと思われます。
そのような方向性の一つは使用済み核燃料の利用の分野における協力、とりわけ、一時的技術的保管及び処理の実施のために日本の原子力発電所の使用済み核燃料をロシア領内に搬入することです。
一時的保管及び再処理のためのロシア領内への搬入は、91年12月19日付ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国法「環境保護について」及び01年6月6日に採択された連邦法「原子力利用について」の付属書において規定されています。
現在、上記の法律の枠内での搬入の方法、条件及び手続き等を規定する細則ならびに当プロジェクトの実施開始を可能にする第一義的措置のリストの作成が完了しつつあります。
我々は、問題の複雑性、多面性を認識しており協議を日本側と開催する用意があります。
大臣 (署名) A.Yu.ルミャンツェフ
◇ことば・再処理と中間貯蔵
使用済み核燃料からウラン、プルトニウム、高レベル放射性廃棄物などを分離・回収するのが再処理。日本原燃が青森県六ケ所村に再処理工場を建設中だが、当初97年12月だった完成予定はトラブル多発で18回延期され、建設費も2兆1930億円に膨らんでいる。再処理までの数十年間、燃料を保管するのが中間貯蔵。六ケ所村再処理工場の貯蔵プールには既に2859トンが運び込まれ、今年9月末現在、容量の95%に達している。
毎日新聞 2011年11月24日 2時30分(最終更新 11月24日 10時58分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111124k0000m040130000c.html
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