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東京電力福島第一原子力発電所の事故で、国の審査会は、これまで賠償の対象となっていなかった、福島市や郡山市など福島県内の23の市町村の全部または一部の地域の住民についても、新たに事故による精神的な損害を認め、子どもや妊婦の場合、賠償額を40万円とする新たな指針を決めました。福島第一原発の事故では、避難区域以外で自主的に避難した人については、これまで賠償の対象となっていませんでしたが、国の審査会は、条件を定めて賠償を認める方針を決め、対象区域や賠償額など大詰めの議論を行ってきました。その結果、6日の会合で、原発からの距離や避難区域との近さ、放射線量の値などを総合的に検討し、福島市や郡山市など福島県内の23の市町村の全部、または一部の住民について自主的に避難したか、自宅にとどまったかに関わらず、全員に同じ金額の賠償を認める新たな指針を決めました。
賠償の対象は、事故が発生した3月11日に住んでいた人で、特に不安が大きいとされる、18歳以下の子どもと妊婦については、今月末までの9か月あまりを対象に、期間全体で40万円、それ以外の大人については事故発生当初を対象に8万円としました。
これについて指針では、自主避難した人には避難先での生活費の増加や、正常な日常生活を阻害された精神的苦痛などがあるが、残った人にも不安の継続があるなどとして、同じ額とするのが公平だとしました。
また、避難区域から避難したためすでに賠償が認められている子どもや妊婦のうち、福島市など23市町村に避難している人は、質の異なる精神的損害を別に受けているとして、その分についても賠償すべきだとしています。
自主的に避難した人の賠償は、ことし8月にまとまった中間指針には、対象として盛り込まれませんでしたが、福島県などが賠償を認めるよう東京電力や政府に繰り返し要望していました。
新たな指針の決定によって、福島県の人口の4分の3に当たるおよそ150万人が賠償の対象となり、追加される賠償額は、少なくとも1896億円に上ると試算されています。
今回、賠償が認められたのは、福県内の自治体に限られ、原発からの距離が比較的近い宮城県や、放射線量が周囲より高い場所がある、茨城県や千葉県などの自治体については、対象になりませんでした。審査会会長の学習院大学の能見善久教授は「対象の範囲を広げて東京電力と対立し、結果として賠償が遅れることは避けたいと考えた。被害者の方からの不満はあると思うが迅速な賠償につながる指針が被害者に役立つものだと考えて放射線量や避難区域に近いことなどをもとに決めた」と話しました。今回対象とならなった地域の住民については、賠償の道が閉ざされるわけではありませんが、賠償を受けるには、東京電力と個別に交渉しなければならず、難航が予想されます。
12月06日 19時13分
http://www.nhk.or.jp/fukushima/lnews/6054243861.html
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