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12月10日。なぜ僕たちは、「原発」住民投票の請求代表者になるのか。 山本太郎×今井一 対談
http://diamond.jp/articles/-/15008
2011年12月1日 ダイヤモンド・オンライン
東京と大阪で市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」が音頭をとって、原発の是非を問う住民投票の条例制定を求める署名運動が始まる。12月10日から街頭などで署名活動を行い、約2週間で有権者数の50分の1以上の署名(東京で約22万人以上、大阪で約4万5000人以上)を集めることを目指す。今回の東京の請求代表者を務める俳優・山本太郎氏、大阪の請求代表者を務めるジャーナリストの今井一氏に、なぜ今原発住民投票が必要なのか、語ってもらった。
山本太郎 (やまもと・たろう) 1974年11月24日生まれ、兵庫県出身。俳優。 高校在学中「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」に出演したことがきっかけで芸能界入り。 TVでは、NHK大河ドラマ「新撰組!」、映画『バトル・ロワイアル』に出演。05年から08年まで「トップランナー」の司会を務めた。12月10日、東京の「原発」住民投票の請求代表者を務める。
今井 一(いまい はじめ) 1954年生まれ。ジャーナリスト。市民グループ[みんなで決めよう「原発」国民投票]事務局長。 ポーランドにおいて独立自治労組「連帯」が誕生した81年以降、ソ連・東欧の現地取材を重ね、民主化の進行とソ連を盟主とした社会主義共同体の崩壊を見届ける。 96年からは、新潟県巻町、刈羽村、岐阜県御嵩町、名護市、徳島市、米原町、岩国市など各地で実施された住民投票を精力的に取材する。 また、04、05年には、スイス、フランス、オランダへ赴き、国民投票の実施実態を調査。 著書は、『「原発」国民投票』(集英社)ほか多数
■この国がかなり危機的な状況になってるということを一番意識しているのは女性
今井:もう、世間に知れ渡ってることですが、山本太郎さんは3.11以降、はっきりと「原発はいらない」という姿勢で活動してますよね。
山本:なんか僕のことを「活動家」を本職にしたと思ってる人がいますが、それは違いますからね(笑)。これまで通り俳優の仕事をちゃんとやってますし、テレビの仕事もやってます。ただ、3.11前とは日々の生活ががらりと変わりましたけどね。
今井:どんなふうに?
山本:結果として、空いている時間のほぼすべてを「原発」をなくすための活動に割いてますよね。福島を中心に、北海道の泊原発から佐賀の玄海原発まで、全国を駆け回ってます。佐賀県庁には強行突入したことになっていますが(笑)。これはデマですよ。そんなことしてません。
今井:メディアは怖いねー。制止に回ってても扇動したと報じる。それでね、この半年間私もあちこちに足を運んで感じたのは、男と女の意識の差です。福島をはじめ東北の方は当然のことなんですが首都圏の女性もね、3.11以降意識が変わったというのをすごく感じるんですよ。太郎さんはその辺どうですか?
山本:僕も強く感じてます。この国がかなり危機的な状況になってるということを一番意識しているのは女性ですよね。それは特に子どもを持つお母さん方ですが、子どもを持ってない人も女性のほうが男性よりはるかに関心が高いですね。それは女の勘というか、動物的に優れているのかもしれない。お母さん方は自分が産んだ命だから。自分の生んだ命に対しての責任感というようなものから来る意識の高さだと思うんですが、一方、男性陣は街で出会うおじさんやお兄さんと話をすると、「放射能?そんなもん大丈夫、大丈夫」という人が意外と多いんですよね。ともかく、危機に面した時の、女性の「命をつなごう」というその能力の高さにはびっくりしますよね。
■本気でこの国を根本から立て直す、ほんとの意味で立て直す。繋がり方を改める
今井:3.11から8ヵ月が過ぎましたが、政治や行政は相変わらずの体たらくだし、一時相当数の人が原発について高い関心を抱いていたのに、最近では急速にしぼみ、特に関西圏で原発について関心を抱き続けている人は少数になっています。そんな中で、「原発について考えよう」「子どもたちを放射能から守ろう」と訴えて駆け回る自分の心が折れたり揺れたりすることはなかったですか?
山本:やっぱり一人じゃ無理ですよね。行くところ行くところに、人生と本気で向き合っている人たちとの出会いがあるじゃないですか。で、みんな真剣なんですよね。今まで自分自身が人生というものにどう向き合ってきたか。はっきりしたのが3.11です。3.11以降、生き方が変わった、考え方が変わったっていうことで、前を向いて歩き出した。でもやっぱり世間との温度差はあるっていうのはある。それはそうなんだけども、行く先々で本気で闘ってる人たちの姿を見ると、自分の気持ちが「折れかけてた」ということも反省させられますよね。何を考えてるんだ、やっぱり燃えてなきゃダメなんだっていう出会いの連続です。だから毎日感動してます。
とはいえ、僕も3.11以降失ったものはあります。それは収入なんですけれども…
今井:(笑)出た―!
山本:出たでしょ、「収入激減話」。だけどそれを大きく上回る財産みたいなものを、手に入れてる感じがします。
今井:そうね。お金は大事だけど、偽りのない人生、掛け替えのない仲間こそ大切。この歳になると本心そう思います。
さて、14万人のフォロワーを擁する太郎さんのツイートを見てたら「繋がれてよかったです」という言葉がよく出てくるんですけど、「繋がる」っていい言葉やね。スクラムを組むっていうとちょっと大げさになるけれど、繋がるっていうのはなんか自然でいい。
山本: 3.11の原発事故で福島の人たちをはじめとしてみんな辛い体験をしてます。ほんとに残念で悔しいです。そんな嫌なことばかりの中で「救い」にしたいのは、これまで多くの福島の方々と道ですれ違うことさえなかった僕が、3.11以降頻繁に現地へ行って、そこでみんなと集まって、一気に人間の一番深いところで繋がり合ってます。これはすごいことですよ。いろんな人との出会いでそういうエネルギーを感じるときに、リセットというかリスタートできる、自信にかわっていきますよね。
今井:確かにわれわれは、精神的にも物質的にも大変な「負」を背負うことになったけれど、これをプラスに転ずる努力をしないと。3.11によって、この国の行政や立法、官僚、メディアの在りようがあぶり出されました。そのひどさを目の当たりにした私たち日本人は、本気でこの国を根本から立て直すきっかけにしないといけない。悲劇に覆われながらもこの機会を生かさないとね。
■原発の問題は大都市住民にとって、他人事じゃなく自分たちの問題
山本:今井さんは、「みんなで決めよう『原発』国民投票」っていう市民グループの事務局長をやってますよね。ずっと国民投票をやろうって言ってたのに、ここにきて東京と大阪で住民投票をやろうと動き始めたのはなぜなんですか?
今井: 原発の問題は大都市住民にとって、他人事じゃなく自分たちの問題だからです。例えば福島第一原発の問題は、福島の人たちだけではなく首都圏の人たちの問題でもある。そのことをわかってもらう機会にしたいと考えたのが一番の動機です。
この国の有権者の99%以上は原発の立地地域ではなく消費地の住民です。立地地域に住む人が占める割合は1%にも満たない。にもかかわらず、これまでは、住民投票で決着をつけた巻町(新潟県)、海山町(三重県)、刈羽村(新潟県)以外はすべて、国とその立地地域の首長や議員の意思だけで原発設置やプルサーマル導入が決められてきた。それでいいのかという疑問があります。
山本:どこもかも、電力会社からいろんな名目で莫大なお金が集中的に投下されてね。玄海も上関もみんな同じパターンですよ。そのパターンで「民主的に」54基の原発が地方に造られていった。
今井:そうです。で、そのパターンで進めてきて、大都市の人間には建設の是非について、直接にも間接にも一切承認をとっていません。でも、例えばもし刈羽村で原発事故が起これば新潟市も大きな被害を受けるし、福井で起きれば琵琶湖の水が飲めなくなり大阪や京都、兵庫、滋賀も甚大な影響を受ける。それゆえ、都市住民にも建設・稼働の是非について物を言う権利があるはずです。そして、それは同時に責任をもつということでもある。福島第一原発の事故について、首都圏に住む人の多くは、東電や原発立地先に「迷惑をかけられた」と思ってはいても、福島の人々に原発を押しつけて「迷惑をかけた」とは思っていません。でも、電力の大量消費者である自分たちが原発というものを黙認して事故が起きた以上、「私は関係ありません」とは言えない。
■東京都は東電株の約2.7%、大阪市は関西電力株の約8.9%を所有する、大株主
山本:そこなんですよね。「脱原発」を理解して賛成してもらう前の段階で、まず「原発」は自分たちの問題なんだということを都会に住んでたり働いてる大勢の人にきちんとわかってもらう必要がある。そこを跳び越して運動を進めても拡がりに限界が出てくるんですよね。それは痛感してます。
今井:都市に住む私たちが[決定権者=責任者]であるべきだという根拠は、我々が東電や関電の消費者・ユーザーだということ。しかも、東京、大阪の住民の大半は基本的に東電、関電しか使えないのだから、口出しする権利がある。 それから、大株主が株式会社に対して口出しするのは資本主義の常識です。東京都は東電株の約2.7%、大阪市は関西電力株の約8.9%を所有する、それぞれ5位、1位の大株主。それなのに、都も市も主権者である私たちの意を酌んだ上で、きちんと口出ししないというのはまったくおかしな話です。
そういうことで「原発」都民投票、「原発」市民投票をという動きをとっているのですが、何をするかというと、都議会と大阪市議会に対して、都民投票、市民投票にかけるための条例の制定を求める直接請求を行うことになります。そして、私たち市民グループが作成している条例案では、結果が「原発」賛成多数であれ反対多数であれ、東京都議会と都知事、もしくは大阪市長と市議会は、投票結果を尊重し、東京(関西)電力、国及び関係機関と協議して、都(市)民の意思が反映されるよう努めなければならない、と定めています。で、太郎さんは都民投票の請求代表者の一人になってくださいました。
■「住民投票」とか「国民投票」っていうのが一番スマートな脱原発の方法じゃないか
山本:今井さんは、「原発」大阪市民投票のほうの請求代表者に。
今井:そう、大阪市民やからね。でまあ、直接請求の代表者を務めるなんていうのはお互い初めてなんですが、この役を引き受けようと考えたのはなぜですか?
山本:原発を止めるためだったら何でもやりたいと考えて、今まで僕はいろんなとこで、デモ、集会、座り込みなんかで脱原発を訴えたり、抗議行動をやったりしてきました。だけど、やっぱり「住民投票」とか「国民投票」っていうのが一番スマートな脱原発の方法じゃないかと思うんですよね。議員任せ、政府一任じゃなくて、僕たち主権者みんなで議論して投票で決める。それで、結果責任もとる。すごくわかりやすくて公平じゃないですか。
今井:ただね、脱原発の人たちからよく言われるんだけれども、日本国民はアホで愚かだから、住民投票や国民投票なんてとんでもない。絶対に負ける。だから、お前は余計なことを仕掛けないでじっとしておれって、残念ながらそういう異論や批判を反原発グループの人たちから結構もらってます。
山本:それ、ほんとに脱原発の人ですか? 信じられへんなあ。
今井:いや事実です。その証拠に。私たちが東京と大阪でやろうとしている「原発」都民投票、「原発」市民投票の受任者(署名集めを担う有権者のこと)があまり集まらないじゃないですか。毎週毎週あちこちで何千、何万人が集まる脱原発の集会をやってるのに、そこに来てる人たちはみんな直接請求の受任者になろうとはしない。「原発」推進派の人たちが、このままの政権、国会だったらこそこそっと再開・稼働できるのに、負ける可能性がある住民投票なんてやらせたくないと考えるのはある意味当然だと思うけど、脱原発派の多くの人たちがそっぽを向いてるのがとても残念です。
山本:それは一回勝負やと思ってるからでしょうね。僕はね、最初は勝っても負けてもいいと思ってるんです。勝って脱原発ができればこれは最高。でも、万が一負けても、それはそれで受け入れたいと思ってるんです。もちろん脱原発の運動は続けますけどね。まずは一回、国民投票なり都民投票をきちんとやって、何か重大なことがあった時、そういう機運が盛り上がった時に、大事なことだから必ずみんなで決めようぜということの前例になればいいと思ってるんです。そういう習性をつけさえすれば、一度まちがった選択をしたとしても、長い時間の中では必ず賢明な判断がなされていく、生かされていくと考えてます。
今井:同感。僕もまったく同じ考えをしています。何を選択するかはもちろん大切ですが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのは決め方です。日本や人類史を左右するような原発の今後という重大案件を、いつやめるかわからない首相や市民自治を理解していない知事や市長に決めさせるわけにはいかない。そしてたどり着いたのが大都市での「原発」住民投票です。
そんなわけで、太郎さんが東京都、私が大阪市の請求代表者を務める直接請求の署名集めを、いよいよ12月10日から始めるのですが、条例の制定つまり「原発」住民投票の実施を首長に求めるためには、東京では2ヵ月以内に23万筆以上、大阪では1ヵ月以内に5万筆以上の法定署名が必要です。労組などの支援を受けず、普通の市民が身銭を切り手弁当で頑張っています。なので、ぜひみなさんもこの運動を応援して下さい。よろしくお願いします。
◆詳細は市民グループ【みんなで決めよう「原発」国民投票】のウェブサイトhttp://kokumintohyo.com/branch/へ。
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