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原発事故のこの国のこれから
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2011/12/2 日刊ゲンダイ:「日々担々」資料ブログ
原発放射能の本当の真相
「溶け落ちた燃料がコンクリートを65センチ侵食していた」――。福島第1原発事故から9カ月近くがたって、ようやく東京電力が“白状”した。
30日に公表した原子炉内部のシミュレーション解析結果で、〈1号機は最悪、核燃料のすべてがメルトダウンして圧力容器を突き抜け、格納容器の底も溶かした〉とする見解を示したのだ。
東電はこれまで、圧力容器の底を損傷した可能性にしか触れていなかったから、大新聞TVは新事実として大きく報じている。ビックリ仰天というわけだ。
何を今さら騒いでいるのか。こんなことは心ある多くの専門家が事故の当初から指摘してきたことだ。東電はこの期に及んで、「鉄鋼製の格納容器の底まで37センチある」「容器の強度に問題はない」「落ちた燃料は水につかっている」などとエンピツなめなめではじき出した“安心材料”を並べ、年内の冷温停止を強弁しているが、冗談じゃない。こんな詐欺まがいのインチキ発表にだまされてはダメだ。
福島原発に楽観視できる材料など何ひとつない。極めて深刻な事態が進んでいるのである。
京大原子炉実験所助教の小出裕章氏が言う。
「今回の東電の解析には全く根拠がありません。原子炉や格納容器がどうなっているのか、実際は誰にも分からないのです。鉄鋼製の底まで37センチなどという数字は、自分たちに都合のいい計算をしただけでしょう。ただ、間違いなく言えることは、いまだ大量の放射性物質が外に漏れ続けているということです。3号機の建屋付近では、先月も1・6シーベルトという高い線量が検出されている。これでは作業員は近づくことさえできません。現場の状況は極めて危険。事故の直後と何ら変わっていないのです。大量の放射能が地下水を汚染している問題も深刻で、今も建屋のあちこちからしみ出ています。
考えられる対策は、地下に遮水壁を張り巡らし、巨大なダムを造って囲うことですが、もちろん、それにも膨大な時間がかかります」
原発建屋の地下には、今なお8万トンもの高濃度汚染水がたまっている。地下水からの大量流入をどう解決すればいいのか、メドさえ立っていないのが実情だ。水に触れなくても被曝するのでは、作業が遅々として進まないのも当然である。
◆「冷温停止もどき」でお茶濁す民主党政権
この惨状で「年内の冷温停止」なんて、悪い冗談としか思えない。原子炉格納容器を設計していた元東芝技術者の後藤政志氏はこう指摘する。
「そもそも冷温停止とは、炉心が圧力容器の中にあり、さらに格納容器で覆われ、プラントが健全な状態のときに使う言葉です。政府・東電の計画は“冷温停止もどき”であって、放射能を閉じこめることはできません。圧力容器も格納容器も壊れているのだから、中の圧力が高まれば、放射性物質が外に漏れ出す危険はつきまとう。結局、漏れる量が多いか、少ないかという話でしかないのです。きちんと冷却できない限り、チェルノブイリのような石棺で覆うのも不可能だし、建屋をカバーで隠して放射能の漏出を減らしてはいるが、根本解決にはなっていない。要するに、放射能はこの先も漏れ続けるということなのです」
大量被曝と隣り合わせで働いている原発作業員は、地獄で火消しをしているようなものだ。命がいくらあっても足りないし、実際、これまでに3人が死亡している。揚げ句に、現場で陣頭指揮を執ってきた吉田所長も病に倒れてしまった。退院の予定さえ分からないというから、かなり重篤な病状ではないのか。
◆想像絶する作業員のストレス、子供への影響
原発作業員の被曝問題を38年間、追い続けてきた報道写真家の樋口健二氏も、「常識的に考えて恐ろしいくらいの被曝をしている。集積された放射能による深刻な病状を誰もが疑うのは当然だ」と言っていた。〈近く手術が必要なほど悪いと聞いている。(中略)面会もできない状況のようだ〉と、関係者の話を報じた週刊誌もある。
想像を絶するストレスも作業員の体を蝕(むしば)む。
「ストレスと恐怖心からPTSD(心的外傷)になるケースも考えられます。動悸や目まい、耳なり、不眠が止まらない“不定愁訴”や、緊張状態が続くことで、心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす可能性もあります」(医学博士・米山公啓氏)
ボロボロになっているのは原子炉だけではない。放射能とストレスの無間地獄で、作業員の体も限界なのだ。もちろん、国民だって例外ではない。大気や土壌の放射性物質にさらされ、汚染食品を口にすることで、とくに原発周辺住民や子供たちには、この先どんな影響が出てくるか分からない。チェルノブイリ事故後も子供の甲状腺がんが増加したし、「低線量被曝でも、数年後に白血病やがん、間質性肺炎を発症するケースはある」(米山公啓氏=前出)から恐ろしいのだ。
一口に「廃炉まで30年」と言うが、島国の日本には逃げ場がない。その間、国の財政も国民の生命も脅かされ続ける。あまりに過酷な現実が横たわっているのである。
◆東電マネーでズブズブの民主、自民
それなのに民主党政権は事実をひた隠しにしている。決してオープンにしようとしない。生命を脅かされる国民は、何も知らされないままだ。
政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「電力会社と政治は二人三脚で政策を推進してきました。原発も国策で進められた経緯がある。民主党は本気で東電とコトを構える気などありません。しかも、野田首相は、原発の再稼働に前向きです。決して楽観視できない現状を明らかにすれば、それを妨げることになりかねない。危機をあおれば、自分の首を絞めることになる。だから、情報を出そうとしないのです」
民主党は、電力労組の出身議員を抱え、電力マネーで潤っている。08年から10年までに民主党の本部と議員13人、友好団体などは、東電の労組から7446万円を受け取っていた。これでは東電に厳しく出られない。
自民党も同じ穴のムジナである。電力9社は70年代に企業献金を取りやめているが、関連会社15社は10年に自民党の政治団体「国民政治協会」に計7119万円を献金していた。また、東電の役員と執行役員は、08年からの3年間に計1654万円を個人名で拠出している。ズブズブの関係だ。
問題を追及すべき大マスコミだって莫大な広告費を受け取っている。専門家もそうだ。大学は「寄付講座」で億単位の支援を受けている。それで、みんな口をつぐむ。信じられないほどの無責任である。
国民は現実を直視すべきだ。小さな島国で起きた原発事故は、想像以上に深刻である。“後遺症”も重い。前出の小出裕章氏はこう言った。
「地上の放射能を封じ込める石棺、地下の汚染水の流出を遮るダムを造るにしても、途方もない作業です。何十年かかるか分かりません。また、何とか完成させたとしても、どんどん劣化していくから、ずっと更新作業が必要になる。チェルノブイリと同じです。廃炉に30年というが、それで終わることはない。何十年、何百年もかかるのです」
これが人類史上に残る重大な事故を起こした日本という国の宿命だ。
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