http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/759.html
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弱い放射線の方が細胞に与えるダメージが大きい場合があるという話です。
引用してある記事では書かれていませんが、少なくとも中性子線では低線量被爆の方が影響が大きい、ひどいダメージを与えることが確認されているようです。
http://kandk.cafe.coocan.jp/jeans/?itemid=819
放射能汚染:危険な物と危険かもしれない物
2011年5月22日
放射線の我々の健康への影響に関する報道の中で、しばしば「同じ量の放射線を1年間で浴びた場合、一度に浴びた場合より健康に与える影響は2〜10倍低い」と言うような説明が見受けられます。これは、本当なのでしょうか?少し考えてみました。専門用語などを使って硬い文章で説明しますが、少しおつきあいください。
線量率効果と逆線量率効果
放射線の生物への影響を考えるとき、全体としての線量が同じであっても、高線量率で短時間に照射した場合(強い放射線を一度照射)と、線量率を下げて時間をかけて照射した場合(弱い放射線を何回かに分けて照射)で、効果の度合いが異なることがあります。生物を使った実験では、高線量率で短時間に照射した場合の方が効果が高いことが多く、この場合、「線量率効果」が見られるといいます。逆に、線量率を下げて長時間照射した場合の方が効果が高い場合、「逆線量率効果」が見られるといいます。
確定的影響と、確率的影響
細胞が放射線の被曝を受けたときにも、確定的影響と確率的影響の2つについて考えることが出来ます。確定的影響とは、「直ちに出る健康上の影響」の事で、被曝により白血球数が減少したり髪が抜けたりします。これらは被曝によるDNA損傷を修復できなかったが為に、細胞が死んでしまうことが原因です。他方で、確率的影響とは、直ちに健康上の影響が出るわけではないが、一定の時間の後に、ある確率の元に出る健康上の影響で、具体的には癌です。
細胞生物学的に考えた確定的影響:DNA損傷の修復について
様々な量の放射線を浴びた時に、どれくらいの割合の細胞が死ぬかという実験が良く行われますが、放射線の量を増やすと当然ながら死ぬ細胞の比率が高くなります。このとき、照射する放射線の量に閾値があって、その閾値を超えると一気に死ぬ細胞が増えるという結果が観測されることが多いです。閾値より低い放射線の照射の場合、照射後DNA修復が起こって、細胞は元通り傷の無い状態になります。従って、このケースにおいては、強い放射線を一度当てた場合と、閾値より低い強度の放射線を複数回当てた場合とを比較すると、強い放射線を一度当てた時の方が死ぬ細胞の比率が高くなる事が多いです。従って、確定的影響については線量率効果が見られることが多いというのが結論です。
細胞生物学的に考えた確率的影響:細胞の癌化について
細胞の癌化のメカニズムについては、まだまだよく分からないことが多いです。また、癌の種類によって癌化のメカニズムが多少異なることが観察されています。ただ、現在までの研究結果から、癌化した細胞は一つの遺伝子変異ではなく、複数の遺伝子変異を持っているということが分かってきました。こういった観察結果から、細胞の癌化は多段階のメカニズムで起きると考えられています。このことをふまえた場合、線量率効果があるのか逆線量率効果があるのかを予想しようとすると、逆線量率効果があるかもしれないと考えるのが妥当のように思われます。つまり、たとえ高線量であっても1回の被曝ですめば、多段階ある癌化のメカニズムのうちたった一つしか進まないのに対し、低線量であっても長きにわたって被曝すれば、多段階のメカニズムを順次進めることが考えられます。低線量による被曝の癌化に対する影響は実験が難しい(多数の実験動物を使わなければならない)為に、具体的なデータに乏しいのが現状ですが、放射線の種類によっては実際に逆線量率効果が観察されている物もあるようです。
では何故、東電の発電所が巻き散らした放射能で線量率効果があるように報道されるのか
原子力発電所に勤務しているので無い限り、確定的影響(直ちに出る健康上の影響)を心配する必要はありません。一般の人は、確率的影響(発癌)に付いてのみ、対策を取ればよいです。確率的影響について上記の考察から逆線量率効果がある(低線量であっても長時間浴びることによる影響が強い)ことが可能性として十分考えられるにもかかわらず、その逆のこと(線量率効果)を言う専門家が多いように見受けられます。これは、DNA損傷修復の研究を行っている私個人の目から見ると、非常に不思議な現象です。
何故こういったことが起きるのかという原因を考えてみると、確定的影響は実験や観察が容易であるのに対し、確率的影響は実験や観察が難しいことが挙げられます。実験や観察が容易な確定的影響は、線量効果が見られることが多いですから、それだけをみて結論づけているのではないでしょうか?他方、実験や観察が難しい確率的影響に付いては分からないことが多いです。私たち科学者は、分からないことを「分からない」とはっきり表現しますが、今の政府や一部の専門家(とされている人)は、分からないことは「存在しない」と見ることが多いように見受けられます。
危険な物と危険かもしれない物
今の政府の対応を見ていると、「危険な物」は危険と捉えますが「危険かもしれない物」は安全と捉えている傾向にあると感じます。本当に国民の立場に立って対応するのなら、「危険かもしれない物」は危険だと捉えて行動する必要があるのではないでしょうか?そういった中で、「危険かもしれない」と「安全」との間でどこで線引きするかが非常に難しいのですが、私個人の対応としては、3月11日より以前の政府や専門家の考え方を参考にするようにしています。
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